人とのつながりを
大切にして
相手の立場から
合理的な判断を

掲載日 2021/3/22
No.67
日本IBM株式会社
グローバルビジネスサービス事業本部
タレント&トランスフォーメーション
アソシエイト・パートナー
久保田 勇輝

OVERVIEW

青山学院大学で出会った経営心理学の学び。その知識をもとに最先端のテクノロジーを駆使しながら、様々な企業の人事における課題を解決へ導くコンサルティング・リーダーとして活躍する卒業生をご紹介します。

企業人事をテクノロジーでサポート

現在は、日本IBM株式会社の人事システムコンサルティングのリーダーとして、クライアントである企業における人事に関わる課題解決のお手伝いをしています。私が部長を務めるタレント&トランスフォーメーションテクノロジーズという部門は、当社が培ってきたITやAIなどテクノロジー分野の強みを活かして、お客様から提供していただいた多岐にわたるデータを統計解析の手法で分析、考察し、解決策を見つけ出して提案するのが主な仕事です。
例えば、何万人もの従業員の中から優秀な人材を発掘して最適なポジションを与えるには膨大な時間と労力を要する作業ですが、それをAIなどの利用によって効率的かつ高度に行うことが、まず挙げられるでしょう。あるいは、新たな事業を行うにあたりどの程度の人員が必要か、その人員はどうすれば得られるかといったプランを立案するということもあります。企業人事をテクノロジーの活用によって幅広く支える仕事、と捉えていただくのが分かりやすいかもしれません。

今につながる礎を築いてくれた恩師と経営心理学

大学では林伸二先生のゼミナール(ゼミ)に所属して、経営心理学を学びました。これは簡単に言えば、人間のモチベーションや対人関係に伴う感情、個人差などをデータ化し、統計的に解析することで新しい気づきを得るという学問です。大学では経営学科に在籍していましたが、実は心理学にも興味をもっていたので、入学後に経営心理学なるものの存在を初めて知り、青学で学べると分かったときには、心躍る思いでした。是非ともこの学問を習得すべく経営学部経営学科教授だった林伸二先生のゼミに入ろうと決意し、実現させました。
ゼミでは主にパーソナリティ心理学(人を類型化してそれぞれの行動傾向からビジネスにおける成果にどのような違いが生まれるかといった研究)を学んでいました。他にも心理学、統計学、経営学などの知識を林先生から授けていただきましたが、振り返ってみればどれもまさに自分の現在の仕事に直結する内容だったと感じています。

先生との交流は卒業後もずっと続いており、今でも仕事やプライベートでの悩みを相談させていただくことがあります。先生は常に的確なアドバイスをしてくださる上に、参考になる論文や書籍まで送ってくださるので感謝してもしきれません。先生ご自身も、その教えも本当に素晴らしく、まさに恩師と呼ぶにふさわしい方です。林先生との出会い、さらにそのゼミでの学びが今の私の礎を築いてくれました。
ゼミ仲間とのつながりも深く、中でも先輩であり青学の経営学部経営学科准教授の稲村雄大先生とは、AIを使い業務を高度化するプロジェクトを共同で手がけており、近いうちにプレスリリースを行う予定です。

困難を乗り越えた体験が成長をもたらした

仕事でのやりがいは何といってもお客様からの感謝の言葉です。10年以上前になりますが、役職にも就いていない若手だった当時、非常に困難なプロジェクトを任されていました。発注元の社長がとても厳しい方で、極めてハードルの高い要求が出されたため、先方の人事の方々もどうしたものかと頭を抱えているような状況だったのです。
そこでプロジェクトを一から見直し、どうすれば実現できるか必死で考えながら管理に当たり、与えられた期限と予算を守り完遂することができました。この成功は自分ひとりの成果ではなく、プロジェクトメンバー全員で頑張った結果だと私は捉えていたのですが、離任式の席で「久保田さんと一緒にできて本当に良かった。久保田さんでなければこのプロジェクトは無理でした」と、クライアントの方に声をかけていただき、不覚にも涙を零(こぼ)してしまいました。すると、皆さんも一斉にもらい泣きし、「こんなにうまく行ったケースは近年ではなかった」と先方がおっしゃるほど難しい事業だったわけですが、このとき鍛えられた経験は自分にとって大きな糧になったと感じています。

