掲載日 2023/11/28

理工学部 電気電子工学科
誰もが便利で安全な社会生活をおくれるように、制御工学を多方面へ応用する

米山教授からの
Message

理工学部 電気電子工学科 教授
米山 淳

システム制御工学研究室では、制御工学やシステム工学の理論とその応用に関する研究を行っています。制御工学とは、機械やロボットを自動で正確に効率よく動かすための学問。日常生活など私たちの身近なところでも制御工学を用いた技術は多く使われており、学生の興味に応じて多様な研究テーマを扱っています。

Q.研修室の研究内容とその社会的な役割について教えてください。

電気、機械のみならず、医療・介護の分野など、制御工学に関わる製品は社会に数多くあります。自動車の自動運転やオートマチックトランスミッション、電車の走行、エアコンの自動温度調節、自動ドア、遠隔手術なども制御工学の応用例です。制御工学は、今や私たちの生活にとってなくてはならない技術と言えます。
主要な制御方法の一つに、フィードバック制御があります。これは、現在使用できる情報を基に、今後の操作方法を決定する手法で、より多くの正確な情報を得ることでより良い制御を生むことができます。例えば、自動車が障害物を回避できるようにするとなれば、カメラを利用して周りの情報を取り込み、映ったものが何なのかまで判断できるようにしなければいけませんし、ロボットに音声で指示を出すには、指示内容を認識させることが必要です。そのため、画像認識や音声認識もフィードバック制御に欠かせない技術であり、それらを研究テーマにしている学生もいます。
日本では、今後もしばらく少子高齢化が続くと推測され、人の代わりになるロボットや高齢者をサポートする製品の開発など、制御工学はこれからの社会生活をより便利で安全なものにする役割を担っています。本研究室でも、足の不自由な方が歩く際に適切な着地を促すサポート器具や義手、段差や障害物を検知して車いすでの外出を支援するシステムなど、医療・介護分野のさまざまな研究にも挑戦しているところです。
研究の過程では、学んできた理論を実製品に生かすためのコンピューターシミュレーションを行ったり、実用化に向けた試作品を製作したりすることもあります。思い描いたように機械やロボットが動作した際には、制御の面白さを感じることができるはずです。医療や介護をはじめ、さまざまな分野の企業との共同研究も複数行っており、学生が企業の研究内容を知り、卒業後の進路を考える良い機会になっていると感じます。

Q.指導する上で心掛けていることは?また、学生にどのようなことを身に付けてほしいでしょうか?

まずは各自が興味をもって取り組める研究テーマを選ぶことが重要だと思っています。教員が一方的に指導するような研究では学生も意欲がわきませんし、研究内容に対する責任感も薄れてしまうからです。そのため、学生の意向を聞き、なるべく興味のあるテーマを研究できるようにサポートしています。実際、学生たちは自分の研究テーマに熱心に取り組んでおり、毎日、夜7~8時を過ぎても研究室の電気は消えることがありません。学生同士仲良く切磋琢磨して、研究に従事していると思います。
また、研究の成果を世の中に伝えて、還元することも研究者にとって大切なことです。発表すべき研究成果にたどり着けたらという前提ではありますが、学生には積極的に学会で発表してほしいと考えています。新型コロナが一段落した今年は、複数名の学生が海外の国際学会でも発表を行っています。学生の就職先は、自動車業界や重工業、電気メーカーなどの技術系企業を中心に、金融、商社、コンサルティングなど文系の分野で各種システムに関わる仕事に就く学生もおり幅広いです。ただ、どの分野に進むにしても、得られた結果をまとめ、それを他人に説明するコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力は欠かせません。そうした力を養うという意味でも学会発表は有益ですし、毎週研究室で行っている進捗状況の発表も訓練の場になっているのではないかと思います。
それから、今ある情報をいかに今後に役立てるかというフィードバック制御の理論は、人生において成功を得るためにも重要です。学生には自分自身を上手に「制御」する力を身に付けてほしいと思っています。

