パリで異文化に飛び込み、挑戦を重ねて広がる世界。街に魅了され、言葉を磨く交換留学

掲載日 2026/1/14
No.376
国際政治経済学部
国際コミュニケーション学科2年
鵜飼 莉子
東京・私立青山学院高等部出身

OVERTURE

1年次の夏、リヨンカトリック大学での「海外語学・ 文化研修(4週間)」に参加、その知見を糧に、現在、パリのグループEDHに1年間の交換留学中の鵜飼莉子さん。異文化に触れ、言語を学び、街並みに魅了される、そんな日々を過ごしています。現在進行形の学びと挑戦の物語です。

異文化に飛び込んで見えた世界

日本で暮らしていると、日本を客観視することは難しいものです。でも、今こうしてパリで生活していると、あらゆる場面で日本との違いを体感しています。戸惑うこともありますが、そのすべてが興味深い経験です。

1年次の夏休みに海外語学・ 文化研修に参加し、リヨンカトリック大学で短期留学を経験しました。リヨンではアジア人が少数派で、街を歩くだけで視線を感じることもあり、異文化に飛び込む難しさを痛感しました。

そして現在、1年間の協定校留学(交換留学)でパリに滞在しています。生活に慣れてきたこともあり、「郷に入っては郷に従え」という言葉どおり、自然体で過ごせるようになりました。完璧でなくても、その国の言語でコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切だと感じています。フランス語で意思が伝わった瞬間には、達成感と高揚感が込み上げます。

現地の学生は堂々と発言し、物怖じしない姿が印象的です。一方で私は、人前で話すときに過度なプレッシャーを感じてしまいます。そんな私が極度に緊張しながら授業でプレゼンテーションを終えた後、何人もの友人が「とても良かった」「素敵だった」と声をかけてくれました。その言葉に安心すると同時に、私も人の良いところを積極的に伝えたいという気持ちが芽生えました。

エッフェル塔は1889年第4回パリ万博の最大のモニュメントとなった建築物

日本に留学経験のあるフランス人の友人が、日本語で話しかけてくれたときの安心感は忘れられません。言語に不安がある私にとって、その一言は大きな救いでした。グループ課題のためにルーブル美術館に撮影に行った日のこと。撮影後、彼女が「うどんを食べに行こう!」と声をかけ、仲間と一緒に日本の食文化を共有できた時間は、誇らしくて心が温まりました。他のクラスメートたちも、フランス語が思うように話せない私を気にかけ、英語で説明してくれたり、話題を変えてくれたりします。こうした優しさに支えられ、毎日気持ちよく大学に通えています。

日本留学の経験がある友人(前列左)他とクラスメート

今、パリで暮らしていて、想像以上に海外の人から日本に興味・関心が持たれていることを実感しています。日本での留学やインターンを模索している人、ひらがなを勉強している人など、たくさんの日本に関心を持つ人に出会います。特に驚いたのは、日本の伝統文化「金継ぎ」を知っている友人がいたことです。街では抹茶を楽しむ人、日本食レストランやユニクロの繁盛ぶりなど、日本文化が愛されている様子を目にし、日本人であることに誇りを感じています。

異国での生活は言語の壁や文化の違いに戸惑うこともありますが、こうした優しさや交流があるからこそ、挑戦を続ける勇気が湧いてきます。

安全対策とパリでの暮らし

渡仏前は「スリやメトロの治安」が心配でした。でも、実際に暮らしてみると、街も公共交通機関も比較的安全だと感じています。予想に反して、今ではメトロは生活に欠かせない存在です。もちろん、夜遅い時間や治安が悪い地域を避けるなど、基本的な注意は欠かしません。

私が通う大学のパリのキャンパスには大学の寮がないため、住む場所の選択には慎重になりました。学生が住むのに安全で、近所にスーパーやレストランがあり、深夜でも人の行き来がある場所を探し、17世紀の建造物や美術館が立ち並ぶ歴史的なエリアでパリ3区・4区にまたがるマレ地区を選びました。基本的な安全対策を意識しているので、ここではとても安全に暮らせています。

11月中旬から1月初旬にかけて、街はクリスマスシーズンのイルミネーションで華やかに彩られる

生活する上で特に注意しているのは、暗くなったら大通りを歩くこと、スマートフォンを他人の手の届く場所に安易に置かないこと、抗議集会の情報を確認して近づかないことなど。海外では当たり前のことですが、周囲の状況を確認する習慣を身に付けることが重要だと実感しています。一面的な情報に惑わされず、現地で適応する力を養うことが、安心して暮らすための鍵です。

視野が広がるということ

東京で暮らしていると、高いビルに囲まれながら大学に通い、アルバイトやサークル活動に追われる、せわしない毎日を過ごしていると思います。そんな生活から離れ、留学で友達や家族がいない環境に身を置くと、今まで当たり前だった常識が通用しない世界で生活することになります。見るものすべてが新鮮で、その中で自分がどのような人間なのか、しっかりと向き合う時間が生まれます。

