広告は
コミュニケーション、
社会に“良い関係”を
増やしたい

掲載日 2020/12/17
No.50
株式会社博報堂
国際政治経済学部卒業
神木 亮

OVERTURE

大学での学びのフィールドは、キャンパス内にのみならず、海外留学やインターンシップ、ボランティアを通じて世界中に広がっています。
「青山スタンダード」科目の授業に強く影響を受けた神木さんは、PR発想を強みとする広告パーソンとして広告業界で活躍しています。

広告は、企業が生活者にお約束できる
「ちょっと良い未来」を見せるもの

クライアントである企業と生活者との間に“良い関係”を築きたい――そんな志をもって、私は現在、広告会社「博報堂」のビジネスデザイン局に勤務しています。大学時代の友人には国際機関やNGOなどの公共性の高い分野に進んだ人も多く、活躍する姿を見ると刺激を受けますが、私にとっては、自分が携わる広告の仕事も重要な社会貢献の一つに他なりません。広告というコミュニケーションは、人々のくらしと企業活動、どちらにも欠かせないインフラだと思います。
広告は、「企業が生活者に提供できる商品やサービスという価値をわかりやすく伝えること、そして行動を促すこと」です。生活者の皆さんに伝わるように工夫を凝らし、企業が約束できる「ちょっと良い未来」を広告で表現し、良いと思ってもらえることを目指しています。

とことん寄り添い、課題解決のゴールまで並走するパートナー

肩書は「ビジネスプロデューサー」です。担当するクライアントの良きパートナーとして、マーケティングコミュニケーションに関する多種多様な課題解決を全力でサポートします。組織内では従来の営業職に相当しますが、昨今、その守備範囲はより広くなり、コンサルティングから施策の実行までのすべての領域において、クライアントから期待されることが増えてきました。
具体的には、企業のブランド全般もしくは特定の商品ブランドを担当しています。社内外の専門スタッフと連携して、「競合他社との分析を含む調査レポート」「コミュニケーション戦略の方向性提案」「クリエイティブの制作」「プロモーション施策(テレビ/WEB/SNS/雑誌/ラジオ/新聞等の広告)提案と実施」「施策効果の分析と改善提案」のPDCAを回していきます。

課題はこうだからこうすれば良いですよ……では終わりません。クライアントにとことん寄り添い、社内のスタッフもまとめながら、一つのチームとして課題解決のゴールまで並走するわけです。それが、ビジネスプロデューサーたる所以です。青学人のあるべき姿として学んだ、自分の使命を見出して進んで人に仕える、「サーバント・リーダー」の役割にも通じる部分があると思いますね。

  • ※Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクル

国際・社会問題の解決に繋がる仕事への憧れが
国際政治経済学部を選ぶ決め手に

小・中学生の頃からテレビCMや街中の看板をみるのが好きでした。商品やサービス、会社のことを本当にいろんな形で表現していて、自然と広告が私達の生活の一部になっているということですね。広告には興味がありつつも、実はそれがそのまま進路選択に直結したわけではありません。広告の中でも子どもながらに強く惹かれたのが、企業が社会に貢献していることを伝えるようなCMや、商品の世界観をドラマのように切り取って表現しているブランディングに近い広告、そして社会のマナー、病気の啓発、国際協力の大切さや青年海外協力隊の活躍などを訴求する公共広告のメッセージなどでした。振り返るとそこから、国際・社会問題の解決に繋がるような公益性の高い仕事への憧れが芽生え、膨らんでいったようにも思います。第一志望で青山学院大学の国際政治経済学部を選んだのも、そうした志向性を持つ自分にとって、青学の自由な校風や同学部の環境、カリキュラム内容が非常に魅力的だったからです。

政治と経済という、社会の根幹をなす仕組みについて学んだ経験は視座を高め、視野を広げてくれました。アメリカへの語学短期研修や、ニュージーランドへ半年間の語学留学したことも、国際政治経済学部の授業での刺激がきっかけです。意識が高い同級生たちにも触発されました。先述のとおり、「サーバント・リーダー」となるべく、JICA(国際協力機構)の職員や海外の大学で研究職の道へ進んだ友人も少なくありません。

