子どもの可能性を伸ばし
誰もが自分らしくいられる
環境づくりをめざす

掲載日 2022/12/8
No.200
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学科 4年
諏訪 依吹
神奈川・私立横須賀学院高等学校出身

OVERTURE

地域における真の社会貢献を探求するため2019年4月 開設のコミュニティ人間科学部。「実践知」を重要視するこの学部では、教育学の理論や社会学の手法に基づいた体系的な思考法で地域社会の課題とその解決方法を考案し、行動することが学生たちに求められます。 5つの履修プログラムから「子ども・若者活動支援プログラム」を選択した、コミュニティ人間科学部第1期生の諏訪依吹さんは、子どもをめぐる地域の福祉や教育について学んでいます。学業やインターンシップ、ボランティアなど、アクティブに取り組む学生生活を紹介してもらいました。

授業を通して、子どもの福祉・教育の多様性に関心をもつ

私は「人の気持ちに寄り添いたい」という思いから、福祉や教育について学びたいと考えていました。コミュニティ人間科学部は「地域の人々と向き合える人材を育成する」ことを目標に掲げており、多彩なカリキュラムを通して地域課題を多角的な視点で学ぶことができる点に魅力を感じました。進学を決めた時点では、まだ、「子ども」に焦点を当てていたわけではなかったのですが、1年次に「青少年活動支援原論」の授業で、子どもの成長には多様な体験が必要不可欠だと実感したことをきっかけに、「子ども・若者活動支援プログラム」を選択すると決めたのです。
私が所属するゼミナール(ゼミ)の担当教員である菅野幸恵先生の「地域と家族・子育て」という科目は、就学前の子どもが育つ場・育てる場としての「地域」に着目した授業内容です。就学前の子どもが育つ場というと日本では幼稚園や保育園等が一般的ですが、この授業では認可外保育や野外保育を取り上げ、その背景にあるさまざまな課題について多様な実践例をもとに理解を深めていきます。そのなかでも、とりわけ心に残ったテーマが「三間の喪失」と言われるものです。子どもたちが遊ぶ「時間・空間・仲間」が喪失している現状を表す言葉で、子どもを取り巻く状況の変化に大きなショックを受けました。
子どもは幼稚園や保育園に通うことが当たり前だと思っていましたが、この授業を受けてからは、固定観念にとらわれず子どもや保護者が居心地の良い場所を選ぶべきだと考えるようになりました。自主保育や森のようちえん、またそのような団体のネットワークである「NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟 」 などの存在を知り、その魅力に惹かれていきました。しかし、こういった施設は認知度が低く、選択する人はまだまだ少数派であるのが現実です。
「子ども主体」の重要性を学び、現場での実践を積みたいと考え、現在は森のようちえんネットワークに加盟している 横浜市の「NPO法人もあなキッズ自然楽校 」の認可外保育園と学童保育にインターンシップとして参加しています。畑で野イチゴを摘んで食べたり、雨の日はレインコートを着て泥合戦をしたり、自然の中でのびのびと成長していく子どもたちの姿に感動しています。また、職員の皆さんの姿勢や考え方を吸収し、学業に反映させています。

「繋がり×安心×夢」というテーマでプロジェクトを推進

菅野ゼミでは「子育ち・子育て」のさまざまな課題について、関連文献の講読や実践理解を通して、メンバーと個々の意見を共有しています。アットホームな雰囲気の中、お互いの考えや価値観を認め合いながら学びを深めていく環境はとても心地良く、それが菅野ゼミの魅力だと感じます。フィールドワークでは、鎌倉にある「青空自主保育でんでんむし 」や、「渋谷はるのおがわプレーパーク 」に赴き、その取り組みについて学んでいます。

私はゼミで「繋がり×安心×夢」というテーマのプロジェクトを推進し、子どもたちが安心できる空間で、人との繋がりによって刺激を受け、可能性を伸ばすために必要な環境づくりを模索しています。本プロジェクトは、私が学科で学んできたことの集大成ともいえるものです。「青少年活動支援原論」で体験活動の意義や課題を学んだことをきっかけに、子どもの自然体験プログラムを運営するNPO団体のボランティアリーダーを務めたのですが、その経験を学問として体系化するため「青少年自然体験活動論」を履修しました。子どもと関わる目的の明確化が重要であることを学び、活動をより有意義なものにできていると手応えを感じています。自然体験プログラムに参加している子どもたちは、みんな可能性にあふれてキラキラ輝いています。しかし、「子どもの貧困と社会的ケア」の授業で取り上げられていたのは、将来への希望も選択肢もない子どもたちの存在でした。実際、インターンシップをしている学童保育でも、そのような子どもたちに出会いました。こうした経験から、子どもたちが持つ可能性を最大限に伸ばすことができる環境をつくりたいと考えるようになり、ゼミでのプロジェクトにつながりました。
菅野先生の授業を履修したことで、多様な子育てのあり方を知り、親も子どもものびのびと過ごすことができる地域の魅力に気づくことができました。今は、「自然」「自由」というキーワードのもと、多彩なフィールドワークに携わり、研究を重ねています。

NPO法人オーシャンファミリーにてボランティア研修会を実施した際の団体撮影

大人も子どもも自分らしく輝ける居場所をつくりたい

本学部ならではの授業に「地域実習」があります。実習先は全国各地にあり、約30のプログラムから選択して現地に赴き、実習を体験するというものです。私は神奈川県綾瀬市でプレイパークを運営している「NPO法人ドリームプレイウッズ 」の活動※に参加しました。プレイパークとは子どもの冒険遊び場で、禁止事項に縛られることなく、自由に遊べる居場所です。ここで子どもの遊びの現場とそれを可能にするボランティアの活動、行政との連携などについて体験的に学習しました。自分の関心のある現場での実習だったので、より深い学びを経験することができました。
私は多くの学びと貴重な体験に恵まれ、やりがいのある毎日を過ごしています。ゼミで「繋がり×安心×夢」プロジェクトを進めていて実感したのは、子どもの成長には周囲の大人との関係性が重要であること。子どものお手本となる大人たち自身が生き生きと自分らしく躍動できていなければ、子どもの可能性を広げることも困難であると感じます。将来は、誰もが自分らしくいられるような居場所や、活躍できる環境づくりに携わりたいと考えています。

※ドリームプレイウッズでの活動については、AGU LIFE「地域の実情を知り、課題解決の力を育む地域実習」でも紹介しています。

地域実習にて「ウコン」を収穫した際に「ウコンの花」と一緒に

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

コミュニティ人間科学部

コミュニティ人間科学部では、日本国内の地域に着目した社会貢献を追究し、地域文化とそこに暮らす人々の理解を深め、より良いコミュニティ創造に寄与する力を培います。幅広い知識の学び、体験し行動するプログラムを通じて、自ら課題を発見・解決し、地域の人々との互助・共助のもとにコミュニティの未来を拓く力を育成します。
日本の地域社会は、高齢化や過疎化などさまざまな課題に直面しています。その解決に力を発揮するには、地域の人々に接し、活動の実際を知り、共感する体験が重要です。コミュニティ人間科学科では、地域の人々や行政についての学びをはじめ、市町村やNPOと連携した体験的実習などを展開します。専門家として、地域社会の構成者として、地域の活性化や持続的な活動支援ができる人材を育てます。

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