商品開発の“現場”を経験。
「もっと知りたい」という
情熱を行動につなげる

掲載日 2022/12/20
No.203
総合文化政策学部
総合文化政策学科 3年
山口 莉果
東京・私立國學院高等学校出身

OVERTURE

「文化」というキーワードを軸に、社会科学系・自然科学系・人文系など幅広い分野を履修できる総合文化政策学部。自らを「好奇心旺盛で、学びたいことが多すぎる」と表現する山口莉果さんにとって、自分の興味・関心に応じて“広く深く”学べる本学部はうってつけの環境でした。ゼミナール(ゼミ)と「ラボ・アトリエ実習」(ラボ)の両輪で理論と実践を学ぶ独自のカリキュラムを活用し、充実した日々を送る山口さんの学生生活に迫りました。

演習授業で得たコンテンツを生み出す側の視点

ラボ・アトリエ実習(1)(2)」は本学部独自のインターンシップ型演習授業です。14あるラボのうち、私は「クリエイティブ・ラボ」に所属しています。渋谷・原宿・青山地域のクリエイティブ業界で活躍される現役プロデューサーの山本哲先生による指導のもと、クリエイターのプロモーション企画を立案・実行したり、企業と協働して新商品の開発を行うプロジェクトを実践したりしています。何よりも企業の“仕事の現場”に参加し、クリエイティブなコンテンツを生み出す経験によって得られる学びが大きな魅力です。多様なバックグラウンドをもつ先生方や同級生たちの視点と発想力にいつも驚かされ、刺激を受けています。

プロジェクトの内容は、大手菓子メーカーから依頼を受けた「本当に売れる商品(菓子)を開発する」というものです。アイデアを練る過程でぶつかった壁は数えきれません。自分では渾身の力を注いだつもりの提案書も、「企業風土と商品が合わない」「ターゲットやアイデアを絞りすぎ」「実現可能性を追求しすぎて面白味がない」などの課題を突きつけられ、何度も挫折を繰り返すことになりました。そこでプロジェクトチームのメンバーと解決策を模索し、全力で取り組みました。依頼主と学生である自分たちとの視点の差を埋めるべく、売り場に足を運んで最新の人気商品や市場の動向も分析しました。リサーチの過程で既存の商品と差別化するために必要な要素(原材料や見た目など)を考え、あらためて商品像を固めていきました。同時にクリエイティブシンキング※に関する文献を数冊読み、思考法の理論を勉強して、企画背景のロジックを詰め直し、コンセプトからパッケージデザインに至るまで商品の核となるおもしろさを論理構築しました。こうして試行錯誤を重ねた結果、私たちの企画は企業から高評価をいただくことに成功し、現在、商品化に向けて動き出しています。まだまだ現実的な課題を克服する必要があるものの、「やるぞ」と心に火がついたような感覚でワクワクしています。
このプロジェクトで創造することの楽しさと厳しさを知り、コンテンツを生み出す側の視点を得ることができました。困難を乗り越え主体的に取り組んだ一連の経験は、私を大きく成長させてくれました。

※枠組みにとらわれない自由な発想方法。拡散思考、水平思考。

文化と地域の発展を重ねて考える

2年次に履修した「文化基礎演習」では「地域社会から日本文化を考える」というテーマで活動しました。世界で評価されるアニメや漫画などの都市文化は、日本の世界観や自然観とも深い関わりがあります。この演習で古来より日本人の生活文化と地域社会が密接にかかわり合っているということを学んだことをきっかけに、現在の日本の各地域に残っている文化や風習をどのように生かせばより地域の発展に繋がるかマーケティングの観点から学びたいと考え、3年次から「文化演習I」(ゼミ)で地域マーケティングについて学んでいます。
今夏には、これまで深く学んできた地域社会学とマーケティングの知識を実際に活用したいと考え、「大学生観光まちづくりコンテスト2022 焼津ステージ」に挑戦しました。このコンテストは、焼津市における観光まちづくりを通じた地域活性化プランを全国の大学生が競うコンテストです。今回のテーマは『「焼津温泉」を活かした焼津市の「持続可能な観光まちづくり」 』で、ゼミに所属する友人4人とチームを組み、「WANDO YAIZU ~立ち止まって考え、つながり、発見するまち~」というプランをつくって発表を行い、結果として審査員特別賞を受賞することができました。

