目的をモチベーションの源
泉にグローバルビジネスで
通用する力を身に付けた
アメリカ留学
OVERTURE
青山学院大学にはさまざまな留学プログラムが用意されています。淺賀凪美さんは「認定校留学制度」を用いて、2年次後期から1年間カリフォルニア大学バークレー校に留学しました。グローバルビジネスで通用する高度な英語運用能力を身に付けるという強い目的意識を持ってアメリカ留学に臨んだ淺賀さんに、その経験やこれまでの大学生活についてお話を伺いました。
自分の意志を貫いて、入学前から心に決めていたアメリカ留学を実現
経済学に興味があり、将来は英語を使って国際的な舞台で活躍したいと思っていた私にとって、卒業要件単位の1/3~半数を英語講義で学ぶことができるグローバル・スタディーズ・プログラム(GSP)のある国際政治経済学部は魅力的な進学先でした。また、高校時代(青山学院高等部)に参加したカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のサマースクールに集まる世界各国の生徒たちの多様性、明確な目的意識に大きな刺激を受けました。そして大学生になったら再びUCLAに留学しようと心に決め、その時から大学の国際センターで留学の情報を集めていました。コロナ禍の影響によりUCLAは外国人留学生受入に制約を設けていたため、同じカリフォルニア大学のバークレー校(University of California, Berkeley以下UCB)に認定校留学の制度を活用し留学をすることにしました。
認定校留学は、留学手続きを自分で進めなければなりません。日々の授業と平行しながら、出願・入試をはじめとする留学先とのやりとり、渡航・ビザの手続き、国際センターへの進捗報告等と多くのプロセスを経る苦労もしましたが、自分自身の決断で目的に向かって1つずつクリアにしていく経験は自信になりました。例えば、留学前に2021年度学業成績優秀者表彰で優秀賞を受賞することができたのは、自律的に学業と留学準備と両立させたことによって、タスク管理能力が大きく鍛えられた成果の一つと受け止めています。また、「青山学院大学産学合同万代外国留学奨励奨学金 ―太平エンジニアリング・AGU産学合同スカラーシップ―」をはじめ民間による給付型奨励金も受給することができたので、費用負担が軽減されたことはありがたかったです。
留学先であるUCBでは社会学を専攻しました。国際経済学科の1年次に履修した「国際ビジネス入門」で、多様化した現代社会で国際ビジネスを展開するには、その地域の文化や慣習も考えた幅広い知見が必要であると学んだことがきっかけです。1〜2年次のGSP履修を通じて、英語での講義やレポートもある程度の訓練を積んでいましたが、初めて専門的に学ぶ社会学を、母国語以外で学習することは簡単ではありませんでした。同じ英語による講義でも、周囲が日本人という日本の学習環境では、自力でどうしても理解できない時は日本語で相談することが可能です。しかし、留学中は何から何まで英語を用いて自分の力で切り拓いていかなくてはなりません。毎回の授業で出されるリーディングの課題の量に圧倒されながらも、全て丹念に読み込み理解することこそが近道と捉え、それを1年間積み重ねたことによって、大きく成長できたと感じています。
留学で得た問題意識は、持続可能社会とビジネス収益の両立
留学での特に大きな成果は、将来のビジョンが明確になったことです。留学前は、経済学を起点にその周辺領域の知識を深め増やせれば良いなという思いでしたが、留学中に受講した「国際環境経済学」という授業を通じて、持続可能社会とビジネス収益の両立に大きな問題意識を持つようになり、将来的にサスティナビリティ経営の可能性分析を仕事にしたいという目標を持てたのです。サスティナビリティ研究は、欧米諸国がけん引しているので、英語で執筆された研究論文が中心です。学術レベルでの英語運用能力をUCBで身に付けられたことも、この分野への興味関心の喚起につながったと思います。また、ルームメイトがビジネススクールやインターンシップでの気付きを共有してくれたり、将来どのような企業に勤めたいかなどビジョンを具体的に語ってくれたりする日常会話も大きな刺激となって、将来展望を見定める契機のひとつとなりました。
帰国後は、鶴田芳貴先生のゼミナール(ゼミ)で、企業の事業活動のリスクや制約となり得るものの分析を行っています。統計学を学び、統計学の手法を用いて、3人のグループで「東京オリンピックの延期発表がスポンサー企業の株価にどれくらい影響があったのか」というテーマの分析を進めています。意見を出し合いつつ、分析観点の洗い出し、統計ソフトを用いての分析、その結果を論文にするなど、役割分担をして進めていますが、留学して社会学の知見を得たことで、より多角的なアイデアを出せるようになった手応えがあります。統計的手法を用いると、従来の観点からでは説明が難しい新しい事象や仮説に対しても、数値を根拠にした有意な分析結果を導き出すことが可能です。4年次に取り組む卒業論文では、学習した統計の手法を用いて、現代的な課題である企業活動とサスティナビリティの関係を考察していきたいと考えています。
