実践的なフランス語と
専門分野の学びで
さらなる高みをめざしたい

掲載日 2022/12/1
No.198
文学部
フランス文学科 3年
福田 さくら
神奈川県立神奈川総合高等学校出身

OVERTURE

ドビュッシー、ラヴェル、モネ、ルノワール……、幼い頃からフランス印象派の音楽や絵画が好きだったという福田さくらさんは、高校1年生からフランス語の勉強を始めました。留学生との交流や自身の留学経験などを通し、コミュニケーションツールとしての“言葉の大切さ”を実感。より他者と理解し合うために「言語」を専門的に学びたいと考えるようになったそうです。本学科での学びを経て、ますますフランスに対する興味の幅が広がったという福田さんにお話を伺いました。

相手とより理解し合うために「言語」を学ぶ

高校時代は、部活や授業にフランス人の留学生が参加したり、反対に私が2週間のフランス短期留学に参加したりという機会がありました。その時は「相手のことを理解したい、心から仲良くなりたい」という強い思いがあり、拙いフランス語に身振り手ぶりを交えて懸命にコミュニケーションを図ったものです。徐々にお互いの気持ちが伝わるようになり、小さなことでも意思疎通ができた瞬間の感動は今でも忘れられません。
高校時代に何度も経験した“相手と気持ちが通じた時の感動”や“言葉の大切さ”は、私にとって何ものにも代え難い宝であり、「文化の成り立ちや背景、思想などを学び、より深く理解し合いたい」と考えるようになりました。その手段のひとつとして、大学で「言語」を専門的に学ぼうと考え、大好きなフランス文化をより理解するためにも本学科への進学を決めました。

恵まれた学習環境を最大限に活用して語学力を磨く

毎回興味深く取り組んだのは、「フランス語速読Ⅰ・Ⅱ」。300語程度の文章を読解する授業です。読解技術の習得はもちろんのこと、テキスト教材がフランスの歴史や文化を扱う内容なので、いつも新鮮な発見があります。これまでにさまざまなテキストを読解しましたが、特に印象に残っているのが「エイプリルフールの起源」「フランスの迷信」「オペラガルニエの地下空間」です。速読というだけあってスピード感に満ちた授業で、いつも頭はフル回転。講義後の達成感がとても心地良いです。
本講義を受けて以来、文献を読む際に単語の関係や文の構造が“見える”ようになり、読解力が確実に向上しました。実用フランス語技能検定試験においても授業で勉強した構文や単語が頻出し、学びが身に付いてきたことを実感。授業前に行われる動詞活用の小テストは、講読や作文のレベルアップにも役立っています。

作文の授業としては、「エクスプレシオン・エクリットⅠ・Ⅱ」(フランス語作文)に取り組みました。毎回異なるテーマがあり、それに沿った語彙や文法を先生が解説。その後、200語弱のエッセーを書きます。いつもとても丁寧に添削してくださるので、授業後に書き直して復習しています。この授業のおかげで文章表現のバリエーションが増え、自分の意見を細かな部分まで伝えられるようになり、フランス人の友人とのメールで「上手になったね!」と褒められることも増えました。授業はすべてフランス語で、冒頭にディクテーション(聞き書き)を行うこともあり、リスニング力も向上しています。学びの成果をひしひしと実感する毎日です。
2年次からは、研究対象としてフランス語の地域性に着目しています。「フランス語学演習Ⅰ」の授業で、標準的なフランス語と、南仏・ケベック(カナダ)・スイスで使われているフランス語とを、発音・語彙・文法などの観点から比較分析。特徴をまとめてプレゼンテーションを行いました。国や地域によってその土地の歴史と結びついた多様なフランス語が存在する事実を知り、その奥深さに魅了されています。担当教員の方が話されるフランス語はとても美しく、先生をお手本に発音を猛特訓中です。今後はフランス語話し言葉コーパスを用いて、特定の単語や表現、語法などの使われ方が、相手や状況によってどのような特徴が見られるのかを研究したいと考えています。
本学科にはオリジナルのオンライン学習教材があり、ネイティブ・スピーカーによる会話動画の視聴で、ディクテーションの特訓や、会話音声に関する設問の回答、単語の並び替え、問いに対する自分の考えを録音し、ネイティブの先生が採点してくださるシステムがあります。学問を探究するほどに、もっとフランス語を流暢に扱えたら、より具体的かつ体感的に研究を進められるのに、と歯がゆく感じています。これからも、本学科の学習環境を最大限に生かし、フランス語の運用能力をさらに向上させていきたいです。

