経営学部 マーケティング学科
多様化するメディア

久保田教授からの
Message

経営学部 マーケティング学科 教授
久保田 進彦

経営学部は、経営学科、マーケティング学科の2学科で、学生が自ら意思決定し、未来を切り拓いていく力を伸ばします。久保田進彦教授の「多様化するメディア」は、メディアの現状を通して、広く社会を見渡す視点を身に付ける授業です。学生たちはこの授業を通して、あらゆる物事に対する批判的視点を養っています。

Q.授業内容や特徴について教えてください

 日本放送協会(NHK)で番組制作や報道に携わる現役スタッフの方々に、直接講義をしていただく授業です。テレビやラジオを始めとするメディアは、社会の変化やデジタル化の波によって、大きく変わりつつあります。そうした時代にあって、日本を代表するメディアであるNHKで活躍する方々が、日々何を考え、何に取り組んでいるのかを理解することは、とても大切なことでしょう。そこで私たちは、プロデューサー、ディレクター、アナウンサー、記者など、さまざまな立場の講師陣に語っていただき、学生にメディアの現状や将来を考える機会を提供しようと、この授業を開講しました。
 この授業のもう1つの特徴は、毎週、NHK放送センターからオンラインで講義が行われることです。外部講師が大学の教室を訪れて講義をするケースはよくありますが、青山学院大学の教員がNHKから授業をするのは、とてもユニークです。
 実はオンライン講義には、教室での授業にはないメリットがあります。たとえば講師が質問を投げかけると、数秒後にはチャット機能を使ってたくさんの学生からレスポンスが届きます。またNHK内部にもこの講義に関心を持っている方がいて、講師ではないスタッフがチャットで参加してくることもあります。あるときは、政変が続く海外からサプライズ参加してくださったプロデューサーもいらっしゃいました。教室での授業では考えられないインタラクティブでダイナミックな展開も、この授業の魅力です。

Q.経営学部の学生が「メディア」を学ぶことの意義とは、どのようなところにあるのでしょうか

 意外に思われるかもしれませんが、この授業の本質は「メディアを学ぶ」ことではありません。自分たちをとりまく世界が見られる、大きな視野を養うことが、真の目的です。
 当然のことですが、経営学部に入学したからといって、経営学だけを学べば良いわけではありません。専門領域を学ぶと同時に、広い世界を見渡し、その中で自分が何をしていくべきかを考えることが重要です。そしてそのためには、「社会」や「公共」に関心を向けるとともに、自分自身の考えを持つ必要があります。
 メディアの方々の意見を聞くことは、このように広い視野を養い、世の中に関心を持ち、自らの考えを保つために、とても有効です。しかもNHKのスタッフという日本最高水準の放送やサービスを目指す方々から直接ご指導いただけるのは、何事にも代えがたい貴重で贅沢な経験です。実際、講義の回数を重ねるごとに、学生からの質問や主張はどんどんと深みが増していきます。彼らの視点は確実に広がっていきます。

Q.授業を通じて学生に伝えたいことはどんなことでしょうか

 何事も鵜呑みにしない「批判的視点」を身につけることです。批判的とは、否定的ということではありません。英語でいえばcriticalということであり、物事を深く見分けようとする姿勢を意味しています。この授業では、メディアの現場に携わっている方々のお話から、批判的視点を身に付けてほしいと考えています。
 マーケティング学科の最大の特長は、学生にとって一生の力となる、世界標準の知識や理論を徹底的に学べるところにあります。実践的な授業も設けていますが、大学教育の中での「実践」とは、基礎となる理論や知識を徹底的に学んだ上で、それをアウトプットする練習であるべきです。つまり、大学で学生に学んでほしいのは、大学でしか学べない骨太の基礎知識、何十年経ってもずっと役に立つ「枯れない」知識です。この授業で養うことができる批判的視点は、社会で活躍する人間とし非常に重要な視点であり、一生役立つ、枯れないものとなるはずです。
 授業後のリアクションペーパーなどを見ていると、社会のさまざまな事象や情報に対して「本当にそうなの?」「それが正しいの?」と疑問を持つ視点が、学生たちに生まれていることが分かります。授業を履修しながら考え、気付いたことが、将来何十年にもわたってじわじわ効いてくるような、学生にとって深みのある授業にしていきたいと考えています。