就職活動は帰国後に開始し、3年次の夏に参加したインターンシップをきっかけに、卒業後はコンサルティングファームで働く予定です。インターンシップは学生生活で体験することがない次元の緊張感の下で行う高度な内容でしたが、メンターの方をはじめ社員の皆さんが魅力的で、この会社で一緒に働きたいと強く感じました。フィードバックでは、グループワークでの立ち回りを評価していただいた一方、根拠やロジックを重視した意見があればさらに良いというアドバイスをいただきました。そこで現在は、ゼミをはじめとする学習においても、根拠やロジックを大切にした考察をするように意識しています。就職して実務経験を積んだ後、大学院に進学することも視野に入れているので、それだけの力を身に付けられるよう、全ての科目の学びに全力で取り組んでいます。将来はサスティナビリティに関連した企業支援を任されるよう成長したいと考えています。
主体的に物事に取り組んだ経験が、
サーバント・リーダーの自覚につながる
これまでの学びを振り返ると、本学独自の全学共通教育システム「青山スタンダード」科目の「キリスト教概論Ⅱ」が印象に残っています。キリスト教の教えがどのように現実社会で生かされているかを学ぶことは、留学中、アメリカで暮らす上でもプラスになりました。さらに青山学院が育む「サーバント・リーダー*」についての考察ができたことも収穫でした。中等部から青山学院に在籍していたので、サーバント・リーダーについてのお話は6年間聴き続けていましたが、家庭や学校から守られた立場であった当時の自分にできる貢献があるのか、イメージできていないところがありました。この授業でサーバント・リーダーと歴史上の人物を結びつけて学び、大学で主体的に多くの物事に取り組んだことで、自ら動き周囲に何かを与えられる存在になるというサーバント・リーダー像が具体的になり、卒業後の目指す姿にもなりました。
*サーバント・リーダー…自分の使命を見出して進んで人と社会とに仕え、その生き方が導きとなる人。
また、どの科目にも共通することとして、アウトプットの重要性を実感しています。大学入学後、理解できているはずなのに、レポートでうまく文章化や可視化ができないということを何度か経験しました。つまりそれは、学んだことを蓄えてはいても、それを使って何かができる段階まで到達していないということです。知識をインプットすることと、それをアウトプットすることをセットにして学ぶことは、将来にも役立つ実践力や応用力につながるので、今後もその学習方法を大切にしたいと考えています。
振り返ると、認定校留学を実現させることは大変でしたが、英語を自分の武器にできる強み、将来のビジョンやキャリア設計など、苦労を上回るほどの代えがたい成果を手に入れることができたと思います。私の信念として、目的はモチベーションの源泉と考えています。留学中、英語による高度な言い回しからジョークまで、理解できず挫折感を味わったこともありましたが、英語運用能力と幅広い知識を身に付けるためにUCBで学んでいるのだという目的が明確だったので、投げ出したいと思うことは一度もありませんでした。自由にやりたいことができる大学という環境の中で、勉学でも留学でも課外活動でも、目的を持って取り組むことで素晴らしい経験が得られると思います。留学を迷っている人はぜひ挑戦してください。
淺賀さんの「認定校留学」スケジュール
-
<高等部(高校)3年次> 2019年
情報収集のため「国際センター」を訪れる
-
<大学1年次> 2020年 6月
資格試験(TOEFL,IELTS)の勉強を本格的にスタート
-
<大学1年次> 2021年 1月
IELTS受験
-
<大学1年次> 2021年 3月
留学エージェントを通して出願(UCLAに出願、しかしオンライン授業になったためUC Berkeleyに出願先変更)、国際センターに認定校留学希望の旨を申告
-
<大学2年次> 2021年 5月
UC Berkeleyから入学許可が下りる
-
<大学2年次> 2021年 5-7月
ビザ取得、奨学金申請、ワクチン接種、国際センターに入寮日や渡航日の情報を共有
-
<大学2年次> 2021年 8月
渡米、授業開始
-
<大学3年次> 2022年 5月
帰国
国際政治経済学部 国際経済学科
青山学院大学の国際政治経済学部は国際社会への貢献をそのミッションとし、国際系学部の草分けとして創設されました。3学科×5コース体制のもと、専門性と国際性、現場感覚を重視した学びを実践しています。グローバルレベルの課題への理解を深め、エビデンスにもとづいて議論・討論するスキルを養成します。世界の多様な人々と協働し、新たな価値を創造する実践力を育みます。国際経済学科では、国際経済や開発経済に特化したカリキュラムのもと、地球規模の諸問題、特に国際的な経済相互依存関係などを経済やビジネスの観点から歴史的・理論的かつ数量的に学びます。一人ひとりの興味や進路をふまえて、「国際経済政策コース」と「国際ビジネスコース」を設置。異なる文化や価値を理解し尊重する姿勢を身に付け、問題解決のため積極的に考え行動できる人材を育成します。