初学者も確実に身に付くフランス文学科のカリキュラム。留学経験を今後の人生の指針に

掲載日 2024/3/19
No.290
文学部 フランス文学科 3年
加藤 みなみ
神奈川県立鎌倉高等学校出身

OVERTURE

小学生の頃からフランスに興味があり、「大学で本格的にフランス語を学ぼう」と決意して文学部フランス文学科に入学した加藤みなみさん。少人数制授業の中で着実に実力を身に付け、入学時からの目標であった留学も経験しました。学科での学びの楽しさや、留学での自身の変化をお話しいただきました。

フランス語のことを忘れる時間がない環境で力を付ける

2年次の2月から、約1年間のフランスでの協定校留学を終えて帰国したところです。留学先のフランシュ=コンテ大学応用言語学センターでは、外国人を対象としたフランス語の講座を受講しました。大学でゼロからフランス語を学び始めた学生も参加しやすく、単位の認定も受けられて4年で卒業できる協定校留学プログラムがあることは、青学に進学を決めた大きな理由の一つです。また、1年次からフランス語のネイティブ・スピーカー(ネイティブ)の先生によるオーラルの授業があることや、少人数で授業を受けられることも魅力的に感じました。

入学が決まったときは、うれしい気持ちの半面、大学から学び始めた言語を日常的に使えるレベルまで身に付けられるのか、少々不安を感じていました。けれども、実際に勉強を始めてみると、フランス語の「文法」を論理的に指導していただいたり、ネイティブの先生からフランス語の「会話」の指導を受けたり、1年次からフランス語を総合的に偏りなく学べるカリキュラムがあり、安心して着実に学ぶことができました。さらに、短いスパンで小テストがあり、夏期休暇期間にも課題が課されるため、フランス語のことを忘れる暇がありません。努力が必須ですが、子どもの頃からフランスやフランス文化への憧れがあり、「フランス語を使えるようになりたい!」という目標を強く持っていた私は、授業、課題、テスト、すべてに全力で取り組みました。

もっと話せるようになりたい。悔しい思いも学習の原動力に

1年次では文法などフランス語の基礎を学び、2年次からは実践的な授業が増えます。ネイティブの先生から「書く能力」向上のための指導を受けられる「エクスプレシオン・エクリットⅠ」は特に意欲をもって臨んだ授業です。フランス語での作文には自信がありませんでしたが、だからこそ「挑戦したい」「できるようになりたい」という気持ちが強かったです。
作文テーマは、前期には自己紹介や自分の夢などの身近なもの、後期には社会問題に関連するような内容にも取り組み、常に少しずつハードルを上げながら、さまざまなテーマに挑戦しました。時間をかけて毎回丁寧に文章を考えることはハードでしたが、出来上がった後は大きな達成感を味わえました。中には、日本語で書くとしても難しいような内容もあり、こうした課題のときは、教科書、辞書、インターネットの情報など、多くの資料を使った調査も必要です。調べながら文章作成を進めるうちに、自然とボキャブラリーや知識が増えていきました。
「エクスプレシオン・エクリットⅠ・Ⅱ」を担当していただいたド・ランクザン先生には「フランス文化演習Ⅰ(2)Ⅱ(2)」でもお世話になりました。フランスの絵画や映画について、その時代背景や具体的な作品に焦点を当てて分析する内容を、すべてフランス語で受講する手応えのある授業でした。先生は、学生の発言を丁寧に受け止めてくださるので、質問や発言をしやすくリラックスした雰囲気で学べます。そうした環境の中で自然と会話量も増え、丁寧な添削や指導により知識も語学力も上げられたと思います。

以前から訪れたかった世界遺産「モン・サン=ミシェル」にて

私が大好きなフランスの映画のことを伝えると、大いに盛り上がり、その後も「東京でこういうフランス映画が上映されますよ」などとお知らせしてくださる、優しい先生です。もっといろいろなことをお話ししたかったのですが、当時の私の語学力では伝えたいことをきちんと言葉にすることができず悔しい思いをしたので、先生との出会いは「フランス語をさらに話せるようになりたい!」という原動力にもなりました。学内で再会し、留学を通してレベルアップしたフランス語で話すことがとても楽しみです。

渡航直後には落ち込むも、意識を変えて積極的に

フランシュ=コンテ大学応用言語学センターへの留学には、協定校私費留学の制度を利用しました。大学があるのはフランス東部、スイスとの国境に近いブザンソンというのんびりとした雰囲気の都市で、川沿いの公園で何も考えずにただ座っているだけで幸せを感じられるような場所です。世界のさまざまな国々からの学生が集まっていて、ウクライナから避難してきた学生など、多様なバックグラウンドを持つ人たちとともに学べたことは、視野が広がる素晴らしい経験でした。