もちろん、勉強して知識を身に付けたり、言語を習得したりすることは留学の大きな目的です。しかし、それらは日本にいてもできます。私が感じる「視野が広がる」ということは、日本を離れ、新しい環境に適応して生きていくこと自体にあります。生活してみないとわからないこと、日常の違いを一つひとつ体感することで、自分の視野が広がっていくのだと期待しています。

フランスでは、自分が使える自由な時間が圧倒的に多く確保できるので、どのように一日一日を有意義で満足するものにできるかを考える力が育まれていることを感じています。時間を自分でデザインする感覚は、日本での忙しい生活ではなかなか得られないものです。だからこそ、今後の自分がどのように生活を彩れるのか、楽しみにしています。

パリ・レアール地区にある『ブルス・ドゥ・コメルス』にて。かつて商品取引所として使われていた建物はフランスの歴史建造物に指定されている。世界的建築家 安藤忠雄氏の設計によって改装され、現在はピノー財団の現代美術館として生まれ変わっている

私はフランスでの暮らし方が大好きで、人生で最も幸せを感じています。自分が知らない世界を知ったときの感動を経験したことで、今後も多くの場所へ行き、好奇心に従って生きたいと強く思うようになりました。新しい文化や価値観に触れることで、自分自身の視野がどんどん広がっていく――その期待が、次の挑戦への原動力になっています。

パリで広がる学びと挑戦――言語、文化、そして未来へのビジョン

パリ留学の魅力は、フランス語と英語の両方に触れられることです。日常生活ではフランス語、授業や友人との会話では英語を使うので、二つの言語を同時に学べる環境があります。

フランス語は、生活に困らない程度に、伝えたいことを自分の言葉で言えるようになることを目標にしています。実際に使いたいフレーズを事前に調べ、レストランなどで実践することを繰り返しています。

英語は、より明確に自分の意見を伝えられる語彙力と、速いスピードの会話を理解できるリスニング力を身に付けたいです。

フランス国立図書館リシュリュー館の「オーバルルーム」

青学では国際政治経済学部に所属していますが、パリでの春学期はマーケティングを学ぶ予定なので、新しい分野に積極的に挑戦し、深く学んでいきたいと思っています。

現在、留学が始まって4か月ですが、異文化に適応できたときや、母国語以外でコミュニケーションを取れたときの喜びは唯一無二だと感じています。帰国後は、国際コミュニケーション学科猿橋順子先生のゼミに所属予定で、日本にある多文化に触れる機会が多いと思います。パリで得た喜びや自信をもとに、探究心を絶やさず、多くの人と関係を築いていきたいです。

将来、雑誌制作や広告業など、その土地やモノの魅力を発信できる仕事に携わることができたら…と漠然と考えています。パリに来てから、日本では味わえない街並みや食文化、建築などのフランス文化の魅力を、多くの人に知ってほしいと思うようになりました。実際に訪れることで『今見えているものだけがすべてではない』という世界の広さを感じる喜びを共有したいです。そして、「いつかヨーロッパ文化に浸りながら生活したい!」という強い気持ちが芽生えています。

パリに来てから毎日、日記を書いています。振り返ってみると、留学当初は心配事が多く、余裕がありませんでしたが、時間が経つにつれて少しずつ慣れていく、その過程と変化がよく分かります。日本ではしていなかった新しい習慣ですが、その時々の感情を記録しておくことで、後から見返してたときに自分が着実に変化して、成長していることに気が付きます。モチベーションを高めるうえでも効果があると実感しているので、これからも続けていきたいと思います。
そして、『案ずるより産むがやすし』という言葉のように、深く考えすぎず、挑戦を恐れず日々を過ごしていきたいと思います。

ルーブル美術館のシンボルの一つとなっているガラスのピラミッド

2025年冬 パリ

国際政治経済学部
国際コミュニケーション学科

青山学院大学の国際政治経済学部は国際社会への貢献をそのミッションとし、国際系学部の草分けとして創設されました。各学科の学びを深めるだけでなく、有機的に3学科の学びを統合することもできます。グローバルレベルの課題への理解を深め、エビデンスにもとづいて議論・討論するスキルを養成します。世界の多様な人々と協働し、新たな価値を創造する実践力を育みます。
国際コミュニケーション学科では、激変する国際社会において政治学的・経済学的な視点からだけでは扱いきれない国際事象を学問領域として学修・研究します。異なる文化への理解と他者との共存について考え、国際社会が抱える諸問題の解決に貢献できる人材を育成します。卒業生は国際渉外・広報、各種海外協力事業団、通訳・翻訳、マスコミ業界などさまざまなフィールドで活躍しています。

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