“共生マインド”を胸に。留学・ゼミ・アメフト部で育んだ成長の軌跡

掲載日 2025/9/11
No.364
<2023年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
<2024年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
<2025年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
地球社会共生学部 地球社会共生学科 4年
小出 彩楓
東京・私立青山学院高等部出身

OVERTURE

留学を目指して英語力を磨き、タイ留学を経て多文化への関心をいっそう強くした小出彩楓さん。青山学院大学アメリカンフットボール部では学生トレーナーと副務を務め、努力を楽しみながら学業と部活動を両立した学生生活を振り返りました。

留学制度にひかれて地球社会共生学部へ

小さい頃から海外のドラマやアニメに親しみ、海外の学校生活に憧れがありました。大学在学中の留学を目指して学部を探す中で、地球社会共生学部はカリキュラムに半期の留学制度が組み込まれていることを知りました。さらに、留学準備のためのセミナーや週6コマの英語の授業「Academic English」が開講されているなど、学部全体で留学をサポートしてもらえる体制があることを知り、進学を決めました。

「Academic English」の授業は、教室に入ったら“English Only”がルールで、休み時間に友達と話す時にも英語を使わなければいけません。当初は少し気恥ずかしさもありましたが「留学で通用する英語力を身に付けよう」と覚悟を決めて、ネイティブの先生に質問するなど英語でのコミュニケーションに意欲旺盛に取り組みました。予習・復習も大変でしたが、2年次後期のタイ留学でさまざまな国の人と臆せずに交流できたのは、青学で毎日英語を使う環境があったからこそだと思います。

また、英語講義も意識的に選択してきました。中でも印象的だったのが、「Traditional Art and Culture in Modern Japan 」です。この授業では和太鼓、能、歌舞伎、生け花など日本の伝統文化をテーマに、その道のスペシャリストから英語で学びました。実演を間近で見て実際に体験することで、これまで触れる機会が少なかった伝統文化の魅力を肌で感じることができ引き込まれました。ずっと海外にばかり目が向いていましたが、「日本の素晴らしい文化をもっと知り、海外の人にも伝えられるようになりたい」と思うようになりました。こうした英語講義は多くの留学生も履修しているため、日々の授業を通じて彼らと交流できる環境があり、授業中のディスカッションや日常の会話を通じて、実践的な英語力が向上したと感じています。

3年連続で学業成績優秀者表彰の最優秀賞を受賞

アクティブに過ごしたタイ留学。積極的な交流から夢が生まれた

私は旅行が好きなので、留学先には観光学を学ぶことができるタイのシーナカリンウィロート大学を選びました。首都バンコクの中心地にある大学ですが、寮がなかったので、留学中はアパートで生活しました。日本では実家暮らしだったため、異国で初めての一人暮らしは心細さもありましたが、電車での通学や屋台で食事をテイクアウトをするなど、現地の日常生活に触れることができる貴重な体験だったと思います。シーナカリンウィロート大学では観光の仕組みやツアーの組み方、観光開発の自然環境への影響などを学びました。中でも印象深いのは、「Wildlife Conservation Management」という授業で行った、Khao Yai National Park(カオヤイ国立公園)での3泊4日のフィールドトリップです。夜になると野生の鹿がすぐそばに現れるような自然に囲まれた小屋に宿泊し、野生のゾウの観察、川に入って生き物の生態調査、森の中のトレッキングなどを通じてタイの自然を存分に体感できました。

留学した当初は、タイ独特の英語のなまりに少々戸惑いましたが、「とにかく慣れることが大事」と考え、積極的に現地学生と交流しました。そこで大きな助けとなったのは、留学生活をサポートしてくれる「バディ」の存在です。私のバディは美容系のTikTokインフルエンサーでもある2歳年上の元気でやさしい女性で、一緒に食事をしたり、彼女の友人たちと出かけるうちに、自然とイントネーションに慣れることができました。帰国直前には彼女の誕生日パーティーに招待してもらい、大勢で過ごせたことは一生の良い思い出です。

タイではすべてが大らかで、電車には時刻表がなく、先生が授業に遅れてくることもあり、時間に対する感覚の違いにも触れることができました。私はもともと物事を深く考えすぎてしまう性格なので、タイの人々の「なんとかなる精神」に触れられたことで、少し肩の力を抜いて過ごせるようになったと感じています。シーナカリンウィロート大学の国際色豊かな環境でさまざまな国からの留学生とも交流し、休日には一人で観光するなどアクティブに過ごす中で、世界には多様な文化があることを改めて感じ、「世界の多様な価値観や文化を自ら体験したい」と考えるようになりました。

留学先で学部対抗のバレーボール大会に唯一の日本人として参加(前列右から3番目が小出さん)

観光を学術的に掘り下げ、「非認知能力」の育成に取り組む

3年次からは観光をテーマにした研究を行っている林拓也先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。「なぜ人は旅をして非日常を求めるのか」その構造や仕組みについて学術的に学びたいと思ったからです。東南アジアがどのように観光地化されたのかを勉強したり、林ゼミ恒例の夏の海外合宿では、タイからマレーシアのペナン島まで寝台列車やフェリーを乗り継いで旅をしました。留学からの学びをさらに深められている充実感があります。ゼミで取り組んでいる研究テーマは「旅を通じた非認知能力の育成」です。非認知能力とは、数値化できないコミュニケーション能力や協働力、批判的思考力、創造力など、近年の教育や人材育成において注目されている概念です。