留学先のクラスメイトと。右手前が加藤さん

しかし、渡仏してから約1か月間は、慣れない自炊や寮生活、そして授業の難しさも重なって、精神的に落ち込んでいました。留学生活初期の頃は、留学スケジュールの都合で既にスタートしていたクラスに途中から参加することになり、特に初日は、自分以外の全員が上手に話しているように感じられたので、「先生が話していることが理解できない」「プリントの内容もわからない」とすっかり自信をなくしていました。
そのような状況でも、「せっかくフランス語を学びに留学しに来たのだから」と決意し、毎日地道に予習・復習を繰り返していくうちに、授業に対する自分の意識も変化しました。以前は、つい周りの目を気にしていましたが「誰がミスしても誰も気にしていない。チャンスは自分で掴むしかないから、恥ずかしがらず発言しよう。」と思い、わからないときには積極的に質問するようにしました。自分の意見を述べる時は、たとえ完璧でなかったとしても、今まで学んできたことに自信をもって、堂々と話すように心がけました。すると、他のクラスメイトに元気な印象を持ってもらえたのか、自然に友だちも増え、3か月くらい経ったころには、勉強もキャンパスライフも楽しめるようになりました。
難しい状況にぶつかると、すぐに何もかも解決できるような特効薬を期待しがちですが、語学学習も文化交流も、コツコツと努力を重ねて少しずつ前進していくしかないと実感しました。

また、休日を利用して、フランス国内や隣国のスイス、ベルギー、イタリアなど、旅行も楽しみました。青学から留学した2人の友人とは、一緒にはじめてのパリ旅行に行くなど、たくさんの思い出があります。留学前はあまり接点がありませんでしたが、留学生活に慣れない時期にお互いに助け合って協力し乗り越えて、仲がグッと深まりました。2人には感謝しています。他国からのクラスメイトでは、特に韓国からの留学生と親しくなりました。家に招待して韓国料理を振る舞ってくれたり、クリスマス・マーケットに誘ってくれたり、素敵な時間を共有できました。

青学の留学仲間と初めてパリへ。左が加藤さん

フランス人のスタイルをヒントに、自分らしく生きていく

留学を通して、語学力が向上したことはもちろんですが、これからの人生で大事にしていきたい価値観が明確になったことも大きな収穫でした。それは「自分らしさを大切にしよう」ということです。これまでも私は「自分らしくありたい」と考えてきましたが、留学を経験して改めてそのように感じました。「空気を読む」文化がある日本と異なり、さまざまな国の人との交流では自分の意見を率直に表現することが大切です。そうして築いた人間関係は、自分にとっても相手にとっても心地良いものであり、異文化に身を置く中で、自分の考え方をアピールするのは重要だと理解しました。現地で日本語を学ぶフランス人と交流したこともありましたが、彼らの多くは、きちんと自分のスタイルを持ち、他の人のスタイルも尊重していて、そんな姿にも影響されました。

また、カフェやレストランでも、フランスの人々が日常的に討論し合う場面をよく見かけました。同年代でデモに参加する学生も多く、これまで政治にほとんど関心がなかったことにも気付かされました。そんな私にとって、自分の意見を持ち、それを発信していくことを大切にする文化が魅力的に映りました。私自身も今後、「自分」のスタイルを持ちたいと思っています。4年次には、現地を肌で感じた経験を生かして、フランスの社会についてもより深く学びたいと考えています。

留学先のクリスマスパーティで韓国、日本の友人と。右から2番目が加藤さん

私もそうだったように、大学で初めて触れるフランス語を学んでいくことに不安な気持ちを持っている方は多くいると思います。青学のフランス文学科では工夫されたカリキュラムや熱心な教員の指導のおかげで初心者でもフランス語が身に付きます。大学からフランス語を学び始めた学生もたくさんいるので、安心してください。私は毎日フランス語と向き合って、努力を積み重ねたことで、着実にレベルアップして実力が身に付いたと実感しています。仮に留学を経験しなくても、努力次第で十分に高い語学力を得ることができます。そして、語学だけでなく、文学、文化など、興味のある分野を掘り下げて学ぶことができるので、フランスの文学や文化に興味のある方、フランス語を習得したい方には、フランス文学科をおすすめします。

夏休みにイタリアを旅行。ローマのコロッセオにて

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2023年度)のものです。

加藤さんの留学スケジュール

  1. <2年次> 2022年 4月

    留学オリエンテーション

  2. <2年次> 2022年 6月

    国際センターに留学出願、フランス文学科の先生方と面接

  3. <2年次> 2022年 7月

    留学内定

  4. <2年次> 2022年 10月〜12月

    各種オリエンテーション、学生ビザ申請、航空券購入

  5. <2年次> 2023年 2月

    渡航、授業開始

  6. <3年次> 2023年 5月

    学期終了、夏休み開始

  7. <3年次> 2023年 6月

    1か月の授業

  8. <3年次> 2023年 7月〜9月中旬

    夏休み再開

  9. <3年次> 2023年 9月中旬

    新学期開始

  10. <3年次> 2023年 12月

    帰国

文学部 フランス文学科

青山学院大学の文学部は、歴史・思想・言葉を基盤とし、国際性豊かな5学科の専門性に立脚した学びを通じて、人間が生み出してきた多種多様な知の営みにふれ、理解を深めることで、幅広い見識と知恵を育みます。この「人文知」体験によって教養、知性、感受性、表現力を磨き、自らの未来を拓く「軸」を形成します。フランス語はヨーロッパ文明を築いた美しく理性的な言語です。フランス文学科では、初学者にも既習者にも配慮した学習環境を整えています。1・2年次の集中的なカリキュラムでフランス語の基礎力をしっかりと身に付け、その後に多彩な演習と特別講義で知識を深めます。専門分野は「文学」「語学」「文化」から選択。実践的なフランス語能力の習得と、国際社会で活躍できる優れた人材の育成を目指します。

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