学業と課外活動の両輪で行動しながら学びを深め、人権課題の解決に貢献する未来を描く

掲載日 2026/1/16
No.377
法学部
ヒューマンライツ学科 3年
立花 桃香
東京・東京学芸大学附属高等学校

OVERTURE

人権の視点で社会問題を見ることに興味を持ち、法学部ヒューマンライツ学科に進んだ立花桃香さん。入学前から国際人権NGOで活動するなど、人権問題について学内外でアクティブに学んできました。授業や海外経験を通して国際感覚を養い、国際教育政策の研究にも取り組んでいます。

人権問題のリアルにふれるヒューマンライツ学科の授業

小学校の社会科の授業で地球温暖化について学んだことをきっかけに、国際的な社会問題に関心を持つようになりました。大学では社会科学を学びたいと考えていた中で、青山学院大学には人権等に特化したヒューマンライツ学科があることを知りました。地球温暖化の問題において、先進国が排出した温室効果ガスの影響が途上国の生活を脅かしているのは一種の人権侵害だと考えていたため、「さまざまな社会問題を人権の観点で見てみるのは面白そうだな」と思いました。また、国際的な視野や英語力も養いたいと思っていたので、本学のグローバルな雰囲気や英語教育に力を入れている点にも魅力を感じ、進学を決めました。

1年次に履修した必修科目「ヒューマンライツの現場AB」では、弁護士やドキュメンタリー映画監督など、実際に人権問題に関わっている方からお話を聞く機会がありました。人権問題のリアルにふれたことで一気に解像度が上がり、教科書に書いていることは自分にとって遠い問題ではないと認識することができました。また、現実は同情だけでは変えることができず、法的なアプローチや専門知識を用いなければ、複雑な人権問題を解決することはできないのだと学べたことも、大学で人権を学ぶ出発点として大変有意義でした。

社会調査論B」の授業では、インタビューなどによる質的調査*は調査対象者に対して暴力性を持つということを学び、ハッとさせられました。たとえば、貧困家庭の調査において調査対象者になったことに心を痛める人がいるかもしれません。卒業論文でも人権問題を取り上げようと思っていますが、調査を行う際は対象者の心情に十分配慮しなければいけないと知ることができたのは大きかったです。

*数値でとらえられない人の感情や行動などを理解することを目的とした調査

海外研修や英語講義でグローバルな視野と語学力を養う

1年次の夏休みには、法学部独自のプログラムで東京大学、立教大学と合同で行うイギリスでの海外研修に参加しました。受験時にパンフレットでプログラムについて知り、「青学に入学して絶対に参加したい!」と心に決めていました。

本プログラムは、オックスフォード大学にて、現地大学教授より契約法や不法行為法、西洋古典学などを学ぶことが研究の柱です。その中でも特に印象的だったのは、イギリスの教育システムです。講義の後に「チュートリアル」と呼ばれる、教授と学生が1対2程度の超少人数制で行う授業があり、ディスカッションを通じて学びを深めます。そのため、講義内容や自分の意見等を言語化できるまで深く考察する必要があり、ディスカッションを経てこそ身になるということを実感しました。

また、王立裁判所や法律事務所、コンサルティングファームなどを訪問し、直接レクチャーが受けられるのもこの研修の魅力です。世界有数の法務環境と世界観にふれて、将来を考える上での視野も広がりました。

イギリスでの研修の最後の夜に、オックスフォード大学のChrist Churchで撮影した一枚

帰国後に、英語力の維持と国際的な学習環境を目的に履修した英語講義「Human Rights Issues in the world」は、クラスの半数以上が留学生で、日本にいながら留学気分が味わえました。英語で対話をする機会も多く、グローバルな視点にふれながらウクライナやガザの戦争をはじめ、ミャンマーのイスラム系少数民族であるロヒンギャの迫害問題など、世界で起きている人権問題について幅広く学べたことは貴重な経験になりました。語学の面でも、留学生の話すスピードが速いことやボキャブラリーの豊富さに刺激を受け、モチベーションが上がりました。

3年次からは大道寺隆也先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。さまざまな問題に対して国際機構がどのように関わり合って動いているのか構造的にとらえてみたいという思いから、国際関係論が幅広く学べるこのゼミを選びました。大道寺先生はとても面倒見が良く、相談に親身に応じてくださるなど、フォローが充実しているのもひかれた点でした。

前期には輪読とグループ発表を行いました。これまで関心の薄かった分野を含めて多くの先行研究を熟読し、調査手法や調査項目の妥当性を客観的に見ることができるようになった点が自分の成長を最も感じるところです。

