多様性の街「渋谷」で、自分だけの特別な場所を見つける

掲載日 2024/7/10
No.306
総合文化政策学部交換留学生
(フランス・トゥール大学)
ラビー・マクシーム
Maxime Labbé

OVERTURE

自分が育ったフランス・ノルマンディー地域圏の静かな都市から、活気に満ちた東京に引かれたマクシムさん。母校のトゥール大学では外国語応用学を専攻し、東アジア文化に強い関心を抱いていました。そして、青山学院大学への交換留学を決意しました。この「アジアへの旅」によって、新しい環境に身を置き、自分の視点を広げ、日本の首都での多様な生活を発見しようとしています。

フランスの地方都市で芽生えた日本への好奇心

日本文化に興味を持ち始めた原体験は、幼い頃に兄弟を通してアニメに触れたこと、『NARUTO』や『BLEACH』、『ONE PIECE』などをフランスのテレビで観たことです。日本に対する好奇心は成長とともに大きくなっていき、人気メディアにとどまらない「東アジア」文化全体のさまざまな側面に私を引き寄せました。12歳で英語以外の第三言語を学ぶ機会が訪れた際、選択可能な外国語の中では中国語が日本語に最も近いと考え、中国語(北京語)を選びました。中国語を学ぶことは、貴重な言語スキルを身につけるだけでなく、東アジアの豊かな歴史や伝統に対する理解を深めるものとなりました。

大学生になって海外留学を考える際、日本は「真にユニークな文化体験を提供できる国」として際立っていました。私はフランスの北西部ノルマンディー地域圏にある人口約25,000人の田舎町で育ちましたが、東京の圧倒的な規模と多様性に引かれました。「東京で『退屈する』ことは不可能だろう」と想像していました(実際に日本に留学してみて、その期待は現実のものとなりました)。

交換留学先の大学を選ぶ段階で、青山学院大学が第一候補としてすぐに浮上しました。学術的に優れていることに加え、最終的に私の心をつかんだ決め手が2つあります。まず、Instagramで見たキャンパスが非常に魅力的で、美しい建築物と豊かな緑の空間が温かい雰囲気を醸し出していました。見た目だけが全てではありませんが、写真や動画で見るキャンパスで実際に学生生活を送ることを想像して、留学への期待が高まりました。次に、大学の立地が最高で、キャンパスが渋谷の中心部から歩いてすぐの場所にあります。東京のすべてを満喫できる環境を想像すると、青山学院大学の立地の素晴らしさが日本での時間を最大限に活用するのに役立つと確信できました。青山学院大学の「 青学TV」や「AOGAKU MOVIE」も、日本での大学生活が具体的にどのようなものになるかを知る良い機会を提供してくれました。

日本“初心者”が直面する課題を乗り越える

正直に言うと、私の日本語能力は英語や中国語よりもかなり低いです。日本に到着する数ヶ月前から基本的な準備をしていましたが、来日直後は「東京での生活を乗り切るのは難しいのではないか…」と感じました。しかし、周囲のサポートとテクノロジーの助けがあれば、これらの課題を克服できることがわかりました。新しい言語の壁に直面したときは、Google翻訳などのツールや日本人の忍耐強さと親切さに頼ることで、少しずつ不安が薄れていきました。

青山学院大学の交換留学生向け日本語授業は、昨年度まではある程度の日本語力がある学生を対象に日本語で行われていたため、初学者の私は苦労しました。しかし、今年度からカリキュラムが変更され、英語で日本語や日本について学べる科目が新たに用意されました。これで、日本語初学者の外国人留学生も留学を諦めずに済むようになったと感じています。

言語の違いだけでなく、フランスと日本の文化的な違いにも適応する必要がありました。一番の違いは、日本社会が協調性と規範を重んじる文化であることです。私は内向的な性格なので、この日本文化に適応するのは比較的簡単でしたが、個人主義を重んじる外向的な文化の人にとっては少し苦労が伴うかもしれません。私は、日本の規範遵守が生み出す安全性と秩序感を高く評価しています。友人女性たちは、東京が日本最大の都市でありながら、女性が夜道を一人で歩いたり、荷物を置いたままお手洗いに行ったりしても、大きな不安を感じることがないと言っています。東京では当たり前のことですが、フランスでは経験したことのない安心感です。

