社会に役立つものづくり。
成功から自信を、
失敗からは強さを得た

掲載日 2022/9/2
No.175
<2022年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
社会情報学部 社会情報学科 4年
物部 柚香
神奈川県立横須賀大津高等学校出身

OVERTURE

「学びたい分野が複数あって、学部・学科を決められない」という大学受験生は多いのではないでしょうか。物部柚香さんもそのひとりでした。経済学や心理学、情報科学などに幅広く関心があり、ひとつに絞り切れず迷っていた時に出合ったのが本学の社会情報学部です。“文理融合”の学びを追究できるフィールドであれば、好奇心が満たされるだけでなく、さらに掻き立ててもくれるのではと進学を決めたといいます。その期待通り、物部さんはこの場所で将来へとつながる研究分野を見つけることができました。

演習形式の専門科目を経験し、ITへの興味が高まる

専門科目の中で特に興味深く学んだのは、2年次に受講した「情報科学総合演習A」です。ウェブサービスの開発を行う演習形式の授業で、アイデア発表会と最終段階の成果物発表会では、先生だけでなく企業の方々にも講評をいただきます。そのため収益化までを考慮したサービスを提案し、デモンストレーションができるレベルのものを提出する必要がありました。本講義で「解決したい問題を検討し、その方法を考え、システムを開発する」という一連の作業を初めて経験し、自分で考えたアイデアを形にすることの難しさと楽しさを実感する一方、ITが持つ可能性や魅力も強く感じることができました。先生に過程を1から10まですべて教わるのではなく、基礎的なことを学んだ上でトライ&エラーを繰り返しながら開発したことが成長につながったと思います。担当教員である宮治裕先生のゼミナール(ゼミ)に興味を抱き、3年次から所属するきっかけにもなった授業です。

社会問題を解決するサービスの創出について研究

宮治ゼミでは、社会問題の解決に向けて「情報」と「社会」の双方からアプローチしています。情報技術においては人工知能の一種である機械学習やXR(クロスリアリティ)などを使用したウェブ・モバイル開発について学びます。社会的な側面としては、ネットと密接に関わるコミュニティやサービスなどのデータ採取と分析を学習。これらの知識を生かして実際にサービスを企画し、作り上げていきます。
私が今までに開発したもののひとつに、「聴覚障害者のコミュニケーションをサポートするための、特定の言葉を認識すると振動するリストバンド」があります。リストバンドをつけた人を指す言葉(「お父さん」「おばあちゃん」など)を認識するとリストバンドが振動し、自分が呼ばれていると気づくことができるシステムです。認識する言葉は自由に登録・削除できます。

専門分野を探究する中で、問題が理解できた時やサービスが完成した時の喜びや達成感は非常に大きいです。開発が思うように進まなくても諦めずに続ける忍耐力や、問題の本質を見極めて具体的な解決策を考え実行する問題解決力が培われました。また、チームで目標を成し遂げる力やコミュニケーション力、プレゼンテーションスキルも得ることができたと思います。努力家で貪欲に学び続けるゼミの仲間たちと切磋琢磨するこの環境も、私の成長の大切なファクターです。ものづくりへの挑戦では多くの成功や失敗を経験しましたが、同時に多くのことを学びました。成功は私に自信を与え、失敗は私を強くしてくれました。

「批判的思考力」を高めて、成長を実感

本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目で印象的だったのは、「科学・技術の視点(個別科目)」です。市民として生きる上で必要な「科学的に考える力」を習得する講義で、「科学的思考法」「生命」「地球」「環境」に関するさまざまな事例を取り上げながら、科学・技術への向き合い方や批判的思考力を身に付けます。具体的には、情報を吟味する方法や、科学と疑似科学の見分け方、思考のプロセスなどを学びました。本講義を通して、批判的思考力を高めることができたと強く実感しています。それまでの私は、提供された情報を鵜呑みにしてしまうことがよくあったのですが、現在では情報を吟味して自分なりの意見をもち、それを論理的に説明できるようになり、自分でも驚くほどに成長することができました。この批判的思考力は、専門分野の研究にも非常に役立っていますし、日常生活においても必要不可欠なスキルだと思います。
社会情報学部には、「イングリッシュプレゼンテーション」という独自の英語基礎科目があります。私は特に英語のプレゼンテーション能力が向上したと考えています。先生やクラスメートの前でプレゼンテーションを行う機会が多く、先生が毎回丁寧にフィードバックしてくださるので、この環境を生かして少しずつスキルを身に付けていきました。その成果もあり、TOEICの点数が入学時より200点ほどアップし、大きな自信になっています。

紙芝居パフォーマンスチーム「ぱらぴりぱー」で多くの人を笑顔に

コロナ禍で行動が制限される中、少しでも多くの人に楽しい時間を過ごしてほしいと考え、友人たちと5人で紙芝居パフォーマンスチーム「ぱらぴりぱー」を結成し、創作紙芝居に、音楽・人形劇・掛け合いなどを融合させた新しい形の紙芝居を披露する活動をはじめました。相模原市を中心とし、市内の保育園や座間市立市民交流プラザ「プラっとざま」などでパフォーマンスを披露しています。
紙芝居はメンバーが一から手作りし、音楽・人形劇などの演出や紙芝居の物語は、パフォーマンスをみてくださる方々の年齢などにあわせて工夫するように心がけています。実際にパフォーマンスを行う中で、皆さんの笑顔を見ることができたり、「ありがとう」「楽しかった」などの温かいお言葉をいただいたりすることがとても嬉しく、私たち自身も楽しく充実した時間を過ごしていると実感しています。

目標達成に向けて学びの幅をさらに広げる

所属学科で年次を重ね、「社会をより良くできるものを作りたい」という気持ちがさらに強くなりました。特に福祉領域の問題解決につながる新サービスを創出したいと考えています。この目標を達成するため、エンジニアの長期インターンシップに参加したり、独学でサービス開発の勉強をしたりして、技術力の向上に取り組んでいます。また、障がいに関する心理学の授業である「人間・情報特別講義A」を受講し、障がいをもつ方々や高齢者の心理についても理解を深める毎日です。自分が興味のある分野を見つけ、それに関連する知識を存分に学べる環境が整っていることは、本学部の大きな魅力だと思います。
将来は、人々の生活をITの力で便利にする、そんな仕事に就きたいと考えています。入学するまでは思いもしなかった将来への希望です。文理の枠を超えた多様な学びを経験したことで、未来がどんどん広がっていく楽しさを感じています。

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

社会情報学部

現実の社会には文系・理系の境界はなく、さまざまな社会的課題を解決するため、青山学院大学の社会情報学部においても“文理融合”の学びを追究しています。文系の「社会科学」「人間科学」と、理系の「情報科学」の各専門領域をつなぎ、各分野の“知”を“融合知”に高めるカリキュラムを整備しています。新たな価値を創造し、社会へ飛び立てる力を育みます。
高度情報化社会と呼ばれる現代では、文系・理系の双方に精通していることがアドバンテージとなります。本学科では、文理の垣根をなくした「文理融合」をコンセプトに、社会・情報・人間の複数分野にまたがる学際的な学びを展開。学問領域をつなぐことで生まれる新たな価値観で、一人一人の可能性を広げ、実社会における複雑な問題の解決に貢献できる人材を育てます。

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