就職へつながった実践知の獲得に励んだ日々。地域社会に貢献できるコンサルタントを目指す

掲載日 2024/5/13
No.300
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学科 4年
赤澤 峻
茨城・岩瀬日本大学高等学校出身
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コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学科 4年
磯崎 友臣
神奈川・桐蔭学園高等学校出身

OVERTURE

地域課題の解決に貢献するという目標に向かい、コミュニティ人間科学部で自らの興味関心を存分に探求した赤澤峻さんと磯崎友臣さん。キャリア形成にも高い志を持ち、卒業後は同じ外資系コンサルティングファームに就職することが決まっています。これからも切磋琢磨しながら成長していくことを誓い合うお二人に、学部での学びや就職活動について語り合っていただきました(取材は2024年3月に実施しました)。

地域課題の解決策を探求するためコミュニティ人間科学部を選択

赤澤:オープンキャンパスでいろいろな大学を見ましたが、その中で青山学院大学の学生が一際活気に溢れていた印象が今でも鮮明に残っています。それに加えて、入試相談で対応してくださった先生方の親切で優しい雰囲気も印象的で、青学で学びたい気持ちが強くなりました。

コミュニティ人間科学部を選んだのは、地方創生に興味があったからです。小学5年生のときに神奈川県から栃木県に引っ越し、栃木にも愛着を持つようになったものの、元気がない地方の現実も感じていたので、地域を盛り上げられるような知識を得たいと考えました。青学の相模原キャンパスが引っ越す前に住んでいた淵野辺にあることもうれしかったですし、学部が新設されたタイミングだったので、一期生になれることにもワクワクしました。

磯崎:私は地域が抱える課題とその解決策について実践知を身に付けたいと思い、コミュニティ人間科学部を志望しました。父親は総合デベロッパー、母親が一級建築士として働いているので、まちづくりや不動産に関する資料が家にたくさんある環境で育ち、小学生の頃からそうした分野に興味を持ち始めました。高校時代には、父親の職場訪問で「渋谷の再開発現場」と「衰退傾向にある郊外の現場」の対極的な二つの現場を見学し、地方郊外に住む方々の「大変だけど、この場所が好きなんだ」という声を多く聞きました。そこで、都市の開発だけでなく、地方の暮らしもしっかり守りながら地域再生に貢献できる仕事に就きたいと考えるようになりました。

地域を多角的に学んだ学部の授業とさまざまな気づき

赤澤:普段から人との出会いで得られる学びを大切にしており、本学部でも先生方との素晴らしい出会いが数多くありました。「コミュニティ人間科学特論H」の授業アンケートに「学びに大学や学部の枠は関係ない。大学生活は好きなところで自由に興味関心を深める時間だ」と回答したところ、辻吉祥先生が最初の授業で「みんなもこのような姿勢を持ってほしい」とクラス全体に話してくださったことは印象に残っています。授業では社会問題を扱う新聞記事や映画などを題材に、自分自身はどう考えるのか問いを投じてくださり、思考の幅が広がりました。

また本学部は、「コミュニティ文化資源活用論」など文化資源に関する授業が充実しており、文化資源の保存や活用は誰のために行うのか、地域住民の思いに根ざしたものになっているかどうかを繰り返し考えました。

二人は共に地球社会共生学部の松永 エリック・匡史先生のゼミにも参加。チームリーダーも務めた(後ろから2列目左から4番目が磯崎さん、中央前から3番目が赤澤さん)

磯崎:印象に残っている授業は、ゼミナール(ゼミ)でも指導いただいた宇田美江先生の「コミュニティ人間科学特論L」です。この授業では「アントレプレナーシップ(企業家精神)論」が副題になっていて、グループワークで新規事業を提案書にまとめ、プレゼンを行います。私たちのグループは、不要になった大学の教科書を下級生に安く再販するためのシステムを学内に構築するビジネスモデルとして考え、提案しました。グループワークの前段階で起業のプロセスやフレームワーク(構造や枠組み)も学んでいたのですが、ただそれを当てはめればいいだけでなく、自分たちが解決したい課題をビジネスに落とし込み、形にしていくことの難しさを痛感しました。これらの経験から、世の中にあふれているノウハウを鵜吞みにして実践するだけでは意味がないことを学びました。

高校までサッカー一筋だったこともあり、「地域スポーツマネジメント論」も大変面白かったです。それまで無関係だと思っていた「スポーツ」と「地域やビジネス」が深くつながっていることを知り、スポーツは地方創生や地域課題の解決に向けてのカギとなると思いました。

赤澤:宇田先生のゼミではどんな研究をしたの?

