理工学高度実践プログラムを利用して
暗号資産の研究に
2年次から着手

掲載日 2022/9/12
No.178
<2022年度 学業成績優秀者表彰 奨励賞受賞>
理工学部 経営システム工学科 4年
水上 拓紀
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校出身

OVERTURE

何かを研究したいと考えた際、多くの場合は複数の学問分野からアプローチすることが可能です。高校生の時に暗号資産(仮想通貨)に興味を持ち、大学で研究してみたいと考えていた水上拓紀さんは、経済的視点から学ぶのか、技術的視点から学ぶのかを決めかねていました。その時に経済学や経営学、会計学といった数理的な学問に加えて、プログラミングスキル、データサイエンス、AIについても学べる経営システム工学科に出合い、まさに自分にぴったりの学科だと確信して進学を決意。通常より1~2年早く研究室に所属できる理工学高度実践プログラムを利用し、思い描いていた研究に打ち込んでいるそうです。

社会を数理モデル化する「ゲーム理論」で新しい発見

所属研究室の教授である宋少秋先生の「ゲーム理論」は、専門分野の研究に欠かせない分析力と論理的思考力を養えたという点で印象に残っている授業です。
社会において、人や企業、国といった複数の主体は相互依存関係にあり、各々の目的を達成するために競合・協調しながら活動しています。ゲーム理論とは、このような状況を数理的に分析し、合理的な戦略を導く経済学の一分野です。現実の状況を数理モデルで表現し、分析や評価を行い、さらにそれらをプログラミングでパソコン上に再現する方法を学びました。一例を挙げると、実際に行われた選挙の結果を数理モデルに置き換え、民意がどのくらい反映されているのかを分析。「選挙」や「多数決」という、当たり前のように行われている集団意思決定は本当にフェアで合理的な方法なのか?という新しい発見に、目からうろこが落ちる思いでした。

最初は単純に「ゲーム」という言葉に惹かれた授業でしたが、「社会」という身近な存在を数理的に表現する方法を学び、それによって導き出される現実社会の振る舞いを考察する経験を積むことで、分析力と論理的思考力が身に付いたと感じています。また、今までただ漠然ととらえていた社会の仕組みを具体的に理解することもできました。

研究や議論を通して論理的思考力を磨く

宋研究室は、「ゲーム理論」や「組合せ最適化」が主な研究テーマです。組合せ最適化とは、多くの選択肢から最も良い組合せを求める方法を検討する学問です。例えば荷物の配送をどういった順番で回すのが最も効率的かを求めるというような、実社会にも幅広く応用できる分野です。

私は入学前から興味のあった暗号資産について、3年次よりアプローチの方向性などを宋先生に相談し、「ゲーム理論」を用いたブロックチェーン(仮想通貨に用いられている基盤技術)における参加者の振る舞いを分析する手法で研究に取り組んでいます。ネットワーク運営の参加者に報酬をどのように支払うかなど、現状を分析した上でどういったルールを設定すれば良いのかを見つけることが研究の最終目標です。時には壁にぶつかりながらも、一歩ずつ自分の研究が進んでいくプロセスにやりがいと楽しさを感じています。暗号資産は国内での先行研究が少ない分野のため、日本語の資料が見つからないこともよくありました。そのような場合でも、日頃から学科の授業や「English Core」の科目の中でアカデミックな英語にふれていたため、スムーズに英語の論文に向かうことができました。

私は一連の研究活動を、「理工学高度実践プログラム※」という制度を利用して通常より早く、2年次から取り組んでいます。早期の段階で高度な学びの場を提供してもらえたことは、自分にとって大きなメリットです。おかげでより深く密度の高い研究を行えています。研究室では大学院生をはじめ、異なるテーマを研究している学生と一緒に活動するため、自分の研究をわかりやすく説明したり、専門外の分野を理解したりする力が鍛えられました。仲間との会話など思いがけないところから研究のヒントが見つかったりするのも、この研究室ならではだと思います。先生や仲間たちとのディスカッションを通して切磋琢磨することで、論理的な思考力が身に付きました。先生方もこちらの質問に対し、解決するまでしっかりと向き合ってくださるなど、学生の“学びたい”という意欲に応える環境や早期から高度な研究に向き合いたい学生への支援が整っていると感じます。

※理工学高度実践プログラム…通常は4年次から始まる研究室の授業に、2年次または3年次から参加できる制度。成績が一定以上であること、研究室の主宰教員と面談して承認を得ること等、条件を満たした若干名の学生に対し認められる。

高度なエレクトロニクス技術の世界にふれ、刺激を受ける

私は先端テクノロジーやAIに関心があるので、本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目の「先端エレクトロニクス」は興味深い授業でした。日常生活に欠かせない電子機器や電子デバイスについて、それらを動かすエネルギーの講義に始まり、エネルギーを極小スケールで扱うナノエレクトロニクス、次世代の「創エネ」「省エネ」社会に向けたエレクトロニクス技術の理解を深めるとともに、最先端の研究開発を学んで今後の展開を考察するという内容です。エレクトロニクスという分野を専門にしていない自分でも十分に理解できる講義でした。身近な電子機器であるパソコンやスマートフォンの部品は数ナノメートルという世界で作られていて、そこで何が起こっているのかを理解することは大変おもしろく、新鮮な驚きに満ちていました。また、最先端技術といえども、その根底となるものは小学校から学んできた「理科」の基礎知識であるという、考えてみれば当然のことに気づかされました。例えばリニアモーターカーの技術は電磁石についての知識だけで大まかに理解できてしまうのです。この経験から「どんなに高度な技術であろうと、まずは知ろうとすること」が大切だと実感し、自分の成長につなげられたと思います。

実社会に役立つスキルを幅広く学べる

経営システム工学科の特徴は、問題解決のプロセスに必要な「分析」「モデル化」「最適化」という3つの技術分野を実践的・体系的に学べることです。これらの学びは汎用性があり、実社会のさまざまな事例に応用できます。将来どのような職業に就いたとしても役立つスキルが幅広く身に付く点は、本学科の魅力ではないでしょうか。
卒業後は、IT企業へ就職する予定です。社会に出たときにスタートダッシュがかけられるよう、残りの大学生活でしっかりと学んでいきたいと思います。

学業成績優秀者表彰にて

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

理工学部 経営システム工学科

数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。
社会は、人・モノ・お金・情報が複雑に関わり合う多様な組織によって成り立っています。企業やNPOなどの組織を「より良く機能させる」ための技術とシステムを開発し、導入からマネジメントまでの全プロセスを学問領域としているのが「経営システム工学」です。経営システム工学科では、現実社会の問題を把握する知識と工学的な視点を融合させた学びにより、高度で先端的な課題解決力を養います。

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