物理学の勉強に全力投球した大学生活。卒業後も学び続けて専門性の高い人材に
理工学部 物理科学科 4年
OVERTURE
学業成績優秀者表彰で最優秀賞を受賞することは大学生活における「最大の挑戦」だったと話す別段瑞周さん。高度な専門性を持って活躍する人材へと成長し続けられる環境を求め、三菱UFJ信託銀行のシステム・デジタル領域に就職を決めました。全力で取り組んだ理工学部物理科学科での学びや目標を達成するまでの道のりで得た成長、将来の展望をお聞きしました。
学生の意欲に応えてくれる先生方のもと物理と日常生活のつながりを探求
物理は高校時代に一番得意な科目でしたが、自分が解いている問題や計算が実際にどのようなモノ・コトに応用されているのかあまりイメージできず、物理と日常生活のつながりをもっと時間をかけて探求したいと考え、物理科学科に進学しました。
物理科学科の先生方は学生の「学びたい」という気持ちに真剣に向き合ってくださり、質問もしやすい環境です。授業では今教わっていることが身の回りのモノや現象とどのように関係しているのかも説明していただけるので、興味をかき立てられ楽しみながら学んできました。自身の成長の契機になった授業が、研究室で指導いただいている三井敏之先生との出会いにもなった、2年次前期に履修した「物理数学Ⅰ」です。自然現象を物理的に記述する際に用いるベクトルにかかわる計算を学び、その後に履修した「電磁気学」や「先端応用光科学」など、さまざまな科目の勉強に役立ちました。また、授業内で3回あったテストでは、毎回三井先生が点数と順位を教えてくださるのですが、初回のテストで履修者約150名の中から5位になれたことをきっかけに、「絶対トップになりたい!」というモチベーションが生まれました。高校生の頃は目標があってもアプローチの仕方がわからず、うまくいかないことが多かったのですが、綿密な学習計画を立てて実行し、最終的に1位という目標を達成することができ、大きな成功体験になりました。
3年次前期の「最新物理講義」では、初回の講義を半分も理解できず、今まで精一杯やってきたつもりだった勉強の取り組み方に問題があったのではないかと少しショックを受けました。しかし、丁寧に見直してみると、それまで蓄えてきた知識をつなげて考えることができていなかっただけだと気が付き、研究においては「知識をどのように生かすか」が大切だと知ることができました。2年次後期までに履修した「物理学演習Ⅰ」「物理学演習Ⅱ」「物理学演習Ⅳ」はそれぞれ重要な科目に紐づいた演習授業で、ほぼ毎週小テストもありました。そのために復習を欠かさず繰り返していたので大変ではありましたが、後の研究を濃いものにするために知識を定着させる最高の機会であると捉え、全ての小テストで満点を目指すという「小さな目標」を設定しました。以前なら面倒だと感じていたことも、考え方ひとつで意義のある時間にできるとわかり、生活の中のさまざまなところに成長の好機が隠れていると感じるようになりました。
研究ではシステムづくりにも挑戦。手厚いサポートが成長を後押し
所属している三井研究室では、物理的な実験や解析による生命現象の解明に取り組んでいます。研究に必要なシステムや機械を自分たちで手作りしていくのが特徴なので、研究室を選ぶ際には、その過程で多くの技術力が身に付くことを期待しました。また、前述の「物理数学Ⅰ」で親身になって学生に対応してくださる三井先生の優しいお人柄を感じていたのに加え、3年次に卒業研究発表会を聞きに行った際も、普段から研究室内のコミュニケーションが活発であることが感じ取れ、三井先生からいろいろ学びたいとより強く考えました。
私の研究テーマは、「環境的要因が胎児の先天性疾患を引き起こすメカニズムの解明」です。ニワトリ胚を実験モデルとして、殻の外で卵を成長させる無殻培養法を用い、カフェインの滴下や、超音波の照射などによって心臓の発生過程にどのような影響があるのか観測しています。今は研究環境を整えている段階で、成長していく心臓の写真を撮り続けることを目的に、LabVIEWという計測・制御プログラムの開発ソフトウェアを用いてオートフォーカス機能を実装したシステムの構築などを行っており、これまで学んできた知識が実際に使える技術に変わってきていることを実感します。
ほぼ0の状態からさまざまなことを進めなければいけないのは容易なことではないですが、先輩方が快くサポートしてくださいますし、常に進捗状況を三井先生に報告し、何か困ったことがあればすぐに相談しているため、どうしていいかわからなくなった経験はありません。さらに、初めて使用する工具の使い方を自ら教えに来てくださるなど、三井先生が多くの時間を私たちに割いてくださるおかげで、成長しやすく、充実した時間が過ごせています。卒業まであまり時間もないため、どこまでできるかわかりませんが、まだ謎が多く、大変需要のある研究テーマだと思うので、少しでも人の役に立つ研究にできたらと思います。
