人を楽しませる仕事で
グローバルに活躍
地球社会共生学部卒業
OVERTURE
大学での学びのフィールドは、キャンパス内のみならず、海外留学やインターンシップ、ボランティアを通じて世界中に広がっています。
2015年に開設された地球社会共生学部の1期生として学びを深めた谷口さんは、株式会社バンダイの社員として日本アニメのフィギュア製品を欧米で展開する事業に携わり、グローバルに活躍しています。
子ども時代から培ってきた国際感覚と英語力
私はフィリピンで生まれ、さまざまな国で過ごした後、3歳から東京で暮らし始めました。中学1年生のときには父の仕事の都合でアメリカへ渡り、イリノイ州シカゴ郊外の町で高校卒業までの期間を過ごしました。小学校時代も毎年のように海外旅行に出かけ、カナダでは、サマースクールにも参加しましたし、母が英語教師だったので英語に触れる機会には恵まれていたと思います。それゆえアメリカでも何とかなるだろうと少々楽観的に捉えていたのですが、いざ引っ越して学校に通ってみると英語力が全く足りず、一から勉強し直すという状況で必死になって言葉を身に付けました。
言語の壁こそ高かったものの、中学、高校時代を過ごしたアメリカで受けた影響は非常に大きく、それまでは内気で人見知りだった性格も主体的で積極的なものへと変化していきました。
高校を卒業する頃には、自分のことより他者のためになることをしたいという思いが強まり、将来的にはNGO、NPOのような団体での活動も視野に入れていました。自分で行動しないと何も始まらない国で生活したこの6年間がなければ、今の私はなかったかもしれません。
自分にしっくりはまった地球社会共生学部
高校を卒業して日本に帰国した当初は理系を志望していましたが、地球社会共生学部の説明会に参加して「学ぶべきことはここにある」と運命的なものを感じ、入学を決意しました。大きな方向転換でしたが、海外生活が長かった自分のバックグラウンドをそのまま将来につなげられると考え、さらに学部が掲げる「共生マインド」の理念にも強く共感を覚えたのです。ちょうど私が入学する2015年度から開設される学部ということもあり、大きな新しい組織の始まりに立ち会うことへの期待もありました。
地球社会共生学部には「メディア/空間情報」、「コラボレーション 」、「経済・ビジネス」、「ソシオロジー 」の専門領域があり、私はソシオロジーを選択していました。
印象に残っている授業は小堀真先生の「統計学入門」で、統計学専用のソフトを使った実践的な学びにより基礎を培ったデータ処理のスキルは、現在の仕事でも生かされています。
地球社会共生学部の特徴は何といっても国際的に活躍できる人材を育成する環境や仕組みがしっかり整っていることです。東南アジアに複数ある協定校への留学がカリキュラムの柱の一つだったため、私はタイ・バンコクのタマサート大学で学びました。留学に向けて、青学で英語の授業を週に6コマも受講し、英語力を確実に身に付けられるところも、グローバルな活躍を目指す学生にとって大きなメリットではないでしょうか。私自身、日本に帰国してから英語で話す機会が激減し、忘れてしまうのではないかと不安に感じていましたが、大学で毎日授業を受けていたおかげで維持できた英語力は今も仕事で役立っています。また交換留学生も多く在籍しており、彼らとさまざまな交流が図れるのも大きな魅力です。
一期生ならではの卒論と学生団体立ち上げ
ゼミナール(ゼミ)は菊池尚代先生のもとで主にメディアについて学び、実際のテレビ局の見学や、広告の分野で活躍される方をゲストスピーカーに招いてお話を伺うなど、豊富な経験をさせていただきました。卒業論文は必修ではなかったものの、今後の後輩となる学部生たちにとって重要な指標になるだろうと考え、1期生の就職についてのリサーチを行いました。30人ほどにアンケートを回答してもらった結果、就職先は多岐にわたりましたが、やはり航空業界や旅行業界など海外とつながる仕事に就く人が多いという印象を受けた覚えがあります。
学生主体の団体「GSC※学生連合」にも参加し、初代副学連長を務めました。GSC学生連合は地球社会共生学部公認の学生団体で、地球規模の課題に向き合い、より良い地球社会の創出に貢献するという学部の理念に則り、学部生や留学生、地域や世界の人々のために多様なイベントを企画、運営しています。
私は、団体内にメンバー各々が関心を寄せる内容についてプレゼンするグループを作り、充実した活動を行なっていました。ただ発足当初は具体的な理念・方針や運営内容を決めるところから始まったため、しっかりした基盤を整備するまでに半年ほどかかるという苦労もありました。それでも組織の立ち上げに携われたことは何ごとにも代えがたい有意義な経験だったと感じていますし、仲間たちと深い関係が築けたことも大きな収穫です。
※GSC…学部名であるGlobal Studies and Collaborationの略称
働くいちばんのモチベーションは人を楽しませること
