「ものづくりを通じて誰かを笑顔に」をテーマにゲーム制作の道を目指す

掲載日 2024/1/31
No.281
理工学部 情報テクノロジー学科 4年
藤田 滉大
東京・私立早稲田高等学校出身

OVERTURE

中学生のときから「ものづくり」に関わってきた藤田さん。将来はエンジニアとしてゲーム制作に関わることを目標に、情報テクノロジー学科での学びを深めています。ゲーム制作を志すことになったきっかけやさまざまな学びの面白さ、4年間での成長などについてお話を伺いました。

研究の原点は、自作ゲームを楽しんでくれた友人の笑顔。
「ものづくり」の魅力を追って大学へ

私は現在、ゲーム制作のエンジニアへの道に進むことを意識しながら専門分野の研究を進めています。ゲーム制作に興味を持ったのは中学・高校時代のことでした。当時は電子工作などを扱う部活動に所属し、簡単な電子ゲームを作っていたのですが、友人たちが楽しく遊んでくれたことが強く印象に残っていました。

その後、進学先を選ぶにあたって「人生を生きていく上で、自分が楽しいと思うことは何だろう」と考えたとき、「ものづくりを通じてみんなに喜んでもらいたい」という思いが根底にあることに気付きました。その思いと自分の得意分野を重ね合わせたときに、最もフィットしたのがゲーム制作という分野だったのです。ゲーム制作の中でも、特に情報技術に関する領域に力を入れて学びたいと考え、青山学院大学の情報テクノロジー学科に入学しました。それから現在まで「ものづくりを通じて、誰かに喜んでもらいたい」という思いは変わらず、ひたすらに研究を続けています。

「ものづくり」の喜びは、大学の授業でも実感しています。例えば2年次で受講した「システム構築実習」では、まずシステム構築の基礎知識を学び、その後自由制作に取り組みます。私は、高校時代に作った電子工作を発展させて「多人数格闘ゲーム」を制作しました。作ったゲームは、試行テストも兼ねて実際に友人たちに遊んでもらいましたが、そのときもみんながワイワイと楽しんでくれたことがうれしく、達成感がありました。

授業を担当されていた戸辺義人先生の方針で、学生たちは自由に制作のテーマを決め、必要な情報を調べることを徹底していました。ものを創り上げていくエンジニアとして、そうした一連の作業は必要不可欠なものですので、非常に実践的に学ぶことができました。この学科で学べたからこそ、より良いリサーチ方法や有益な情報源を見極めるスキルを得ることができたと感じています。自由制作を伴う授業では、他のメンバーのアイデアに触れられることも大きなメリットでした。自分とは異なる考え方や視点に触れ、さらなるモチベーション向上につながりました。

また大学の授業以外にも、個人として何らかの「ものづくり」は続けるよう意識しています。「システム構築実習」や「情報総合プログラミング実習Ⅰ・Ⅱ」で学んだ知識を生かして個人のウェブサイトを立ち上げ、システム構築実習で制作した格闘ゲームなどの記録も掲載しています。

将来のゲーム制作を目指し、
研究室ではハードウェアとソフトウェアの両面を学ぶ

現在は、情報通信工学やセンサー工学を専門とされる戸辺先生の研究室に所属しています。電子工作を楽しんでいたところ、関心を持ち続けてきた分野はハードウェアとソフトウェア両方の領域にまたがることに気付きました。特に「組み込み」と呼ばれる分野に興味を引かれています。将来的には、この「組み込みエンジニア」としてゲーム制作に携わっていきたいと考えています。

卒業研究のテーマを決める際も、ハードウェアとソフトウェアの研究を両立させることにこだわり、最終的に「人間の作業効率をアップさせるデバイスの開発」というテーマに着地しました。このデバイスでは、タイピング音から作業者の集中度などを判定し、その結果をより快適な作業環境づくりにつなげる仕組みの開発を進めています。この卒業研究を通じて、まずはコンピューターに関する知識を幅広く身に付けたのち、「ゲーム制作」の夢に向け研究を発展させていこうと考えています。大学卒業後は大学院に進み、引き続き研究を続ける予定です。

所属する「戸辺研究室」にて

活発な空気に満ちた戸辺研究室では、専門的かつ幅広い知識を得られました。戸辺先生は気さくに声を掛けてくださいますし、メンバー同士の交流も盛んです。研究室では「これは面白いね」といった何気ない気付きなどもフランクに共有でき、日々学びを深めることができました。

知識が有機的につながっていく「大学での学び」

大学での学びでは、自分の持っている知識があれこれとつながっていく点に大きな面白さを感じています。例えば「チューリング機械」という専門用語一つに関しても、学年ごとに次々と学びが展開していきました。チューリング機械とは、現在のコンピューターの祖とも言われる「仮想的な計算機」ですが、高校時代はその言葉を知っていただけで内容の把握までには至っていませんでした。しかし、3年次の「言語理論とコンパイラ」という授業を通じて、チューリング機械の本質であるところの「計算の概念」そのものを理解することができました。

そして、現在履修をしている「青山スタンダード科目」の「科学思想史A」では、前に触れた「計算の概念」のベースには、哲学者であり数学者でもあるデカルトらの思想があることを知りました。「この世の真理を解き明かしたい」と考えていたデカルトは「人間の思考を分析すると、究極的には『かつ/または/否定(AND / OR / NOT)』の3区分に集約できるのではないか」と考えたそうです。この「AND / OR / NOT」の概念に基づいて考え出されたのが、チューリング機械ということでした。最後に、4年次前期の「電子計算機工学Ⅰ」では、この「AND / OR / NOT」の概念から生まれたデジタル回路を用いて、自分たちで実際に計算機を作りました。「電子計算機工学」は電気電子工学科設置の授業ですが、強く興味を引かれたため、学科の垣根を超えて履修できる制度を利用し、自発的に受講したものです。

このように、大学の4年間では学びが進むに従って、自分自身の興味の対象も拡大していきました。

学びもコミュニティも大きく広がった、
情報テクノロジー学科での4年間

大学では、学内外のつながりがさらに豊かなものになりました。高校時代までは、部活動やクラスといった限られた関わりの中で過ごしていましたが、大学に入学してからは、ボランティア活動や個人的な制作活動を通じ、学外のコミュニティにもにも一気に交流の幅を広げることができました。ボランティア活動の一環として、「NPO法人クリッパー」という団体に参加し、子ども向けのプログラミング講座などに携わりました。その経験の中で、プログラムを完成させた子どもたちが目を輝かせて喜んでくれたことはうれしい思い出です。

新たに出会った人たちから未知の分野に関する話を聞くことも楽しく、「思ってもみなかったところに面白いことが転がっている」ことを知ることができた4年間でした。周囲の人たちの話に耳を傾け「他の人たちが楽しんでいることは何だろう」と考えているうちに、自分自身の興味も広がっていき、現在の私はそれらを少しずつ学んでいるところです。広く「外」に目を向けられるようになったというのが、この4年間で得た最大のものだと思います。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2023年度)のものです。

理工学部 情報テクノロジー学科

青山学院大学の理工学部は数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。「情報テクノロジー」という名称には、IT(情報技術)を利便性のためだけではなく、社会のより健全な発展を目的に活用すべきという思いを込めています。情報テクノロジー学科では、ITを信頼性や安全性、快適さといった「人への優しさ」のための技術として探究。その応用分野は人工知能からロボットまで幅広く、人間とテクノロジーの共生を目指して、新理論の発見や現実的な提案に取り組んでいます。

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