芳賀教授からの
Message
芳賀 康浩
本ゼミナール(ゼミ)のテーマは「マーケティング戦略」。3年次では主に経営戦略論の基礎と企業や組織を取り巻くマーケティング環境について学び、4年次は各自の問題意識に応じた研究テーマで卒業論文を作成します。学生はゼミでの研究活動を通して、さまざまな企業のマーケティング戦略の分析や、さらに状況に応じた戦略提案ができる能力を身に付けることを目指します。
Q.経営学部「マーケティング学科」の特色を教えてください。
主に組織・企業の視点でマネジメントを考えるのが「経営学科」だとしたら、「マーケティング学科」は消費者の視点を取り入れながらマネジメントを学ぶ学科です。とはいえこの区別はなかなか難しい問題で、マーケティングについて深く研究するためには経済や企業の仕組みを学ぶ経済学、経営学・会計学のしっかりした基礎が必須です。マーケティング学科ではこうした基礎づくりの上でマーケティング関連の専門科目を体系的に学ぶカリキュラムを編成しています。さらに1年次から現在のマーケティングに必要不可欠なデータ分析について基礎から学ぶことができます。加えてサービスマーケティング、ブランド・マネジメント、広告コミュニケーションなど多彩な専門応用科目が設置されていることも特色といえるでしょう。
Q.ゼミの特色と力を入れていることについて教えてください。
受け身ではなく「自ら学ぶ」姿勢を身に付けてもらうため、本ゼミは「学生の自主性に基づく知的サークル」を基本コンセプトとして、ゼミ活動の企画・運営のかなりの部分をゼミ生に委ねています。もちろんゼミ担当教員としての研究指導は行いますが、ゼミ生同士のディスカッションの場面などで私はできるだけ口出ししないように心がけています。それぞれ自分の考えを相手に言葉として伝える努力、そしてたとえ時間はかかっても自分たちで「答え」を導き出す努力を通して論理的思考をトレーニングでき、それは自分の思考力に対する自信にもつながります。
本ゼミの3年生は、日本広告学会関東部会が主催する「学生広告論文賞」の論文作成、あるいは公益社団法人東京広告協会主催の大学生意識調査プロジェクト「FUTURE」への参加のいずれかに取り組みます。こうした学外での活動についても、私は「こういう取り組みがあるけど、チャレンジしてみたい?」とチャンスを紹介するだけ。そうすると学生たちは積極的に挑戦するので、教員としてはほんとうに頼もしい限りです。そのかわり、学生とは一度やると決めたことは最後まで手を抜かずやり抜くよう約束しています。
ただし本ゼミの根幹となるのは、専門書の「輪読」です。難解な専門書や学術論文を時間をかけて丹念に読み込むことが、表現力や思考力の基礎を育ててくれます。しかし、学問や研究の経験がない学生にこの重要性を理解してもらうのはなかなか難しいことです。そのため前述の論文作成や調査活動などを通して、専門書に書かれている概念や理論にどのような意義があるのか気付いてもらうことを期待しています。
Q.ゼミ活動を通して学生に伝えたいこと、身に付けてほしいことは何でしょうか。
ゼミ活動の2年間は、大学で自分の「専門性」を獲得するための期間です。そのために、まず自分が研究したいと思うテーマを見つけることが重要です。研究したいテーマが見つかったら手間や回り道を厭わず、「誠実」に研究に取り組んでください。「誠実」というのは「手を抜かない」「ごまかさない」「うそをつかない」ということです。学問研究に「コスパ」などという考えはありません。真に役立つ知的能力は難解な専門書と格闘し、簡単に答えが見つからない問題を粘り強く考え続けることでしか身に付きません。こうした努力を「誠実」に積み重ねていくことで、ゼミの時間は学生の人生にとってより一層かけがえのないものになることでしょう。
学生の
Message
東京・私立錦城高等学校出身
高校生のときに、オープンキャンパスで参加した経営学部の模擬授業で「コンビニの集客戦略」のお話を聞きました。そこで、企業のマーケティング活動は私たちの生活に身近な学問であると感じ、関心を抱くようになりました。数あるゼミの中でも、芳賀ゼミを選んだ理由は、ガイダンスでゼミについて熱意を持って説明してくださる先輩方の姿を見て、「先輩方のように、本気でゼミに取り組みたい」と感じたからです。
ゼミの輪読でマーケティング関連の専門書や学術論文を読むことは、好きな小説などを読む読書とは全く異なります。前提となる経営やマーケティングの専門知識が必要ですし、文章の論理的構造を解明する思考力も必要となります。一度読んだだけでの理解は難しいため、何度も繰り返し読む根気も欠かせません。ゼミに参加してからは、輪読のディスカッションで先輩方に鍛えていただき、「論理的思考力」を身に付けようと努力してきました。先輩方にはまだまだ及びませんが、筋道を立てて考え、物事の本質をとらえる能力が次第に身に付いてきたように感じます。
また、私は大学生意識調査プロジェクト「FUTURE」に約7ヶ月間参加し、大学生がコロナ禍において、どのように友人づくりを行っていたかについて調査しました。 FUTUREでは、大手広告代理店の社員の方々からアドバイスを受けながらプロジェクトを進め、1,000人以上の大学生を対象にアンケートを実施し、そこから見えてきた分析結果を記者発表しました。この記者発表でも輪読で鍛えた「論理的思考力」が大いに役立ちました。4年次では卒業論文作成を通して、さらに思考力を磨きたいと思っています。
芳賀先生は、私たちゼミ生を常に温かく見守ってくれる「父」のような存在ですが、優しいだけのお父さんではありません。自分の頭で考えることを怠ったり、一度決めたことを中途半端に投げ出したりする学生に対しては厳しいお言葉をいただくこともあります。そのような芳賀ゼミで、私は物事を徹底的に考えることの喜びを教えてもらいました。就職活動では広告・マーケティング関連に関わらず、自分の頭で「考える」力を試せる仕事を探したいと思っています。
経営学部 マーケティング学科
経営学部は「マネジメント」(経営管理)を中心に学ぶ学部です。青山学院大学の経営学部では、優れた研究者が教員として揃う質の高い教育環境のもと、企業や組織、ひいては個人をマネジメントするために必要な経営学の知識を、体系的に身に付けられるカリキュラムを用意しています。デジタル化時代に応えるべくデータ分析にも力を入れており、その学びを通して論理的思考力を養います。
時流に流されない基礎理論をしっかり学び、その上で人々が幸福に生活できる在り方を追求する、これが「青山マーケティング」の理念です。マーケティング学科では、いつまでも色あせない理論と、それを生かすための知識やデータ分析などのスキルを体系的に身に付けます。そして、それらを実習系の授業で実践し、あらゆる社会で生かせる力を養っていきます。