コミュニティとエンパワーメントを学んだ経験で、農業を支える新たな道へ
コミュニティ人間科学科 4年
OVERTURE
「スポーツがどのように人々をエンパワーメントするのか」に興味を持ちコミュニティ人間科学部に進学した清水想太郞さん。授業やゼミナールを通じて部活動や地域活動について深く学び、その経験を生かして卒業後は東京都農業協同組合中央会(JA東京中央会)に就職し社会へ貢献していきます。就職活動では、学内のサポートを活用して、自分に合った未来を見つけ出しました。
コミュニティや人の活動について
スポーツの側面から学ぶ
高校時代までハンドボール部で活動していた経験から、大学ではスポーツについて学びたいと考えていました。一般的なスポーツ関連の学部では、主にプレーのパフォーマンス向上や身体機能の研究が行われますが、私はスポーツが人々をどのようにエンパワーメントを与えるのか興味がありました。青山学院大学のコミュニティ人間科学部では、コミュニティづくりの基礎を学びながら、スポーツを通して地域や組織の人々にどのように活力を与えられるのか、人に焦点を当てた学びができることを知り、進学を決めました。
大学進学後も、母校の中学校と高校のハンドボール部で活動支援や指導に関わり、スポーツによるエンパワーメントの中でも特に部活動に強い関心を持っています。そのため、3年次の「地域社会調査実習Ⅰ」では、東京都内の中学校2校にご協力いただき、「運動部の活動でどのような要素が満足度につながるのか」を調査するアンケートとインタビューに、特に力を入れて取り組みました。質問項目の作成が曖昧になってしまった反省点はありますが、部活動内での人間関係の重要性を理解できたため、成果には満足しています。
また、コミュニティ人間科学部では、全国約30カ所の実習先で地域活動を経験する「地域実習」があります。私は、鳥取市のまちづくりを学ぶプログラムに参加し、観光地の視察や子どものための文化センターで、イベント支援、商店街の方々へのインタビューなどを行いました。事前学習のとき、スポーツに興味があることを伝えたところ、行政によるスポーツを通したまちづくりについて、市役所の担当者からお話を伺う機会をいただけました。事前に決められたプログラムだけでなく、学生の興味に応じた学びが実現できる環境はありがたく、やる気もさらに高まりました。
他者の意見で視野を広げるゼミで、
部活動の指導者について調査・研究
現在、田原陽介先生のゼミナール(ゼミ)に所属し、「地域とスポーツ」を軸にしたスポーツマネジメントを専門的に学んでいます。海外の事例を含む論文や資料を通して知識を深めたり、学生が主体となって研究テーマを選び調査を行ったり、多彩な学び方ができるゼミです。自分の考えを発表する機会が多く、思考力が養われるだけでなく、他の学生とのディスカッションを通じて視野も広がりました。また、意見の異なる学生とも積極的に対話することで、より客観的な視点を持つように心がけています。田原先生は、熱心に指導してくださる一方で気さくな一面もあり、皆でフットサルなどスポーツを楽しむことも多く、ゼミは勉学だけでなく他の時間も充実しています。
また、田原先生の「地域スポーツマネジメント論」の授業で、学校教員の負担を軽減するために、部活動の指導が地域の人々に移行しつつある現状や、地方での子どもの数の減少により部活動の維持が難しくなっている問題を知りました。部活動の意義に焦点を当てた授業を通じて多くことを学んだので、この学びと気持ちを忘れずに、母校での部活動指導に生かし、地域の人々やOB・OGと協力しながら、学校外の人々が部活動を支えやすい環境をつくっていきたいと考えています。
卒業論文では、子どもがスポーツに参加する主要な場である部活動とクラブチームについて、指導者の考え方や行動がチーム運営や競技成績にどのような影響を与えるのかを研究する予定です。人間性も育む部活動の教育的意義やスポーツの役割についても、さらに深く考察していきたいと思います。
進路・就職センターによるタイムリーで
柔軟なサポートに助けられる
3年次の春から就職活動を始めましたが、最初はどのように進めればよいか全く分かりませんでした。そこで、まず進路・就職センターが開催する「進路・就職ガイダンス」に参加し、就職活動の流れを理解することから始めました。その後、自己分析や企業分析を進め、小さなことでも疑問が浮かんだら、個別面談を予約してアドバイスをいただきました。個別面談はオンラインでも受けられるため、移動時間やエントリーシート提出前、面接試験の前などにピンポイントでアドバイスをいただくことができました。必要なときに必要な情報を柔軟に得られるシステムに何度も助けられ、進路・就職センターの一貫したサポートのおかげで、無理なく就職活動を進めることができたと感じています。
自己分析をもとに、「食品」「コンサルティング」「金融」の3業界を中心にインターンシップ(インターン)や企業説明会に参加しました。食品業界に興味を持ち始めたのは、日頃の筋力トレーニングやフィットネスジムでのトレーナーのアルバイトを通じて、食べ物の重要性を痛感したからです。コンサルティング業界は、人と深く関わりながら自分なりの提案ができる点に魅力を感じました。金融業界は、在学中にファイナンシャル・プランナー2級の資格を取得し、お金に関する知識の重要性を実感していたことから、やりがいを見いだせるのではないかと考えました。その後、企業説明会やインターンを通じて自分の興味関心や適性を見極めた結果、最終的に金融業界に絞ることにしました。