磯崎:将来、地域の課題を解決すべくコミュニティという“組織”を動かしていく領域に興味があったため、まずはビジネスの切り口で企業のマネジメント手法を探求したいと考えました。研究テーマは「経営理念の浸透の影響要因」で、経営理念はどのような要因で浸透していくのか、長期インターンシップ(長期インターン)をしていたSaaS*事業やメディア事業を展開している企業で従業員300人にアンケートとり、統計調査を行いました。それまで統計にはあまり触れてこなかったので、分析にとても苦労しましたが、宇田先生に手厚くサポートしていただきました。分析にはExcelのローデータをもとにIBM SPSSやKH-coderなどを使用しましたが、「青山スタンダード」科目で必修の「情報スキルⅠ」で学習したことを多く活用できたのはよかったと思います。

* "Software as a Service" の略称であり、クラウド上でソフトウェアやアプリケーションなどを提供するモデル

赤澤さんは?

卒論発表会後に相模原キャンパス正門前で記念撮影(後列左が磯崎さん)

赤澤:高校3年生の夏に、資本主義の構造や私たちの消費行動を問い直す評論を読んで以来、資本主義に強い興味を持っていたことから、永井健夫先生の消費社会論のゼミを履修し、卒論では社会課題の解決に向けて今注目されている「コレクティブ・インパクト*」について研究しました。コレクティブ・インパクトは新しい概念として世の中で語られていますが、日本ではこれまでに「産学官民連携」と表現されてきた取り組みです。しかしながら、それがうまく機能しなかったのは、地域に根差したNPOやコミュニティを軽んじる傾向があったからだと知りました。地域の課題解決に取り組むうえでは、互いにリスペクトしながら協働していく姿勢が必要なのだと学びました。

*複数の組織や団体や個人が特定の社会的問題に対して共同で取り組むアプローチのこと

インターンシップや一人旅、自己研鑽を積んで得た自信

磯崎:就職活動を振り返るととても順調だったと思います。要因のひとつは、兄からのアドバイスで周りの人より早く就職活動をスタートしたことです。情報収集には「Web Ash(進路就職支援システム)」やコミュニティ人間科学部を対象にした就職ガイダンスも活用しました。それともうひとつ、長期インターンの経験が非常に大きかったと思います。合計4社に参加し、特に実践力につながったと思うのが、前述のSaaSベンダーでの2年間の経験です。全社横断的な戦略的営業を行うCEO室という組織に所属していたため扱う案件の規模も大きく、大企業の役員クラスの方々とミーティングを行う機会などにも恵まれ、学生ではなかなかできない経験ができました。そのおかげで、3年次に約20社のサマーインターンシップ(サマーインターン)に参加した際には、ビジネスの場におけるコミュニケーション能力や資料作成、ドキュメンテーションなどのビジネススキルに圧倒的な自信を持って臨むことができました。

ただ、サマーインターンのほとんどはコロナの影響でオンラインであったため、夏休みの2カ月間、部屋で一人画面に向き合う日々を過ごし、精神的にきつかったです。なるべく外出してリフレッシュすることを心掛けていました。

長期インターンでプレゼンをする磯崎さん

赤澤:私も広告メガベンチャー企業の長期インターンに参加し、トレンドやインサイトの分析と研究結果の資料化や発表、広告立案などを行いました。資料を読んだときに伝わりやすい言葉遣いを学ぶことができましたし、分析から発表までを決められた業務時間内でやり遂げることを課されていたため、高精度かつスピーディに仕事をする点はかなり鍛えられました。

磯崎:赤澤さんは3年次終了後に1年間休学して一人旅に行ったよね。その行動力にいつも刺激を受けてきました。

赤澤:世の中の流れに乗って早めに就職活動をしていましたが、「このまま社会に出てしまっていいのだろうか」という迷いがずっと自分の中にありました。その原因は何かと突き詰めたときに、「学問的関心を抱いてきた資本主義を学生のうちにもっと探究したい」との思いに至りました。そこで、私自身の学問的研究の集大成として、資本主義を相対的に見るために社会主義国に身を置いてみようと考え、キューバ渡航を決意しました。約2カ月間の滞在で、「キャリアアップを叶えて地球にインパクトを残せる人になりたい」と強く思ったのです。また、キューバの現実を見たことで、まずは日本でキャリアをスタートし、社会課題に取り組める世の中を目指そうと考え、コンサルティングファームを志望しました。自分のための大学生活を心置きなく過ごすことが、後々の就職活動、さらにその先の未来にも生きると実感しています。

キューバにて、現地で出会い仲良くなったイタリア人の友人たちと(右前が赤澤さん)

キューバ以外にもチェコやハンガリー、ベトナムなど社会主義に関連する国々にもバックパッカーとして訪れ、世界中に友達ができたことも座学だけでは得られなかった財産です。さらに、危険を回避するために人を見極める力や直観力も研ぎ澄まされた気がします。

考え行動することが未来につながる

赤坂:磯崎さんはどうやって志望業界を絞り込んだ?

