青山スタンダード
社会貢献を現場と教室で学ぶ
「サービス・ラーニング科目」

大宮教授からの
Message

社会情報学部 教授 大学宗教主任
シビックエンゲージメントセンター 副センター長
大宮 謙

青山スタンダード科目である「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」は教室での学習とあわせ、ボランティアなどのサービス活動を実際に経験する体験型の授業です。ゲストスピーカーも交えて進める事前学習と、受講者全員が各自の活動についてプレゼンテーションを行う事後の振り返りによって、サービス活動の体験をさらに深い知見として定着させ、本学が育成目標として掲げる「サーバント・リーダーシップ」*の体得を促していきます。

* 組織全体の最善を目指すリーダーシップ。指導するための具体的な技術よりも、リーダーの人格を強調するもので、部下が上司に仕えるのではなく、上司が組織の使命や目標(ヴィジョン)に向けて部下を支え、信頼関係と共通目標を共有し、一人一人の貢献と主体性と創造力を十分に発揮させる。

Q.授業として学ぶ「サービス・ラーニング」の意義とは何ですか?

サービス・ラーニングとは、サービス(社会貢献)活動に、市民として(「自分ごと」として)、組織的継続的に取り組むために必要なことを考え、見いだし、体得していく学びです。本学の「サービス・ラーニング」の授業は、ボランティア・NPO活動とソーシャル・ビジネスに対する「事前学習」、「実際の活動」、「事後の振り返り」という3つの過程に大別できます。事前学習から「サービスをするとはどのようなことか」をしっかりと考え、「コミュニティのニーズ」の解決を目指すサービス活動に実際に関わり、事後には自身が体験した活動について他の学生にプレゼンテーションをして振り返る、カリキュラム化された学習法です。特に振り返りでは、学生同士で情報共有や意見交換をすることで自身の活動を客観的に見つめ直し、また他の学生が得た体験や知識も吸収するので、今後のサービス活動に生かすことはもちろん、学生が関心をもつ他の領域につなげることも期待できます。こうしたプロセスを通して単にサービス活動を経験するのではなく、自覚的に取り組む意識を育み発展させるという点が通常のボランティア活動などとは異なる、授業としてのサービス・ラーニングの大きな特長であり、意義だと捉えています。

Q.「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」の概要や活動先などについて教えてください。

私が担当している「サービス・ラーニングⅠ」では NPO とボランティア団体、「サービス・ラーニングⅡ」ではソーシャル・ビジネスを扱っています。「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」ともに受講者数は20名という少数の定員できめ細かな指導を心がけ、それぞれ受け入れ先から1人ずつ、合計3人のゲストスピーカーを招いて事前学習を進めます。

前年度の例になりますが、ゲストスピーカーとして「サービス・ラーニングⅠ」では社会福祉法人 渋谷区社会福祉協議会「こどもテーブル事業」の担当者、フードバンク活動団体「セカンドハーベスト・ジャパン」のスタッフ、アジア・アフリカの人々に農業指導者研修を行う「学校法人アジア学院」の職員をお呼びしました。「サービス・ラーニングⅡ」では国際交流シェアハウスを運営する「ボーダレスハウス」代表、腸活ミニ野菜を販売する「みらい畑株式会社」代表(ともに株式会社ボーダレス・ジャパンのグループ企業)、障がい者などの就労支援を行う「株式会社ゼネラルパートナーズ」広報責任者に来ていただきました。

ソーシャル・ビジネスは、もともと関心や熱意のある個人が立ち上げ、賛同者を募って行くケースが多いように思いますが、以前ゲストスピーカーとしてお招きしたソーシャル・ビジネスに携わる方の中には、民間企業のグループ会社での取り組みを紹介されるケースもありました。組織の中で担当者となった方が、やはり相当な熱意で事業に取り組んでおられる姿は印象深く、学生たちにもソーシャル・ビジネスの取り組み方の多様性を示す好例として紹介できたのではないかと思います。