ニュージーランドでのホストファミリーと

青学独自の「青山スタンダード」科目が進路選択のきっかけに

私自身の進路選択のきっかけとなったのは、「青山スタンダード」科目で履修したメディアに関する内容の講義でした。「青山スタンダード」とは、青学生であれば、学部・学科に関係なく履修できる、全学共通の教養教育システムで、青学独自のカリキュラムです。もしこのメディア概論の授業で「PR」というテーマと出会わなかったら、おそらく私は現在の職場にはいないと思うほど、進路選択に大きな影響を与える出会いでした。
PRというと、日本ではアピールや宣伝といった誤った意味で解釈されがちですが、本来はPublic Relations(パブリック・リレーションズ)(=公衆関係)の略で、クライアント(企業/著名人/政府など)と一般の人々との関係をよくするためのコミュニケーション手法のことです。欧米では選挙活動を筆頭に、あらゆる要人や企業のコミュニケーションをPR会社というスペシャリストがサポートしています。授業でその存在を知り、興味をもって自分で調べるうちに、この分野の仕事なら学部で磨いた国際感覚も生かしつつ、社会的に意義のあるキャリアを築いていけるのではないかと――。そう思い定めて、大学卒業後まずPR会社に就職しました。

PRパーソンから、PR発想を強みとする広告パーソンへ転身

2009年に入社し、7年ほど勤務した後、広告会社に転職しました。PR会社で培ったPRのスキルを強みに、クライアントのコミュニケーションの全領域にわたって、より幅広く携わりたいと考えたからです。広告会社の仕事にはさまざまなコミュニケーション手法が使われますが、私のベースはあくまでPR。良い関係を構築するために、広告の表現や手法はどうあるべきかと考えるPRの視点からの発想は、広告業界では珍しいタイプかもしれません。
現在の博報堂を含め、広告業界でのキャリアは5年目。これまでに、海外のラグジュアリーブランドや自動車・食品・医薬品メーカーなどを担当してきました。語学を生かし、北米や南米をはじめ、東南アジアでの業務にも従事しました。個人的に印象深いのは、あるブランドのプロモーションで、青山キャンパスを舞台に撮影できたことですね。仕事を通じて、ほんの少しでも母校に恩返しができたような気がして、とてもうれしい経験でした。

現在の職場にて

英語をはじめとする語学スキルは、自身の1つの武器にもなっています。青山学院大学の学生時代に留学を経験したことで語学スキルの基礎が出来上がり、現在も、英語を使ったWEB会議や書類作成など日常業務です。
もう一度高校生の頃に戻れたとしても、私はまた青山学院大学を選ぶでしょう。伝統ある自由な校風に加え、将来必ず役に立つ学ぶ環境が整っているからです。そして、青学の卒業生は母校への愛着心も深いと思います。自分の大学が好きだといえる人や、そう思いながら学んでいる人が自然と集まる文化は、とても素敵な校風だと、私は誇りに思っています。
願わくは、このメッセージがわが母校と読者のみなさんとの間に良い関係を築く“PR”となりますように。

神木さんの1日

  1. AM 9:00

    出社、メールチェック、ToDoリストの確認、
    チームメンバーへの連絡

  2. AM 9:30

    午後のプレゼンテーション(プレゼン)に向けて
    チームでWEB会議

  3. AM 11:00

    提案資料の準備などデスクワーク

  4. PM 0:00

    チームメンバーとランチミーティング

  5. PM 1:00

    クライアントにてプレゼン実施

  6. PM 3:00

    帰社、プレゼンの結果をチームにフィードバック

  7. PM 5:00

    海外クライアントの本社とWEB会議

  8. PM 6:30

    書類の整理をすませて退社、退社時間は日によって変動する

卒業した学部

国際政治経済学部

青山学院大学国際政治経済学部は、国際政治学科・国際経済学科・国際コミュニケーション学科の学問領域を超えて学べる独自の学際教育「3学科×5コース体制(3学科と、各学科から派生した5コース(政治外交・安全保障、グローバル・ガバナンス、国際経済政策、国際ビジネス、国際コミュニケーション))」のもと、世界の現実に対する理解を深め、課題解決へと導く実践的な学びを展開しています。

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