法と社会に対する関心の扉が開いた

本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目で印象的なのが、「法学(日本国憲法を含む)B」です。憲法・民法・刑法などの法律を、先生が準備された事例や実際の事件のドキュメンタリーを使って実践的に学習します。先生のお人柄が親しみやすいうえ、参考資料や講義内容の視点が鋭いため、時には死刑制度といった重いテーマを扱いますが、毎回授業に引きこまれました。そして、法学分野の勉強がとても身近に感じられ、社会生活に直結していることを強く実感しました。さらに確実に法的思考が身に付いていることに自分でも驚きました。授業中のディスカッションでは、皆の意見や判例を聞くことでより多くの可能性に気づき、深く考えれば考えるほど自分の意見がまとまらなくなってしまうこともあり、答えの見えない厳しさを実感しました。
この授業で得たものは、「法」と「社会」への興味・関心が増し、主体的な学びができるようになったことです。講義で取り上げた法律について六法全書で判例と共に確認したり、実際に裁判を傍聴したりしました。傍聴を経験して初めて、裁判というものは決して別世界の話ではなく、私たちの日常生活の延長線上にあるのだと理解できました。

語学、文学、文化……、尽きることのない興味

入学した当初は言語学を専攻すると心に決めていたのですが、「フランス文学史概説Ⅰ・Ⅱ」や「フランス文学特講Ⅱ」などを受講して、文学のおもしろさや思想の奥深さに目覚め、言語学と文学、どちらの分野をより専門的に学ぶべきか迷い始めています。多くの文学作品と作家に出会い、フランス人の考え方や価値観に触れたことで、日常のちょっとした出来事に対して「日本ではこう考えることが多いけれど、フランスならどうだろう?」と、異なる視点を意識的に持とうとするようになったことも、成長した部分だと考えています。また、もともとフランス文化が好きで始めたフランス語なので、文化を深く研究したいという気持ちもあり、自分でも困惑してしまうほど興味・関心の選択肢が広がっています。専門分野については熟慮を重ね、より高みをめざせる道を選ぼうと思います。

将来は、本学で得た知識や技術を生かして日仏交流の一助になりたいと考えています。まだ具体的には決めていませんが、まずは企業に就職して社会経験を積むつもりです。一方、教職課程も履修しており、いつかは高校教員として教職に就き、これまでに出会った先生方が私に見せてくださった多くの感動と驚きに満ちた世界を、今度は私が生徒たちに伝えていきたいという夢も抱いています。

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

文学部 フランス文学科

青山学院大学の文学部は、歴史・思想・言葉を基盤として、国際性豊かな5学科の専門性に立脚した学びを追究します。人間が生み出してきた多種多様な知の営みにふれ、理解を深めることで、幅広い見識と知恵を育みます。「人文知」体験によって教養、知性、感受性、表現力を磨き、自らの未来を拓く「軸」を形成します。
フランス語はヨーロッパ文明を築いた美しく理性的な言語です。フランス文学科では初学者にも既習者にも配慮した学習環境を整えています。1・2年次の集中的なカリキュラムでフランス語の基礎力をしっかりと身に付け、その後に多彩な演習と特別講義で知識を深めます。専門分野は「文学」「語学」「文化」から選択。実践的なフランス語能力の習得と、国際社会で活躍できる優れた人材の育成を目指します。

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