ジェンダーへの問題意識を中心にアクティブに学んで、行動し、将来は国際開発支援のプロも視野に

掲載日 2023/4/3
No.225
<2022年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
<2023年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
地球社会共生学部
地球社会共生学科 3年
吉原 佐保
東京・私立青山学院高等部出身

OVERTURE

かつて暮らした東南アジアでの貧困と社会格差、現地で行われているジェンダーと経済開発に関する援助について学びを深めるために地球社会共生学部への進学を選んだ吉原佐保さん。マレーシア留学をきっかけとして日本のジェンダーに関する状況にも目を向けるようになりました。多彩な分野のスペシャリストがそろう教授陣のサポートを受けながら、ジェンダーを切り口に東南アジアでの開発支援スペシャリストになるという夢に向かって、積極的に自らの可能性を広げる学生生活を送っています。

地球社会共生学部への進学を決めた東南アジアへの思い

親の仕事の関係で幼少期をフィリピンで、高校一年生の1年間をミャンマーで過ごしました。また、高校のプロジェクトでは東ティモールにも1週間訪問したことがあります。東南アジアは私にとってたくさんの思い出がある地域です。大学では自分にとってなじみ深い東南アジアをフィールドに、特に問題意識を持っていた貧困やジェンダーに関する開発支援について研究しようと地球社会共生学部を選びました。受験前に見学した相模原キャンパスは、まるで海外の大学キャンパスのような広い芝生が広がり、設備が整った美しい図書館もたいへん魅力的でした。「ここでなら4年間のびのびと学べる!」、そう思うと入学が待ち遠しかったことを覚えています。
入学後は1年次から学部の授業はもちろん、国際的な学生イベントの運営に関わり、動画編集などのデジタルスキルを磨くなど、自分から積極的に可能性を広げる努力をしました。学生に対して常にオープンな先生方との関わりの中で、早くも1年次からこの学科でなら自分が成長できるという実感を得られたことが、その後の大学生活における大きな自信につながったと思います。

東南アジアのジェンダー研究から日本国内へ目を転じる。

地球社会共生学部は、私が留学したマレーシアにあるマラヤ大学をはじめとした東南アジアの大学に2年次後期から半年間の留学がカリキュラムの柱となっています。私は大学間協定校留学制度を使って、学部間協定校留学制度より長い、2年次後期から1年間、マラヤ大学へ留学することにしました。しかし、コロナ禍においてマレーシアでは厳しい入国制限が行われていたため、すぐに現地に行くことはできず、半年のオンライン留学を経て、3年次前期より現地留学することがかないました。現地で生活できたのは予定より半年間短かったですが、毎日が学びと刺激の日々でサポートしてくださった青学とマラヤ大学には感謝の気持ちでいっぱいです。マラヤ大学では人文学から社会科学分野に及ぶジェンダー関連の科目を幅広く履修しました。留学前に学科専門科目の「アジアの歴史と文化」や「社会階層論」などを通して、東南アジア社会の文化的背景や日本の社会格差への理解を深めておいたことが、留学中の学びに大いに役立ちました。

帰国前の空港でルームメイトの韓国人と

現地の授業や留学生同士のディスカッションで感じたのはジェンダー意識のギャップです。欧米諸国はジェンダーへの意識が進んでいますが、その考え方を文化や価値観の異なるアジアの国々に一方的に押しつけるだけでは問題は解決しないということを学びました。またディスカッションでは、日本におけるジェンダーに関する意識についての意見を求められることも多く、その中で東南アジアと日本を比較した際に、日本は先進国と言われているのに、ジェンダーの課題に上手く取り組めていないという危機感を感じました。そのため、留学前は東南アジアではジェンダー不平等が経済活動や経済開発の促進を妨げているケースがあり、それに対して自分が何かできるのかと考えていましたが、帰国後は、国内のジェンダー問題の解消に向けて自分が力になれることは何かと考えるようになりました。

「地球社会共生学部」という恵まれた研究環境をフル活用

3年次には桑島京子先生のゼミナール(ゼミ)に参加しました。国際協力機構(JICA)で中国や東南アジアなどをフィールドに30年以上にわたり政府開発援助の事業実施・評価、調査研究をされてきた桑島先生は途上国開発のスペシャリストです。ゼミでは先生の豊富な経験に基づいて、途上国における開発と援助の現状と課題を「教育」「インフラ」「民間企業との連携」など、さまざまな側面から学んでいます。桑島ゼミは卒業論文だけではなく、3年次にもゼミレポートを執筆するので、早くからインタビューなどの実地調査の手法や論文執筆のノウハウを学ぶことができます。私は「国内×ジェンダー」のテーマでゼミレポートに取り組みました。その際、ジェンダーを専門とする菅野美佐子先生にも研究へのご助言をいただいています。桑島先生も、菅野先生も、どうやったらジェンダーについて深く学べるかという私の相談に快く応じてくださいます。自分が関心のある分野とはいえ、ジェンダーを専門的に学ぶことは予想以上に難しく、時には弱音を吐きそうになることもあります。そんな時でも親身にアドバイスや研究に必要な書籍や資料を紹介していただくなど、先生方のサポートがあるおかげでモチベーション高くジェンダーの研究を続けられていると感じています。

マラッカでホストファミリーと断食明けのお祭りに参加

海外の大学院で学び、国際開発支援のプロを目指す

将来の夢として、桑島先生のように国際開発支援のスペシャリストとして海外で働きたいと思っています。しかしその前にこの日本国内で「男だから」「女だから」と性別を理由に人生の選択肢が狭められることをなくすために人事・人材育成のプロ、さらに海外進出する日本企業に対してジェンダー・ダイバシティーに特化した人事・組織コンサルとしての経験を積むキャリア設計を考えています。就職活動も人材領域を中心に進めていく予定で、その第一歩として現在AIベンチャーの人事部門でインターンとして働き、内側から企業組織や人事制度などについての知見を深めています。

一方で、国際開発支援の現状を知るために東ティモールへの教育支援と国際交流を中心に活動している大学生のNGO団体の代表も務めています。4年次の夏には現地を訪れ、あらためて貧困やジェンダーに関する開発支援の現状を自分の目で見てくるつもりです。
組織・人事コンサルとしてのキャリアを積んだ後は、国際機関やJICAで東南アジアの開発支援に携わるために、海外の大学院修士課程への進学も視野に入れています。大学卒業後も、私の「学び」の日々は続きそうです。

地球社会共生学部

地球社会共生学部(School of Global Studies and Collaboration /GSC)では、世界の人々と共に生き、共に価値を見出し、よりよい社会を共同で創造していくための専門知と実行力を備えた人材育成を目指します。タイとマレーシアなどのアジア諸国への留学をカリキュラムの柱におき、効果的な留学のための集中的な英語教育などとともに、激動する世界を視野に「地球社会」の多様性に触れ、異文化理解を深める幅広い学びを展開。世界の人々との「共生」をキーワードに、コラボレーション領域、経済・ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の専門4領域を中心に、Global Issuesを共に解決し協働できる「共生マインド」を養います。
地球社会共生学科は、国境を超えた「地球社会」を教育研究対象としています。多角的な視点と異文化への共感力、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力をもって、さまざまなグローバル課題の解決策や持続的な社会を創造する方法を探究します。

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