学びが広げる
「地域」へのアンテナ

掲載日 2020/3/5
No.17
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学科 1年
岩下 貴史
IWASHITA Takashi
山梨県立甲府第一高等学校出身

OVERVIEW

地域やコミュニティの創造、活性化に貢献する
知識や技術を実践的に養う
コミュニティ人間科学部。
2019年度に開設された新しい学部では、
「1期生」となった学生たちが、それぞれの夢や目標に向かって、
主体的に学びを進めています。

先生と一緒に学びをつくる。
「1期生」ならではの喜び

高校時代、地元である山梨県の地域活性化とグローバルな社会課題を複合的に捉え、解決策を探る活動に取り組んでいました。地域やコミュニティに関する学びに興味を持ったのは、この活動を通じて、自分が暮らす地域の実情に目を向け、深く調べるようになったことがきっかけです。
私には、芸術にかかわる世界で活躍したいという夢がありますが、そう思うようになった理由にも、実は「地域」が関わっています。
私の地元では、毎年、一般の子どもたちが出演するミュージカル公演があり、私も小学校1年生から中学校2年生まで参加していました。そこで歌や演技で自分を表現することに喜びを感じ、舞台に立つ仕事に憧れを抱くようになりました。
このミュージカルは、地域の芸術振興事業の一環で企画されていたもので、練習場所は公民館、公演は市の文化ホールで行われています。高校時代に地域に関する学びに興味を持った時、自分が幼いころから参加し、楽しみ、夢を抱くきっかけになったミュージカルもまた、地域に根差した活動の一つだと気付きました。思わぬところで自分と地域が深く繋がっていたことが分かり、地域をより身近なものとして捉えたことも、大学で地域やコミュニティについて学ぼうと決意した要因の一つだったと思います。

コミュニティ人間科学部は、私の入学と同時に誕生した学部です。私は、新しいことへの挑戦に喜びを感じるタイプで、実は高校でも新しい学科の1期生として入学しました。新設の学部に対する不安はなく、むしろ、先生方と一緒に新しい学部を作り上げていくことができる、という期待を抱いて入学しました。実際に、高校時代に取り組んだ地域課題解決に関する活動の情報を先生に提供したこともあり、一方的に教えていただくのではなく、先生方と力を合わせて学びをつくっていくような自由度の高い学部だと感じています。
コミュニティ人間科学部は、4年間、相模原キャンパスで学びます。相模原キャンパスの第一印象は「とても過ごしやすい場所」。青山学院大学といえば、おしゃれで都会的な青山キャンパスのイメージが強かったのですが、オープンキャンパスで初めて相模原キャンパスを訪れた時、地元と似た雰囲気に居心地の良さを感じました。キャンパスは木々や芝生の緑にあふれ、建物もきれいなので、落ち着いて学ぶことができます。

自分の常識を超え、
「地域」を総合的に理解する

大学で学び始めたころに驚いたのは、身近だと思い込んでいた「地域」に関することでも、実は知らないことばかりだったということでした。それは、自分が今まで地域を「自分の常識」でしか見ていなかった、という気付きを得られたということでもあると思います。

特に印象に残っているのは、地域やコミュニティを支える法律や条例について学んだ「地域行政原論」の授業です。地域にはさまざまな組織や施設があり、多彩な活動が行われていますが、大学で学ぶまで、その背景にある地方自治法などの法的な裏付けを意識したことはありませんでした。法律や条例に軸足を置いて地域を捉える、という視点は私にとって新鮮なもので、とても興味を引かれました。
また、地域のさまざまな活動の背景にあるのは、法律だけではありません。多くの自治体が策定している「総合計画」についての学びも、非常に印象深いものでした。地域住民を対象にした行政の施策の中には、「子ども」「高齢者」「障がい者」などターゲットごとに独立して行われているように見えて、実は総合計画によって相互に関連付けられているものも多くあります。その一つに、コミュニティ・スクールがあります。
地域住民や保護者が学校運営に参加する「コミュニティ・スクール」制度は、今、全国の学校で進められていますが、一部の自治体では総合計画に基づいて進められています。「学校のことは教員や教育委員会が決めるもの」と考えていたのですが、学校と地域という異なるコミュニティが繋がり、「子どもの教育」という目的のために力を合わせて活動する仕組みがあると知り、地域の役割が広がっていることを感じました。
この1年間で、普段の生活の中でも「地域」や「コミュニティ」に対するアンテナが高くなったことは、自分にとって大きな変化です。

