理工学部 機械創造工学科
材料強度学研究室

人々の生活を守り、社会に変革をもたらす
材料の強度研究

蓮沼准教授からの
Message

理工学部 機械創造工学科 准教授
蓮沼 将太

鉄道、航空機、建築物など、私たちが日常的に利用するものはたくさんの材料を組み合わせてつくられています。乗り物や建物などがそれぞれの機能をしっかりと発揮するためには、それらを構成する材料の強度が重要になります。縁の下の力持ちのような存在である材料の強度について研究する材料強度学研究室について紹介します。

Q. 研究をはじめた動機および背景について教えてください。

私が材料工学を志したきっかけは、高等部で青山学院大学の先生が、それぞれの専門分野の話をしてくださる学問入門講座を受講したことです。その中で、1985年の日航機墜落事故は材料の疲労破壊が原因で起きたという小川武史先生の話が印象に残りました。この話から、材料はたくさんの人たちが安全に暮らすために大切なものであることに気付き、理工学部機械創造工学科に入学したのです。その後、研究者となり、昨年から小川先生の材料強度学研究室を引き継いでいます。これには不思議な巡り合わせを感じました。

Q. 研究室での研究内容について教えてください。

私の研究室では、材料の強度や疲労破壊について研究しています。疲労破壊というのは、同じ場所に何度も負荷がかかることで材料に損傷が蓄積し、壊れてしまう現象です。日航機墜落事故はもちろんですが、疲労破壊はさまざまな事故を引き起こし、多大な被害をもたらします。2017年12月に新幹線のぞみが運転を中止した事故は、台車に疲労亀裂ができたことが原因で、これも一歩間違えれば大惨事を引き起こしていました。大きな事故を未然に防ぎ、安全な社会をつくるためにも疲労破壊の研究は重要です。材料研究の効用はこれだけではなく、社会を進化させる役割もあるのです。航空機や新幹線などは、昔に比べて軽くなりました。これは軽くて強いアルミ合金、炭素繊維強化プラスチックなどが開発されたことにより、実現したことです。私の研究室では、社会を守ることと社会を進化させることのどちらにも貢献できるように、ジェット機のエンジン材料の疲労強度、自動車の溶接部の強度、バイクのギアの表面処理など、さまざまな研究を進めています。

Q. 学⽣に期待することや研究室の今後の展望を教えてください。

材料強度や疲労破壊の研究は時間も労力もかかり、根気強さや精密さが必要になります。もしかしたら、同じようなことを繰り返し行わなければならず、苦しい思いをするときもあるかもしれません。しかし、そのような地道な作業を積み重ねが、社会を支える貴重なデータや結果につながります。研究室の学生は自分の研究が社会の役に立つことをよく理解して、研究にしっかりと取り組んでくれます。機械創造工学科はペン立て製作、自転車分解、加工実習などの実習も充実しています。さらに、高度実践プログラムやラボワークなど、早いうちから研究を行うこともできます。JAXAなどとの連携大学院や共同研究の機会もあるので、さまざまな人と関わりながら、広い視野で研究を進めることもできます。本学には全国から個性豊かな学生が集まります。強度や破壊の研究を通して、社会に役立つ材料の知見と人材の両方を社会に送り出していきたいです。

学生の
Message

理工学研究科 理工学専攻 機械創造コース 博士前期課程2年
神奈川県立小田原高等学校出身
加藤 裕太

私は高校生の頃から、「将来は日本の産業界の中心を担う仕事がしたい」と考え、理工学部の機械創造工学科に入学しました。材料はどちらかと言うと苦手な分野だったのですが、産業界の中心を担うためには社会に役立つ材料を研究したいと思うようになり、材料強度学研究室に入ることを決めました。この研究室では、実験を主体とする研究から、シミュレーションやプログラミングを主体とする研究まで幅広く行っています。私は実験とシミュレーションのどちらにもとても関心があったため、そのことを蓮沼将太先生に相談したところ、実験もシミュレーションも両方できる研究テーマを提案していただき、とてもありがたかったです。3年目となった今年は集大成の年で、9月にはこれまでの研究成果をまとめて日本機械学会の第34回計算力学講演会で発表しました。公の場で研究発表をするのは初めてのことでとても緊張しましたが、発表練習を重ねたおかげで乗り切ることができました。発表が終わった後に質問をたくさん受け、興味をいただけたという手応えがありましたし、社会に貢献できそうな研究に取り組めたという自信がつきました。

私は博士前期課程(修士課程)を修了したら、住宅メーカーに就職する予定です。最初は、建築現場に配属され、職人さんたちと働くことになると聞いています。私は理工学部附置機械工作室で、実験で使用する試験片などをつくっていました。機械工作室の先生は職人気質で最初は近寄りがたい印象だったのですが、作業を通して打ち解け合い、いろいろなことを教えていただいた経験があります。そのため、会社に入ってから職人さんたちからたくさん指導していただくことで、自分が社会人として成長できると感じています。経験を積み、最終的には新しい住宅技術を開発して、社会に貢献していければと考えています。材料は社会になくてはならない基盤の分野です。社会の基礎を支えていきたいという思いのある人には、とてもお勧めです。

理工学部 機械創造工学科

理工学部は、数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人ひとりの夢と可能性を大きく広げます。
機械創造工学科は、”未来を創造する機械工学”をモットーに、4力学(熱、機械、材料、流体)を基盤とする5分野を展開。メカ・エンジニアリングに最新ソフトウェア技術を組み合わせた知見を養います。航空宇宙工学分野ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携するなど実体験重視のカリキュラムを編成し、学生一人ひとりが自ら創意工夫する力を育みます。

理工学部附置機械工作室

機械工作室は旋盤やマシニングセンタ、フライス盤、ワイヤー放電加工機など50台以上もの工作機械を保有しており、ものづくりの実践教育と最先端研究を支援しています。例えば、「ものづくり実習」の講義では金属製ペン立ての製作を通じてものづくりの一連の流れを理解します。研究に関しては、学生が実験装置の設計や加工を行う際に、その加工方法や安全管理の指導を行います。さらに、機械工作室に設置されている「AGUmakes室」では理工学部の学生が3Dプリンタを自由に使うことができます。

※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時(2021年10月)のものです。

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