学生の
Message

経営学部 マーケティング学科2年
愛媛県立新居浜西高等学校出身
荒井 菜々子さん

 この授業は毎回とても内容が濃く、授業時間の1時間半があっという間に過ぎてしまいます。私たちが事前課題として提出した意見や、授業後のリアクションペーパーの内容を、先生方が頻繁に取り上げてくださるので、オンラインでも授業に参加している実感を持つことができます。授業中にチャットで質問できる点も魅力で、私を含め、たくさんの学生が質問を書き込んで理解を深めています。
 大学入学後、テレビのニュースを見る機会が減っていたのですが、先生方のお話を十分理解するため、毎日朝晩のニュースを必ずチェックして社会情勢にアンテナを張るようになりました。NHKの調査報道の裏側などを知り、メディアに対する印象が大きく変わりました。メディアが発信する情報をただ受け取るだけではなく、正しい情報に基づいて社会問題について自ら考え、行動を起こしていきたいと思っています。

経営学部 マーケティング学科3年
東京・私立青山学院高等部出身
山口 一青さん

 先生方のお話を通じて、メディアから発信される情報を絶対視せず、本当に正しいのか疑う視点を養うことができました。それを実感したのが、今年のアメリカの大統領選挙です。SNS上には玉石混淆の情報があふれていましたが、それらを一歩引いた目で見ることができたことに、自分自身に変化を感じます。選挙のように社会にとって重要な事柄では、間違った情報を鵜呑みにして判断するのは危険です。この授業で学んだメディアリテラシーやメディアに関する知識は、将来にわたって自分を守る手段になると考えています。
 私たちの世代には、ネットメディアに触れる時間の方が長い分、大手メディアに偏った印象を持ってしまう人もいます。この授業で報道や番組制作に真摯に取り組む先生方の話を聞くことは、大手メディアの価値を見直すきっかけにもなると思います。

講師のコメント

日本放送協会 人事局 副部長
櫻井 義久さん

 「多様化するメディア」は、私たち講師が学生のみなさんに最新のメディアの情報を伝える授業ではあるのですが、逆に、若い世代のメディアに対する考え方を私たちが吸収する貴重な場でもあると考えています。報道の在り方などについて、学生のみなさんから私たちの考えを問うような質問も増え、授業を通じて「情報を鵜呑みにせず、取捨選択をする」という姿勢が広がっていることを感じます。現代のメディアは、著作権、広告やビジネスモデル、プライバシーなど、社会のさまざまな問題とも密接に関わっています。この授業が、メディアを通して広く社会に目を向ける場になってほしいと願っています。

経営学部

21世紀を見通す長期展望のもと、企業の視点で考える「経営学科」と消費者の視点で考える「マーケティング学科」の2学科で、企業と社会(消費者)という、2つの方向から現代の経営を照射し、その飛躍、発展に資する先端的な研究・教育拠点を目指します。 50年以上の歴史と伝統を持つ「経営学科」では経営のプロに普遍的に求められる会計・金融・マネジメントにおける先端理論と実践技術を提供します。 「マーケティング学科」では青山キャンパスがある“渋谷・表参道エリア”という国際性、創造性に富んだ地の利を生かして、消費者が真に求める文化、情報、感性といった面をビジネスに導き入れ、独自のマーケティング学“青山マーケティング”の確立を目指しています。 2学科は学問的成果を共有し、ビジネスの最前線情報に接することができる授業を充実させるなどして、氾濫する情報に踊らされることなく、自ら意思決定を行い、未来を切り拓く力を養っていきます。

※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時(2020年11月)のものです。

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