最優秀賞の達成と同時に、目標は就職へとシフト
学部卒業後の進路については、当初は大学院に進学する以外の選択肢を考えていませんでしたが、2年次後期に青山スタンダード科目の「キャリアデザイン基礎」を履修したことで視野が広がりました。自分が将来どのようなキャリアを築いていきたいのか早い段階で考えることで、やるべきことが明確になるため、就職活動を始める前にこの授業を受けることは大変有意義だと思います。私はこの授業を通して、出した結果をしっかり評価してくれる会社で働きたいということ、そして望む条件がすべてそろった職場は狭き門だということなどに気が付き、チャンスを増やすべく、大学院進学の選択肢を持ちながら学部卒の採用試験にもチャレンジすることを決めました。
就職活動において何かひとつ「しっかりやり切った」と言えるものを形として残したいと思ったことから、「首席になる」という目標を立てたのもこの時期です。試行錯誤のうえ、曜日ごとに勉強する科目を決めて、同じサイクルを繰り返すことで、全科目漏れなく頭に入れるという勉強法を編み出し、全力で勉学に励みました。実際に最優秀賞の受賞を知ったときはとてもうれしかったのはもちろんですが、同時に「自分が求めるキャリアを築ける会社に入る」という次の目標に意識がシフトし、学部卒での就職を本格的に目指すことにしました。
就職先に求めたのは高度な専門性と成長できる環境
志望業界は「専門性が高い」「大学で培ってきた理系の素養が生きる」「計画的に取り組み、高い目標を達成するという自分の強みが発揮できる」という3点を軸に、希望する待遇や評価制度が整っていることも重視したところ、金融業界に魅力を感じ、その中でも銀行に絞り込みました。そして、いろいろな種類の銀行でインターンシップ(インターン)を経験し、一般的な銀行よりもさらに高い専門性が求められる信託銀行が、自分の望む環境に合致していると感じました。
中でも三菱UFJ信託銀行は、大学での学びが生かせるシステム・デジタル領域への初期配属が確約された採用枠があるのが大変魅力的でした。大学生活の中で最大の挑戦でもあった首席という目標を達成したこともあり、ある程度自信を持ってインターンに参加しましたが、同じ学年にもかかわらず、知識やスキルが自分よりも圧倒的に多い人たちと出会ったことで、現状に甘んじることなく、まだまだ努力していかなければいけないのだと痛感させられました。実際に働いている社員の方々の知識の広さや深さも抜きんでていると感じ、他社では感じられなかった「ここで働いてもっと自分を成長させたい」という感情が湧きました。幸いにも内々定をいただくことができたので、卒業後も自分を高め続け、自分だけの価値を発揮できる人間になりたいです。
大学生になると自由に使える時間が多くなりますが、その分大切な4年間をどう使うかは自分次第なので、それによって将来が変わってくると感じています。私は物理学科の勉強を突き詰める中で、どんなことにも意味を見出し、主体的に取り組む姿勢や高度なスケジュール管理能力など、社会人になっても役立つ力を身に付けることができました。ぜひ皆さんも頑張って何かひとつやり切ってみてください。
別段さんの就職活動スケジュール
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<3年次> 2023年 10月
業界研究・テスト対策を開始。インターンシップのエントリーシート提出
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<3年次> 2023年 11月~ 2024年 2月
7、8社のインターンシップに参加
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<3年次> 2024年 3月~
本選考
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<4年次> 2024年 6月
三菱UFJ信託銀行に入社を決め就職活動終了
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
理工学部 物理科学科
青山学院大学の理工学部は数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。
物理学はシンプルな根源原理を理解することによって、幅広い科学分野に応用できる学問です。物理科学科では、基礎物理学をはじめ、固体、宇宙、生物といった対象が絞られた分野、さらには超伝導、ナノテクノロジーなどの最先端応用分野まで、さまざまな階層・スケールサイズの物理学をカバーします。充実した設備環境での実験・演習形式の授業により、理解を深め実践力を高めます。