3年次には、小学生を対象とした非認知能力育成イベント「歩いて作ろう3Dマップ」を相模原キャンパスで開催しました。子どもたちに「楽しく学ぶ」体験を届けたいという思いから、ゼミの仲間と議論を重ねてプログラムを練り上げました。自作の測定器と三角比を用いてB棟の高さを測定し、そのデータをもとに500分の1の縮尺で模型を作成し再現するという、空間認識力や想像力を育むことを意識した設計です。当日は、子どもたちはグループごとにそれぞれ異なるアプローチで取り組みました。「なぜ数値にズレが出たのか?」と真剣に話し合う姿も見られ、それぞれの個性が作業に表れていました。また、活動後には「実際に体験してどう感じたのか」「どこに学びがあったのか」といった振り返りも行い、自分の考えを言葉にするプロセスを通じて、分析力や表現力を育んでいる様子が印象的でした。その姿から私たち自身も多くの学びを得ました。

林ゼミの海外合宿では寝台列車でタイとマレーシアの国境越えを体験(左端手前が小出さん)

アメフト部で選手の活躍を献身的にサポート。
卒業後は世界を巡り、知見を広げたい

課外活動では、青山学院大学体育会アメリカンフットボール(アメフト)部で学生トレーナーを務めました。「大学4年間で何か軸になるものがほしい」と考えていたところ、友人に誘われて体験会に参加したのが入部したきっかけです。オン・オフのメリハリがあるチームの雰囲気や、コーチがおっしゃった「本気で何かしたい思いがあるなら、このチームが一番だよ」という言葉に心を動かされ、「4年間ここで頑張ろう!」と決意しました。

学生トレーナーの主な役割は、選手の体調管理や怪我の応急処置、競技復帰までのリハビリのサポートなどです。高校では男子ハンドボール部のマネージャーをしていましたが、負傷者への専門的なサポートは未経験だったため、先輩に勉強会を開いていただいたり、社会人トレーナーの方に実践の場で指導いただきながら知識を付けてきました。怪我をした選手から「早く競技に戻りたい」と言われたときには「すぐ戻れるよ」など軽々しく励ますのではなく、トレーナーとしてリスクを考え、止めなければいけない時もあります。怪我の状況や具体的な復帰の目安などを理論的かつ冷静に説明し、選手の安全を第一に考えて対応してきました。ですので、大きな怪我から復帰した選手が試合で活躍する姿を見られた時は自分のことのようにうれしかったです。4年次からは副務も兼任し、主務と共に他部活とのグラウンド調整や合宿・遠征の手配など、部の運営にも携わっています。学生トレーナーとして、副務として、今後も状況を見極める力や臨機応変な対応力を磨きながら、最後まで部に貢献していきたいです。

アメフト部の活動に役立てようと、青山スタンダード科目のトレーナーや健康に関する授業も履修した

振り返ると、「面白そう」と思えば難易度が高い授業も前向きに選択し、そこで良い成績がとれるとさらにモチベーションが上がるという好循環で、意欲的に学び続けることができました。幅広い選択肢から自分が興味のある授業を柔軟に選べる自由度の高さが青学の魅力だと思います。学業と部活の両立は簡単ではありませんが、移動時間や隙間時間を有効活用して課題に対して計画的に取り組む時間を1日のスケジュールに組み込むようにしています。図書館もよく利用しており、時には閉館時間ギリギリまで勉強することもありました。こうして培った「やり切る力」や「粘り強さ」は自分の強みだと思っています。

アミノバイタルフィールドで行われた試合で怪我人の対応をする様子

卒業後は、留学やゼミ、アメフト部の活動を通じて培ったコミュニケーション能力やマネジメント力、語学力を生かして社会の中で実践したいと考えています。また、さまざまな国を巡るという夢も叶えながら、異なる人とでも手を取り合い協働できる力を高めていきたいです。地球社会共生学部が掲げる“共生マインド”を胸に、地球規模の社会課題に向き合いながら、世界を舞台に活躍できる人材を目指します。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2025年度)のものです。

地球社会共生学部

地球社会共生学部(School of Global Studies and Collaboration/GSC)では、世界の人々と共に生き、共に価値を見出し、よりよい社会を共同で創造していくための専門知と実行力を備えた人材育成を目指します。激動する世界を視野に「地球社会」の多様性に触れ、異文化理解を深める幅広い学びを展開。世界の人々との「共生」をキーワードに、コラボレーション領域、経済・ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の専門4領域を中心に、Global Issuesを共に解決し協働できる「共生マインド」を養います。
地球社会共生学科は、国境を超えた「地球社会」を教育研究対象としています。多角的な視点と異文化への共感力、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力をもって、さまざまなグローバル課題の解決策や持続的な社会を創造する方法を探究します。

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