青学空手道部の強さは、客観的な課題整理・分析とチームとしての目標共有にあり!

掲載日 2024/5/21
No.302
<2022年度 学友会表彰(体育会表彰)最優秀選手受賞>
<2023年度 学友会表彰(体育会表彰)最優秀選手受賞>
社会情報学部 社会情報学科 4年
小泉 瑠寧
新潟・私立新潟第一高等学校出身

OVERTURE

体育会空手道部で主将を務める小泉さんは新潟県新潟市出身。小学2年生で有段者になって以来、県大会や全国大会などで優勝や上位入賞などの輝かしい実績を重ね、タイやオーストラリアなど、国際交流大会にも出場してきました。本学に入学後も社会情報学部で学びながら、空手道部の強豪選手として全国大会などで活躍しています。今年は主将として「内閣総理大臣杯 全国空手道選手権大会」団体戦(形の部)での3連覇を、個人戦(形の部)では初優勝に挑みます。

人生の指針になった空手道との出会い

私が空手道を始めたのは3歳の頃です。3歳上の兄が道場に通い始め、一緒について行って練習を見ているうちに自分もやってみたいと思いました。とても泣き虫な子どもで、心配した両親は兄と一緒に空手道に取り組むことで強い心を育んでほしいとも考えていたようです。道場での週3日の練習をとても厳しく感じ、何度も「やめたい」と親に駄々をこねていましたが、稽古を重ねていくうちに楽しくなって「自分は空手が強いのかも」と自覚するようにもなりました。両親の励ましもあって努力を続け、小学2年生で初段を取得することができました。

2011年(当時9歳)、タイで開催された世界大会の表彰式で師範(左)・父(右)と

それ以降、指導者の方々の期待と評価に応えたいと稽古に力を入れて、県大会や全国大会、国際大会にも参加するようになりました。中学、高校と空手道を続け、稽古を積み重ねていくうちに、自分のレベルが着実に向上していくことを実感できるようになりました。空手道の鍛錬は、競技力の向上だけでなく、人間としての精神的な成長を促してくれたと感じています。中学生までは厳しい稽古から逃げたいと思うことがあった私が、高校時代には親が心配するほど稽古に没頭するようになったのです。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)や全国大会でも実績を重ね、大学でも空手道を続けようと思い、関東の大学を中心に進学先を探しました。すでに空手道は私にとって単なるスポーツではなく、人生の指針になっていたのです。

経験者は教え、未経験者は優れた経験者と一緒に稽古する、
青学空手道部の魅力

青山学院大学を進学先に選んだ理由は、新潟の道場の先輩が青学の空手道部で活躍していて、そのご縁で高校3年の時に青学での練習に参加させていただいたことです。師範やコーチ陣の熱心で手厚い指導に魅力を感じ、「この大学なら日本一を目指すためにもっと強くなれそうだ」と確信し、入学を決めました。
将来的に、空手道を続けながら、自分が生まれ育った新潟の発展に貢献したいという気持ちがあったので、現代社会に必要な考える力と実践力を身に付けられる社会情報学部を選びました。社会科学・人間科学・情報科学の3分野から、統計手法やデータ分析を学ぶ基礎科目をベースに、システム分析・設計や高度なデータ分析など、演習やグループワークを交えて学んでいます。実は高校時代までほとんどパソコンを使ったことがなかったのですが、今ではWordやExcel、PowerPointなどを使いこなして、日々学んでいることに自分でも驚いています。

青山学院大学空手道部は男女ともに強豪選手が集まっていますが、大学から始める未経験者の入部も歓迎しています。空手道に興味を持っている、心身を鍛えたい、一生の仲間を見つけたい、未経験者の入部の目的はさまざまです。師範、監督、コーチとともに、構え、突き、蹴り、受けなど基本的な技の動作から稽古します。どんなに稽古を積んだ上達者でも、基本の稽古を欠かすことはありません。経験者は人に教えることで、未経験者は優れた経験者と一緒に稽古をすることで、より早く上達することができます。未経験者でも2年間で黒帯を取得して試合で活躍する部員もいます。空手道は「礼に始まり、礼に終わる」武道なので礼節を重んじてはいますが、部としては仲良く和気あいあいとした雰囲気であることも魅力だと思います。主将として、後輩たちの声を聞きながら練習方法や目標を定め、女子の副主将と共にチームとして一体感をつくることができるよう努力しています。「稽古体験会」を開催したり、SNSで情報発信をしたり、空手道の普及活動にも力を入れています。

