ヒューマンライツ学科で見つけた「悔いなき挑戦」。人権×メディアを学ぶ

掲載日 2025/8/28
No.361
<2024年度 学業成績優秀者表彰 奨励賞受賞>
<2025年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
法学部 ヒューマンライツ学科 3年
中原田 涼香
神奈川・私立聖園女学院高等学校出身

OVERTURE

メディアやジャーナリズムを「人権」の視点から多角的に学ぼうと法学部ヒューマンライツ学科に進学した中原田涼香さん。座学だけでなく、更生保護の現場での実習やオープンキャンパススタッフ、企業とのグッズ企画など、幅広い分野に挑戦を重ねています。

問題意識から生まれた興味を軸に選んだ理想の学び場

中学・高校生の頃にメディアやジャーナリズムに興味を抱くようになりました。自分もSNSなどで情報の発信者になり得る時代だからこそ、SNSやインターネットを通じた誹謗中傷、偽情報の拡散といった行為に対する問題意識を持ったこと、あわせてプライバシーの侵害にあたるような取材手法を取り、まだ確証のない情報を報じてしまう報道の姿勢への疑問が芽生えたことがきっかけです。また、弁護士や検察官が登場するミステリー小説や刑事ドラマに影響され、法律を学んでみたい気持ちもありました。どのような進学先を選べばよいか決めかねていた高校2年生のとき、青学の法学部にヒューマンライツ学科が新設されることを知りました。調べてみると、法学だけではなく幅広く社会科学の分野を学び、社会問題を探究できる点、そして、「人権」の観点からメディアのあり方を学べる点に強くひかれ、「私の理想の学び場だ!」と志望を決めました。

多角的に人権問題にアプローチする
ヒューマンライツ学科でメディアのあり方を考える

大学入学にあたって、心に決めていたことがあります。それは、「やりたいこと、興味があることに積極的にチャレンジして、悔いのない大学生活を送る」ということです。学業においては、周りの人に流されることなく、自分自身の興味関心をベースに履修科目を選択してきました。ヒューマンライツ学科の授業はどれもが最終的に人権問題に結びついており、さまざまな角度からアプローチを重ねることで、人権問題を「自分ごと」としてとらえることの重要性に気付かされました。ここまで「人権」に焦点を当てて学べる学科は他にないと思います。

1年次は必修科目がかなり多く、最初に経済学や政治学、公共政策学など、多岐にわたる社会科学分野の基礎を固めたことで、2年次以降の専門的・発展的な勉強ができていると感じています。授業でディスカッションを行うことも多く、入学当初は手探りで議論していましたが、今では講義で学んできたことを振り返りながら、しっかりと根拠に基づいた話し合いができるようになりました。さまざまな人権問題を学ぶ中で、その社会的背景や構造的問題まで意識的に考える姿勢が身に付いたと思います。

2年次に履修した「ジャーナリズム論」は入学前から楽しみにしていた授業で、メディアやジャーナリズムのあり方と役割について時間をかけてじっくり学ぶことができました。ジャーナリズムに関する映画や映像を見る機会が多くあり、ただ講義を聴くよりも、視覚的にリアルを感じ取れるのが面白かったです。「もっと知りたい」という思いから、さらに関連した映画を家でも視聴するなど、一層興味が深まっていきました。授業の中で、カトリック教会の聖職者による未成年者への性的虐待問題についてプレゼンテーションを行ったグループワークも印象に残っています。本来、独立性を保って大きな組織を監視するのがメディアのあるべき姿ですが、理念と現実には乖離があることを認識しました。また、グループで話し合いをする中で、ジャーナリズムには起きた出来事を後世に伝える役割もあるという新しい視点を自発的に見いだせたことに喜びを感じました。現在は、3年次以降から受講できる「メディア法A」を履修しており、引き続きメディアのあるべき姿について考えを深めています。

