幅広い学びから見つけた打ち込める専門分野。成長の実感は未来の自分への期待に
<2023年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
<2024年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
社会情報学部 社会情報学科 4年
OVERTURE
高校時代は打ち込める科目がなく、「勉強があまり好きではなかった」という木下倭さん。しかし、社会情報学部で文理融合の幅広い学びに触れて、情報分野の勉強に楽しさを見出したことが、学会での受賞や学業成績優秀者表彰の最優秀賞という結果につながりました。エンジニアとして社会に役立つものを作り出す将来を描きながら、4年次からは大学院の授業にも挑戦し、意欲旺盛に学びを深めています。
情報分野を学ぶ楽しさに目覚め、学業成績優秀者表彰で最優秀賞を受賞
高校のときは理系を選択していましたが、理系の学部以外にも興味があり進学先に悩んでいたときに、文理融合の学部という選択肢があることを知りました。特に青山学院大学の社会情報学部は「社会」「人間」「情報」の3領域の中から自由に授業を選択できるカリキュラムが魅力的で、文系・理系の枠にとらわれず、両方の視点からのアプローチで社会の問題を解決できるようになりたいと思い、受験を決めました。
社会情報学部では、最初に3つの領域の基礎を必修科目で学ぶため、2年次の終わりに専門領域を決定するまでには自分の興味関心を絞れます。私自身は1、2年次の授業を通して情報系の勉強に面白さを感じるようになりました。2年次後期に履修した「データ構造とアルゴリズム」の授業では、それまでに基礎的な文法を学んでいたプログラミング言語のPythonを用いてコーディングを行う課題があり、実践的な学修が楽しかったことを覚えています。行き詰まってしまったときには、ご担当の居駒幹夫先生に授業時間外にも何回も質問をさせていただき、データ構造とアルゴリズムだけでなく、Pythonに関する理解も深めることができました。
3年次からは「社会・情報コース」を選択し、情報分野の勉強に注力しています。今回、学業成績優秀者表彰最優秀賞をいただけたのも、社会情報学部の幅広い学びの中で自分に合った分野を見つけ、意欲的に学べたのが大きかったと思います。初めて成績を意識したのは2年次に奨励賞を受賞したときで、3年次には優秀賞と一段上がったため、さらに高みを目指そうと決意し、4年次には最優秀賞を受賞することを目標にし、努力してきました。その積み重ねが結果となり、とてもうれしかったです。
“社長”としてプロジェクトを牽引した演習授業
専門科目以外の授業でも、将来につながるいろいろな気づきを得ることができました。特に印象深いのが2年次後期の「プロジェクト演習入門Ⅱ」です。この授業では、社長役の学生が社員役(メンバー)を募集して会社を設立し、与えられた課題の解決策となるプロジェクトを計画、実行するというユニークかつ実践的な内容で、主体的に行動して学びを充実させたいという考えから社長に立候補しました。
私たちは「相模原キャンパスの購買会の売り上げの向上」という課題に取り組みました。お昼時に購買会の客足が増えることに着目し、たくさんのアイデアを出し合った中から、「運任せのランチも、悪くない」というキャッチコピーのもと、ガチャガチャで出たランチメニューを販売する「ガチャラン」を実施することにしました。作業量は膨大だったため、適宜できる人に割り振り、社員役が滞りなく進められるように努めました。授業の一環での少量販売とあって、協力してくださる仕入れ先を探すのに大変苦労しましたが、当日は何が当たるか分からないという目新しい企画に注目が集まり、想定を上回るスピードで「完売」という目標を達成しました。ノリが良く積極的なメンバーに恵まれ、楽しみながらプロジェクトを遂行できました。この経験を通し、協調性やバランス感覚が養われたと思いますし、自分はチーム全体をマネジメントしていく役割にやりがいを感じ、力を発揮できるタイプなのだということに気づけました。今後はグループワークや就職後のプロジェクトなどでも、リーダー役に手を挙げようという気持ちでいます。
上記以外にも「情報産業論」という授業では、IT企業の方による複数回のゲスト講義が設けられており、漠然とIT企業にエンジニアとして就職したいと考えていた私にとって、将来について考える貴重な時間になりました。一言でエンジニアと言っても職種により仕事内容はさまざまであることを知り、目標とするエンジニア像を「幅広い知識とスキルを備え、社会を変えていくシステムエンジニア」と明確にできたことは、勉強の動機づけにもなっています。
学会での評価やユーザーの声を励みにアプリケーション開発に邁進
