多彩な学びとオーストラリア留学から広がる未来への挑戦

掲載日 2025/9/3
No.363
<2024年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
<2025年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
総合文化政策学部 総合文化政策学科 3年
石原 里真
東京・私立青山学院高等部出身

OVERTURE

幅広い学びに惹かれて総合文化政策学部に入学した石原里真さんは、積極的な姿勢と留学で英語力を伸ばしています。青山学院大学体育会スキー部のマネージャーとしても活躍する石原さんに、勉学と課外活動、英語力向上を通じて広がった選択肢や将来の目標について伺いました。

学生のアイデアを形にする実践的な学びと英語を話す楽しみ

総合文化政策学部は、文化を軸に、人文科学、社会科学、自然科学を多角的に学べることが大きな特長です。進学時、将来やりたいことがはっきり決まっていなかった私は、広範囲の学びから自分の目指す道を見つけたいと思って選びました。

ラボ・アトリエ実習(1)/(2)」は、企業や地域とコラボレーションして取り組む、特に魅力を感じた演習授業です。2年次には森島豊先生の「フェアトレード・ラボ」を受講しました。この授業では、秋に開催するフェアトレードやエシカルに関する団体を集めたイベント「エシカル・インタラクション 『青学生によるいいじかん』」を集大成とし、学生自身がイベントの企画、運営を実際に行います。私は、2、3年生8人で構成された「ミナガワビレッジ班」に所属し、和菓子店と連携して、フェアトレード食材を利用した大福作りのワークショップを企画・運営しました。食材の提案、フレーバーの選定、集客まで、試行錯誤を重ねた結果、イベントは盛況となり、自分たちのアイデアを形にし、世に出した経験は、今後の学びやキャリアに役に立つと感じています。

入学直後に不安を感じていたのが、ほぼ毎日受講していた英語の授業でした。世界を視野に発信・プロデュースするための英語教育カリキュラムが整備されていることは学部の魅力のひとつだと感じていたものの、英語が得意というわけではない私にとって、毎日緊張して授業に臨んでいたことを覚えています。しかし、日々英語に触れているうちに次第に英会話への抵抗が減っていき、英語を学ぶことが楽しくなっていきました。ペアワークが多く取り入れられ、文法よりも「話す・聞く」が中心となる授業形式が私に合っていたのだと思います。重荷に感じていた英語でのプレゼンテーションも、回数を重ねるうちに気負わずできるようになりました。

英語の力が付き、話すことの楽しさを感じられるようになった頃に受講した「トピックス・イン・ジャパニーズ・スタディーズⅠ」は、留学生とともに日本の文化について学ぶ授業で、強く印象に残っています。4人の留学生とのグループワークでは、英会話のスピードについていくのが大変でしたが、「日本文化」というテーマを強みに積極的に発言することで、メンバーが真剣に耳を傾けてくれました。自分のやる気次第でグループワークに貢献できることを実感し、このときの意識や経験はその後の留学生活にも大いに役立ちました。

ラボ・アトリエ実習でのイベント「エシカル・インタラクション 『青学生によるいいじかん』」の全出店団体が集まった記念の1枚

スキー部のマネージャーとして、選手に寄り添い、支えるやりがい

入学前から、運動部のマネージャーになろうと決めていました。中学で陸上部に所属していた経験を生かしつつ「誰かを支える」という新しい挑戦をしたかったからです。さまざまな部を見学し、先輩方が親切でアットホームな雰囲気の青山学院大学体育会スキー部(青学スキー部)に入部しました。

アットホームな雰囲気で楽しい青学スキー部

青学スキー部は、シーズン以外も体力作りを行い、年間を通じて活動しています。マネージャーは、道具の準備、タイム計測と記録、フォームの動画撮影など、多岐にわたるサポートをします。今では、人を支えることに大きなやりがいを感じて楽しく活動していますが、最初は仕事をこなすだけで精一杯で、自分が皆さんの役に立っているという実感を持てませんでした。そのような中で転機となったのが、1年次に青山祭でチョコバナナ屋台の出店で責任者に選ばれたことです。仕入れ先との調整や保健所への提出書類の作成、実行委員との連絡といった渉外業務に加え、販売シフトや役割分担の調整など、多くの課題に直面しましたが、当日は無事に目標売上を達成することができました。終了後に、主将から「担当してくれた君たちのおかげだよ。ありがとう」と声をかけていただき、マネージャーとして部に貢献できたことが嬉しく、自信にもつながりました。

日頃から、選手を支える上で心がけているのは、一人一人の部員の名前を呼びながら応援することです。中学時代の陸上競技で長距離を走っていた時、仲間が遠くから自分の名前を呼んで応援してくれると「ちゃんと見てくれている人がいる」と感じて、もうひと踏ん張りする力が湧いた経験があります。自分がされて嬉しかったことを、今はマネージャーとして実践するようにしています。