2023年「内閣総理大臣杯 第65回全国空手道選手権大会」の演武(一般男子:形の部)で3位入賞

学部で学んだ知識を空手道部の稽古にも生かしています。例えば「社会統計」や「社会調査法Ⅰ」で学んだ、データ分析の手法を生かして、自分自身を含め、競合する各選手の技や立ち方を分析し、合理的かつ効果的な稽古を行うようにしています。選手によってスピードに課題があるのか、もっとパワーが必要なのかなど、それぞれが改善すべき課題は違います。空手道部では全体練習に加えて、各選手が個別に重点課題に取り組む2時間の追加練習の時間を設けています。ビデオ撮影した自分たちの稽古を見返しながら、客観的に課題を洗い直すことも行って、むやみに稽古を重ねるのではなく、個人に合わせた課題の整理と対策の洗い出し、そして目標を全員で共有することでチームとしての総合力の向上を図っていることが、私たちの強さの秘訣です。

学問と部活の両立に加えてアルバイトもしているので、苦労しているのはタイムマネジメントです。青山学院大学学生寮と社会情報学部の授業は相模原キャンパスですが、空手道部の稽古は渋谷キャンパスで行われるので、週6日往復約2時間の移動時間は勉強に充てています。慣れてくると電車の中での勉強も集中してできるようになりました。
多忙な大学生活の中で一番の楽しみは「食べること」です。実家を離れて暮らしているので、授業や稽古が終わって学生寮に帰ったとき、温かいご飯が待っているのはありがたいです。寮がある淵野辺の家系ラーメン店にもよく行きますし、部活の仲間と一緒に定食屋などで食事をしながらおしゃべりする時間は何よりもリラックスできる時間です。競技のための身体づくりとして食事をしっかり取ることを大切にしていますが、大会前は身体のキレが悪くなるので食べ過ぎないよう注意しています。

データを活用した分析力、課題を解決に導く計画力を最大限生かし、
空手道の普及や地域・社会の課題の解決に取り組んでいきたい

現在、社会情報学部では「スポーツ・コーチング論、トレーニング科学」などをテーマとする遠藤俊典先生のゼミに所属しています。遠藤先生は、東京2020オリンピック競技大会 陸上競技日本代表選手団役員をはじめ、青山学院大学 陸上競技部(短距離ブロック)監督を務める陸上競技のエキスパートです。空手道と陸上競技の短距離走はいずれも瞬発力が求められる競技で、トレーニングや身体ケアの面で共通点が多く、遠藤先生から競技力の向上を図るスポーツパフォーマンスについて、科学的かつ実践的なご指導をいただきつつ、ゼミでの研究に取り組んでいます。

大学最終学年となる今年は、これまで重ねてきた鍛錬を信じて、また主将としてチーム全体を鼓舞しながら、「内閣総理大臣杯 全国空手道選手権大会 団体戦(形の部)」の3連覇を狙うとともに、個人(形の部)はこれまで2年連続3位入賞に甘んじてきたので、今年こそは日本一を目指します。

大学卒業後も選手として空手道を続けたいと思っています。また私の人生を豊かにしてくれた空手道を年齢・性別問わず、多くの人々に知っていただき、体験してもらえるような普及活動に取り組みたいと考え、将来の進路を模索中です。現在も、寮の近くの空手道場で後輩部員と共に週に3回、地域の子どもたちの指導を行っていますが、将来的には海外でも空手道の普及に貢献する活動を行いたいと考えています。
さらに、出身地の新潟県を空手道の強豪県にしたい!という野望も抱いています。やはり自分が生まれ育った新潟という土地には特別な愛着があります。空手道の指導・普及活動や、大学で学んだ統計学やデータ分析のスキルを活用して、地域の課題解決、地域活性化に貢献できる人間になりたいですね。最後に一言「新潟のお米は日本一美味しいです!」(笑)。

2022年「内閣総理大臣杯 第64回全国空手道選手権大会」の表彰式で(右が小泉さん)

※科目のリンク先「講義内容詳細」は2023年度のものです。

社会情報学部

現実の社会には文系・理系の境界はなく、高度情報化社会と呼ばれる現代では、文系・理系の双方に精通していることがアドバンテージとなります。さまざまな社会的課題を解決するため社会情報学部においても“文理融合”の学びを追究しています。文系の「社会科学」「人間科学」と、理系の「情報科学」の各専門領域をつなぎ、各分野の“知”を“融合知”に高めるカリキュラムを整備。新たな価値を創造し、社会へ飛び立てる力を育みます。
文理の垣根をなくした「文理融合」をコンセプトに、社会・情報・人間の複数分野にまたがる学際的な学びを展開。学問領域をつなぐことで生まれる新たな価値観で、一人一人の可能性を広げ、実社会における複雑な問題の解決に貢献できる人材を育てます。

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