青学だからこそ叶った子供の頃からの夢。当事者に寄り添える報道記者に

掲載日 2023/10/2
No.263
国際政治経済学部
国際政治学科 4年
高木 郁弥
東京・私立聖徳学園高等学校

OVERTURE

小学生の時から、弱者の「声なき声」を伝えるため、報道記者を目指してきた高木郁弥さん。将来をイメージし始める1年次から、就職活動を本格的に開始する時期まで、段階的に行われるキャリア教育や進路・就職センターのサポートを活用して、高木さんは株式会社TBSテレビから内定を得ることができました。学部での学びも大いに生かして、当事者に寄り添う報道記者を目指していきたいと語ります。

小学生から報道の世界を目指す

小学生の時からテレビ業界を目指してきました。きっかけは小学4年生の時に経験した兄の交通事故です。当時は複数のメディアで報じられましたが、内容に誤りもあり、記者の態度は決して誠実なものではありませんでした。また、事故直後には報じられても、後遺症との闘いや長く続いた裁判を継続して取材するメディアはないという現実を目の当たりにして、「自分が報道の世界を変えたい」、「そのためには社会への影響力が大きいテレビ局で仕事をしたい」と考えました。当事者の悲しみや苦しみに寄り添い、「声なき声」を伝える人になりたいという目標は、今も変わらず持ち続けています。

目標に向かって中学・高校は放送部に所属し、部長として映像制作に携わりました。戦後70年には、NHK杯全国中学校放送コンテストの「テレビ番組」部門に出場し、戦争ドキュメンタリー番組を制作して全国大会の決勝まで進みました。この時に戦争体験者への取材を経験したことで、「どうすれば平和を守ることができるのか」を外交や安全保障の観点から学びたいと思うようになり、高校1年生の時から青学の国際政治経済学部を目指してきました。

現役外交官による講義の受講を機に、興味はコミュニケーションへ

この学部では、国際政治の理論をじっくり学べることはもちろん、日本外交の最前線で活躍する方から直接講義が受けられる「日本の外交」の授業など、実践的に学ぶ機会があることも大きな特長だと思います。この授業で現役の外務省職員からうかがった、「外交は人づきあい。相手を理解することが平和につながる」という言葉は特に印象に残っています。外交を行うのは人であり、国と国との関係も、私たち一人一人が行う人づきあいの延長線上にあると実感し、学習対象としてコミュニケーションに興味を持つようになりました。

3年次に履修した「コミュニケーションの質的分析法Ⅰ」では、インタビューによる調査方法やデータ分析など、質的分析に関する一連の手法を基礎から学びました。私は「コロナ禍の大学生における友だちづくり」をテーマに、研究に取り組みました。私たちは、入学後しばらくキャンパスに通えず、対面での交流が思うようにできなかった世代です。インタビューでは、オンライン授業での友だちづくりに悩みや葛藤を抱える同級生の気持ちに寄り添いながら話を聴くことを常に意識しました。調査で明らかとなったのは、授業前後の時間のコミュニケーションの持ち方です。オンライン授業では、先生がウェビナーに入室される前の時間はみんなが沈黙したまま、終了後は即退出したりしがちですが、授業前後の雑談や余暇をオンライン授業でも取り入れることが、友だちづくりを左右するのだという提案を行いました。

また、本学部では専門領域を超えて他学科のゼミナール(ゼミ)も履修できるため、国際コミュニケーション学科の末田清子先生のゼミに入りました。現在は、「『夢女子』のアイデンティティ」をテーマに研究をしています。「夢女子」は、まんがやアニメなどのキャラクターに恋愛感情を抱く女性のことで、ゼミにその当事者がいたことから興味を持ちました。多くの「夢女子」は、同好の仲間以外には日頃その嗜好を隠して暮らしています。どのようなときに素の自分を明かすのか、またそのとき内面にどのような変化があるのかを研究することは、他者を尊重し合える社会をつくる上で意義があると思います。先行研究もほとんどないため、卒業論文としてまとめて、学会発表を目標にしています。

末田先生(左)は調査手法の勉強会開催等、とても熱心に指導してくださります

国際政治経済学部創立40周年記念イベントでは司会に抜擢

学部公認の学生団体ジャーナリズム指導室に所属し、2年次には室長を務めました。新聞社で論説委員を務めた講師から直接指導を受けることによって、執筆力を高めることができたと実感しています。学部公認団体の中心となって活動した働きを評価していただき、3年次には国際政治経済学部創立40周年記念イベントの司会にも抜擢されました。
イベントには、国際機関、メディア、海外ビジネスなど、さまざまな分野の第一線で活躍する卒業生をゲストスピーカーとしてお招きし、私はゲストとトークをしながら、ビジネスの最前線で成果を上げてこられた軌跡を紹介する役目でした。事前に取材して、仕事はもちろんプライベートのエピソードも伺っておき、当日はゲストの仕事内容や人柄を十分に伝えられるような展開を心がけました。これまで青学で学んできたことが生かせて、とても楽しい経験だったと同時に、3年次の6月という就職活動にも取り組んでいた時期に、学部の歴史を築いてこられた先輩方のキャリア形成のお話を存分に伺えたことも良い刺激になりました。

国際政治経済学部創立40周年記念イベントでの司会の様子

進路・就職センターの講座が、選考結果に好影響

志望業界は入学前から決まっていたので「早く動いた者勝ち」と、2年次から複数のテレビ局のインターンシップに参加しました。
インターンシップのエントリーシートを書く上では、1年次に参加した進路・就職センター主催の「WEB仕事理解プログラム」で、「日本の会社はポテンシャルを重視する」と教わっていたことが大きく役立ったと思います。多くの日本企業は「どのような成果を挙げたか」よりも「どのような性格や価値観を持つ人間であるか」を重視する傾向にあります。そこで、「ドキュメンタリー制作で全国大会決勝に進んだ」というような「結果」だけでなく、そこにたどり着くまでの「過程」や「思い」を伝えたところ、応募したインターンシップには全て合格できました。