大学時代には授業、サークル、GSC学生連合の活動などを通してさまざまなことに関心を抱きましたが、3年次に参加したバンダイナムコグループの合同企業説明会で、企業理念や業務内容を聞き、自分が本当にしたいのは「人を楽しませること」だと気づきました。大学時代やそれ以前を振り返ってみれば、イベントを企画し、人を喜ばせ、時には驚かせるたびに大きな充実感を得ていたので、それを仕事にできれば天職になるのではないかと、一気にモチベーションが高まりました。
バンダイは非常に風通しの良い会社で、先輩や後輩の垣根を越えて活発に意見交換ができ、良いアイデアはどんどん採用されていきます。
もちろん面白いという主観だけでは通用しないので、しっかりと分析を行ない根拠や裏付けもあわせて提示しなければなりません。その点では学部の授業やGSC学生連合で行なっていたプレゼンの経験が生かされていると思います。
現在は欧米事業部で、あるアクションフィギュアのラインを一任されています。これは複数の日本の人気アニメ作品から選んだキャラクターを、サイズやパッケージイメージなどを統一してフィギュア化した製品のシリーズで、アメリカ、イギリス、スペインなど欧米地域で展開しています。このお話をいただいた時はまだ入社から1年足らずで、しかも自分1人で大きな業務を任されることに感激しました。もちろん責任の重さやプレッシャーは感じますし、版権元、デザイナー、工場、販売会社などさまざまな相手とやり取りをするため仕事量は多く、苦労も絶えません。それでも子どもの頃から親しんできた大好きなキャラクター(キャラ)たちを、フィギュア化する企画を自ら練って世に送り出した結果、「このキャラが商品になるのを待っていた」「劇中通りの見た目だ」といった喜びの声をファンの方々からいただくと、努力が報われた気持ちになれます。バンダイは関連企業も含め、エンターテインメントを網羅的に扱っているので、機会があれば音楽や映像などさまざまな分野にも携わってみたいという思いもあります。どのような仕事に携わってもたくさんの人々を楽しませていくことが自分の使命であると同時に何よりの楽しみです。
昔から私は、立ち止まって悩んでいる時間がもったいないので、何でもすぐに行動に移してきました。大学時代は何かと悩みの多い時期ですが、行動すると新たに見えてくることもあるので、みなさんもぜひアクションを起こし、これだと思えるものを見つけてください。
谷口さんの1日
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AM 9:00
アメリカの販売会社とオンラインミーティング
(時差のため、8:00開始の日も) -
AM 10:00
チームミーティング
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AM 11:00
メール確認・対応
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PM 1:00
商品進行の確認会
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PM 2:00
彩色原形の写真撮影
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PM 3:00
サンプル確認・修正指示書作成
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PM 4:00
企画書作成
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PM 5:00
メール確認・対応
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PM 6:00
退勤
卒業した学部
地球社会共生学部
2015年4月に開設した青山学院大学地球社会共生学部では、共に生きるという「共生マインド」をテーマに、急成長する東南アジアを学びのフィールドの中心として、教養と社会科学の専門性を併せ持った、グローバル人材を育成します。世界の経済は、これまで欧米を中心としていましたが、今後、アジアを中心とした経済に変わろうとしています。また、アジアは世界最大の英語使用圏になると予想されており、コミュニケーション能力の向上が大きなテーマとなっています。
バックナンバー
電気電子工学科での学びと出会いで広がった視野、身に付いた積極性
理工学部 電気電子工学科 3年
幅広く芸術を学んで身に付いた、鑑賞力と印象を言語化して伝える力
文学部 比較芸術学科 3年
夢は日本のビジネスを支える弁護士。正確な知識と「説明できる力」で、司法試験に挑む
法学部 法学科 4年
将来を模索していた私が
経営学科で見定めた
公認会計士という目標
経営学部 経営学科 4年
研究を通して積み重ねた
挑戦と成功体験が大きな自信に
理工学研究科 理工学専攻 知能情報コース
博士前期課程2年
オリジナルの分子を使って
新たな核酸の検出手法を開発
理工学研究科 理工学専攻 生命科学コース
博士後期課程2年
*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。