磯崎:本学部の授業でも、まちづくりに携わると行政をはじめ、さまざまな業種を巻き込んでいくことが重要だという話が心に残っています。そこで、業界横断的かつEnd to Endのアプローチで地域課題の解決に貢献でき、さらに収益性だけでなく、課題に対してどれだけ価値提供できるかを突き詰められる会社で働きたいと考え、コンサルティング業界に絞りました

授業においては、現場で働く社会人や活動家の方々が来てお話をしてくださる機会も多くあり、社会課題について考える意欲や姿勢が身に付きました。現場の生の声を知ることがとても大事なことだと学べたので、就職先でも特に現場の方の意見に耳を傾けることを大切にしたいと思っています。そして、コンサルタントとして多種多様な業界と関わる案件の経験を積んだ後、将来的には地域が抱える社会課題の解決に、トップランナーとして貢献していける人材になりたいです。

赤澤さんはどうだった?

赤澤:どんどん海外に出たいと思っていたので、就職先はグローバルなブランド力も重視しました。最終的に憧れていた会社で働けることになり信じられない気持ちです。自分の可能性を閉じずに最後の一分一秒まであきらめないことが大事だと思いました。

今後の目標は、磯崎さんと同じく業界横断的に地域課題解決に寄与すること、そして地球規模でインパクトを与えられるコンサルタントになることです。コミュニケーション能力が高いことが私の持ち味だと思うので、社内外問わず、部署などの垣根を越えて橋渡しできる人になることで、自分ならではの価値の出し方にこだわっていきたいと思っています。青学は、母校愛が強く、ポジティブマインドを持った人達で溢れている大学です。高校時代に抱いた学問的関心を深められたことでキャリア選択の大きなきっかけにつながりました。

長期インターンの同期が開いてくれた送別会にて(中央が赤澤さん)

磯崎:グローバルな学部も人気ですが、もう少し自分たちに目線を向けながら、身近な地域の課題に向き合いたい人にとってコミュニティ人間科学部は最高の学び舎です。多くの人が当たり前に大学に進学し、就職活動を始めて就職していくように感じますが、その行動をする前に一度踏みとどまって「なぜ、どんな目的で、その時に、その決断、判断をするのか」を考えることで、他の学生とは違った視座で行動することができると思います。どうか考えることから逃げずに自身が納得のいくキャリアを築いていただけたらと思います。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は2023年度のものです。

赤澤さんの就職活動スケジュール

  1. <3年次> 2022年 10月

    合同説明会参加、秋・冬インターンシップ選考開始

  2. <3年次> 2022年 11月~

    秋・冬インターンシップ参加

  3. <3年次> 2023年 1月

    インターンシップ参加企業の早期選考や本選考直結型の選考に参加

  4. <3年次> 2023年 2月~

    本選考開始

  5. <4年次> 2023年 4月

    各社から内定をいただき、就職活動終了

磯崎さんの就職活動スケジュール

  1. <2年次> 2022年 1月

    情報収集を行いつつ、自己分析やES、Webテスト対策
    少し早めの就職活動説明会、サマーインターンの選考等にも参加

  2. <3年次> 2022年 6月

    コンサルティング業界、IT業界、総合商社、金融など幅広くサマーインターンシップの選考に参加

  3. <3年次> 2022年 7月

    20社ほどのサマーインターンシップに参加

  4. <3年次> 2022年 10月

    早期選考に参加し内定をいただく(ITメガベンチャー企業、外資系コンサルティングファーム等) 

  5. <3年次> 2023年 2月

    第一志望の会社から内定をいただき就職活動終了

コミュニティ人間科学部

コミュニティ人間科学部では、日本国内の地域に着目した社会貢献を追究し、地域文化とそこに暮らす人々の理解を深め、より良いコミュニティ創造に寄与する力を培います。幅広い知識の学び、体験し行動するプログラムを通じて、自ら課題を発見・解決し、地域の人々との互助・共助のもとにコミュニティの未来を拓く力を育成します。
日本の地域社会は、高齢化や過疎化などさまざまな課題に直面しています。その解決に力を発揮するには、地域の人々に接し、活動の実際を知り、共感する体験が重要です。コミュニティ人間科学科では、地域の人々や行政についての学びをはじめ、市町村やNPOと連携した体験的実習などを展開。専門家として、地域社会の構成者として、地域の活性化や持続的な活動支援ができる人材を育てます。

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*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

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