青学で広げた視野と
深めた知識を携え
ボルダリングで世界へ

掲載日 2021/7/8
No.85
<2020年度 体育会表彰>
総合文化政策学部 総合文化政策学科4年
中村 真緒
体育会山岳部
東京・私立日出高等学校(現・目黒日本大学高等学校)出身

OVERTURE

大学での学びは、キャンパスでの授業だけにとどまりません。部活動やサークル活動、ボランティアなどの課外活動で自己研鑽を積み、社会に出て羽ばたくための翼となる知見を得た学生を紹介します。ボルダリング選手として世界を舞台にトップアスリートたちと競い合う中村さんは、昨年、国内最高峰の大会で優勝を果たし、2024年開催のパリオリンピックの強化選手にも選出され、これからの活躍にますます期待がかかります。

目標はワールドカップの表彰台

私はスポーツクライミング※の選手としてボルダリングを中心に、ワールドカップをはじめ国内外の試合に数多く出場しています。昨年は「Top of the Top2020(2020年スポーツクライミング日本代表頂上決戦)」のボルダリング競技で優勝することができました。日本の女子選手は非常にレベルが高いので大変嬉しく、いまだに信じられない気持ちもあります。また「第3回コンバインドジャパンカップ※」では7位に入賞し、その結果により2024年開催のパリオリンピック強化選手にも選ばれました。
昔から体を動かすのが好きでバレエ、水泳、テニスなどを習ってきたものの、どれも長続きしませんでしたが、小学6年生で始めたボルダリングだけは飽きずに続け、もう10年になります。

第74回国民体育大会リード種目予選の様子(2019年)

ボルダリングはテニスのような対人競技とは違い、相手に左右されることは少なく、自分の実力に全てがかかっているといっても過言ではありません。もちろん試合なので他の選手と成績を競うことになりますが、競技をしている最中に向き合うのはあくまでも目の前にある壁だけです。本番で初めて見る課題(ルート)は毎回異なり、それをクリアできるかどうかがこの競技の特徴であり、面白さでもあります。そういった点が自分にあっていたからこそ、こんなにも夢中になって打ち込めているのかもしれません。ボルダリングをするうえで最も大切にしているのは、“今の自分が一番強い”状態であることです。今まさにピークを迎えている必要はありませんが、これからどんどん強くなり、常に自己最高を更新していこうという意欲を持つよう心がけています。現在はワールドカップの表彰台にのぼることを目標にして、日々の練習に励んでいます。

ボルダリングジャパンカップ決勝課題を登っている様子(2021年)

※スポーツクライミング:高さ4mの壁を制限時間内にいくつ登れるかを競う「ボルダリング」、同じ条件で設置された高さ15mの壁を2人の選手が同時に登り速さを競う「スピード」、制限時間内に高さ15m以上の壁のどの地点まで登れるかを競う「リード」の3種目からなる。これら3種目を複合した結果で成績を決めるのが「コンバインド」。

視野を広げるために選んだ総合文化政策学部

青学は父が高等部の出身ということもあり、幼い頃からずっとなじみを覚えながら、自由な雰囲気や校風に憧れていました。実際に入学してイメージどおりだと感じましたし、先生方も学生たちも親しみやすい人が多く、楽しく充実したキャンパスライフを送っています。高校1年生で初めて本格的な競技会に参加してからというもの、ずっとボルダリング中心の生活を続けてきたので、他のことに目を向ける機会があまりありませんでした。そこで視野を広げるために、さまざまな分野の知識を幅広く身に付けようと考え、総合文化政策学部を選びました。青学の学生は総じて向上心が高く、周囲から刺激を受けたおかげで、学びへの意欲は高校時代より格段に増したと実感しています。履修してきた授業は「アートセラピー論」、「地域文化論」、「広告文化論」など多岐にわたり、どれもたいへん興味深い内容でした。

妖怪について学べる授業まであるのにはびっくりしましたが、面白そうなので受講してみたところ本当に楽しく、「日本文化の歴史」では妖怪を含む日本の地域社会の構造などについて学ぶことができました。

競技生活でも生かされている授業として挙げられるのは「イングリッシュ・コミュニケーション」です。1年のうち合計3ヶ月くらいは試合で海外に滞在しているので、やはり英語力は欠かせません。「イングリッシュ・コミュニケーション」は、先生がネイティブ・スピーカーで日本語がほとんど通じないため、英語で話さざるを得ず、実践的な訓練ができました。他には青山スタンダード科目で、佐野智子先生の「自己理解」など、心理学に関係する授業で得られた知識も役立っています。。ボルダリングは体力やテクニックはもちろんのこと、思考力や集中力も求められる、メンタルが極めて重要な競技です。焦りや緊張をコントロールしなければならない局面はどんな競技でも、あるいは日常生活でも起こり得ますが、そんな時にどうすれば良いか考える手がかりを、心理学の知識は与えてくれると感じました。

大学での学びを活かして目指すボルダリングの普及

2年次からメディアについて学び、現在は宮澤淳一先生のゼミナール(ゼミ)で主に文章や映像による情報の伝達を勉強しています。メディアについて学ぼうと考えた根底には、スポーツクライミングを世間に広めたいという思いがありました。オリンピック競技に選ばれたとはいえ、スポーツクライミングの認知度は決して高くないのが現状です。この競技の裾野を広げて世の中に浸透させられるよう、私も大学やゼミでの学びを有効に活用して普及に貢献したいと考えています。
来年、入社する予定の企業では、業務の一環として就業中にクライミングをする時間もとれることになっています。これは先方からお声かけをいただき実現したことですが、日本オリンピック委員会(JOC) がアスリートと企業を結ぶ目的で運営している「アスナビ」というサービスにも登録し、就職先を探していました。

現在では、さまざまな競技の選手に対する受け皿がさまざまなところに用意されています。大学を卒業するくらいの年齢で選手としてピークを過ぎてしまう競技は、かなり少ないのではないでしょうか。まだまだ活躍できる選手が卒業とともに引退しなければならない状況は、私にはもったいなく感じられます。スポーツで活躍したいみなさんには、私のような進路もあることを知っていただいたうえで、自分が本当に望む道に進んでもらうことを願っています。

在籍している学部

総合文化政策学部

青山学院大学の総合文化政策学部の使命は、21世紀の街や暮らしをもっともっと生き生きとさせるために、新しい文化創造の可能性を見抜き、それを援助できるセンスを磨き、文化産業、地域や都市のデザイン、国際的な文化交流などを担う文化やアートのトータルプロデューサーを育てることにあります。
文化やアートを単に知識として身に付けるのではなく、その“創造”の現場に深く関わり、繰り広げられる喜びや楽しさ、葛藤や厳しさをも体感しながら、アートをプロデュースしマネジメントする知恵や身体知、技能を学び取ることのできる、これまでの大学教育にはないチャレンジングな学部です。

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