経済学部の学びで鍛えた「自ら考える力」「とことんやり抜く力」が成長の原動力に
<2023年度 学生表彰受賞>
経済学部 経済学科 3年
OVERTURE
ゼミナール(ゼミ)のチームで作成した論文が学外の大会で最優秀賞に輝き、その成果が認められて2023年度学生表彰を受賞した朝比奈さん。世の中の仕組みを理解できる大学での学びを「面白い」と感じたことが、学業やゼミでの成績につながりました。目標に向かって諦めずに前進する力を持ち、大学生活を豊かなものにしています。
真剣に学びを深められる中村まづるゼミへ
毎年正月に家族で箱根駅伝を見ていて、真っすぐ一生懸命走り抜き、素晴らしい結果を残している選手のキラキラした姿に引かれたことが、青山学院大学に興味を持ったきっかけです。高校時代はまだ明確なキャリアプランがなかったので、社会や生活の基盤である経済学を学んで幅広い仕事に活用できる知識を得たいと考え、経済学部への進学を決めました。
大学では、真面目に学んでしっかり成長したいという強い思いがあったため、先輩方が目標に向かって真剣に学びを深めている中村まづる先生のゼミを選びました。2年次に中村先生がご担当の「経済政策論Ⅰ」を受講したときには、実際の政策を経済の理論に従って理解し、時事的なトピックも取り上げながら経済政策の考え方を身に付けました。経済の論理的な思考で政治を捉える経済政策学のアプローチが、元々政治学にも関心を持っていた私にとって非常に魅力的に感じられたことも、中村ゼミを選んだ大きな決め手です。
悪戦苦闘して手にした念願の最優秀賞
ゼミでの大きなイベントの一つに、公共選択学会主催の「学生の集い」という大会があります。提示された共通テーマに対して様々な大学のゼミ生が論文とプレゼンテーション(プレゼン)で競うもので、第26回大会では私たちのチームが最優秀賞を受賞することができました。中村ゼミとしては12年ぶりとなる念願の賞をいただき、本当にうれしかったです。
論文テーマを決めるにあたり、自分自身の学生生活に大きな影響を与えた「コロナ禍」と、ITを活用して市民の利便性の向上や事務作業合理化を図る「デジタル・ガバメント」にスポットを当てました。コロナ禍においては、行政のデジタル化の重要性が増す一方で、特別定額給付金のオンライン申請や給付を巡る混乱が起こり、日本のデジタル・ガバメントの遅れが顕在化しました。論文では、この遅れに対応して政府が現在推進している政策によって行政システムの標準化が進んだ場合、自治体ごとの政策の自主性が損なわれる可能性があることを指摘し、国と自治体の適切な役割分担を実現する行財政制度の必要性を提言しました。
論文を書き始めてから一番時間と労力を費やしたのは、たくさんの情報やチーム内の考えを取捨選択して方向性を定めることです。私自身、目標を決めたら、それに向かってとことん突き進む性格で、より良い論文にするために手を抜くことなく調査や分析に没頭しました。しかし、2カ月ほどはなかなかテーマが決まらず、少し書いては振り出しに戻るという状態が続いてしまい、その頃はゼミで報告するたびにテーマが変わっていたので、きっと先生にも心配をお掛けしていたと思います。論文とプレゼンが完成するまでの半年間は睡眠不足の日が続きましたが、それでもやりきることができたのは、最優秀賞を取りたいというチーム全員の強い意志と中村先生と先輩方の的確なアドバイスがあったからです。
苦労が多かった分、最優秀賞が発表された時の喜びは格別でした。発表された瞬間はみんなで飛び跳ねて喜び、つい大きな声を上げてしまったので、学内の警備員さんが様子を見に来られたことも今では笑える素敵な思い出です。
関連リンク:【経済学部】中村まづるゼミナール(経済学科)が「2023年度 第26回公共選択学会 学生の集い 最優秀賞(加藤賞)」を受賞
学びを面白がることで成績につながった
「学生の集い」へ参加するにあたり、チーム内で「良い研究をして最優秀賞を目指す」という目標がありました。私が考える「良い研究」とは、面白く、現実的で論理的な研究であり、未来的で新しいデジタル・ガバメントに焦点を当てたのも、皆さんの目を引き、読んでいて興味をそそるような「面白い」論文にしたいという考えがあったからです。この「面白い」という感覚は、日頃から大切にしてきたことでもあります。
