理工学部 物理・数理学科
位相幾何学

中山教授からの
Message

理工学部 物理・数理学科 教授
中山 裕道

2021年度より、物理・数理学科は、「物理科学科」「数理サイエンス学科」に改編されます。新しくスタートする数理サイエンス学科では、数学の基礎を学ぶとともに、数理科学に関する事柄について学び、数学を現実社会の諸問題の解決に役立てる力を養います。中山研究室では、幾何学の中でも図形の性質について調べる位相幾何学を研究しています。

Q.研究内容について教えてください。

 位相力学系の分野で、常微分方程式の解を幾何学的に調べています。「幾何学的に調べる」とは、イメージしやすい言葉に言い換えると「図に描く」ということです。
 解を調べる時は、具体的に調べることも大切ですが、解を導く過程を図に描いてみることも重要です。たとえば、気象現象は気温や湿度による微分方程式を用いて表すことが可能で、近似解を式で表して具体的に明日の気温を予想することができます。一方、その解を図に描いてみる、つまり天気図のような図に表すと、「明日は晴れそうだな」と誰でもおおよその予想をすることができます。こうした図を見たときの幾何学的直感が、新しい指標の発見へと繋がり、自然科学を深めていくことにもなるのです。

Q.学生たちはどんな風に学んでいるのでしょうか?

 学部生は、高校までの数学の知識に大学で学んだ線形代数の要素を加えて、誰も答えを知らない問題を解くことに挑戦しています。先日のセミナーでは、実際には平地なのに坂道に見える「おばけ坂」の写真を数理的に解析し、坂の傾斜が何度に見えるかを計算しました。さらに、エッシャーのだまし絵のような複雑な図も、射影幾何学に基づいて解析していきます。大学院生は、学部の4年までに学ぶ関数論の知識だけを使い、図形の一部に図形全体と相似な形を含むような「フラクタル図形」に関する未解決問題の解決に取り組みます。
 学部生も大学院生も、研究の最終段階では、解析に基づいて新作のだまし絵やフラクタル図形のグラフィックを作成することを目指します。学生たちは、週1回のセミナーのほかに自主セミナーも開くなど、積極的に学んでいます。

Q.学生を指導する際に心掛けていることや、 伝えたいことは?

 学生たちには、答えを教えてもらおうとせず、自ら考える力を付けてほしいと考えています。さらに、問題そのものも自分で探してほしいと思います。ある学生は、遊びに行ったテーマパークの建物が実際より高く見えるように工夫されていることに興味を持ち、今、その建物が何メートルに見えるように設計されているかの研究に挑戦しています。自分が面白いと感じた問題を研究し、自らの力で誰も知らなかった解にたどり着こうとする、そうした自主性や積極性を発揮して学んでいく力を大切にしたいと思っています。
 私も、学生時代から30年以上、“まだ誰も答えを知らない問題”であるゴットシャーク予想に取り組み続けています。数学の楽しさは、誰も答えを知らない問題を解いた時の喜びにあります。それは、中学生でも、大学生でも、研究者でも変わりません。学生には、研究を通じてぜひ数学の楽しさを味わってほしいと願っています。

学生の
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大学院理工学研究科理工学専攻基礎科学コース博士前期課程2年
東京・私立多摩大学附属聖ヶ丘高等学校出身
安井 崇さん

 大学で数学を研究しようと考えたのは、高校時代に読んだ科学雑誌で、それまで学んできた整数のほかに、小数の次元があることを知って衝撃を受けたことがきっかけです。非整数の次元を扱う幾何学の研究室であること、そして、私たち学生の質問に時間をかけて丁寧に答えてくださる先生のお人柄に惹かれて、中山研究室を選びました。現在は、フラクタル図形の一つであるジュリア集合の図形の性質についての研究に取り組み、複雑な図形をよりきれいに描くための方法を追究しているところです。

 中山先生は、学生が自発的に興味を持つようなお話で導いてくださる方で、「こうするべき」とレールを敷くことはありません。中山研究室での学びを通じて、私自身、自ら研究を進めていく主体性を大いに伸ばすことができたと感じています。研究に行き詰まった時には学生同士で相談し合うことも多く、自主性を重んじつつ、一つの事柄を複数人で考え、多角的な視点を養うスタンスも大切にしています。自分が興味を持った問題を主体的に研究したい学生には、本当におすすめの研究室です。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時(2020年8月)のものです。

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