合理的な判断をベースに思いやりもプラス

人事にまつわるコンサルティングに携わる以上、時には人員削減などといったシビアな決断も避けられません。このような案件は内部からだと非常に言い出しにくいものですが、外部の者が担うことで客観性のある意見をお伝えすることができます。大きな責任を負う仕事なので常に合理的な思考と判断を要求されますが、そこに相手への思いやりも加味して働くよう心がけています。
中にはあまりに過度な要求をするクライアントの方もいらっしゃいますが、明らかに無理な内容ならば、はっきり「できない」と告げなければなりません。なぜできないのか、合理的な理由を明確に伝えながらも、ただ突き放すのではなく、相手が困らぬよう別のアプローチを提案するなど、先を見据えたケアを施すようにしています。

ケアという面では、管理職として部下への配慮も欠かせません。問題を抱えているスタッフはいないか目を配り、必要ならフォローするよう課長たちに指示しています。部下たちから信頼され、慕われる上司でありたいと願っていますが、そのためには彼らをステップアップさせ、何より生活の安全を担保することが最善と努めています。仕事だけでなくプライベートでも大切な人との関係を良好に保ちたいという思いが人一倍強いので、常に自分を客観的に見つめて、言動がどう捉えられるか、相手の立場で考えることが私の習慣になっています。

きちんと切り替え徹底的に日々を楽しむ

非常に忙しい日々を送っていますが、仕事とプライベートはきちんと切り替えているおかげで、ワークライフバランスは高いレベルで保てていると思います。休日は家族でよくキャンプをしていますが、どうしても仕事をしなければならない場合には家族の了解を得て、例えば一時間だけと決めて離れた場所で仕事に集中してからまた家族のところへ戻るという工夫をしています。若い頃は休日も仕事漬けでしたが、第一子が生まれたのをきっかけに、家族も大切にしようとこのスタイルを編み出しました。気が休まらないのではと思われるかもしれませんが、すっかり慣れて休みも満喫しています。
これから社会に出ていく学生の皆さんにも、日々をしっかり楽しんでほしいと願っています。就職活動では長期的なビジョンを決めたり、自己分析を求められたり、様々なプレッシャーにさらされ、小さな失敗でさえ取り返しのつかないものとして捉えがちです。しかし間近な目標は手段に過ぎず、駄目でも次に進めばいいと考えを改める余裕も必要ですし、そういう意味でもやはり切り替えは大切でしょう。まるで新卒時の就職で人生の全てが決まるかのような風潮もありますが、決してそんなことはありません。私自身、高校時代は心理学を志し、その願いを叶えなければ人生が駄目になると思い込んでいました。しかし結果的には経営学部を選択し、その中で思いがけず心理学と出会い数回の転職を経た末、今は大学で学んだことが生かせる仕事に就いています。私が経験的に感じているのは、「実践すること」です。何かを得ようと一生懸命に実践する人は、どこで何をしていても、実践に見合った成功を手にできるはずだということです。

卒業した学部

経営学部

21世紀を見通す長期展望のもと、企業の視点で考える「経営学科」と消費者の視点で考える「マーケティング学科」の2学科で、企業と社会(消費者)という、2つの方向から現代の経営を照射し、その飛躍、発展に資する先端的な研究・教育拠点を目指します。 50年以上の歴史と伝統を持つ「経営学科」では経営のプロに普遍的に求められる会計・金融・マネジメントにおける先端理論と実践技術を提供します。 「マーケティング学科」では青山キャンパスがある“渋谷・表参道エリア”という国際性、創造性に富んだ地の利を生かして、消費者が真に求める文化、情報、感性といった面をビジネスに導き入れ、独自のマーケティング学“青山マーケティング”の確立を目指しています。 2学科は学問的成果を共有し、ビジネスの最前線情報に接することができる授業を充実させるなどして、氾濫する情報に踊らされることなく、自ら意思決定を行い、未来を切り拓く力を養っていきます。

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