青学体育会の活躍を追いかけ続け、手に入れたコミュニケーション力と自信、希望の進路

OVERTURE
青山スポーツ新聞やウェブサイトを通じて、青山学院大学体育会の最新情報を発信する「青山スポーツ新聞編集局(青山スポーツ)」で精力的に活動してきた遠藤匠真さん。コロナ禍が徐々に明けてきた局面からのスタートで、多くの人と一つ一つ丁寧に関係性を築き上げ、3年次には編集長として部を牽引しました。その経験は就職活動の武器となり、高校時代から目指してきた自動車メーカーの内定をつかみ取りました。
自分にぴったりだった青山スポーツで情報発信に尽力
青山スポーツに入部した理由は、スポーツ観戦とカメラが趣味の私にぴったりな部活だと思ったからです。また、経営学部で共に学ぶ硬式野球部(野球部)の友人が、勉強と両立しながら全力で練習に励んでいる姿を間近で見て、「彼らのがんばりを多くの人に知ってもらいたい」と思ったことも大きな動機になりました。
現在は40人程の部員がいますが、以前は10人以下という少人数だったので、主に野球部を担当しながら、いろいろな部会の取材もしてきました。私が青学に入学したのは、ちょうど野球部が東都大学野球1部リーグに復帰を果たしたタイミングで、今でこそ2年連続でプロ野球ドラフト会議1位指名選手を2名輩出するなど注目されている野球部ですが、当時は駅伝で活躍している陸上競技部(長距離ブロック)の知名度が突出していたため、「青学のスポーツは駅伝だけではない」という思いが活動のモチベーションになりました。日頃から選手とコミュニケーションをとってフラットな関係性を構築し、取材対象者の人柄が現れるようなフランクなインタビューを心掛けることで、「学生が制作しているメディア」という特性を生かした情報発信ができたのではないかと思います。
2024年プロ野球ドラフト会議で1位指名された野球部主将の佐々木泰選手(右)、西川史礁選手(左)と。佐々木選手は初めてインタビューした相手であり、思い出が多い
学業との両立という面では、野球部の試合が行われる明治神宮野球場が青山キャンパスから近いことが大きな助けとなりました。ギリギリまで球場で取材をしてから授業へ急行、またその逆のパターンで授業後に球場へ駆けつけたりする日々を送りながら、隙間時間も原稿作成や撮影した写真の整理などにあて、時間を無駄にしないよう意識していました。
時には睡眠時間を削ることもありましたが、野球部を追いかけ続けて常勝軍団になっていく過程を近くで見られたことは、野球部担当冥利に尽きます。特に2022年度の秋季リーグはあと一歩のところで優勝を逃し、私自身も大変悔しい気持ちになったので、翌年編集長に就いて最初の号では、「あの日の忘れ物を取り戻しに」という見出しと共に2023年度の春季リーグ戦開幕を取り上げました。この号は野球部の寮にも掲示され、前主将で現在東北楽天ゴールデンイーグルス所属の中島大輔さんがよく話題にしてくれたことが印象に残っています。その後、野球部はリーグ戦4連覇の快進撃を続け、「あの紙面が何かしらの後押しになったかもしれない」と思うと、とても嬉しくなりました。
編集長を務めていた時に発行した新聞の一面。左上の紙面が野球部の寮に貼り出された
編集長の経験や多岐にわたる業務が成長の糧に
編集長を務めたことも、非常に貴重な経験になりました。私自身は中学・高校時代にハンドボール部に所属していたこともあり、青山スポーツの活動に対しても「スポ根(スポーツ根性)」の精神で打ち込んでいましたが、部員はそれぞれバックグラウンドが異なり、モチベーションにも差があります。部員の温度感を把握し、熱量が高い人には難しい仕事を割り振り、あまり積極的ではない人には取材に慣れるために現場の楽しさに気づくきっかけを与えようと、先輩と一緒に取材に行く機会を作るなど、前者のやる気を維持しながら、後者のモチベーションを上げていく工夫をしました。
その他にも、青山スポーツの活動を通して会計に関わる部分や広告営業など、さまざまな業務に携わり、その都度「何がベストか」を考えながら行動してきたことで、自主性が養われました。また、最も大きな収穫は、コミュニケーション力です。取材相手はもちろん、営業先の方や紙面作成でお世話になっている新聞社の方、大会関係者など、幅広い方々と接する機会が多く、目上の人とのコミュニケーションに対する緊張感を完全に克服することができました。さらに、読者の方からの感想を聞いたり、取材現場で仲良くなったカメラマンに撮影スポットを教えていただいたりと、より良い発信をするために培ったコミュニケーション力をうまく活用できたと思います。
撮影量が多いため、1台目のカメラは寿命に。奮発して少し高いカメラに買い替えた
人気テーマパークの課題に挑み、事業計画を学んだゼミでのグループワーク
小さい頃から車が好きだったので、自動車業界に進むためには大学で何を勉強するべきかを考え、経営学部を選びました。自動車メーカーでマーケティング職に就いている叔父から仕事の話を聞いて興味を持ったことをきっかけに、マーケティングを学ぼうと決めました。
ビジネスに関する理論は、それをいかにして仕事に使っていくかという実践の部分が重要だと思っています。その点で印象に残っているのが「競争戦略論Ⅰ」の授業で、企業で長年コンサルティングの実務に携わられていた灘山直人先生がご自身の経験談を交えながら戦略の立て方について解説してくださるのが面白かったです。
経営学部で学びを深める中で、商品をどう売っていくかを考えていく狭義のマーケティングよりも、そもそもの商品自体をどのようなターゲットに対してどう作っていくかを考えるプロセスに興味を引かれるようになりました。そこで、3年次からは「ビジネスプランニングによる企業行動の理解と分析」を研究テーマとする高橋邦丸先生のゼミナール(ゼミ)に所属し、主に事業計画について学んできました。
