エンタメ×支える力。二つの軸で選んだ、業界を支える仕事へ

掲載日 2025/10/17
No.369
地球社会共⽣学部 地球社会共⽣学科 4年
⼭⼝ 葵⼦
神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校出身

OVERTURE

地球社会共生学部で多角的な視野を身に付け、メディアと歴史に関する考察を深めてきた山口さん。就職活動では自己分析を通じて「誰かを笑顔にしたい」「支える立場」という軸を見出し、エンターテインメント(エンタメ)業界を支える道を選びました。

多様な人々がグローバルに支え合う社会を目指し、
地球社会共生学部へ

青山学院大学を志望した理由は、知名度の高さに加えて充実した教育環境に魅力を感じたからです。世界で起きている諸問題について多角的に学び、グローバルな視点から実態を捉えようとする講義内容に強く引かれました。

私は、小学校での国際理解の授業や母から聞いた留学経験の話を通じて、多様な文化を持つ人々が支え合うような社会の在り方に関心を持つようになりました。地球社会共生学部ではそうした社会を実現するためのコミュニケーションツールとして英語力を実践的に養えることや、体験知を得られる海外留学が必修となっていることを知り、まさに自分が求めていた学部だと感じました。

大学時代を通じて特に印象的だった授業は、まず、「Academic English (Reading & Writing)Ⅰ」「Academic English (Speaking & Listening)Ⅰ」です。週6回という密度の高い授業で、英語での発信力が飛躍的に向上しました。苦手分野だったリスニング能力も鍛えられ、IELTSなどのスコアが大きく伸びたことも自信につながりました。また、「グローバリゼーションの社会学」では異文化理解について議論を重ね、大きく視野が広がりました。

青学での英語の授業の様子(2年次:山口さん撮影)

また、2年次には念願の海外留学も経験しました。多国籍の学生と共に学び、現地の伝統行事を楽しむ中で、異文化との向き合い方や積極性の大切さを体感し学ぶことができました。また、留学先で受講した観光学の授業では英語でプレゼンテーションを行う機会があり、言語も文化も異なる相手に日本の魅力を伝えようと工夫を重ねた経験は、相手の視点に立って論理的に物事を伝える力を鍛えることに役立ったと思います。

こうした学びの成果は実生活でも発揮されました。学生時代、私はカフェや衣料量販店でアルバイトをしていたのですが、多様な国籍のお客様と接するとき、英語力と異文化理解の視点が役立ちました。コミュニケーションを通じて多くのお客様に喜んでいただけたことで、学びと実社会のつながりが実感できました。

留学時、専門用語が多かったため、授業の前後で日本語訳をつけた「自分ノート」を作成

メディア産業論を学び、映像作品から歴史や社会を読み解く

現在、私は樺島榮一郎先生の「メディア産業論」ゼミナール(ゼミ)に所属しています。もともと映画やドラマが好きだったので、より多角的に作品を捉えることで作品理解の解像度を高めたいと考え、このゼミを選びました。ゼミでは、小津安二郎監督の映画『東京物語』などを題材とし、日本における家族観の変遷や社会背景などを読み解いていきました。作品制作の背景まで掘り下げて理解を積み重ねたことで、メディアに対する専門的な知見を深めることができました。

こうした学びを土台に、卒業論文では太平洋戦争末期の「特別攻撃隊(特攻隊)と映像作品」をテーマに研究を進めています。戦時中から現代に至るまで、さまざまなメディアにおける特攻隊の描かれ方を分析し、その背景にある社会の構図や人々の意識などについて考察を深めています。まずは歴史的事実をしっかりと捉えた上で、メディア上の特攻隊の姿と実態との乖離について研究したいと考えました。

私は曾祖父母が戦争世代です。また私自身が8月生まれで誕生日が終戦の日に近いことから、戦争関連のドキュメントや報道も強く印象に残っていました。中でも特攻隊の隊員は、今の私と同年代の方々が多いこともあり、その実情を改めて知る必要があると強く感じたのです。

歴史研究の分野において、特攻隊に焦点を絞った研究は少ないそうで、参考文献が少ないからこそ、自分自身で当時の新聞を調べあげて研究する必要がありました。さらに所属するゼミで、これまで特攻隊と映画を関連付けた研究はなかったとのことで、誰も取り組んだことがないテーマであれば、なおのこと自分がやるべきだと思いました。

研究を進める上で最も苦労しているのは、一次史料の収集と分析です。戦時中のメディア(新聞・映画など)は戦意高揚を目的としたプロパガンダを含んだものも多いので、情報の見極めには注意を要します。客観的な視点を磨くためには、ひとつの情報に頼らず、できるだけ幅広い史料を比較検討することを徹底しています。また当時の史料から人々のリアルな反応を正確に読み取るためには、史料の背景にある社会情勢や文化を理解することが必要です。そのため、史料を読み解く時は「このメディアは、誰が、何の目的で発信したものか」「それを受け取った側はどのように反応したのか」という、発信者と受け手の両面の視点を意識することを大切にしています。

また、特攻隊に関する研究は感情的にも重く、史料に向き合う中で心を整理しながら進める難しさも感じています。それでも、過酷な戦争を体験された方々が「平和を受け継ぐために」と気力を振り絞って語られる姿をドキュメンタリーなどで目にするたび、「私も自分の研究にしっかり向き合おう」と思いを新たにしています。

