漠然とした興味を
打ち込める専攻分野と
将来の仕事につなげた
理想の4年間

掲載日 2023/8/31
No.257
社会情報学部
社会情報学科 社会・情報コース 4年
越河 虹哉
鳥取県立米子東高等学校出身

OVERTURE

社会情報学部は、文理融合の幅広い学びを通し、複雑な現代社会の課題に向き合える人を育てています。越河虹哉さんは、漠然と興味のあった情報領域を軸に、多様な学びを通して専攻を絞り込んでいきたいと本学部を選び、希望通りに、深く追究できる分野とそれを生かせる仕事を見つけました。マーケティングリサーチ企業の株式会社インテージに就職を決めた越河さんに、そこまでの道のりや、大学生活でのキーポイントを伺いました。

幅広い学びを通して、より深めたい分野と目標を見つけ出す

大学受験の際、数学が得意だったこと、ITに将来性があると考えたことから、情報系の学部を志望しました。しかし、その興味はぼんやりしたものだったので、文系理系、両方の分野を幅広く学べる本学の社会情報学部はとても魅力的でした。学びながら自分がより興味の持てるものを探せると思ったのです。
1年次の必修科目「統計入門」は、楽しく学べた授業として印象に残っています。統計は高校の数学でも学びましたが、テレビの視聴率や政党の支持率の調査など、私たちの身近なところでどのように統計の技法が生かされているのか理解することができて、この分野の知識をより深めたいと思いました。
同じく1年次後期に履修した「イングリッシュコミュニケーションⅡ」は、大学生活での目標を持つきっかけになった授業です。グループでディスカッションをして意見をまとめ、英語で発表するという課題に対し、自分では満足できる結果を出すことができませんでした。それだけに、2年次以降の授業での課題として、グループでリーダーの役割を担うことや、発表の経験を積み重ねる必要性を認識し、積極的に取り組もうと考える契機になりました。

新型コロナの影響でできた多くの時間を、
将来をじっくり考える機会に

興味や目標が見えてきて迎えた2年次、新型コロナウイルスの流行という事態が訪れます。大学の授業は5月開始となり、アルバイトも一時的になくなり、ぽっかりと時間が宙に浮いてしまったような2020年4月、この期間に「何か」をしておきたいと思いながらも、やるべきことが見つからないというジレンマに陥りました。「将来のビジョンが見えていれば、そのためにすべきことがたくさんあるはず。それが見つからないのは、大学生のうちに専門的に学びたいこと、ひいてはその先の進路目標が定まっていないからだ」と思い至り、この機会に自分の学部で学ぶ分野を絞っていくことと併せて、将来の進路を具体的に考え始めるようになりました。

まず、3年次に所属するゼミナール(ゼミ)の検討を開始しました。大学生になって生活費を自分で払うようになり、以前よりも「商品・サービスの利用者である」という意識を明確に持つようになりました。科学的な調査・分析の手法を身に付けたいという思いから、ゼミでは統計やデータ分析をより深く学びたいと考えるようになり、稲積宏誠先生の「言語情報を含むデータの分析を通して人や社会を見る」という研究テーマに興味が湧きました。稲積先生の授業は受けたことがなかったため、他の先生から紹介していただき、事前にお話しする機会もいただきました。

同時に、卒業後の進路を考える上では、就職支援サイトに登録し、2年次に参加できるインターンシップに応募して、実際に企業の採用担当の方と面談をする等、企業や仕事について基本知識を蓄えることから始めました。さまざまな企業の方からお話を伺う中で、私の心を捕らえたのがマーケティングリサーチ業界でした。データを用いて流行や消費者ニーズを分析し、企業のマーケティング活動をサポートする企業と専門職種の存在を知り、将来の希望職種として強く意識できました。ちょうど統計・分析を専攻することを考え始めた私にとって、学びの内容と職業がつながり、展望が開けた思いでした。

3年次からは、希望どおり稲積先生のゼミに所属し「自治体のコールセンターへの問い合わせ分析」に取り組みました。膨大にある実際の問い合わせ内容を分析し、問い合わせ件数の減少等に向けて何ができるかを提案するというものです。分析手法を身に付けられたことはもちろん、メンバーで担当領域を分担し発表し合うことで、相手にわかりやすく伝える能力も磨かれた手応えがあります。4年次には、この分析を複数の自治体での比較も加えてより掘り下げ、卒業研究として完成させました。
就職の採用面接においては、研究テーマについて多くの質問を受けました。分析の技術だけでなく、思考力や課題解決能力に対しても評価していただけたのではないかと考えています。
稲積ゼミ3年生が相模原市とタウンミーティング「まちかど市長室」をオンラインで開催 | 青山学院大学 (aoyama.ac.jp)

