好きとワクワクが行動の原動力。外資系ITコンサルとして世界と渡り合いたい
文学部 英米文学科 4年
OVERTURE
クライミング選手として活躍する菅原さんは、自分に合った効率的な学習方法で競技と学業を両立し、興味を持った英語や言語学の学びに取り組みました。自分の内から湧き上がる「ワクワク」に従ってやりたいことを見つけ、ITコンサルティング企業に内定。将来は世界をまたにかけて生きていきたいと意欲を燃やしています。
クライミング競技と言語の研究を両立
私は小学生の頃にクライミングを始め、選手としてユース日本選手権やワールドカップにも出場してきました。学生時代は、本を読むのが大好きで、授業の合間の5分間も見逃さずに読書をしていました。文学や言語にも興味があり、競技と学業を両立できる環境が整っていると感じたので、青山学院大学文学部に指定校推薦で入学しました。青学を選んだ理由の一つに、同じクライミングの選手として活躍する中村真緒さんが在籍していたこともあります。
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高校時代から言語へのこだわりが強く「自分の心情をより適切な言葉で伝えたい、そのためには日本語だけでは足りないのではないか」という思いを持っていました。英語を専門的に学びたいと思ったのは「英語をマスターすることで、自分を表現できる幅が広がり世界がより豊かになるのではないか」とワクワクしたからです。英米文学科の学びの中でも、特に興味を持って取り組んでいるのが、生成文法理論についての研究です。生成文法理論とは「全ての人間は同じ言語獲得プログラムを持つ」「全ての言語は根幹で同じ構造を持つ」という2つの理念からなる理論です。例えば、子供は世界中のどの言語でも母語として獲得することができるという事実は、よく考えてみるととても不思議で面白いことだと思いませんか? 私たちが普段当たり前に使っている言語は、その仕組みの裏側にいろいろな秘密を持っています。そこにロマンを感じて、この理論について学ぶことができる髙橋将一先生のゼミナールに所属し、現在は英語の主語と動詞の数の一致で見られる構造の違いをテーマに卒業論文を執筆しているところです。
自分にフィットする方法で学びを効率化
大学の勉強では、特に効率性を重視してきました。効率性と言っても、私の場合、いわゆる“タイパ(タイムパフォーマンス)”を求めるのではなく、自分が一番知識を吸収しやすい方法を選択することで、学びを効率化しました。そのきっかけになったのが、2年次に受講した「Integrated English Ⅲ」です。
この授業では、1週間の英語学習量を先生に報告したり、講義で発声練習を思わせるスピーキングの練習があったり、高いレベルの学修を求められました。それに付いていくために、電車移動中にポッドキャストや洋楽を聴いたり、動画配信サイトを見て「隙間時間に英語に触れる」環境をつくりました。そうすることで、「机に向かって問題集を解く以外の方法でも、自分に合う方法で効率良く英語を学べるんだ」と実感することができました。この学修方法は、無駄がなく、モチベーションを高く保ちながら勉強できるという点でも効果的な学習方法だったと思います。英語以外の授業でも、教科書の他に自分が読みやすい関連書籍を探して理解を深めるなど、自分に合った学習方法を探して効率的に勉強し、学業とクライミングの両立を図ることができました。
また、クライミングでも勉強でも、ゴールから逆算して必要な取り組みを細かく分けて計画・実行する“逆算力”が、結果を残すための重要な要素であったと感じています。私は物事を要素に分解して深く考えていくことが好きで、試験や大会に向けてやるべきことを細分化して手帳に書くことが昔からの習慣になっています。この分解して考える力や逆算力は、就職活動でも自分の強みとしてアピールしていました。
留学を経て「やりたいこと」が明確になった
2年次の1月に行われたクライミングの大会で、思うような結果を残せず、「選手生活に区切りを付けて新しい挑戦をしたい」「自分を変えたい」と思ったのがきっかけで、3年次後期にアメリカの大学に認定校留学しました。就職活動のタイミングと重なる時期の留学には不安も多かったですが、進路・就職センターに相談し、「留学するとしても、年内に帰国すれば就活には間に合う」とアドバイスをもらったことで、安心して渡航することができました。
留学中、さまざまな出会いを通して価値観が大きく変わり、特に自分を前面に出してアグレッシブに挑戦する意欲が強くなりました。アメリカ留学中の日本人学生などを対象にした就活イベントである「ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)」に参加したのも「やりたいことは全部やってみよう!」という気持ちがあったからです。そのときは、留学前から関心があったコンサルタント業を中心にエントリーし、2社から内定をいただきました。