本学部には日本文化をテーマにした英語授業があります。2年次必修の「英語による日本理解Ⅰ・Ⅱ」で、日本に関するさまざまなトピックを英語で学ぶのは新鮮な感覚で非常におもしろいです。1年次にネイティブ・スピーカーの教員による英語の授業が週6日あり、英語力を徹底的に鍛えられました。その甲斐あって、この授業もスムーズに理解することができています。 日本文化が大きな影響を受けた大陸の文化についても興味があるので、本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目の「美術史A」を履修しました。中国の殷・周時代から唐時代までの、特に墓葬美術と仏教美術に焦点を当て、その造形に込められた意味を読み解く授業です。仏像鑑賞のための基礎知識と、インド由来の外来宗教である仏教がどのように受容されていったのか、中国における仏教美術の造形的・思想的な展開について学びました。美術作品には、作られた当時の思想や人々の願いが色濃く反映されており、歴史的な出来事と密接に影響し合っています。この授業で作品の鑑賞姿勢を学んだことで、美術館ではより多角的な見方ができるようになりました。青山スタンダード科目には専門科目に通じる学びが多々あり、知識に深みが増したと感じます。

学部団体「SPT」の代表を務め、想像以上の成長を実感

課外活動では、SPT(総合文化政策学部学生プロジェクトチーム)の代表を務めています。本学部の広報や学部生への情報発信を行う学部公認学生団体で、オープンキャンパスやゼミ説明会、新入生向け行事などの企画運営を行っています。私が入学したのはちょうどコロナ禍に突入した年で、入学式やイベントは軒並み中止、授業もすべてオンライン。友人もつくりにくい環境でしたが、SPTに入ったおかげで学部内における縦と横のつながりができました。活動する中でフライヤー作成や動画編集などのスキルも身に付きました。数々の貴重な体験をさせてくれたSPTに自分が教わってきたことを還元したいと、代表という貢献度の高い役職に就任し、大人数の組織をまとめる力やリーダーとしての考え方を学びました。代表という立場を経験したことで、1年前には想像もつかなかったほどの成長を実感しています。

総合文化政策学部学生プロジェクトチーム主催のイベントにて

青山という好立地を活かし、貪欲に知見を広げる

コロナ禍での学生生活でしたが、私は可能な範囲で積極的に行動することを心がけました。1年次に履修した「メディア文化概論」の宮澤淳一先生の「大学生活では自分の知らない世界を知るために、たくさん行動していろいろなものにふれてください」という言葉に大いに共感したからです。同じ頃「アート・デザイン概論」で文化芸術に関する講義を受けていたこともあり、絵画展や現代アートのエキシビションによく足を運ぶようになりました。本学のキャンパス周辺には美術館やギャラリーがたくさんあるので、授業と授業の合間を縫って行くこともあります。本学部の学びは教室内のみならず学外に出て実践する機会が多く、自分で実際に行動して得た知見との相乗効果で、知的好奇心が大いに刺激されています。「もっと知りたい」という飽くなき情熱を胸に行動し、日常生活においてもあらゆる物事を学術的視点からとらえられるようになりました。インプットとアウトプットのバランスを上手に取りながら、残りの大学生活も充実したものにしていきたいです。

国立新美術館にて

卒業後は、大学で学んだことを生かせる職業に就きたいと考えています。対面授業が再開されてからは、友人たちと就職活動について話す機会が増えました。将来を真面目に考えている意識の高い仲間が周囲にいると「友達もがんばっているのだから自分も負けずにがんばろう」という気持ちになり、さらなるモチベーションアップにつながっています。

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

総合文化政策学部

青山学院大学の総合文化政策学部では、 “文化の創造(creation)”を理念に、文化力と政策力を総合した学びを探究。芸術・思想・都市・メディアなどの広範な領域を研究対象とし、各現場での“創造体験”とともに知を深めていくチャレンジングな学部です。新たな価値を創出するマネジメント力とプロデュース力、世界への発信力を備えた“創造的世界市民”を育成します。
「文化の創造」を理念に、文化力と政策力を総合した学びを探究します。古典や音楽、映像、芸能、宗教、思想、都市、ポップカルチャーなどあらゆる「創造」の現場が学びの対象です。どうすれば文化や芸術によって社会をより豊かにすることができるのか。創造の可能性を模索し、自身のセンスを磨きながら、アートのトータルプロデューサーとして社会への魅力的な発信方法を探ります。

VIEW DETAIL

バックナンバー

*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

学部選択

分野選択