情報と社会をつなぎ
顧客の望みの一歩先を見据える
ITのスペシャリストに
ITサービス・ペイメント事業本部
OVERTURE
子どもの頃から身近にパソコンがあるデジタル・ネイティブとして育った川畑さん。情報分野の知識だけでなく、経済や経営など、広く社会と関わる学びを得たいとの思いから本学の社会情報学部を選びました。誰もが日頃から利用する身近なポイントサービスの企画やシステム開発、決済システムの運用管理などを通じて、情報と社会をつなぐスペシャリストとして活躍しています。
小学生の頃からパソコンに夢中
思い返せば、小学生の頃から、家電量販店の店頭に置いてあるサンプルのパソコンをいじって遊ぶのが好きな子どもでした。中学生のときに授業でプログラミングを学んで一層興味を持ち、自宅にあったパソコンをいつも触っていました。高校生の頃、「パソコンばかりやっていないでもっと勉強に専念するように」と両親がパソコンを使えないようにロックを掛けたのですが、それを解除する方法を熱心に調べてリカバリーディスクを作ったりもしました。当時、私の周りでそのくらいパソコンに夢中になっている生徒は、同級生でも、特に女子の中にはほとんどいなかったと思います。
こうした経緯から、大学は情報系の学部に行きたいと思うようになり、青山学院大学の社会情報学部を選びました。この学部を選んだのは、それまで理工系以外の経営学や経済学、心理学などは学んだことがなかったので、どのようなものかを学んだ上で専門を決められるという点に魅力を感じたからです。他の国立大学にも合格したのですが、青山学院大学のイメージやネームバリューが就職に有利ではないかとも思いました。結果的に、就職活動中はもちろん、就職後にも大学OBに支えられているので、青学を選んで良かったと実感しているところです。
ゼミナール担当教授の薦めでインターンシップへ
社会情報学部では、宮治裕先生のゼミナールに所属していました。この時、同じ社会情報学部の稲積宏誠先生が研究テーマにされていたコールセンター研究に興味を持ち、「町田市役所のコールセンター分析」というテーマでコールセンターの応対内容のテキストデータを分析し、改善点などを提起する研究を行いました。この頃は、大学での勉強や研究が好きだったこともあって、大学院に進み、その後に就職しようと考えていました。しかしながら研究室の宮治先生から、「学部3年の時点で就職活動しておくのは良い経験になると思う」とアドバイスをいただき、インターンシップの受験を決断。産学連携による「システム分析設計」など、システム系の授業を通してSEという職業に興味を持ったこともあり、システムインテグレーター系の大手企業のインターンシップを受験し、夏はNTTデータ、冬は別の大手企業のインターンシップに参加しました。この面接の際、システム分析設計の授業で実務に近いことを実践的に学んでいると話したところ、大変高く評価していただいたことを覚えています。今振り返ってみても、入社後の研修にも劣らないレベルの高い授業内容でした。こうした授業を在学中に受けることができたのは貴重な経験でした。
NTTデータのインターンシップでは、「スマートライフシステム事業部 交通観光開発担当」に配属され、企業のポイントシステムの実務を経験させていただきました。このとき、自分が携わったシステムが世の中で多くの人に使われている楽しさを実感し、「研究よりも就職がしたい」と考えるようになりました。インターンシップの時、配属先の先輩と交わした会話を今でもよく覚えています。私が「どのような人材を求めていますか?」と聞くと、「コミュニケーション能力がある人。ただし、話が上手ということではなくて、口下手でも良いから、自分の言いたいことをきちんと相手に伝えて、相手の言いたいことをきちんと聞いて理解すること。それを『コミュニケーション能力が高い』と定義している」とおっしゃっていて、なるほどと思ったことがとても印象に残っています。
就職活動では、複数社と比較した結果、SEの中でも私が最もやりたいPM(プロジェクトマネージャー)寄りの仕事ができるNTTデータに魅力を感じ、学校推薦で受験しました。元々はものづくりが好きということもありバリバリのエンジニア志望でしたが、大学の研究室で先輩や後輩の優秀なエンジニアに出会い、自分の強みや好きなことの本質はなにかを何度も考え、志望を変更しました。大学時代に優秀なエンジニアの後輩たちと一緒にWebサイトを立ち上げたとき、「PMって楽しい」と実感したこともそれを後押ししました。NTTデータ入社時は、インターンシップで配属されたときと同じ部署に配属され、インターンシップ時に携わったポイントシステムの実務に入社後も携わることになりました。
自分が成長できるか、ワクワクできるかが選択の基準
現在の仕事は、NTTデータ内では「ITディレクター」という肩書の業務です。プロジェクトを円滑に進めるための橋渡し(ブリッジ)的な役割を持つシステムエンジニア(ブリッジSE)のような立場で、制度/施策の企画支援や開発支援などを行っています。社内の開発・営業メンバーとクライアント間のギャップを埋め、プロジェクトを円滑に進めるPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)的な役割も担います。今はお客さまである百貨店に一人で常駐して、ECサイト、POS、決済端末、お客様独自の電子マネー決済など、決済関連全般の業務支援を行っています。具体的には、お客さま内のシステムの全体像の整理やシステム化の要件調整などに携わっています。
仕事をしていて楽しいと感じるのは、お客さまからの要望を丁寧に聞き取り、システム化実現のための方式をあれこれ検討しているとき。設計が終わったときには、巨大なパズルを組み立て終わった後のような達成感がありますし、稼働開始日には他のものには代え難いワクワク感があります。システムをリリースした際のユーザーのコメントやSNSなどでの評価が高いと、自分の仕事が世の中の役に立っていると実感できてうれしいですね。
入社してポイントシステム業務のSEを5年経験した後、商品企画に2年携わり、そこではCOTS(Commercial Off-The-Shelf、汎用デバイス)を用いた新規決済端末の企画から実証実験まで行い、展示会にも出展しました。SEでの経験も商品企画の経験も生かせるような、お客さま先に常駐できるITディレクターになりたいと希望していて、それがようやく叶ったところです。今はこの仕事を楽しみながら、お客さまの「こうしたい」という望みの一歩先を見据えて貢献ができるように力を尽くしたいです。お客さまはこうしたいと話しているけれど、本当はこうなのではないか、こちらの方が、より広がりや夢が語れる展開になるのではないか、という提案ができるITディレクターになりたいと思っています。