高校時代から勉強は好きな方でしたが、大学ではこれまで知らなかった知識を学ぶことが面白く、興味を持ち続けながら受講することができました。大学では、一つの授業で学んだ内容がそこで終わらず、他の様々な授業と結びつくことが珍しくありません。学びが一気に広がり、面白さが何倍にも膨らむ瞬間がとても好きで、これこそが大学で学ぶ最大の魅力だと思っています。
また、私は指定校推薦で入学したので、「次に青学を目指す高校の後輩のために良い成績を収めたい」という思いもあり、日々勉学に励みました。その結果、中村ゼミのチームで学生表彰を受賞することができ、個人的にも2年連続で学業成績優秀者表彰最優秀賞をいただけで、これまで以上にモチベーションを高めることができました。
人としての軸ができたフィリピンでの経験
2年次に受講した「青山スタンダード」科目の「いのち・女性・社会」の授業をきっかけに、フィリピンのストリートチルドレンに関心を持ち、フィリピンでのスタディツアーに参加したことも忘れられない経験です。現地のNGOが運営するシェルターなどを訪問し、スラム街での暮らしや教育の様子を見学して子どもたちと交流しました。
日本での日常では見ることのできない現地の実情は衝撃的でしたが、テレビの中だけの話だと思っていた厳しい現実を目の当たりにしたことでこれまでの価値観が変わり、学生時代にこのような経験ができたことに感謝しています。今後は一人の人間として、フィリピンで出会った子どもたちの幸せに自分なりに貢献できることを探し、行動していきたいと思っています。
課外活動では女子ラクロス部に所属し、週5日活動しています。朝部活の練習をしてから大学に行き、授業を受ける毎日ですが、部活がなかったら勉強にもこれほど熱心に取り組めなかったかもしれないくらいと思うほど、生活にメリハリがついているので苦にはなりません。
興味関心を追究できる青学の環境
青学の経済学部では、多くの授業やゼミでインプットだけでなく、アウトプットも求められます。その繰り返しにより、資料や文献を読み込んで理解し、自分なりの考えを持つ力を高められたと実感しています。学生が興味関心を追究できる学びの環境は、大きな助けになりました。授業後に質問に行くと、どの先生も真摯に対応して教えてくださいましたし、「学生の集い」の論文制作で分からないことがあった時は、シラバスを頼りにその分野を専門とする先生を探して質問に伺うと、時間を取って私たちの疑問に丁寧に答えてくださいました。
大学での3年間、目の前のことに対して一生懸命に向き合い、日々を過ごしてきました。そして、学びや課外活動において目標に向かって突き進んできたことが、これからの私を支えてくれると信じています。学生生活最後の1年間は、ゼミや部活の後輩に自分の成功や失敗を伝え、次の世代へ思いを残していきたいと思っています。
中村教授からの
Message
ゼミでは、プレゼンやディスカッションを通じて学生が互いに成長することを目的に、対校討論会や学会参加などの対外活動を活用しています。朝比奈さんの代は、高校3年から大学1年の貴重な時期にオンライン授業を余儀なくされ、共同作業や意見交換の機会に恵まれませんでした。それにもかかわらず、学会の共同論文やプレゼン動画の作成では、問題意識はブレない一方で、論旨の展開に行き詰まると他の視点に切り替え、引き出しの多さに感心しました。完成した文章の何倍もの努力が評価につながったのだと思います。朝比奈さんは、ゼミ以外の活動にも積極的に取り組み、時間調整にも苦慮したことでしょう。自身の責任で優先順位をつけ、決して言い訳することなく全てに全力投球で対処していました。経済学部のモットーでもある「熱き心情と、冷静な頭脳」をもって、社会に羽ばたくことと期待しています。
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は2023年度のものです。
経済学部 経済学科
経済とは人々が生存していくことであり、多様な要因にもとづいて成り立っています。それゆえ、その理解には幅広い視野が求められます。青山学院大学の経済学部においては、このような経済を学ぶ場として多様なテーマの研究が蓄積されており、公正な社会の創造を目指して本質を理解し論理的に行動する力を育成します。
経済学の対象は、労働・娯楽・教育・医療など社会全体におよびます。経済学科では、社会全体への柔軟な視点を養い、より良い経済システムへの道を模索します。「理論・政策・歴史」という伝統的な体系のもと、幅広い教養と専門知識を総合的に修得します。資源配分の効率性について学び、より公正な社会の実現に貢献できるよう、「自ら分析できる力」「弾力的な思考力」「行動力」を育みます。