就業支援センターの「現場」で学んだ、
足を運んで実態を知ることの大切さ

北海道にある沼田町就業支援センターで実施された3泊4日の実習授業「公共政策実習A」は、学びに満ちた時間でした。同センターは、少年院を仮退院した保護観察中の少年たちに対して農業実習等の職業訓練を行い、自立・更生を支援する施設です。入学時の法学部オリエンテーションでこの授業の概要を聞いた際に、こうした施設の存在を初めて知り、「更生保護の現場を自分の目で見て肌で感じてみたい」と参加を決意しました。

実習を通して施設の職員の方や保護観察官、地域のボランティアの方々など、さまざまな立場の方にお話を伺い、皆さんの更生保護にかける思いに大変感銘を受けました。また、入所している少年たちと一緒にトマトの収穫を体験し、生き生きとした表情で農業に取り組むたくましい姿に刺激を受けました。農業実習体験後は少年たちとの座談会も設けられ、お互いに質問し合って多くの話をしました。その中で、少年たちそれぞれが「なりたい姿」に向かって自分なりの方法で努力していることを知り、将来を模索している自分自身と重なって、「私も“本当にやりたいこと”や“こうありたい自分”に向かって将来を考えていこう」と勇気と活力をもらいました。

実習に行くまでは、更生保護は行政機関の働きで成り立っていると思っていましたが、実際には行政の力だけでは限界があり、ボランティアの皆さんや日常的に交流のある地域住民の方々も少年たちの大きな支えになっていて、どれか一つでも欠けたら事業が立ち行かなくなることを強く感じました。保護司の方が高齢化して不足している現実もお聞きし、普段授業で学んでいる法や制度が実社会でどのように機能しているのか、「現場」に足を運び、実態を理解することの重要性を感じました。この実習で得た気付きを大切にし、今後の大学での学びに生かしていきたいと思っています。

「公共政策実習A」の最終日には教員・参加学生一同で旭山動物園を訪れた(前列右端が中原田さん)

「皆で作るサークル」を目指し、多様な意見に耳を傾ける

掛け持ちで続けている「オープンキャンパス学生スタッフ(OCS)」とダンスサークルの活動も私にとってかけがえのないものです。実はこの2つの団体に入ることは入学前からの希望で、受験勉強のモチベーションにもなっていました。

OCSは夏のオープンキャンパスや高校生向けイベントを通じて大学の魅力を発信する、入学広報部直属の学生団体です。子どもの頃から愛校心が強く、小学校では生徒会長、中学・高校では学級委員や学校説明会のボランティア活動などをしてきたため、OCSへの入部にも迷いはありませんでした。私は企画部で主に各イベントでのトークショーの企画運営を担っています。「大好きな青学の魅力を伝えたい!」という純粋な思いが原動力になっており、イベント後のアンケートで「学生さんの雰囲気が良かったです」や「より青学に入りたくなりました」などうれしいお言葉をいただけたときには大きなやりがいを感じます。

学生主体型ミニオープンキャンパス「AOGAKU OPEN DAY」のトークショーに学生スタッフとして登壇(右が中原田さん)

ダンスサークルに入ったのは、4歳から10年以上続けた新体操や、中学・高校時代にダンス部に所属して部長も務めた経験から、踊る楽しさや大人数で舞台を作り上げることの達成感をまた味わいたいと思ったからです。総勢300名ほどの大きなサークルですが、キャンパスや学年の垣根を越えて仲が良く、週2回の練習で仲間に会えることが毎回楽しみです。

現在は幹部を務めており、イベントや公演の運営全般を統括しています。私たちが目指しているのは「皆で作るサークル」です。人数が多いだけに、多様な意見をすくい上げるというのは大変難しく、私自身も下級生の頃はなかなか意見が言えない経験もしました。だからこそ、埋もれてしまう意見がないよう、幹部宛に匿名で質問ができる「質問箱」をLINEグループに設置したり、何かを決める際にはチームごとに必ず話し合いの場を設けるなど、意見を出しやすい環境づくりに工夫を重ねてきました。そうして届いた意見をどうやって日々の活動に反映させていくのか、夜な夜な幹部のメンバーで話し合うこともあります。先日、集大成となる公演が終了しました。通常と比べて練習回数も多い中、幹部としての裏方仕事をこなすのは苦労も多くありましたが、公演は無事に大成功し、仲間と一つの舞台を作り上げた喜びと達成感は何事にも代え難い思い出となりました。