3年次からは、伊藤一成先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。伊藤ゼミはピクトグラムに着目して情報分野を中心に文理融合の幅広い研究をしており、各々の興味に応じてアプリケーション(アプリ)の開発や、コンテンツの制作ができます。私自身は、伊藤先生が開発されたピクトグラムを活用したプログラミング学習アプリに着想を得て、ピクトグラムの作成を通じてマークアップ言語とスタイルシート言語の記法を習得できるアプリ「ピクタグラミング」の開発に取り組んできました。本アプリを用いることで、高校生をはじめとした学び始めの人が限られた学習時間の中で楽しみながらWebコンテンツを作れるようになることを目指しています。インターネット上で公開しており、誰でも無料でユーザー登録の必要なしに利用していただけます。
正式にゼミへ配属されることが決まった2年次の春休みから研究に着手し、昨年9月に「2023年度 情報処理学会関西支部 支部大会」で試作品を発表して、奨励賞を受賞することができました。時には、「私が研究を続けたところで意味があるのだろうか」という思いにとらわれてしまったこともありましたが、ピクタグラミングの面白さを評価していただいたことで自分の研究にも意義を実感し、「また頑張ろう!」とモチベーションが上がりました。今年の3月には、兵庫県姫路市で開催された「第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2024)」に参加しました。学会に参加することで、自分の研究成果を人に伝えて、外部の方からフィードバックをしていただけます。研究が進展するだけでなく、他の方の発表から学ぶことも多々あるため、今年の9月には韓国で開催される「The 13th International Workshop on Web Services and Social Media (WSSM-2024)」での発表に挑戦するつもりです。
また、このアプリは社会情報学部の2年次生が履修している「ウェブテクノロジー」と1年次生が履修している「情報科学概論」で、これまでに2回実践授業を行いました。実際にピクタグラミングを利用した学生から「楽しかった」という感想をもらい、サービスを作る側の喜びを知る経験ができた一方、知識のない人にとっては理解しにくい点があることも分かりました。それをもとに、アプリを実際に授業で使用していただけるレベルにまで上げるにはどうしたらよいか考え、改良を重ねてきました。今後もユーザーのことを考え、さらに楽しさや使いやすさの向上を図り、学習意欲を喚起できるものにブラッシュアップしていきたいと思います。
関連リンク
【社会情報学部】角颯真さん、木下倭さん(ともに社会情報学部3年、伊藤一成教授研究室所属)が「情報処理学会関西支部 2023年度支部大会」にて受賞 | 青山学院大学(aoyama.ac.jp)
努力を続け、エンジニアとして社会に貢献できる力を付けたい
学部卒業後は本学大学院に進学し、引き続き素養を高めていきたいと考えています。社会情報学研究科には、一定の条件を満たすことで、学部に在籍しながら大学院の科目を履修することができる制度があり、私もその制度を利用しています。ゼミでの研究活動と並行して大学院の授業も履修しているため、忙しく大変でありますが、日々やりがいを感じています。大学院の授業では少人数で先生方との距離が近く、アットホームな雰囲気がありますが、当然今よりも専門知識が必要となるので、内容についていけるよう予習・復習を必ず繰り返しています。さらに、これまで経験が少なかったプレゼンテーションなどの経験も増やすことで学生生活を充実したものにしようと日々頑張っているところです。大学院生は学部生と比較すると留学生の比率が高く、英語の授業では英語レベルの高さに刺激を受けて英語の勉強にも励んでいます。
青山学院大学には多種多様な学部があり、自分に合った進路を見つけることができます。時々、自分が人の手によって作られた便利で優れた物に囲まれて生活していることに気づき、人類が長い歴史の中でこのような文明社会を築いたことに驚きを感じることがあります。今まで生活してこられたのは、周りの人や社会のおかげだと感謝しています。そのため、将来はエンジニアとして社会に役立つ仕事をし、恩返ししていきたいと考えています。力不足を感じて悩むこともありますが、数ヶ月前、数年前と比べると、自分が大きく成長していることを感じられます。このまま努力を続けていれば自分も何かすごいことを成し遂げられるのではないかという希望を持って研鑽を積んでいきたいと思います。
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
社会情報学部
現実の社会には文系・理系の境界はなく、高度情報化社会と呼ばれる現代では、文系・理系の双方に精通していることがアドバンテージとなります。さまざまな社会的課題を解決するため社会情報学部においても“文理融合”の学びを追究しています。文系の「社会科学」「人間科学」と、理系の「情報科学」の各専門領域をつなぎ、各分野の“知”を“融合知”に高めるカリキュラムを整備。新たな価値を創造し、社会へ飛び立てる力を育みます。
文理の垣根をなくした「文理融合」をコンセプトに、社会・情報・人間の複数分野にまたがる学際的な学びを展開。学問領域をつなぐことで生まれる新たな価値観で、一人一人の可能性を広げ、実社会における複雑な問題の解決に貢献できる人材を育てます。