Q.在学生や高校生にメッセージをお願いします。

高校生には微分、積分などの知識を何に使うのか疑問に思っている人もいるかもしれませんが、システムを正確に制御するためには多くの数学の知識が求められます。理工学部でも、低学年で線形代数や微分方程式など数学の基礎知識を学習した後、「システム制御Ⅰ」や「システム制御Ⅱ」が履修できるカリキュラムになっているので、まずは数学をしっかり学んでほしいと思います。
本研究室は、何かを自由に思いのままに動かしたい、もしくはそのような技術を利用した製品を作りたい、そんな思いを持った学生を歓迎します。自動車や航空機・ドローン、ロボットに関する仕事に携わりたいという学生は、制御工学を勉強することが将来役に立つでしょう。また、AIの活用も制御工学の発展には不可欠です。今後は計算機の発展により、研究室でもビッグデータやAIを活用する場面が増えていくと思います。最新の制御理論やAIのことを学ぶ楽しさを是非感じてください。

学生からの
Message

理工学研究科 理工学専攻 電気電子工学コース 博士前期課程 1年
神奈川県立希望ケ丘高等学校出身
松尾 明実

家電で暮らしを豊かにするような研究開発に携わり社会に貢献したいと考え、電気電子工学科へ進学しました。入学後は、日常的に使っているデバイスや家電など身近な機器の動作や構造が体系的に理解できるようになるのが楽しく、理工学研究科特別給付奨学金の給付対象となる成績の条件がクリアできたら大学院に進もうと心に決めて、勉強に励みました。その甲斐あって、学科において成績上位5位以内に入ることができ、現在はその奨学金制度により大学院の授業料が全額免除されているため、安心して研究に打ち込めています。
システム制御工学研究室を選択したのは、研究がどのように世の中で役に立つのかイメージしやすく、また、福祉・医療デバイスの開発にも力を入れていることに惹かれたからです。「こんなことをやってみたい!」と手を挙げれば、基本的にはOKが出るのがこの研究室の魅力で、各自のやりたい気持ちを叶え、ワクワク感を保ちながら研究を進めることができます。私の研究テーマは「重度難聴者に向けたスマートデバイスのシステム開発」で、方向、接近、距離、種類といった音の情報をスマートグラスのレンズの上に映し出して視覚的に伝達し、耳と同じ機能を果たす装置の開発を目指しています。私は音楽が好きで、音の解析をやってみたかったことと、特定の人に喜んでもらえる研究がしたいという思いから、このテーマを思いつきました。知識ゼロの状態から1人で始めた研究なので大変苦労もしましたが、伊丹琢助教が紹介してくださった生まれつき耳が聞こえない方から、「聴覚障がいに関心を持って取り上げてくれてありがとう」という言葉をいただいたことが何よりモチベーションになっています。今では同期1人、後輩2人が研究に加わって、皆で研究項目を分担し、知識やアイデアを出し合いながら進めています。マイクの精度やワイヤレス化など課題はまだまだ山積みですが、大学院を修了するまでに実用化できるようにしたいと思っています。
コアタイムが設定されていないなど、研究の進め方についても自由度が高く、体調や予定に合わせてメリハリをつけて研究ができる反面、自ら計画して行動しなければ何も進まないという厳しさもあります。私は研究を通じて、自主性と問題解決能力を身に付けることができました。また、展示会や学会、共同研究など、外部の方とつながりをもてる機会が多いのも強みだと思います。研究室の外に出てさまざまな意見をいただくことで新たな気付きが得られ、研究が進展することもあります。
大学院修了後は企業に就職し、何らかの形で人々の生活を豊かにできる研究開発者になりたいと考えています。そして将来、皆さんの生活を支え、皆さんにとってなくてはならないような製品が開発できれば本当に光栄です。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2023年度)のものです。

理工学部 電気電子工学科

青山学院大学の理工学部は数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。
私たちの暮らしを支えている電気や電子、磁気。これらを制御し、応用することで社会に役立てるのが「電気工学」「電子工学」です。あらゆる産業に活用されており、さまざまなフィールドで日々技術革新が進んでいます。電気電子工学科では、進展するテクノロジーに対応していくための応用力と、新技術創出の源泉となる基礎力をバランスよく身に付けられるよう、多面的な学びに注力しています。

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