「選手が輝くために何ができるか」を基軸に野球部主務の仕事も学部の学びも全力で取り組む
OVERTURE
2023年5月、青山学院大学硬式野球部は令和5年度東都大学野球春季リーグ戦で17年ぶり13回目の優勝を果たしました。2年次からマネージャーとして部を支える昆加奈子さんは4年次になり、伝統ある本学硬式野球部史上初の女性主務(チーフマネージャー)に就任しました。「部の全員が野球を楽しんでいること」と快挙の主な要因を分析する昆さんは、自身も野球部の活動が楽しくてしかたがないと、明るい笑顔で活動内容や思いを語ってくれました。
笑顔が似合うチームだからこそ成し遂げた優勝
17年ぶりの優勝が決まったその日、ただただ「選手たちがすごいことを成し遂げた」と感動し、胸がいっぱいでした。昨年までは観客席のスタンドでカメラを構え、少し離れた場所から応援してきましたが、今年は試合中ベンチに入り、選手たちが小さなコミュニケーションをたくさん取り合っている様子を間近で見ることもできました。選手、監督、コーチと共に、ベンチから声を出し、個の力が結集してチームの力となり、勝利を引き寄せたことを実感しています。
青学の野球部の素晴らしいところは、何より野球を楽しんでいることです。皆が笑って気持ちを一つにして今日のこの試合、この1日を楽しむ。練習でも試合でも笑顔があふれる、笑顔が似合うチームです。上下関係、役職の有無に関係なく、皆が明るく楽しく活動する姿勢が、最大の勝因だと私は思います。私自身、部活動が苦しいと思ったことは一度もなく、毎日部活に行くことが楽しくてしかたがありません。
「選手が輝くために何ができるか」を行動規範に
新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン授業が中心となり、キャンパスに行く機会も少なく、課外活動は考えられない状況でした。だからこそ、2年生になる前、今後の大学生活を充実させる活動をしたいと考え、両親の勧めや中学・高校でのソフトボールの経験から、野球部のマネージャーという選択肢が挙がりました。見学してお話を伺い、伝統ある野球部で大きな目標に向かうことに魅力を感じて入部を決めました。
マネージャーの仕事は、学内関係部署や、OB・OGとの連絡、試合のスコアなどのデータ管理、書類作成、試合日程等の部内連絡などがメインで、会社の秘書のイメージに近いと思います。「選手が輝くために何ができるのか」を行動規範に、寮で選手たちと生活を共にしている男子マネージャーと密に連絡を取り、要望・意見を素早く反映できるよう、アンテナをしっかり張ることも意識しています。
4年生となった今、主務(チーフマネージャー)を務めています。硬式野球部140年間の歴史で初の女性主務ということで、就任当初は少し話題にもしていただきましたが、実際には女性だからどうということはありません。安藤寧則監督は「自分のやり方でやっていい」とおっしゃって、やりたいことに挑戦させていただいています。例えば、選手の保護者向けに選手の試合以外の日常の姿や情報を届ける取り組みを今年から始めました。寮生活や球場へ向かうバスでの様子などを紹介して、離れて暮らす保護者の方にも喜ばれています。今後も選手や周囲の人に役立つ企画を進めようと、さらに意欲を高めています。
東都大学野球連盟では、連盟役員の学生委員会の副委員長の一人としてリーグ運営にも携わっています。大学間の垣根を越えて連盟に所属する選手達を根底から支える活動はやりがいがありますし、他大学の学生委員との交流がとても楽しく、学内の友人とは違った関係を築ける大切な存在となっています。
「世界の今」を学び、英語力と情報発信力の向上を目指す
地球社会共生学部は英語教育に力を入れ、「共生マインド」を大切にしているグローバルな学部である点や、他の大学・学部では学習機会の少ない東南アジアにフォーカスしてタイやマレーシアへの留学をカリキュラムの柱としていることに魅力を感じ入学しました。高校時代に留学経験があるので、英語には少し自信がありましたが、青学に入学して初めてネイティブ・スピーカーの先生の授業をオンラインで履修した時は、画面越しで相談相手もなく、かなり緊張していました。先生は私たちクラスメートの不安をすぐに察して、オンライン上で打ち解けられるようゲームを交えるなど学生に寄り添った授業をしてくださいました。おかげで同じ気持ちのクラスメートとの距離が一気に縮まるとともに英語へのモチベーションも向上し、今でも定期的に集まる素晴らしい友人に恵まれました。