大学で学び始めてから、道を歩いていても「こんなところに公民館があったんだ」「ここはコミュニティセンターだったのか」と、地域のさまざまな施設に気付く機会が増えました。子ども会のイベントや高齢者サロンのチラシがあると、どんな活動をしているのか、誰が主体となって運営しているのかなどをチェックしています。新聞では、一面や社会面だけでなく、地域面に掲載されている記事も読み込んでいますし、「地域密着」とうたっている店の折り込み広告があると、どんなサービスかに興味を持つようになりました。そうした日々のたくさんの気付きを通じて、さまざまな立場の人が地域のことを考え、行動しているということを実感できるようになったと思います。

また、学び方そのものも大きく変わりました。高校までは、授業で学んだことをそのまま自宅で復習していましたが、大学では、授業の内容に対して自分でどこまで考えを深めていけるかが重要です。そのため、授業で先生が話した事柄に対して、自ら考え、メモを取り、本などを活用して調べ、より深く理解することを心掛けています。授業中に疑問を感じたり興味を持ったりしたことがあれば、研究室を訪ねて先生に直接お話をうかがうようにしています。どの先生も、学生を快く研究室に受け入れてくださるので、興味を持ったことに主体的に取り組みやすい環境だと感じています。

芸術を利用して
地域コミュニティを創り、
盛り上げたい

コミュニティ人間科学部は、1年次に基礎を学び、2年次から5つの履修プログラムから、より実践的に学んでいきます。私は、コミュニティ創生計画プログラムを中心に、地域やコミュニティを「創り出す」ための知識や技術を学びたいと考えています。そして、大学での専門的な学びと舞台人として活動した経験を融合させ、いつか芸術を使って地域コミュニティを盛り上げる活動をしたいと思っています。
2年次からの学びで、特に楽しみなのが、実際に地域活動に参加しながら学ぶ「地域実習」です。芸術を活用した活動に取り組んでいる地域で学んでみたいと考えており、伝統芸能や地域の祭りに関する実習先を検討しています。今は担当する先生方にお話をうかがいながら、どう学びを進めていくかを具体的に考えているところです。
また、芸術による地域振興に、年齢や性別は関係ありません。コミュニティ創生計画プログラムの授業だけでなく、女性、子ども、高齢者などほかのプログラムの専門分野の先生方からも学び、多角的な視点を身につけていきたいです。

地域に貢献できるような俳優やダンサーになりたい、と言うと「ではなぜ大学で学んでいるの?」と聞かれることがありますが、私はある職業に就きたいからといって、それに関する大学、学部で学ばなければいけないとは思っていません。入学後、コミュニティ人間科学部学部長の鈴木眞理教授が「この学部に入ったからといって、みんなに市町村の職員になってほしいというわけではない。将来、自分がやりたい仕事をしながら、学部で学んだことを糧に地域やまちづくりに携わり、何らかの形で地域に貢献する存在になってほしい」と話していらっしゃる動画を見て、自分の考えが間違っていなかったと感じることができました。
この学部で、地域に関する専門的な知識と幼い頃からの夢を融合させる方法や視点を身につけ、いつか地域に還元することが今の私の目標です。そのために、4年間しっかり学んでいきたいと思っています。

コミュニティ人間科学部の学び
コミュニティ人間科学部1年次のカリキュラムに対する岩下さんのコメント

この1年間で、「地域」や「コミュニティ」をふかんして理解するための視点や知識を身につけることができました。

在籍している学部

コミュニティ人間科学部

2019年4月、相模原キャンパスに、青山学院大学の11番目の学部としてコミュニティ人間科学部が誕生しました。この学部は、青山学院のスクール・モットー「地の塩、世の光」を体現して、地域貢献・社会貢献を強く意識した学部です。地域社会を、自律的な行動ができる人びとによって構成される「コミュニティ」にしていくこと、そのために人びとを支援すること、学生自身がそのような人間になっていくことをめざしています。地域社会と人々に関わる「子ども・若者活動支援」「女性活動支援」「コミュニティ活動支援」「コミュニティ資源継承」「コミュニティ創生計画」の5つのプログラムを設け、多様な実習を行い、さまざまな世代の人たちと一緒に互助・共助の理念のもとに活動し、「コミュニティに向き合える人間」を育成します。

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