入学時からの努力で開いた公認会計士への道。誠実に財務諸表と向き合い監査の価値を高める

掲載日 2024/4/30
No.297
有限責任監査法人トーマツ
経済学部 経済学科卒業
鈴木 優花

OVERTURE

大学3年次に公認会計士試験に合格し、在学中に国内大手監査法人でのキャリアをスタートした鈴木さん。学生時代には学生団体のリーダーとしてイベントを企画し、社会人や他大学の学生とやり取りする中で、相手の立場で物事を考える力が身に付いたといいます。それぞれの興味・関心に従って意欲的に活動する仲間たちと共に育んだ主体性や協調性は、社会貢献の意識を持って働く現在にも生かされています。

初志貫徹で掴んだ、公認会計士試験一発合格

現在、金融機関を中心として、中小企業から上場企業まで複数の企業の監査を担当しています。企業が作成した財務諸表が企業会計の基準に準拠しているか、適正かどうかをチェックし、内容の信頼性を保証することが主な役割です。加えて、金融機関の監査では、その金融機関の貸出先の与信や信用状況まで分析する「自己査定監査」という特有の監査があります。この自己査定監査を通して、多様な業種の貸出先の分析もできるのが特に有意義だと感じています。
財務諸表には将来予測を伴う情報が含まれることが多く、不確定要素も加味して分析しなければなりません。全てのデータを総合的に判断した上で、妥当な結論を導き出すことが求められます。私が所属する有限責任監査法人トーマツ(トーマツ)は、デロイトネットワークのメンバーであり、国内ではBIG4と呼ばれる大手監査法人のひとつで、大規模多国籍企業や主要な日本企業の監査を担当しています。日本経済を動かす力を持つほどの企業の財務内容に対して、重要な判断が日々求められ、責任と同時に大きなやりがいを感じています。

同じ監査チームで働く青学卒業生の西原孝紀さん、亀井慧吾さんとの仕事風景

私は大学3年次に公認会計士試験に合格し、在学中からトーマツで非常勤として働き始めて今に至ります。実は、自分の中では大学入学前から公認会計士になることを目標に定めていました。高校卒業間近の冬、大学受験も終わりに近くなった頃に将来を考えはじめ、「何かの分野でプロフェッショナルになりたい、自分が興味のある経済・会計の分野で何か進路はあるのか」といろいろな職業を調べて見つけたのが、公認会計士だったのです。そして、青山学院大学入学後は、図書館を活用してすぐに公認会計士試験の勉強をスタートしました。1年次から資格取得のために通っていた予備校とのダブルスクールはハードでしたが、時間管理を徹底して大学での学びにも積極的であり続けました。モチベーションを保つことが出来たのは、応援してくださった教授や友人のお陰と感じています。

授業の中で特に印象に残っているのは、専門分野以外の広い領域を学べる、青学独自の全学共通教育システム「青山スタンダード」の科目です。幅広い開講科目の中から心理学の授業を選択し、自身を見つめ直すきっかけを得られました。また、ゼミナール(ゼミ)では、ゼミ内だけでなく他大学との研究発表会を開催していただき、学生同士の議論やコミュニケーションを通して多様な価値観や文化に触れ、とても有意義な時間を過ごすことができました。授業やゼミで出会った仲間はそれぞれ資格取得や課外活動に熱心で、私も頑張ろうと気持ちが奮い立ったのを覚えています。

学位授与式にて答辞を読む様子

学生団体の活動から得た、「職業人」としてのマインドセット

授業以外では、青山学院大学経済学部学生会(AESA)という学生団体に所属し、企画リーダーとして学生主体の他大学と合同の就職イベントを開催しました。イベントを成功させるためには、学生会の上級生をはじめ協賛企業の大手出版社の方々や他大学の学生に協力いただくことが不可欠でしたが、当時はまだ1年次で自身の未熟さを痛感する場面もありました。しかし、相手を尊重して丁寧にコミュニケーションを図ることを意識し始めると、メールや電話での迅速な対応が評価され、学内外の関係者との信頼関係が構築できるようになりました。年齢も立場も多様な人々と一丸となって目標を達成した貴重な経験から、「職業人」としてのマインドセットが形成されたように思います。「早いレスポンス」「細やかな対応」「協調性」を大切にする姿勢は、クライアントの立場を想像しながら仕事をしている現在にも生かされています。
また、開催に向けての準備だけでなく、広報のためにSNSの運用およびガイドライン作成・ホームページ制作などのプロジェクトも並行して進めました。困難を乗り越えながら最後までイベントの企画運営をやりぬいたことで、自信につながりました。

初めての青山祭で経済学部の友人と

社会貢献への意識を持ち、新たな企業価値の創造を目指す

社会人として働いて3年が経とうとしています。今では小規模企業の監査業務において現場レベルの管理者を任されるようになりました。キャリアを積むにつれて忙しさは増していますが、そのような時こそクライアントに寄り添うよう心掛けています。今後はさらに知識を深め、決算の数値から企業環境を把握できるような解析力を養いたいと思います。そして単に問題点を指摘するだけでなく、専門職の視点から組織改革へ向けた提言まで行えるような、新たな企業価値を創造できる会計士を目指していきます。また、大学時代に第二外国語で学んだ中国語の学修を深めていきたいと思います。グローバルに事業展開するトーマツでいつか役に立つかもと思う傍ら、必ずしも仕事関係でなくとも、プライベートも豊かになれば嬉しいと考えています。

何事に取り組むにも、常に根底にあるのは「誰かのために」という意識です。クライアントの企業がより良い方向へ進むために、自身の知識と経験を生かせるこの仕事に喜びを感じています。社会の役に立ちたいという願いは、青山学院のスクール・モットーである「地の塩、世の光」とも重なる部分があるのではないでしょうか。小さな行動の積み重ねが、大きく世界を変えていくと信じています。いずれは会計士として、そして一人の人間として社会貢献への思いを形にすべく、これからも邁進していきます。

卒業した学部

経済学部 経済学科

経済とは人々が生存していくことであり、多様な要因に基づいて成り立っています。それゆえ、その理解には幅広い視野が求められます。青山学院大学の経済学部においては、このような経済を学ぶ場として多様なテーマの研究が蓄積されており、公正な社会の創造を目指して本質を理解し論理的に行動する力を育成します。
経済学の対象は、労働・娯楽・教育・医療など広範囲におよびます。経済学科では、社会全体への柔軟な視点を養い、より良い経済システムへの道を探ります。「理論・政策・歴史」という伝統的な体系のもと、幅広い教養と専門知識を総合的に修得します。資源配分の効率性について学び、より公正な社会の実現に貢献できるよう、「自ら分析できる力」「弾力的な思考力」「行動力」を育みます。

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