工場の完全自動化という
目標のため効率的な
鋳造技術を研究

掲載日 2020/07/16
No.14
理工学部
機械創造工学科4年
鈴木 凜汰郎
SUZUKI Rintaro
神奈川県横浜市立
横浜サイエンスフロンティア高等学校出身
〈 2019年度学生表彰受賞 〉

2019年度学生表彰受賞理由

工業製品の生産手法の一つである「鋳造」は、現代のものづくりが求める多品種少量生産が困難とされています。そこで鈴木さんは砂型プレスキャスティング法を研究し、有用性の評価を行い、公益社団法人日本鋳造工学会の第174回全国講演大会で論文を発表。「将来への発展性のある研究成果」と評価され、学生優秀講演賞を受賞しました。

工場の完全自動化に貢献できる新しい鋳造技術を提案

私は将来FA(Factory Automation:工場全体の自動化)事業に携わり、工場の完全自動化を実現することを目標にしています。そのため、大学では生産技術に関する研究を行いました。中でも鋳造という生産手法に注目しました。その理由は、さまざまな工業製品の製造に用いられながら欠点もある手法だからです。具体的には、歩留まり※1の低さや多品種少量生産への不向きといった課題があります。そこで新しい鋳造法である砂型プレスキャスティング法※2を扱い、生産プロセスの効率化・自動化に貢献したいと考えました。
論文をまとめていくにあたっては、試行錯誤の連続でした。実験で用いた鋳物の形状が複雑であったため鋳型の作製が難しく、また実験条件の設定を何度か変えて繰り返し行う必要があったためです。学会発表までの限られた時間で成果を出すために、計画的に実験やシミュレーションを行うように心掛けていましたが、思うように成果を出せないことも多々ありました。

  • ※1 製造過程において、投入した原料や材料の量に対して、実際に得ることができた出来高の割合。
  • ※2 砂型鋳物生産技術の革新を目的に、下鋳型に湯道無しで直接注湯を行った後、迅速に上・下砂鋳型をプレスして鋳造させる方法。

ひたむきに実験と向き合い
学部生として名誉ある受賞

苦労をしたおかげで研究を進めていく難しさを学び、収穫は多かったです。本研究は、「金属の充填(じゅうてん)中に鋳型内部の様子を観測できない」という鋳造の大きな課題に対して、「鋳型内の状態を推定することを可能とする手法」を提案したものでした。学会発表に向けて発表資料を作成する中で、相手に研究成果を印象づけられるように内容をまとめる能力も身に付いたと思います。その結果、将来への発展性のある研究成果として評価され、とても嬉しかったです。
学生優秀講演賞を受賞するのは、ほとんどが大学院生であるため、学部生の私が選ばれることは全く想像しておらず、受賞を知ったときは信じられませんでした。しかし、人一倍の研究努力が報われたという達成感を得ることができました。これを励みに今後も頑張っていきたいと思います。

学会発表で得た経験を
技術者の歩みに生かしたい

今回、私の将来の目標にもつながるテーマで受賞することができたのは、田崎先生の熱心かつ丁寧なご指導のおかげであると考えています。研究を通して教えていただいた知識やアドバイスを、今後の人生にもぜひ生かしていきたいです。
大学を卒業後、新たに技術者として、鋳造という生産技術の研究を通して学んだことを生かして社会に貢献し、いつかは「工場の自動化の達成」という私の目標を実現すべく、努力していきます。

※学年や役職等は、2019年度当時の表記です。

指導教員・田崎 良佑准教授より

私の研究室は、「知技能ロボティクス研究室」として、ロボティクスと生産加工・制御工学技術を研究対象としています。さらなる技術の進展のために、企業・他大学・他研究室との共同研究にも積極的に取り組んでいます。
鈴木さんは学部生ながら、長い時間をかけて一つの問題を探究し、玄人的な解決アプローチで一定の研究成果を上げました。想定外の実験結果にも諦めず、最後まで逃げず、適度に教員の助言を求めて考え、理解する姿勢が印象的でした。2019年にスタートしたばかりの研究室で、研究設備や先輩の論文といった過去の蓄積がほとんどない状態でもエネルギーと能力を発揮し、大きな苦労とやりがいを得たと思います。今後も鈴木さんの活躍を期待しています。

右の写真は、田崎良佑准教授(左から2番目)と研究室の学生

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