所属するダンスサークル主催の公演での記念の集合写真

目標は「サーバント・リーダー」。
自分の言動で人の心を動かし、社会に貢献したい

授業の課題からサークルの雑務まで、日々多数のタスクを抱えているため、毎日to doリストを作って可視化し、やり残しを無くすよう努めています。ただ、すべてにおいて納得のいくまで追求しようとし過ぎるあまり、キャパオーバーになることもしばしばです。それでもチャレンジ精神を貫き、昨年は株式会社アダストリアのアパレルブランド「niko and ...」と青山学院創立150周年記念グッズ共同開発プロジェクトにも参加しました。私が担当したのはトラックジャージとラグランロンTの制作です。ワンサイズ展開という制約の中で、幅広い方に着ていただくためにどのように主張し過ぎず青学らしさを伝えるか試行錯誤の連続でしたが、「誰かに届くものを作る」ことに大きなワクワクを感じました。PR施策にも注力し、担当商品は即日完売。多くの人に届けられたという達成感は、今でも忘れられません。普段何気なく手に取っている商品も、いろいろな人が関わり合って、細部にまでこだわって作られているのだと知ることができた貴重な経験でした。

ダンスサークル幹部の引継ぎで後輩からもらった花束を手に(左から2番目が中原田さん)

残りの大学生活も、「悔いのないようにチャレンジ」を実行していくつもりです。3年次からは松田憲忠先生のゼミナール(ゼミ)を選択しています。松田ゼミは自分の興味を社会問題と結び付けて自由に研究テーマを設定できる点が魅力ですが、何より一番の決め手は松田先生のお人柄でした。「政治学原論AB」の授業に続き、「公共政策実習A」では4日間ご一緒し、交流を深めることができました。初めてお会いしたときから「なんて気さくで話しやすい先生なんだろう」と感じたことを今でも覚えています。その中で、「これ以上改善の余地がない」という完成度に至るまで妥協できず、課題やレポートに時間をかけ過ぎてしまうという悩みを相談させていただいたことがあります。それに対し、「真剣に向き合っていれば、いつか自然と効率的にできるようになる。だから、今はそんな風に考えてなくていいんだよ」と言ってくださり、松田先生が肯定してくださった安心感は本当に大きなものでした。

学業成績優秀者表彰については、特に意識していませんでしたが、コツコツ積み重ねた努力が実を結んで良い評価をいただくことができ、頑張ってきて本当によかったと思っています。今後も松田先生のもとで、何らかの形でメディアやジャーナリズムに関連したテーマに取り組み、研究に打ち込んでいきたいです。

そして将来的には、自分の言葉や行動で人の心を動かし、社会に良い影響を与えられる仕事に就きたいと考えています。その軸にあるのが、私が目標としている青山学院が育成する「サーバント・リーダー*」の精神です。振り返れば、これまでの活動を通して、時には表舞台に立ち、時には裏方に徹し、予期せぬトラブルやいくつもの困難を乗り越えてきました。その経験を生かして、社会や企業を支える縁の下の力持ちの役割を果たしつつ、必要な時には表に立ってリーダーシップを発揮するような、「サーバント・リーダー」を体現できる人になりたいと思います。
*自分の使命を見出して進んで人と社会とに仕え、その生き方を導きとする人。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2025年度)のものです。

法学部 ヒューマンライツ学科

AOYAMA LAWの通称をもつ青山学院大学の法学部には、「法学科」に加え、2022年度に開設した「ヒューマンライツ学科」があります。
ヒューマンライツ学科は、人間が人間らしく生きるために欠かせない「人権」について、法学をはじめとした多様な学問分野から学ぶ日本初の学科です。人権は国の最高法規である憲法で保障されているだけではなく、国際社会の普遍的な価値でもあります。さまざまな人権問題の解決・改善のために法をどのように生かしていけるかを意識的に学び、政治学や経済学、公共政策などの観点からも学際的にアプローチします。

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