しかし、留学を経て将来への希望が変化し「グローバルに活躍して、世界と渡り合って成果を日本に還元したい」と考えるようになっていたことから、「ボスキャリでは、自分のやりたいことが十分に掘り下げられていなかったのではないか?」という思いに駆られ、帰国後にもう一度就活をやり直すことを決意しました。今度はコンサル・商社・海運の3つに志望業界を変え、3年次の2月に再び就活をスタートさせました。この2度目の就活で内定をいただいたのが、日本アイ・ビー・エム株式会社です。
日本アイ・ビー・エムはコンサルタント業界では第一希望だったこともあり、OB・OG訪問を他の企業より多く計4回行いました。男女2人ずつにお会いしたのですが、毎回いろいろな角度から質問して、実際の業務内容をきちんと理解し、その中で自分がどのように会社へ貢献できるか考えようと意識していました。詳しくお話を伺う中で見えてきたことは、会社に対する思いの強さでした。日本アイ・ビー・エムは、AIや先端技術に強みを持ちながら、クライアントはもちろん社員も尊重する姿勢から、「人に対するリスペクトがある企業」だと感じています。私はこれまで、クライミングのコミュニティという一つの大きな箱の中で、多様なバックグラウンドを持つ人と関わることがとても面白い・楽しいと感じてきましたし、そこで出会う人たちに対して常にリスペクトを持ち、接してきました。そうした自分の在り方と会社の姿勢に重なるものを感じ、面接では自分の価値観と会社の価値観がいかにマッチしているかをさまざまな角度からアピールしました。
自分が心引かれることに全力投球してほしい
大学卒業後は「世界をまたにかけて生きる」ことを目指しています。クライミングのワールドカップ出場や留学を経験して「日本だけでなく、世界で通用する人間になりたい」との思いが強まりました。私はもともと競争が好きな性格でもあるので、人生を通して世界の人たちと堂々と競い合い、国境を越えて働き続けたいと考えています。そのため、大学では「チャットルーム」を積極的に活用したり、他学部の授業を意欲的に受講し、必要なスキルを身に付けることに力を入れました。就職してからも、外国語の勉強や海外経験を積み重ねていくつもりです。
これまでを振り返ると、私の行動の原動力はいつも「好き」という気持ちと「ワクワクする」心でした。自分の内側から生まれるモチベーションを大切にして生きてきたように思います。留学中も、現地のクライミングジムで友達を作ったり、ルームメイトの家に遊びに行ったりと、生活を楽しむことはもちろん、授業の日はほとんど勉強に時間を費やし、結果としてTOEIC®のスコアを350点も上げることができました。クライミングを始めたのも、生成文法理論を研究しているのも、「好きだから」「ワクワクするから」という理由です。これから始まるコンサルタントの仕事も、お客様が持つ課題を細かく分析し、解決策を考えていくという業務内容に「ワクワク」を感じており、だからこそやりたいし、会社にも貢献できると考えています。大学生活や就職活動について、後輩の皆さんに私からアドバイスできることがあるとしたら、「自分が一番心を引かれることに全力投球してください」ということです。自分の内側からやりたいと思えることに全力で向き合った経験こそが、あなたの核になり、将来の進路選択や就職に役立つはずです。
※科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
菅原さんの就職活動スケジュール
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<2年次> 2023年 3月
就職活動期間と重なる留学に不安を抱え、進路・就職センターに相談
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<3年次> 2023年 4~7月
進路相談・業界研究・自己分析 など
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<3年次> 2023年 11月
「ボストンキャリアフォーラム」に参加し、2社から内々定をいただく
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<3年次> 2024年 2~3月
業界研究を仕切り直し、進路・就職センターで模擬面接
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<4年次> 2024年 4月
第一志望である日本アイ・ビー・エムから内々定をいただき、就職活動終了
文学部 英米文学科
青山学院大学の文学部は、歴史・思想・言葉を基盤とし、国際性豊かな5学科の専門性に立脚した学びを通じて、人間が生み出してきた多種多様な知の営みにふれ、理解を深めることで、幅広い見識と知恵を育みます。この「人文知」体験によって教養、知性、感受性、表現力を磨き、自らの未来を拓く「軸」を形成します。
高い水準と幅広い教育内容を誇る「英語の青山」の伝統を体現する英米文学科では、「イギリス文学・文化」「アメリカ文学・文化」「グローバル文学・文化」「英語学」「コミュニケーション」「英語教育学」の6コースが開講されています。3年次のコース選択に向けて1・2年次では専門基礎科目を偏りなく学び、英語力を磨きます。卒業生は語学力と豊富な知識を生かし、多方面で高い評価を受けています。