途上国の
人々に寄り添う
サーバント・リーダー

掲載日 2020/12/14
No.49
独立行政法人
国際協力機構(JICA)
伊藤 美和

OVERVIEW

“時代が直面する課題解決に向けて、人のため社会のために、自分にできることは何か”青山学院のスクール・モットー「地の塩、世の光」の精神を体現しながら、その問いに真摯に向き合う「サーバント・リーダー」を紹介します。

タンザニア初の女子陸上競技会
「LADIES FIRST」についてお聞かせください

子どもの頃、ユニセフ親善大使がアフリカをリポートするテレビ番組を観て、「日本とは違うこんな国もあるんだ、将来はアフリカで働きたい!」と思っていました。その思いが、時を経て「途上国の開発協力に携わりたい」という意思になり、JICAに入構し、志望してタンザニア事務所に赴任。当初の現地視察で、地方の女性を取り巻く環境を目の当たりにしました。タンザニアのジェンダー不平等指数は160ヵ国中130位(2018年)で、自分の身長や体重を正確に計測したことがない人もいるほど国民の健康意識にも課題があり、この国のために何ができるだろうと思案していました。

写真提供:JICA

そんな時、東京国際マラソンで優勝した元マラソン選手のジュマ・イカンガー氏にお会いする機会があり、JICAタンザニア事務所広報大使に就任していただくことになりました。世界大会で活躍したイカンガー氏は、女子のスポーツ選手を育成する土壌がない祖国の現状を憂慮されていて、女子選手の陸上競技会を開催することになったのです。私はこれを機に、ジェンダーの平等や、スポーツのもつ力、健康意識に関する啓発活動もできると考え、現地NGOの協力を得て、さまざまなサイドイベントを実施しました。

  • ※国連開発計画 (UNDP) が発表する国家の人間開発達成の男女差を示す指標

競技会開催において苦労した点や喜びを感じたことは?

競技会の運営は、JICAとタンザニア情報・文化・芸術・スポーツ省および国家スポーツ評議会との共同作業でした。啓発活動を兼ねたイベント運営の経験がない彼らに、企画意図を理解して当事者意識をもって取り組んでもらえるよう話し合いを重ねました。時に衝突もしましたが、彼らの文化や慣習を尊重しながら一方的な気持ちの押しつけにならないよう心がけました。また、限られた予算から選手の交通費を捻出することが難しく、全国の参加選手が本当に自己負担で集まってくれるか、前日まで不安でいっぱいでした。そして大会当日、選手たちが懸命に競技する姿を見た時は感無量でした。ある選手が関係者の目にとまり、タンザニアの陸上の本拠地でトレーニングを受けることになったり、サイドイベントで行ったソフトボールのデモンストレーションの影響で、女子のソフトボールチームが増えたこともうれしい成果です。女子がスポーツをすることにあまり理解のないタンザニアで開催したこのイベントが、彼女たちの未来を拓く一助になったことに喜びを感じました。また、企画から運営に至る一連の仕事に中心的な立場で携わったことは大きな自信になったと同時に、多くの方に助けられたことで、何事もひとりでは成し得ないことも実感しました。

写真提供:JICA

写真提供:JICA

現在の業務および今後のビジョンをお聞かせください

現在は主にアフリカの保健医療に関する支援に携わっています。妊産婦や乳幼児の死亡率が高い現状を改善するため、保健制度の改革や人材育成などを実施しています。途上国支援に従事する上で、青山学院大学でお世話になったゼミナールの恩師の「自分の常識が世界に通用するわけではない」という言葉を心に刻んでいます。サーバント ・ リーダーの素養としても、相手の立場や環境を考え、気持ちに寄り添うことが最も大切なことではないでしょうか。加えて、揺るぎない信念をもち勤勉であること。私もそうなれるよう今後も励んでいきたいと思っています。

全国の受験生や高校生にエールをお願いします

私は青山学院高等部から大学まで本当に多くの友人に恵まれました。誰かが困っていれば自然と助け合う仲間は一生の宝物です。そんな出会いが待っているキャンパスで有意義な大学生活を送ってください。

※2019年度取材

卒業した学部

国際政治経済学部

青山学院大学国際政治経済学部は、国際政治学科・国際経済学科・国際コミュニケーション学科の学問領域を超えて学べる独自の学際教育「3学科×5コース体制(3学科と、各学科から派生した5コース(政治外交・安全保障、グローバル・ガバナンス、国際経済政策、国際ビジネス、国際コミュニケーション))」のもと、世界の現実に対する理解を深め、課題解決へと導く実践的な学びを展開しています。

VIEW DETAIL

バックナンバー

学部選択

分野選択