研究を始めた頃は、歴史的な事象の一部として特攻隊を捉えていたのですが、現在では、特攻隊員だけではなく、出撃命令を下した指揮官の心情や戦時下の空気感、一般市民の感情まで踏み込んで考察するようになりました。特攻隊を題材とした映画に留まらず、歴史自体に関してより深く向き合う視点が育ってきていると感じています。

「自分らしさ」の再発見が就職活動成功のカギに

卒業後は、エンタメ業界の大手グループにおいて、コーポレート機能(管理部門)を担う機能会社に就職する予定です。元々は身近な「食」を通じて人々の生活を支えたいという思いから、食品・飲料メーカーの営業職を目指していましたが、サマーインターンシップをきっかけに業界理解と自己分析を進めていくうちに、自分が大切にしてきた価値観に気づきました。

そこで改めて自分の過去を振り返ると、私が大切にしてきたのは「誰かを笑顔にすること」でした。子どもの頃から習っているピアノや高校まで続けていたチアリーディング、接客のアルバイトなどのすべてが「誰かに喜んでもらいたい」という思いにつながっていたのです。私自身、幼い頃からアニメ番組に親しんだり、愛らしいキャラクターに励まされたりといったワクワクする思い出がたくさんあり、同じ楽しさを多くの方々に届けたいと思ったのです。こうした発見を経て、人々に笑顔を届けられるエンタメ業界へと志望を転換しました。

さらに、チアリーディング部やアルバイトでは後輩を支える役割にやりがいを感じてきたことから、支える立場として働きたいという思いが強まりました。その中で出会ったのが、現在内定をいただいている企業です。コーポレート部門として現場を支える役割に加え、グローバルな視点で社会貢献にも力を入れている点などが、私が学んできた「地球社会共生学部」の価値観とも重なると感じ、最終的な志望先となりました。

就職活動で最も苦しかったのはサマーインターンシップの時期でした。志望業界に迷いがあり、選考も思うように進まず、落ち込む日々が続きました。そんな中、友人のアドバイスをきっかけに、自分と他人を比べ過ぎていたことに気づきました。そこからは「本当にやりたいこと」に集中することを意識し、自分の軸を見つめ直すことで活動方針を整え、気持ちを立て直すことができました。

気持ちを保つには就職活動にメリハリをつけることも重要だと思います。私はサマーインターンシップの時期には思い詰め過ぎて苦しくなってしまったので、秋以降は意識的に短期旅行やライブに出かけたり、家族や友人と話したりすることで気分転換を図っていました。進路・就職センターのサポートもとても心強い存在でした。どこから就職活動に取り掛かればよいのか悩んでいた時も相談に乗っていただき、エントリーシートについても丁寧な添削を受けることで、自分では見落としていた改善点に気づくことができました。

エンタメ業界ならではのエピソードとしては、とにかくユニークな自己PRを行う就活生が多かった印象です。彼らに埋もれないよう、私も自分なりに自己PRを工夫しました。たとえば、友人から「太陽のような存在」と言われたことをもとにキャッチコピーを考え、アルバイトでの経験と結びつけて自分らしさを伝えるようにしました。

就職活動では緊張する場面も多いと思いますが、自分を信じてぜひありのままの姿で挑んでください。自分の思いをしっかり伝えることができれば納得のいく結果にもつながると思います。諦めず突き進めば必ず結果がついてきます。皆さんを応援しています!

留学先の友人とアジアのお菓子パーティーに参加した様子

山口さんの就職活動スケジュール

  1. <3年次> 2024年 5月〜

    合同説明会参加

  2. <3年次> 2024年 8〜9月

    サマーインターンシップ参加
    エントリーシート作成の際に進路・就職センターを数回利用
    活動初期は食品・飲料業界が第一志望だったが、その後自己分析を行い、第一志望をエンタメ業界に変更

  3. <3年次> 2024年 10〜11月

    秋のインターンシップ参加
    第一志望となったエンタメ企業のインターンシップ(オープンカンパニー)や説明会に何度も参加

  4. <3年次> 2024年 12月

    本選考エントリー開始

  5. <3年次> 2025年 1月

    本選考開始

  6. <3年・4年次> 2025年 3〜5月

    本選考最終面接フェーズ。内々定をいただく

  7. <4年次> 2025年 6月

    内々定者懇親会参加

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2025年度)のものです。

地球社会共生学部

地球社会共生学部(School of Global Studies and Collaboration/GSC)では、世界の人々と共に生き、共に価値を見出し、よりよい社会を共同で創造していくための専門知と実行力を備えた人材育成を目指します。激動する世界を視野に「地球社会」の多様性に触れ、異文化理解を深める幅広い学びを展開。世界の人々との「共生」をキーワードに、コラボレーション領域、経済・ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の専門4領域を中心に、Global Issuesを共に解決し協働できる「共生マインド」を養います。地球社会共生学科は、国境を超えた「地球社会」を教育研究対象としています。多角的な視点と異文化への共感力、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力をもって、さまざまなグローバル課題の解決策や持続的な社会を創造する方法を探究します。

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