青山学院大学を私の“拠点”に変える

初めてキャンパスに到着したときから、青山学院大学が私たち外国人留学生をどれだけ歓迎してくれているかを実感しました。外国人留学生のために特別に設計されたさまざまなサポートシステムが整っていました。国際センターは私にとってすぐに頼りになる存在となり、職員はいつもフレンドリーで、学生としてのニーズに応えてくれるだけでなく、日本での生活にスムーズに適応する手助けもしてくれます。

さらに、今年の春には「インターナショナル・コモンズ」がオープンしました。ここは留学生と日本人学生が集まり、学び、交流するための専用スペースです。「グローバルラウンジ」では学生がくつろげ、「チャットルーム」では多言語での会話を楽しむことができます。また、英語でのカウンセリングも提供されています。日本語が苦手で大学に溶け込めるか不安があっても、インターナショナル・コモンズでは定期的に対話型の国際交流イベントが開催されているので、他の学生と気軽に交流する機会を享受することができます。

キャンパス内で私のお気に入りの場所は、新しくオープンした図書館です。この図書館はとてもモダンで、学生が日常的に利用しやすいようにデザインされています。広々としていて、いつでも机を見つけることができるため、ラップトップやタブレットを使って勉強するのも簡単です。また、一人で集中して勉強するエリアや、仲間と一緒にグループで勉強するエリアも用意されています。

青山学院大学に留学して特に感謝しているのは、英語で開講される多様な授業です。これまで、フェミニズムや広告などのトピックを日本人の視点から深く考察する機会がなかったので、これらの授業によって新しい知的刺激を受けています。

東京という都市の、ユニークな“モザイク”を知る

東京に住んでいると、その信じられないほどの多様性に常に驚かされます。どんな興味や情熱を持っていても、この大都市には必ず自分の居場所が見つかるはずです。ファッションにこだわりがある私は、原宿、下北沢、高円寺など、それぞれに独自のスタイルと雰囲気を持つエリアを探索するのが楽しみです。原宿ではエキセントリックな若者ファッションを体験でき、一方、下北沢と高円寺はヴィンテージショップやリサイクルショップが立ち並び、気楽な雰囲気が漂います。また、アートが好きなので、青山学院大学の学生証を使って都内の国立美術館に無料で入場できる「 キャンパスメンバーズ・パートナーシップ」をフル活用しています。

日本で生活していて最高だと感じるのは、電車やバスを利用すれば都市の喧騒から簡単に逃れ、鎌倉のビーチや日光の山々など、日本の美しい自然を楽しむことができることです。

東京では、誰もが自分に合ったコミュニティや居場所を見つけることができます。私は学生寮で「居場所」を見つけました。そこでは外国人留学生と日本人が共に生活する国際的な環境が広がっており、この緊密なコミュニティが私の中心的な友人グループとなり、東京での経験を非常に豊かなものにしてくれています。

日本での生活から学んだ教訓を生かす

将来を見据えると、私の人生の可能性にとても興奮しています。フランスで大学を卒業した後は、台湾の大学院に留学して修士号を取得することを考えています。いずれにせよ、日本や東アジアで生活し、働く自分を想像しています。青山学院大学で得た経験やスキルは、次のステップに進むときに間違いなく役立つでしょう。

どこに留学するにしても、新しい文化や経験を受け入れ、自分とは異なるタイプの人々と出会うことをお勧めします。一人で過ごすのが好きな人でも、快適なゾーンから一歩踏み出して、その文化を受け入れてみると、思いがけない楽しさを発見できるかもしれません。新しいことに挑戦するのが少し不安でも、恐れないでください。いつもの場所を離れて、知られざる名所や宝物を見つけ、共感できる人々とつながってみましょう。実際に来て住んでみないと分からないことがたくさんあります。

青山学院大学での留学を経て、今感じているのは、私の人生に起こる経験の「多様性」に対する新たな感謝の気持ちです。挑戦と機会が私を成長させ、これからの未来が楽しみです。ヨーロッパに戻っても、日本は私にとって常に「もう一つの家」のように感じるでしょう。

ラビーさんの時間割
日本の社会と文化C[英語講義] English Studies A[英語講義] トピックス・イン・ジャパニーズ・スタディーズⅠ[英語講義] 異文化間コミュニケーション概論Ⅰ[英語講義] 国際ビジネスと海外事情A[英語講義] メディアスタディーズⅠ English Studies C[英語講義]
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