地域活動の実践を補完する
コミュニティ人間科学部
での学び
コミュニティ人間科学科2年
OVERTURE
大学での学びは、キャンパスでの授業だけにとどまりません。部活動やサークル活動、ボランティアなどの課外活動で自己研鑽を積み、社会に出て羽ばたくための翼となる知見を得た学生を紹介します。生まれ育った山梨県西八代郡市川三郷町を中心に地元の地域づくりに高校時代から貢献してきた吉原さんは、その実践をより確かなものにするためコミュニティ人間科学部で地域の課題解決や活性化に関わる学びを深めています。
高校時代から始めたコミュニティ活動
「山梨ぼくまちプロジェクト代表」、「まるごみ山梨実行委員会委員長」、「山梨県子ども食堂グループ『にじいろのわ』学生理事」として地元・山梨県内自治体の地域活性化に取り組んでいます。相模原市は私たちコミュニティ人間科学部の学生が学ぶ相模原キャンパスの所在地で、地域活性化の活動に熱心に取り組む自治体です。私も、ぜひ活動のPR等お手伝いさせていただきたいと思い、相模原市観光親善大使にも自薦で就任させていただきました。中でも「山梨ぼくまちプロジェクト」は市川三郷町、甲府市、北杜市に支部を置き、中学1年生から社会人2年目の方まで20人ほどのメンバーが地域密着型の活動をしている団体で、私と中学時代の同級生の2人で、今年1月に立ち上げました。地場産業である打ち上げ花火の新たなデザインを職人さん達と一緒に考えたり、地域おこし協力隊と空き家のリノベーションをしたり、さまざまな方法で地元を盛り上げようとしています。複数団体の活動のために月2回以上は週末に帰省しており、学業との両立は大変ですが、生まれ育った市川三郷町と山梨県が大好きなので、その魅力を地元に暮らす若者や、町外、県外の人たちに知ってほしいという思い、そして郷里に新たな風を吹かせたいという願いをモチベーションに励んでいます。
地域活性化に関心を持つきっかけとなったのは、高校2年生の時にスタッフとして参加した「書フェス」という書道の体験型イベントでした。顧問など大人の手を借りず、複数の高校から集まった学生だけで企画運営してイベントをやり遂げ「高校生だけでもこんなに大きなことができるんだ!」と強く感銘を受けました。3年生になるタイミングで代表を任され、この複数の高校が連携したコミュニティを年1回のイベントだけで終わらせるのはもったいないと思い、「書フェス」は引き継ぎながら、地元自治体が主催するイベントの運営やステージパフォーマンスなど多角的に活動する「高校生団体FLAP」(FLAP) を設立しました。メンバー集めやその連携、地元企業からの協賛金集めなど苦労もたくさんありましたが、活動を重ねメンバー間のつながりが深まるにつれ、新たな取り組みを始める仲間も現れ、この団体を立ち上げて本当に良かったと感じることができました。
自分にぴったりはまったコミュニティ人間科学部
FLAPでの実践を通して、地域づくりをはじめ、コミュニティ推進の理解や知識を深めたい気持ちが高まり、進路を探していく中でコミュニティ人間科学部を知り、自分にとってこれ以上ない理想の学部だと進学を決意しました。入学後は全国各地から集まった、地域活動に携わる仲間と出会い、アイデアの交換をするなど、とても充実したキャンパスライフを送っています。
コミュニティ人間科学部の大きな特長は、「子ども・若者活動支援プログラム」、「女性活動支援プログラム」、「コミュニティ活動支援プログラム」、「コミュニティ資源継承プログラム」、「コミュニティ創生計画プログラム」の5つの専門領域からプログラムを選び、必修として地域実習に参加することです。
実習先は、「えひめ子どもチャレンジ」、「丸亀市手島自然教育センター」、「北海道 六花亭 中札内美術村」などがあり、全国各地で地域づくりが体験できますが、私は「子ども・若者活動支援プログラム」を選択し、最終的に実習先を鹿児島県大島郡宇検村(奄美大島) に決めました。宇検村は、狭い地域に濃密なコミュニティが形成されていて、その点では私の生まれ育った市川三郷町と良く似ています。一方で文化や自然環境は大きく異なるので、どんな違いや共通点があるのか肌で感じられる日が楽しみで仕方ありません。私が履修している地域実習A1の授業には、宇検村以外に「青島太平洋マラソン(宮崎県)」と「ドリームプレイウッズ(神奈川県綾瀬市)」を実習先に選んだ学生たちがいて、互いに話し合いを重ねながら3年次に予定されている実習に向け、事前準備を進めています。
履修した授業で印象深かったのは山本裕一先生の「青少年活動支援団体論」で、青少年活動を取り巻く環境を、活動事例や歴史背景から学ぶことができ、私の活動にとって参考になることばかりでした。また「コミュニティ創造論」では、鈴木眞理先生の「先に学んだ者が、後から学ぶ者にその学びを教えてはいけない」という言葉に、はっとさせられました。FLAPで経験した数多くのことをノウハウとして後輩に伝えていたのですが、自分で学びとる機会を彼らから奪ってしまったかもしれないという反省を抱くと同時に、今後の活動につながる気づきを得ることができました。
誰かの何かを始めるきっかけ作りを続けたい
コミュニティ人間科学部の授業は、ディベートなど学生が能動的に参加する機会が多いので、さまざまな考えに触れられるうえ、授業で得た知識と自分の地域活動の経験をすり合わせながら発展させることができます。また大学生として学び始めてからは、町を「見る」から「見つめる」ようになったのも大きな変化です。何気なく通っていた道にも、地域づくりに関係する場所や施設があることに気づき、そこではどのような取り組みがなされているのかウェブサイトなどで調べるようになりました。
「山梨ぼくまちプロジェクト」の活動でも新たな取り組みとして、地元企業とのコラボによる商品開発の企画などを進めています。また地域の未来を担う子どもたちに町づくりをつないでいくことも大切なので、自分たちの暮らしている場所の素晴らしさに気づいてもらえるよう、農業などさまざまな体験ができる機会を設けています。「誰かの何かを始めるきっかけ作りを続けたい」という気持ちを常に持ちながら、コミュニティ人間科学部で得た知識を武器に、地域の人々の心をより豊かにするお手伝いができるよう、これからも多様な活動を継続していこうと考えています。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等や、各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2021年度)のものです。
在籍している学部
コミュニティ人間科学部
2019年4月、相模原キャンパスに、青山学院大学の11番目の学部としてコミュニティ人間科学部が誕生しました。この学部は、青山学院のスクール・モットー「地の塩、世の光」を体現して、地域貢献・社会貢献を強く意識した学部です。地域社会を、自律的な行動ができる人びとによって構成される「コミュニティ」にしていくこと、そのために人びとを支援すること、学生自身がそのような人間になっていくことをめざしています。地域社会と人々に関わる「子ども・若者活動支援」「女性活動支援」「コミュニティ活動支援」「コミュニティ資源継承」「コミュニティ創生計画」の5つのプログラムを設け、多様な実習を行い、さまざまな世代の人たちと一緒に互助・共助の理念のもとに活動し、「コミュニティに向き合える人間」を育成します。