Q.今後の展望や学生に求めることを教えてください。

2010年度に「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」が青山スタンダード科目として開設されてから12年を経た今年度、グローバル社会課題への取組実践をテーマに、現地での活動を通して、身をもってサービスとは何かということを考え学ぶ10日間程度の海外実習(サービス・ラーニング・ツアー)を行う「サービス・ラーニングⅢ」(河見誠先生担当)を新設しました。またボランティアセンターをシビックエンゲージメントセンターに改組し、それを機に、社会的課題に向けたアプローチの多様性を学び、既存の概念にとらわれずに社会との接点や問題解決への行動の糸口を見出すことを狙いとした科目「ボランティア・市民協働論」を新設しました。このように、本学のサービス・ラーニングを取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。将来的には同センターがさらに大きな役割を担う組織となり、キャンパスや地域をはじめ、全国ひいては世界から「困った時に頼れる青山学院」を目指したいと考えています。
社会課題の解決は簡単に正解が見つかるわけではないので、間違いを恐れず自由に意見を言えるような雰囲気づくりを心がけています。授業において、はじめのうちは学生たちの意識に温度差もありますが、総じて真面目に取り組んでおり、ゲストスピーカーや優れたプレゼンテーションに触れることで多くの刺激を受けているようです。私自身、10年以上関わってきた今でも常に新たな発見があり、毎回新鮮な気持ちで臨んでいます。
サーバント・リーダーシップを発揮するには卓越したスキル、知識、実績、人柄など多様な要素を備えていなければならず、何より周囲の人々が思わずついていきたくなる熱量が大切です。社会課題を解決しようと取り組む当事者の熱量を感じ取り、学生たちが自らの関心領域に応用してほしいと考えています。

学生の
Message

文学部 英米文学科 4年
東京都立国分寺高等学校出身
古屋 美穂
うつ症状のある方の就業サポート事業「アスタネ」で活動を体験

子どもの頃からボランティアに興味があり、大学入学後はシビックエンゲージメントセンターの前身のボランティアセンターなどを通して国内外で複数の活動に取り組み、さまざまな方に出会う中で「自分の当たり前は他者の当たり前ではない」という気付きを得ました。その後、大宮先生の「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」の授業を履修して自分の活動を振り返ることの大切さを知り、サービス活動に対する意識をさらに高められたと感じています。「サービス・ラーニングⅡ」では株式会社ゼネラルパートナーズが運営する事業「アスタネ」で、主にうつ症状のある精神障がい者の方々としいたけ栽培を体験し、農福連携※という分野に強い関心を抱きました。大学入学以前はNPO や国連団体などで働くことを考えていましたが、現在はこの「サービス・ラーニングⅡ」で知ったソーシャル・ビジネスに携わりたいという思いで就職活動に取り組み、大宮先生からアドバイスもいただきました。

※障がい者の方等が農業分野で活躍することを通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組み。

ゼミナール(ゼミ)は、西本あづさ先生のもとでアフリカ系アメリカ人女性の文学を読み、アフリカ系の人々の経験を通して米国の奴隷制度や人種問題、ジェンダー問題といった現実を知りつつ、その知識を現代のグローバル社会でどのように生かせるかを考えています。また心理学科の「障害者・障害児心理学」の授業では、そもそも障がいとは何かという問いについて考え、障がい者は決して特別な存在ではなく、誰もがなり得ることを学び、他人事ではないと意識するようになりました。日頃からどんな人でも生き生きと過ごせる世界になってほしいと願っている私にとって「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」、ゼミ、「障害者・障害児心理学」の授業は、多様性を理解するという意味において深くつながる、一連の学びとなっています。
ボランティア活動や社会への貢献に関心のある方には、「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」の授業を迷わず履修してほしいと思います。実際の活動に関して不安を持つこともあるかもしれませんが、大宮先生が選んでくださった受け入れ先はどこも気持ちよく私たちを受け入れてくださいました。それまで知らなかった社会的課題、多様なものの見方や価値観などに触れ、視野を広げる第一歩として取りかかりやすく、この先、社会人として生きていくうえで知っておいて良かったと感じることをたくさん学べました。関心のある方には「サービス・ラーニングⅠ・Ⅱ」の履修をおすすめします。

サービス・ラーニング科目

サービス・ラーニング科目は、青山スタンダードの科目として開講されています。大学での学びと社会貢献とを結び付けながら、NPO・NGOや地域の市民活動団体、多様な人々と関わり、主体的な活動と学びに発展させていきます。
授業では、子どもたちの学びの支援、身近な地域のまちづくり、食を通した多世代交流、防災、様々なルーツを持つ人たちとの公正な社会づくり、ビジネスからの社会課題解決などについて理解を深め、各フィールドへの活動参加から、リーダーシップや社会性を高める実践を行います。

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