新潟県妙高でのスキー部ノルディック合宿で、選手のフォーム動画を撮影中

オーストラリア留学で身に付いた英語力と積極的な姿勢

2025年2月から5か月間、オーストラリアのウーロンゴン大学に協定校留学し、国際政治やオーストラリア先住民、マネジメントをテーマに学びました。どの科目でもグループでのディスカッションやプレゼンテーションが重視され、現地の学生と対等に議論を交わすためには、人一倍努力が必要です。授業のスライドを事前に読み込み、わからないことはそのままにせず自ら質問をして、語学力不足を補うようにしていました。国際政治の授業を通して、世界のニュースにも関心が向き、今では各国の報道をチェックするのが習慣になりました。理解が深まるにつれ、ニュースを見ること自体が楽しくなっています。

授業回数を重ねるうちに気付いたのは、「英語がうまく話せなくても、伝えようとする姿勢を見せることが大切だ」ということです。内容や会話についていけないからと黙っていると、やる気がないと誤解されてしまいます。しかし、自分の言葉で伝えようと努力すれば、周囲の人たちはきちんと耳を傾けてくれることに気付きました。それ以来、授業以外でも積極的に英語で話すよう心がけ、寮の友人に英語の間違いを指摘してもらったり、英会話クラブや寮のイベントに参加したりと、自分の成長につながる機会を逃さないようにしました。

留学先で親しくなった友人と

世界各国から集まってくる寮の学生と話す中で、これまで私が持っていた「常識」が実はとても狭いものであったということも知りました。オーストラリアで学ぶ国際政治は、日本とは異なる視点で授業が展開されます。それ以外にも、インドの家族制度や第二次世界大戦で戦場となったソロモン諸島に今も残る傷跡など、これまで考えてもみなかった内容を友人たちから聞くことができました。英語の「話す・聞く」力を身に付けることは、世界中の人々とつながる可能性を広げてくれると実感しています。

休日には、寮の友人とウーロンゴン市内を散策したり、ビーチで泳いだりしていました。世界遺産巡りにも出かけ、特にウルルでは、灯りのない夜に広がる自然の姿に圧倒され、この景色を未来にも残したいと心から願いました。今後は、オーストラリアの世界遺産や先住民についてもより深く学んでいきたいと思っています。

オーストラリアを初めて訪れたのは、2年次の春休みに3週間のホームステイをした時です。壮大な自然や親切な人々に魅了されて大好きな国となり、今回の長期留学を決意するきっかけにもなりました。留学中に当時のホストファミリーに再会し、向上した英語力を披露できたのも忘れられない思い出です。

ホストファミリーは、石原さんの青学の卒業式にぜひ出席したいと言ってくれている

自ら挑戦する意欲を持ち、恵まれた環境を生かす

学業成績優秀者として表彰を受けたことは、とても光栄に思っています。ただ自分では何か特別なことをしたつもりはなく、基本的なことをコツコツと積み上げてきた結果だと思っています。一つ一つの授業や課題に丁寧に取り組み、わからないことがある時には先生に質問して、自分で納得できるまで理解を深めることを心がけてきました。振り返ってみると、学業も部活動もアルバイトも手を抜かずに取り組む上で、計画を立てて確実に実行するという意識を持つことが大切だったと感じます。また時間を有効活用するため、部活動の練習場に移動する際やアルバイトの休憩時間など、隙間時間や移動時間も「貴重な時間」と捉えて無駄にしないようにしています。

青学では、学生の意欲に合わせて多様な挑戦の場が提供されています。入学時、私は留学志向がそれほど強くはなかったのですが、大学のポータルサイトでオーストラリアのホームステイプログラムを見つけ「面白そうだな」と興味が湧き、参加を決めたことが、結果的にその後の留学にもつながりました。環境はしっかり整っているからこそ、自発的な姿勢が成長のカギになると思います。

ライトアップされたシドニー・オペラハウス。ウーロンゴンからシドニーまでは約1時間半

オーストラリアでの経験を通して、異文化を橋渡しするような仕事に関心が高まりました。将来の目標が明確になりつつある今、これから始まる就職活動を通して、自分の進むべき道を具体的にしたいと思います。また、留学終了後も英語力を維持するため、青学のチャットルームなど、大学の恵まれた環境を引き続き活用していくつもりです。

総合文化政策学部

青山学院大学の総合文化政策学部では、“文化の創造(creation)”を理念に、文化力と政策力を総合した学びを探究。芸術・思想・都市・メディアなどの広範な領域を研究対象とし、各現場での“創造体験”とともに知を深めていくチャレンジングな学部です。新たな価値を創出するマネジメント力とプロデュース力、世界への発信力を備えた“創造的世界市民”を育成します。
「文化の創造」を理念に、文化力と政策力を総合した学びを探究します古典や音楽、映像、芸能、宗教、思想、都市、ポップカルチャーなどあらゆる「創造」の現場が学びの対象です。どうすれば文化や芸術によって社会をより豊かにすることができるのか。創造の可能性を模索し、自身のセンスを磨きながら、創造的世界市民として社会への魅力的な発信方法を探ります。

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