インターンシップの内容は、報道機関によって異なりますが、原稿執筆、カメラ前でのリポート、企画立案のプレゼンテーション、ニュースVTRの制作など、実際の仕事を体験できる内容でした。各社の報道姿勢は、外からのイメージやネットの情報では知ることのできないもので、現場でしかわからないことを知る素晴らしい機会だったと思います。周りの参加者は3年生でしたので、本格的に就職活動が始まる前に「どのような学生がテレビ局の採用試験を受けにくるのか」を知ったことはアドバンテージとなりました。これから就職活動をする方も、志望業界が絞れているのなら、早めに動き出すことをおすすめします。

3年次の12月、採用選考の3日前に学内で開催された「グループディスカッション対策講座」には、予行演習のつもりで臨みました。その時に「たくさん発言することが良いわけではなく、自分の持ち味を発揮することが大切」とお聞きしたことで、選考当日も私自身のムードメーカーとしての持ち味を生かして、メンバーが話しやすい環境をつくるように意識しました。その会社からは内定をいただけて、後から人事の方に選考時の周囲への配慮も評価されていたと伺いました。1年次から、本格的な就職活動の時期まで、進路・就職センターのイベントや丁寧なサポートがとても役に立ち、心から感謝しています。

今振り返ると、全てが順調に進んだわけではありません。3年次の秋頃は、最終選考まで進んだものの不合格となるなど精神的にとてもきつい時期でした。それでも、自分がなぜ報道記者を志したのかを改めて振り返り、「弱い立場の人の声を伝えて社会をより良くしたい」という初心に立ち返ることで、再び前に進むことができました。これは、自分の思いに真摯に向き合うと同時に、誰かのためであれば簡単に諦めずに頑張ることができる、そのことに気が付くことのできた瞬間でもあります。就職活動は思い通りに行くことばかりではなく、絶望する瞬間も訪れます。そんな時は「お世話になった方に恩返しをしたい」「家族を喜ばせたい」「仕事で誰かの役に立ちたい」等、「誰かのため」に頑張ってみてください。

4年次の夏には日本外国特派員協会のインターンシップに参加。Z世代を意識した映像制作やイベント企画に取り組んだ

「より良い社会」を目指して、声なき声を伝えていく

株式会社TBSテレビ(以下、TBS)に内定をいただき、報道記者を希望しています。TBSは、さまざまな問題で苦しむ当事者から話を聞き、声なき声を伝える「当事者主義」を大切にしている報道機関です。私はメディアへの否定的な思いがきっかけで報道記者を目指してきましたが、そのことも受け止めて内定を出してくださりました。その期待に応え、弱い立場の人に寄り添える報道記者になりたいと思っています。
私は「より良い社会」とは、自分と異なる価値観・考え方を持っている人を尊重し、認めることが当たり前となる世界だと捉えています。当事者に寄り添い、その声を伝えることで、目指す社会の実現に貢献していくつもりです。その過程では、青学で学んだインタビュー手法やコミュニケーションの研究も、役立てていきます。

進路・就職センターの充実したイベントと手厚いサポートなど、青学には、夢を叶えるための環境が整っています。内定を得られるまでのきめ細かなサポートが1年次から継続的にある環境はとても貴重です。青学だからこそ、第一志望であったTBSの内定を得られたと言っても過言ではありません。さらに、国際政治経済学部は少人数の授業が多く、どの先生も親身にご指導くださるため、意欲があればあるほど必ず力を付けることができます。学科横断的に学べる環境では、自分の興味に応じて学びの可能性を無限に広げられるでしょう。本学部の扱う領域に少しでも興味があれば、ぜひ進学を考えてみてください。

高木さんの就職活動スケジュール

  1. <1年次>2020年9月

    進路・就職センター「WEB仕事理解プログラム」参加

  2. <2年次>2021年7〜8月

    キー局*、準キー局等のインターンシップに参加

  3. <3年次>2022年7〜9月

    キー局、準キー局等のインターンシップに参加

  4. <3年次>2022年9〜10月

    キー局の早期選考に初参加も最終面接で不合格(最も辛かった時期)

  5. <3年次>2022年11〜12月

    キー局2社の選考が順調に進む。別の局のインターンシップも並行

  6. <3年次>2022年12月

    進路・就職センター「グループディスカッション対策講座」を活用して選考の予行演習に

  7. <3年次>2022年12月

    キー局2社から内々定をいただく

    *テレビ放送のネットワークで中心となる放送局

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2023年度)のものです。

国際政治経済学部 国際政治学科

青山学院大学の国際政治経済学部は、国際社会への貢献をそのミッションとし、国際系学部の草分けとして創設されました。各学科の学びを深めるだけでなく、有機的に3学科の学びを統合することもできます。グローバルレベルの課題への理解を深め、エビデンスにもとづいて議論・討論するスキルを養成します。世界の多様な人々と協働し、新たな価値を創造する実践力を育みます。
国際政治学科では、国際社会を国際政治学の観点からとらえます。2年次以降に選択する「政治外交・安全保障」と「グローバル・ガバナンス」のいずれのコースも、大幅に刷新された新しいカリキュラムの下で、国際政治学の「最新」を広く深く体系的に学びます。学びを通じて身に付けた能力は、近い将来に、国際社会の諸問題の解決のために大いに生かされることになります。

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