自分の「軸」を大切に、面接も
「自分を知る材料」にし、適した仕事を見つける
就職活動で私が最も難しいと感じたのは、「自分が『できること』は何か?」を見つけることでした。「やりたいこと」は簡単に思い浮かびますが、自らの得意なことを仕事や企業と結び付けるには時間がかかりました。そこには近道がなく、企業や仕事についての情報を集める「インプット」と、面接や面談で自分の考えを伝える「アウトプット」を繰り返すことで、少しずつ地道に考えを深めていく必要がありました。
例えば、面接でうまくアピールができなかった場合でも、別の視点から考えると、自分の本質とずれていたり、理解が不足していたりすることが原因だと気が付くことがあります。面接でのアウトプットを「自分について理解を進める材料」として捉え、ネガティブな気持ちを引きずらずに、常に前進することを意識しました。
卒業後は、東京都の農業を発展させ、地域の食の安全・安心を提供することを目的とした組織である東京都農業協同組合中央会(JA東京中央会)に就職する予定です。3年次の夏にインターンに参加して以来、職員の方々と継続的に関わりを持つなかで、自分が長く働いていくイメージが持てたこと、そして食と農業を支えることで将来にわたって社会に貢献できると考えたことが、この選択の理由です。
農業は私たちの生活に欠かせないものですが、特に東京の都心部では農地が少なく、農業と触れ合う機会が少ないのが現状です。私は、農業経営の活性化に加えて、誰もが農業についての知識や持ち、親しみを感じられる社会を東京からつくっていきたいと考えました。また、JAは長年にわたり、農家のコミュニティとして邁進している組織です。これまで学んだコミュニティづくりや人とのつながり、そしてスポーツを通じたエンパワーメントについての経験を、積極的に生かしていきたいと思っています。
就職活動を振り返ると、自分にとって譲れない「軸」を持つことが最も重要だと感じます。私は「その企業で自分が『できること』を生かして働くイメージが持てるか」を軸としました。人によっては「給与が高いこと」や「ワークライフバランスが保てること」など、さまざまな軸があると思いますが、いずれにしてもその軸がはっきりしなければ、応募する企業を選ぶことも難しくなります。これから就職活動に臨む人は、自分にとって何が大切かをしっかり考えてみてほしいと思います。
また、小さな縁や人との関わりを大切にし、自分のペースを守ることも大切だと思っています。私とJA東京中央会との最初のご縁は、インターン当日に台風の影響で参加ができなくなり、電話で連絡した際、丁寧な対応と別日程の提案をいただいたことがきっかけでした。「一人の学生にそこまで向き合ってくださるのか!」と感動し、その後も職員の方々との関りが続きました。就職活動中は、周囲と比べて一喜一憂することもあると思いますが、自分の軸を大切にし、焦らずにペースを保ちながら、より良い未来への道を切り開いてください。
清水さんの就職活動スケジュール
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<3年次> 2023年 4月〜
進路・就職センター主催の進路就職ガイダンス、オリエンテーションに参加
疑問点が出てきたら個別相談を受ける -
<3年次> 2023年 8月
複数企業のインターンシップに参加
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<3年次> 2023年 12月
複数企業の冬のインターンシップに参加
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<3年次> 2024年 3月
企業説明会に参加、エントリーシートを提出
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<4年次> 2024年 5月
金融業界を中心に複数企業の採用面接を受ける
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<4年次> 2024年 6月
複数の金融関連企業から内々定をいただく
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学部では、日本国内の地域に着目した社会貢献を追究し、地域文化とそこに暮らす人々の理解を深め、より良いコミュニティ創造に寄与する力を培います。幅広い知識の学び、体験し行動するプログラムを通じて、自ら課題を発見・解決し、地域の人々との互助・共助のもとにコミュニティの未来を拓く力を育成します。
日本の地域社会は、高齢化や過疎化などさまざまな課題に直面しています。その解決に力を発揮するには、地域の人々に接し、活動の実際を知り、共感する体験が重要です。コミュニティ人間科学科では、地域の人々や行政についての学びをはじめ、市町村やNPOと連携した体験的実習などを展開。専門的知識や技術をもつ職業人として、地域の活性化や持続的な活動支援ができる人材を育てます。