高橋ゼミは実践的な学びが活発に展開されているのが魅力で、3年次には、「学生・生徒の団体を東京ディズニーリゾートに集客するための事業の考案」という株式会社オリエンタルランドからの課題にグループで取り組みました。社員の方にプレゼンを行うため、私たちのグループは、中学生をターゲットにしたキャリア教育プログラムを提案しました。東京ディズニーリゾートという親しみのあるテーマだったので、アイデアは次々に思いつくものの、それを実現可能な事業として実際に企業が資金を投入して動くためには、きちんと説得力を持たせる必要があります。異議を唱えられないレベルまでしっかり根拠を作ることを意識し、オリエンタルランドや中学生の教育面での課題を徹底的に調べ上げてプレゼンに臨みました。その結果、社員の方から「参考にさせてほしい」という嬉しい言葉をいただくことができ、大きな達成感を得ることができました。それと同時に、実際に社会に出て事業を立ち上げようとなれば、もっと大きな壁をたくさん乗り越えなければならないのだということも体で感じ、今後に生きる経験となりました。
高橋邦丸先生とゼミの仲間との一枚。先生は面倒見が良く、全ゼミ生のことを気にかけてくださっている
ありのままの経験と熱意をアピールし、第一志望への就職を実現
卒業後は、高校生の頃から憧れていた自動車メーカーに就職し、国内営業本部で働く予定です。夢が叶い、今からワクワクしています。就職活動は、3年次の春から自動車関連のメーカーを中心にスタートしました。メーカー志望だった理由は、父の仕事の関係で小学校5年生から中学1年生まで中国に住んでいた時に、中国の人々が日本製品を大量に購入し、大事そうに抱えて帰ってくる姿を見て誇らしく感じた経験があり、世界で評価されている日本の製品を作り出す一助になりたいと考えたからです。また、広告業界や総合商社のようにお客様のものを売る仕事よりも、自社の製品を売りたいという思いもありました。その中でも、第一志望の企業は、会長の情熱あふれる人柄や、カーボンニュートラル実現に向けて電気自動車だけでなく、ハイブリッドや水素エネルギーなど多様なアプローチを推進する姿勢に共感したからです。日本のエネルギー事情に配慮しながら幅広い選択肢を模索する取り組みに大きな魅力を感じました。
就職活動は、面接で細かいところまで質問されるため、もし事実と違うことを話してしまったら、どこかで齟齬が生じてくると思います。私は青山スポーツの活動に本気で取り組み、貢献できた自負があるため、その経験をありのままに話すことで自分をアピールできました。初対面の面接官とも臆せず落ち着いて会話できたのも、部活で培った経験のおかげだと感じています。3年次の2月に早期選考で2社から内定をいただき、その後は第一志望の選考だけに集中することができました。精神的に余裕を持って挑めたことが、良い成果につながったと実感しています。
就職後は、自動車を通じて人々の生活が豊かになるような取り組みをしていくことを目標にしています。私の祖父母もそうでしたが、これから少子高齢化が進むと、車が運転できなくなって生活に困る高齢者も増えていく可能性があります。自動運転技術などを活用しながら、高齢者や移動が不便な方々の暮らしを支える仕組みを作りたいと考えています。
就職活動をしていると、いろいろな声が耳に入り、「この企業は無理かもしれない」と不安になる場面もあるかもしれません。しかし、最終的に勝負を決めるのは自分の人間性と企業への熱意、そしてこれまでの経験がすべてだと思っています。青学は、その気になれば部活やサークル、授業など、あらゆる場面で主体的に動くチャンスがあります。ぜひ自分の好きなことにチャレンジしてみてください。そして、夢をあきらめずに進んでほしいと心から願っています。
遠藤さんの就職活動スケジュール
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<3年次> 2023年 6月
夏インターン応募
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<3年次> 2023年 8・9月
夏インターン参加
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<3年次> 2023年 11月~2024年 1月
冬インターン応募・参加
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<3年次> 2024年 2月
早期選考。第一志望である自動車メーカーのイベント参加
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<4年次> 2024年 5月
第一志望の企業から内定をいただき、就職活動終了
※科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
経営学部 経営学科
経営学部は「マネジメント」(経営管理)を中心に学ぶ学部です。青山学院大学の経営学部では、優れた研究者が教員として揃う質の高い教育環境のもと、企業や組織、ひいては個人をマネジメントするために必要な経営学の知識を、体系的に身に付けられるカリキュラムを用意しています。デジタル化時代に応えるべくデータ分析にも力を入れており、その学びを通して論理的思考力を養います。
半世紀の歴史を有する経営学科では、企業や組織におけるマネジメント活動で必須となる理論と実践を学びます。経営・会計・マーケティングの基礎的学習を踏まえ、多様な専門科目を履修することで、新時代の企業活動を読み解くことのできる、より深いマネジメントの理解に至ります。演習などを通じて主体的な学習を重ね、研究成果をまとめ、社会に発信する技術も手にできます。
