幅広いアプローチで
「教育」を学び、
将来の可能性が広がった
教育人間科学部 教育学科 4年
OVERTURE
教育学科には、「人間形成探究」「臨床教育・生涯発達」「教育情報・メディア」「幼児教育学」「児童教育学」という5つのコースがあります。興味や進路に合わせて専門分野を選択し、教育の本質と専門性、教育の担い手である人間についての理解を深めることが狙いです。子どもの頃からの夢だった教員になるため本学科に進学した吉田萌音さんは、社会で幅広く活躍する人材を育成する多彩なカリキュラムを経験し、将来の可能性が広がったと話します。
文系にとらわれない学びで多角的な視座を獲得
教員になることが小学生の頃からの目標だったため、迷わず教育学科を志しました。その中で本学に進学しようと考えたのは、教職課程を修めることにより、幼稚園から高校までの教員免許の各教諭1種免許状を取得できるからです。具体的にどのカテゴリーの教員になるか迷っていた自分にはぴったりでした。そして、本学科には教育を幅広いアプローチで学べる5つのコースが用意されているため、もし進学してから別の進路に興味を持ったとしても、さまざまな可能性を模索できると考えました。
1年次前期に履修した「科学・技術の視点(個別科目)」は、私にとって新鮮な学びでした。なぜなら、文系学科を選んだ自分に理系の授業を受ける機会はないだろうと想像していたからです。学部学科に関係なく幅広い科目を履修できるのは、「本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目」ならではのおもしろさではないでしょうか。「科学とは何か」というテーマで、科学という営みが持つ性質を学ぶ授業内容は、大変に興味深く刺激に満ちていました。同時期に教育学科で学んでいた科目が、1年次前期ということもあって教育の歴史や理論を学ぶインプット中心の講義だったのに対し、本講義では学んだ知識をもとに自分で考えて意見を発信していきます。慣れるまでは難しく感じましたが、情報の信憑性を吟味し、それを論理的な思考で文章にする能力が養われました。これらの視座を獲得したことで、例えばネット記事などで「この教育法が良い」といった情報を見つけたとしても鵜呑みにせず、信頼できる情報なのか?具体的な内容を伴っているか?と批判的思考でとらえられるようになりました。
模擬授業で教員という仕事の難しさと魅力を実感
専門科目で特に力を入れて取り組んだのが「初等教科教育法(英語科)」で、小学校で英語の授業を行うための理論と実践を学ぶ授業です。2020年度から新学習指導要領に基づき小学校での英語教育が必修化され、未来の国際化社会を生きていく子どもたちに楽しく英語を学んでほしいと、意気込んで臨んだ授業でした。座学に加えて模擬授業も経験し、教員という仕事の難しさや厳しさを実感。同時に、英語という非日常性が加わることで普段とは違う子どもたちの反応を引き出せることにも気づき、英語の授業ならではの魅力と可能性を感じました。
この授業を履修するまでは、「教科」として教えるからには教員も英語が堪能であるべきで、必死に勉強しなくてはと考えていました。しかし、大切なのは教員が一生懸命に英語でものを伝えようとする姿勢を子どもたちに見せることであり、語学力だけが重要なのではないと悟ってからは、英語を話すことが楽しくなりました。
もうひとつ、印象に残っている授業が「教職論(初等)」です。教員の職務内容や存在意義、求められる資質・能力などについて具体例と共に学びました。教員は、子どもの人生に大きく関わっていく職業です。その覚悟を問われるような、自分の意志を今一度確認する機会となった授業であり、教員という仕事に対して具体的かつリアルなイメージを持てるようになりました。
コロナ禍を経験した学生としてICT教育を研究
現在所属している杉本卓先生のゼミナール(ゼミ)は、「ことば・コミュニケーション」「理解・学び」「情報・メディア」の交わる多岐にわたる研究テーマを扱っており、教育を幅広い視点で学ぶことができます。私はその中でもメディア教育とICT教育について研究しています。小学校においてもGIGAスクール構想※が実現に向かっており、学校現場のICT化が進む中で意義のある研究だと考えています。
コロナ禍だったため、私たちの世代は対面授業とオンライン授業の両方を体験しました。そこで、3・4年生の学生に協力してもらい、対面授業とオンライン授業に対する評価を調べ、双方を比較検討しました。それぞれの利点や課題を明らかにし、ICT教育の推進に関する考察を行っています。
