勉学に励みながら、
「心」に傷を負った人々に
寄り添う方法を模索

掲載日 2022/8/30
No.174
<2022年度 学業成績優秀者表彰 奨励賞受賞>
教育人間科学部 心理学科 4年
志村 純子
東京都立戸山高等学校出身

OVERTURE

災害や紛争などで心に傷を負ったり、大切な人や場所を失ったりした人々を助けたい。子どもの頃からそう考えていた志村さんは、「心」について多角的に学ぶため本学の教育人間科学部心理学科に進学。国家資格である公認心理師の資格取得をめざし、勉学に励む日々を送っています。「大学では勉強しかしないと決めていた」という、強い決意で臨んだ大学生活について伺いました。

心理学を多角的に学び、公認心理師をめざす

心理学科を選択した理由は、人間の心の動きや病理を学び、トラウマや喪失の悲しみを抱えた方々を救う方法を研究したいという目標があるからです。本学科には、心理学における多様な専門分野を扱う先生方が在籍しており、多角的な切り口で「心」について学べるところが魅力的でした。入学後は興味の対象や将来の展望が多種多様な同級生たちと出会い、日々多くの刺激を受けています。
強く印象に残っている授業として挙げられるのが「家族心理学(社会・集団・家族心理学B)」。親子や夫婦、兄弟・姉妹など、家族間で起こるさまざまな心の問題について考え、その予防や解決法を探る授業内容です。家族の喪失や病気によって引き起こされるストレス、家族内におけるコミュニケーションの特徴などについても学びます。「家族」という切り口で心を捉える点に、まず興味を抱きました。家族は人生において最初に経験する人間関係であり、人格の基盤となるものです。個人が抱える問題の中には、家族との関わりが要因となっているものが存在し、その解決には家族へのケアも重要であると知り、私が将来めざす支援アプローチの手段として大いに参考になりました。また、この授業では知識をただ学ぶだけでなく、学んだ知識を臨床現場でどう役立てるかという視点を養うことができたと思います。その後は他の授業においても、この視点を心がけて学びを深めていきました。

学外施設で実習を行う「心理実習」も、力を入れて取り組んだ授業です。公認心理師資格取得に必要な5領域※の施設について事前指導を受けた後、現場に赴きます。そこで精神疾患を抱える人や高齢者、子ども、障がい者などへの心理的支援について学び、スタッフからお話を伺いました。多くの経験を通して自分の進路を見つめ直し、働いてみたいと感じる領域や施設を見つけられたことは大きな収穫でした。
心理学を学ぶ中で、さまざまな発見があります。個人的な成長としては、相手の立場や価値観に配慮し、人の心の動きを客観的に捉えることができるようになったと感じます。以前の自分なら「どうしてそんな考えや行動をするのだろう?」と最初から理解することをあきらめるような人と出会ったとしても、今ならその人の育った環境や置かれた状況を鑑みて理解してみようと考えるはずです。
※保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働

国際問題に対する世界の取り組みを学ぶ

青山スタンダード科目のなかでもとりわけ興味深かったのが「国際政治経済学A」です。国際政治経済学の入門コースというべき内容で、世界の政治・経済の変遷や有り様について学びました。モノやサービス、資本、労働力、情報などがどのように世界を移動しているのか、気候変動や有害物質におけるグローバルな環境規制、たばことアルコールの国際的な取り決めといったタイムリーなトピックから歴史的な問題まで、多様なテーマで講義が行われました。私自身、災害や紛争で苦しんでいる方々の支援をしたいという思いがあり、国際問題に対する世界の取り組みについて学ぼうと受講しました。この授業を通して、政治・経済の状況や体制の変化には歴史的なきっかけや国際的な話し合いが深く関わっていることを知り、表面的ではなく実態のあるものとして捉えられるようになりました。テレビや新聞で国際政治や国際経済に関するニュースに接した時に、その背景にある法律や、どのような会議で何が採択されたのかということにまで考えを巡らせるようになりました。
語学面においては、正課外の取り組みとして、週5日、授業の空き時間に「青山学院エクステンションプログラム」の英会話教室に1年間通っていました。ネイティブ・スピーカーの先生のもと、受講生同士でペアを組んだり、ミニゲームをしたりして語学力の向上を図りました。先生から自国の文化を教えていただいたり、本場の慣例に倣ったクリスマスパーティーを開催したりと、英語圏の文化や慣習についても理解を深めることができました。個人的には、本プログラムで他学科の友人ができたことが非常にうれしかったです。

心の傷の回復に必要な支援とは

現在は、臨床心理学が専門の北村文昭先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。学生は興味関心に合わせて研究テーマを選ぶので、ジェンダーから醜形恐怖症、解離性障害、広告効果、いじめ、レジリエンスまで、各自さまざまなジャンルに取り組んでいます。現在の私の研究テーマは「『人生の転機』を『その後の人生の糧』として捉える過程で、欠かせない要因の検討」です。良くも悪くも訪れた『人生の転機』を、『その後の人生の糧』というプラスの力にするために必要なものは何なのか。心に傷を負ってしまった方々が、外傷体験や喪失体験を受け入れて回復していく過程に必要な支援について研究しています。今後は実際の現場に携わる方々からお話を聞くなどして、検討を重ねていくつもりです。
明確なビジョンが見えずに迷っていた時も、北村先生は知識の引き出しがとても多く、たくさんのアドバイスとともに研究の方向性を一緒に考えてくださいました。将来の道を見つめ直し、こうして研究を前向きに取り組めているのは先生のおかげだと感謝しています。

学業成績優秀者表彰にて

ゼミに所属するまでは、もっぱら心理学を“学ぶ”ばかりでしたが、自分自身で研究を進めていくうちに、今まで培ってきた心理学の知見を社会にどうやって“還元”するかを考えるようになりました。まだまだスキルも知識も未熟であるため、学びを社会に還元できるよう、これからも勉学に励んでいこうと思います。
入学する時、私は「大学では勉強しかしない」と決めていました。今後は大学院に進学し、トラウマや喪失の悲しみをケアする方法をさらに探究したいと考えています。研究だけでなく、臨床現場でもケアを実践できる人材になるため、大学院修了後に公認心理師の資格取得をめざします。将来はトラウマケアやグリーフケアの専門職に就くことを目標とし、心理学に関する知見を貪欲に広げていきたいと思います。

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

教育人間科学部 心理学科

青山学院大学の教育人間科学部は、教育学科・心理学科を連携させながら、「人間」をさまざまな角度から学ぶ多彩な講義や、理論を実践する演習や実習を展開しています。理論的かつ実践的なアプローチの反復によって、人間についてより深く追究します。現代社会や人間の諸問題を読み解く高度な専門性と、自ら行動するための課題解決能力・自己教育力を育成します。
心理学科では、心理学を抽象的な学問としてではなく、具体的な知恵や実践的な技術を修得する学問としてとらえます。感覚・知覚などの基礎領域から、社会・臨床などの応用領域までを学び、心理に関する諸現象を科学的・人間学的・総合的に研究し、家庭や教育、医療の現場、一般企業などで生かせる高い専門力を養います。また、心理専門職初の国家資格「公認心理師」取得のサポートも充実しています。

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