学部での「卒業研究報告会」で発表する越河さん

早期選考での失敗を生かして、
第一希望のマーケティングリサーチ企業へ

就職活動を本格的に開始した3年次の時期は、リサーチや分析業務に携わりたいという気持ちを軸に持ちつつ、いろいろな業界・業種を調べるようにしました。どの企業にもリサーチ部門がありますから、狭い視野で業界・業種にこだわる必要はないと考えたためです。幅広い業界に対して就職活動を行うことは、企業や社会を見る目を養うことにもなったと思います。

9月からの早期選考では、1社から内々定をいただいたものの、希望する企業は不採用だったため、冬以降も引き続きメーカーやIT企業の選考に応募を続けました。早期選考では、各企業の業務理解が不十分で自分の強みをアピールできなかった反省があり、企業の情報収集に力を入れ、進路・就職課で模擬面接の指導も受けて改善を重ねました。

早期選考で不採用となった失敗を自分なりに分析・改良し、進路・就職課を通してOB・OG訪問を行い、考えられる限りの入念な準備をして本選考に臨みました。そのおかげで、最終的に第一希望のマーケティングリサーチ企業「株式会社インテージ」から内々定をいただくことが叶いました。マーケティングリサーチの仕事は、専攻分野を生かせるだけでなく、分析を通して、人々が望む商品やサービスを生み出して世の中に貢献ができるところが魅力だと考えています。

ゼミの友人と。右が越河さん

主体性を持つことが、大学での成長のカギになる

情報分野に漠然と興味があった入学時から、データ分析という自分に合った専攻分野を見つけ、それを職業に結びつけて目標に向かって行く理想的な大学生活を送ることができました。それができたのは、はじめは文理両方から幅広く学び、3年次以降により専門的に詳しく学んでいくという社会情報学部のカリキュラム設計が、私によく合っていたこと、そして主体性を培ったことが大きな要因です。
高校までは自ら積極的に前に出るタイプではなかった私ですが、1年次終了後に意識を切り替え、大学生活全体を通して能動的に動くことができました。専攻分野を見つける上でも稲積先生に自分で連絡をとることで、道が拓けたのだと思います。
採用面接では、「自ら先頭に立って取り組んだことは?」「チームで協力して取り組んだことは?」といった質問を多くされました。自主的に活動していない学生には答えが難しい質問だと思います。個別指導塾のアルバイトでもリーダーとして教室全体をよく見渡して、生徒・講師に対応したこと、コロナ禍を進路について考える機会として積極的に動いたこと、ゼミで自治体の方との連絡を率先して引き受けた経験などをアピールし、高く評価していただけました。勉学でもサークルでもアルバイトでも良いです。大学生になったら、自主的に動き、自分で周囲に働きかけることを強くおすすめします。本学には、授業、就職、課外活動など、主体的になればいくらでも自分の未来を切り拓き、力を付けられる環境が整えられています。

コロナの影響でなかなか実現できなかった、ゼミの友人との北海道旅行

越河さんの就職活動スケジュール

  1. <2年次> 2020年 4月〜

    将来を考え、就職支援サイトに登録、インターンシップに参加

  2. <2年次> 2020年 8月〜

    企業の方々に話を聞き、マーケティングリサーチ業界に興味

  3. <3年次> 2021年 6月〜

    ITやメーカーなど、いろいろな業界のインターンシップに参加

  4. <3年次> 2021年 7月

    進路・就職課に個別相談

  5. <3年次> 2021年 9〜11月

    早期選考の面接が始まる。数社の面接を受けるも内々定を貰ったのは1社

  6. <3年次> 2021年 12月〜

    IT、メーカーを中心に応募を続ける

  7. <3年次〜4年次> 2022年 3月〜5月

    株式会社インテージの選考を受け、5月に内々定をいただき就職を決める

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は取材年度(2022年度)のものです。

社会情報学部

現実の社会には文系・理系の境界はなく、高度情報化社会と呼ばれる現代では、文系・理系の双方に精通していることがアドバンテージとなります。さまざまな社会的課題を解決するため社会情報学部においても“文理融合”の学びを追究しています。文系の「社会科学」「人間科学」と、理系の「情報科学」の各専門領域をつなぎ、各分野の“知”を“融合知”に高めるカリキュラムを整備。新たな価値を創造し、社会へ飛び立てる力を育みます。文理の垣根をなくした「文理融合」をコンセプトに、社会・情報・人間の複数分野にまたがる学際的な学びを展開。学問領域をつなぐことで生まれる新たな価値観で、一人一人の可能性を広げ、実社会における複雑な問題の解決に貢献できる人材を育てます。

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