掲載日 2021/3/1

地球社会共生学部 地球社会共生学科
旅行ガイドブックをもとにしたバンコクの空間分析及び観光学全般

林教授からの
Message

地球社会共生学部 地球社会共生学科 教授
林 拓也

地球社会共生学部では、グローバルな「共生」をキーワードに、ビジネスやメディアなど幅広い専門領域から学びます。本ゼミナール(ゼミ)は空間情報学の空間分析の手法を取り入れ、観光学をテーマに研究しています。

Q.地球社会共生学部をどのように捉えていますか?

 青山学院のスクール・モットーである「地の塩、世の光」を体現し、地球規模で世界の人々と共に発展を目指すという使命感の高い学部だと思っています。私自身が本学の卒業生で、卒業してからそうした本学の教育理念や温かさを実感するようになりました。地球社会共生学部開設の2015年度に、本学部の教員となり母校へ戻れたことは嬉しかったです。まだ新しい学部ですが、学部の使命感を理解し、自ら行動できる個性的な学生たちが学んでいると感じます。

Q.ゼミでの指導内容について教えてください。

 空間分析の手法を取り入れながら、観光学をテーマにした研究指導をしています。具体的には、20年分のガイドブックを用いて、同じ空間の経年変化を調査していくものです。対象フィールドは、タイのバンコクです。ガイドブックで紹介されているレストランやホテルといった施設の場所や特徴の変化を、「ArcGIS」という空間分析ソフトを使って“見える化”しています。
 例えば高架鉄道が開通した1999年度前後のレストランを調べると、開通後には掲載されるレストランの範囲が鉄道に沿って外側に広がっていることが分かりました。これは、観光客の行動範囲が広がったことを示しています。また、女性が好みそうなカフェや、サービスアパートメントのようなホテル以外の宿泊施設が掲載されるようになるなど、さまざまな変化が分かってきました。
 もともと私の専門は戦後経済史および経営史ですが、本学部のカリキュラムの柱である半期の留学に目を向けてみると、留学先で勉強だけでなく観光も楽しんでいる学生が多いわけです。そこで学生の関心が高い観光をテーマに、学際的に研究していくこともできると思いました。私にとっても新しい挑戦ですが、学生たちと共に研究成果を形にしていきます。

Q.指導する際に、心がけていることは何ですか?

 文系のゼミでイメージされる「輪読の授業」ではなく、学生と共に発見していく「研究」をします。ただ今年度はコロナ禍で、対面で細やかに双方向で進める研究作業はほぼできませんでした。そこでオンラインで専門書の輪読や新書をもとに議論を行いましたが、対面の時よりも意見を言いやすいのか、より活発な議論ができた印象があります。オンラインの方が有利なこともあると実感しました。
 とはいえ、20年分のガイドブックの分析には時間がかかるので、早く研究を再開させたいです。いずれゼミの学生全員の研究を論文にまとめることを目指しています。

学生の
Message

地球社会共生学部 地球社会共生学科4年
東京・私立跡見学園高等学校出身(2020年度ゼミ代表)
佐久山さくやまりんさん

 私は本学部の「世界規模のさまざまな課題に向き合う」という理念に惹かれて入学しました。高校の政治経済の授業をきっかけに「世界中の人々が平等に幸せに暮らせる世界をつくりたい」と考えるようになったからです。入学後は複合的な領域から学び、タイへの留学も経験する中で、観光に興味を持つようになりました。そこで、学生主体で観光のプロジェクトを企画する林ゼミを選びました。ゼミでは、自分とは違う視点からものごとを見る仲間たちの意見を聞くことができ、刺激的です。おかげで、視野を広く持つことができるようになりました。

 林先生は学生の主体性を重んじてくださいます。例えば、相模原キャンパスの留学生向けのガイドブックを学生中心で制作したり、学生の要望でOB・OGとのオンライン懇親会をコロナ禍でも実現していただきました。縦横のつながりの強いゼミで、先生のご指導のもと成長できたと思います。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時(2020年11月)のものです。

地球社会共生学部

2015年4月に開設した青山学院大学の地球社会共生学部では、共に生きる―共生マインドをテーマに、急成長する東南アジアを学びのフィールドの中心として、教養と社会科学の専門性を併せ持った、グローバル人材を育成します。世界の経済は、これまで欧米を中心としていましたが、今後、アジアを中心とした経済に変わろうとしています。また、アジアは世界最大の英語使用圏になると予想されており、コミュニケーション能力の向上が大きなテーマとなっています。専門4領域を中心に学ぶとともに、東南アジアへの半期海外留学をカリキュラムの柱の一つとし、グローバルな視点からの課題解決力を培った、真の地球市民へと育て上げます。

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*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

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