私はICT教育で使うタブレットなどの最新技術はすべて「善」であると考えていました。しかし、学びを深めていく中で、従来のアナログな方法にも独自のメリットや素晴らしさがあることを痛感しました。双方の特徴や利点を把握した上で、臨機応変に使い分けることが教員に必要なスキルなのだと理解できたことは、大きな財産になっています。
※全国の児童・生徒に一人1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。2019年度から開始。
また、青山学院初等部の先生から杉本教授を通して、支援が必要な児童に対する学習支援員として協力してくれる学生を探していると、本ゼミのゼミ生に対して呼びかけがありました。私は、小学校の教員免許取得を目指している者として勉強になると思い、また初等部では、積極的なICT教育が導入されているため、ゼミでの研究にも役立つ学びが得られるのではないかとも考え、大学3年次の11月からこのアルバイトを始めました。仕事内容としては、教室の後ろから授業の中で何か困っている児童に対して支援を行うものでした。学習支援をする際、最初は問題に苦戦している児童に対してすぐに答えを教えてあげようとしてしまいました。しかし、答えを教えるのではなく自分で答えを出せるように考えることを手助けすることが大切であることに徐々に気づき、そのことを意識して学習支援を行うようになりました。初等部では児童に対する声掛けや、授業での指導の工夫についてたくさんの気づきがあり、とても貴重な体験となりました。
教育は、生涯を通して行われる普遍的なもの
教育学科は「先生になりたい人が進学する学科」と思われがちですが、本学科ではもっと幅広い意味での「教育」について、自分の興味・関心に沿って学ぶことができます。
私は教員をめざしながらも、進路・就職センターが開催するキャリアガイダンスやセミナー、講演会などに積極的に参加し、さまざまな業界や職業のことを知るうちに、少しずつ視野が広がっていきました。「人の支えになる仕事に就きたい」という根底にある考えは揺るぎませんが、自分のやりたい仕事が他にもあるかもしれないと考え始めています。今は教員を含めて自分の将来に対する可能性を模索しているところです。
人生の中で教育と関わる場面は学校だけではありません。教育とは、生涯を通して行われる普遍的なものです。今後どのようなフィールドに進んだとしても、本学科で得た教育学の知識やスキルを生かし、社会に貢献していきたいと考えています。
インタビュー動画
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。
教育人間科学部 教育学科
青山学院大学の教育人間科学部は、教育学科・心理学科を連携させながら、「人間」をさまざまな角度から学ぶ多彩な講義や、理論を実践する演習や実習を展開しています。理論的かつ実践的なアプローチの反復によって、人間についてより深く追究します。現代社会や人間の諸問題を読み解く高度な専門性と、自ら行動するための課題解決能力・自己教育力を育成します。
教育とは、年代や環境を問わず生涯にわたって行われる普遍的なものです。教育学科では乳幼児期から老年期に至るライフサイクルの中で、人間がどのように発達・学習・社会化・成熟していくのかを学修し、3年次に選択する専門分野の学びを通して、教育の本質と理想の姿、教育の担い手である人間という存在について理解を深めます。幼稚園から高等学校まで幅広い教員免許状の取得が可能です。
バックナンバー
電気電子工学科での学びと出会いで広がった視野、身に付いた積極性
理工学部 電気電子工学科 3年
幅広く芸術を学んで身に付いた、鑑賞力と印象を言語化して伝える力
文学部 比較芸術学科 3年
夢は日本のビジネスを支える弁護士。正確な知識と「説明できる力」で、司法試験に挑む
法学部 法学科 4年
将来を模索していた私が
経営学科で見定めた
公認会計士という目標
経営学部 経営学科 4年
研究を通して積み重ねた
挑戦と成功体験が大きな自信に
理工学研究科 理工学専攻 知能情報コース
博士前期課程2年
オリジナルの分子を使って
新たな核酸の検出手法を開発
理工学研究科 理工学専攻 生命科学コース
博士後期課程2年
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