これまでポイントシステムをメインに仕事をしてきましたが、現在はポイントに加え決済関連の業務に従事しているため、この機会に決済関連の知識を徹底的に身に付けて、ポイントだけでなく決済も含めた全体を見ることのできるITディレクターとして、この領域を極めたいと考えています。ポイントシステムは国内のみですが、決済になると世界全体が対象になります。ゆくゆくは海外の決済にも携わってみたいという野心もあります。
今の仕事は、上司から「こういう業務があるけど、やってみる?」と聞かれて自分から手を挙げました。何か選択を迫られたとき、「どちらが自分自身の成長につながるか。どちらが楽しそうか、ワクワクできるか」を基準に選びたいと思っています。以前、ポイント業務に携わっていたとき、お客さまから「世の中のポイントの状況を調べて教えてほしい」と言われて調べていくうちにどんどん興味が沸いてきて、今でいう「ポイ活」にもハマりました。このとき、「本来なら趣味でやるべきものを仕事でやらせてもらえるなんてありがたい」と思いました。仕事の中で楽しさや面白さを見つけていければ、オンとオフを切り替える必要はないのでは?というのが私の考え方です。学生時代から「好きなことを仕事にしたい」と思ってきたことが叶っているので、無理にオンとオフを切り替える必要もない。私としては「プライベートも仕事も一緒」が理想です。これからも、ワクワクできるような仕事に携わっていきたいと思います。
専門の情報分野だけでなく経営や経済、英語の学びが今に生きている
社会情報学部では、情報を専門に学びながらも、一方で経営学や経済学を学べる点も良かったと思っています。経営学や経済学については卒業時に成績優秀者表彰をいただくほど勉強したのですが、SEの仕事は財務管理も必要になるため、こうした学びが実務にも役立ったと感じます。また、企画部ではポイントシステムを担当していたので、経理帳票の見方や捉え方などの知識も役立ちました。また、英語の授業で発音やプレゼンテーションをしっかり学べたことも、今の仕事に生きています。村川久子先生の授業では、特にRの発音を厳しく鍛えられ、3年次には英語でのプレゼンテーションも行いましたが、そのおかげでいまだに発音を褒められますし、英語でのプレゼンにも抵抗感がなくなりました。
在学中にもっとやっておけば良かったなと思うことがあるとすれば、長期間の海外留学でしょうか。学内のアドバイザー・グループ(教員と学生が交流する本学独自の制度。通称アドグル)でイギリスのオックスフォードに短期留学はしたのですが、語学力向上のためにも、長期留学に行っておけば良かったなと思います。あるいは、バックパック一つで時間を贅沢に使う長期の貧乏旅行なども、学生のうちに体験しておきたかったです。後輩の方へのアドバイスとしては、遊びも含めて学生時代にしかできないことをできるかぎりしておいた方が良いということ。社会に出てしまうと目の前の業務に専念せざるを得ないので、自分の引き出しを増やすためにも、学生時代の時間を存分に使って視野や知見を広げてほしいですね。
川畑さんの1日
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9:30
出社(お客様先)
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10:00
打ち合わせ(お客様内部)
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11:00
打ち合わせで出た課題に関する調査、課題対応策の検討等
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12:30
ランチ
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13:30
打ち合わせ(NTTデータ内部)
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14:30
資料作成
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15:30
打ち合わせ(NTTデータ+お客様)※お客様の立場として参加
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17:00
資料作成
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18:00
退社(お客様先)
卒業した学部
社会情報学部
現実の社会には文系・理系の境界はなく、さまざまな社会的課題を解決するため社会情報学部においても“文理融合”の学びを追究しています。文系の「社会科学」「人間科学」と、理系の「情報科学」の各専門領域をつなぎ、各分野の“知”を“融合知”に高めるカリキュラムを整備。新たな価値を創造し、社会へ飛び立てる力を育みます。
高度情報化社会と呼ばれる現代では、文系・理系の双方に精通していることがアドバンテージとなります。社会情報学科では、文理の垣根をなくした「文理融合」をコンセプトに、社会・情報・人間の複数分野にまたがる学際的な学びを展開します。学問領域をつなぐことで生まれる新たな価値観で、一人一人の可能性を広げ、実社会における複雑な問題の解決に貢献できる人材を育てます。
バックナンバー
電気電子工学科での学びと出会いで広がった視野、身に付いた積極性
理工学部 電気電子工学科 3年
幅広く芸術を学んで身に付いた、鑑賞力と印象を言語化して伝える力
文学部 比較芸術学科 3年
夢は日本のビジネスを支える弁護士。正確な知識と「説明できる力」で、司法試験に挑む
法学部 法学科 4年
将来を模索していた私が
経営学科で見定めた
公認会計士という目標
経営学部 経営学科 4年
研究を通して積み重ねた
挑戦と成功体験が大きな自信に
理工学研究科 理工学専攻 知能情報コース
博士前期課程2年
オリジナルの分子を使って
新たな核酸の検出手法を開発
理工学研究科 理工学専攻 生命科学コース
博士後期課程2年
*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。