新型コロナウイルス感染症の影響で2年次に予定されていたマレーシア留学に行けなかったことは残念でしたが、多くの先生が、海外各地での活動経験を授業で聞かせてくださり、「世界の今」を学べたことが印象的です。特に、古橋大地先生の「空間情報の取得技術」では、デジタルの地図を使って、まるでその場にいるように状況を把握する技術を興味深く学びました。戦場となったウクライナの地図データに、破壊状況や通行情報などを正確な位置にマッピングする実習を行ったのですが、実際に現地の人々が避難に活用していること、私たちが現地に赴くことができなくてもインターネットを通じて戦禍に苦しむ人々を支援できるプロジェクトだと知り、まさに「地球社会の共生」が体現された授業だと思いました。
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古橋ゼミ、ウクライナ支援として避難先の最新地図を作製
英語力をブラッシュアップするために、大学の授業とは別に、オンライン英会話のレッスンツールを使って東南アジアの人々とのフリーカンバセーションを日課にしています。東南アジアの制度や文化について現地の人たちと話していくうちに、日本で知りうる情報や考え方とは異なる認識があることに気付きました。物事の本質を見抜くためには、外からの見解だけでなく、その文化の内側にいる人の捉え方にも注目する必要性を実感しています。
3年次から菊池尚代先生のゼミナール(ゼミ)に所属し、メディアや情報発信について学んでいます。ゼミでの学びを、野球部の公式SNSやブログでの情報発信の質向上に役立てたいと思ったからです。卒業論文では、商品の特徴をCMで効果的に伝えるキャッチコピーを対象に研究を進めており、応用として、野球部にふさわしいキャッチコピーを生み出し、注目を高めることも目標にしています。
縁に感謝し、人への貢献と関わりを大切に
卒業後は、商社に就職する予定です。部活動で多種多様な人々と関わりを持つ中で、私には、商材を売りたい相手と買いたい相手を結び付け、取引の仲介をする商社の仕事が合っているのではないかと感じるようになりました。東南アジア向けのビジネスでは、学部での学びも生かせます。中学・高校とミッションスクールで過ごし、青山学院大学でもキリスト教の考え方を学んだ私は、人のために行動する隣人愛を体現する仕事という意味でも期待をしています。
地球社会共生学部は、地理的に日本の近くにありながら、先進国/発展途上国と立場が異なる東南アジアを多面的に学ぶことができ、英語力も身に付き、多様な挑戦を目指す人にぴったりの学部だと思います。自分自身の夢や目標を持って行動する学生が多く、私も大いに影響を受け成長できました。学部や部活動で結んだ縁には本当に感謝しています。
私は学生時代にしかできない思い出をつくり、充実した大学生活にしたいと野球部に入部し、希望どおり皆で大きな目標に向かう毎日が刺激的で楽しく「このまま引退したくない」と思うほどです。これから大学に入る皆さんにはぜひ、友人と共に目標に向かうような活動に参加して、充実した大学生活を送ってほしいと思います。
インタビュー動画
地球社会共生学部
地球社会共生学部(School of Global Studies and Collaboration /GSC)では、世界の人々と共に生き、共に価値を見出し、よりよい社会を共同で創造していくための専門知と実行力を備えた人材育成を目指します。タイとマレーシアなどのアジア諸国への留学をカリキュラムの柱におき、効果的な留学のための集中的な英語教育などとともに、激動する世界を視野に「地球社会」の多様性に触れ、異文化理解を深める幅広い学びを展開。世界の人々との「共生」をキーワードに、コラボレーション領域、経済・ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の専門4領域を中心に、Global
Issuesを共に解決し協働できる「共生マインド」を養います。
地球社会共生学科は、国境を超えた「地球社会」を教育研究対象としています。多角的な視点と異文化への共感力、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力をもって、さまざまなグローバル課題の解決策や持続的な社会を創造する方法を探究します。