後期は個人研究に取り組んでおり、私の研究テーマは「教育格差の是正とノンフォーマル教育の可能性―移民の教育現場から―」です。私は親の仕事の都合で何度も転校を経験しており、教育の選択肢の地域格差を身に染みて感じたことから、教育の諸問題に興味を持っています。この夏に旅行でモンゴルを訪れ、ゲルに宿泊した際に遊牧民の方から、「定住しない生活で子どもの教育が大変だ」という話をお聞きし、遊牧民や移民の教育について研究したいと考えました。教育格差の是正に向けて、国際機構の姿勢と成果を構造的に掴みたいと海外文献にあたっています。適切な先行研究を見つけ、読み進めることに苦戦していますが、粘り強く取り組みたいと思います。

イギリスで滞在した寮を背景に

現状を知るため国際人権NGOで活動。
心に刻んだ「行動」することの大切さ

学業以外でも、興味関心を追って、大使館と連携した国際交流イベントのボランティアや「青山学院大学ゴスペル・クワイア」など、さまざまな課外活動に意欲的に取り組んできました。

特に、ヒューマンライツ学科への入学が決まった段階から「実社会での人権の現状が知りたい」と参加してきた国際人権NGO団体での活動は、大学での勉強との相乗効果で多くの学びがありました。定期的に開催される各国支部との交流会で海外の人権問題を知ることができ、教育格差、難民支援、ジェンダー平等といった人権問題を伝える活動を行う中で、大学で得た学術的知見を社会の課題解決に役立てたいという思いが強くなりました。国際協力のイベントにブースを出展した際には、チラシを配るだけでは関心を持ってもらえないと思い、身近な人権問題について考えてもらうアクティビティを取り入れて、来場者の興味を引くことに成功しました。関心を広げるためには、能動的に興味を持ってもらうための工夫をすることが重要だと学びました。

また本団体が「袴田事件」の袴田巖さんを支援していたことから、再審査請求が承認された際に行った記者会見を見学したこともとても大きな経験として残っています。現場に立ち会ったからこそ、その後無罪が確定し、メディアが大々的に特集を組んで事件を報じるまでの経過のリアルさに感じることも多く、学ぶために「行動」することの大切さを強く感じました。

教育機会の拡大や人権保障の実現を目指して

キリスト教概論Ⅰ・Ⅱ」が全学生の必修科目に定められているため、これまで無縁だったキリスト教の教えにふれることができたのは、本学で学んでよかったと思うことのひとつです。日常的な悩みもキリスト教の教えに照らし合わせると、新たな着想を得て視野が広がり、とても興味深かったです。これから人生で何かにつまずいた時、そうした教えが道しるべとなり、きっと救われることがあるだろうと思います。

「青山学院大学ゴスペル・クワイア」に所属したこともキリスト教を身近に感じるきかっけになった

また、興味があることを存分に学べる環境があることも本学の魅力で、イギリスの研修前には「チャットルーム」に足繁く通い、スピーキング力を向上させることができました。人権に関しても、ジェンダーについて専門的に学ぶことができる「スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター」があるなど、多方向から掘り下げて学ぶことが可能です。

日々アンテナを張って過ごしていると、魅力的な情報に出会うこともあります。2年次の春休みには、学生ポータルを介して外務省が推進する対日理解促進交流プログラム「Jenesys2024大学生訪韓団」を知り、参加しました。韓国の政治、経済、文化に関するさまざまなスポットを訪問するとともに、東国大学、釜山大学の学生と交流し、日韓の文化交流を深めました。中でも、戦争記念館で韓国の視点からの戦争の認識に触れ、日韓の歴史観の違いを知ったことは強く印象に残っています。国家間の複雑な問題は自国の目線だけでは解決せず、相手の立場を理解することが重要だと感じました。

「Jenesys2024大学生訪韓団」修了証

将来は、大学での学びと課外活動で培った人権や国際教育に関する知見を基盤に、国際社会における教育機会の拡大や人権保障の実現に貢献できる人材になることが目標です。そのために、金融やITなどの高度な専門知識や実務スキルも身に付けたいと考えています。社会の変革に携わることができるよう、努力していこうと思います。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2025年度)のものです。

法学部 ヒューマンライツ学科

AOYAMA LAWの通称をもつ青山学院大学の法学部には、「法学科」に加え、2022年度開設の「ヒューマンライツ学科」があります。
ヒューマンライツ学科は、人間が人間らしく生きるために欠かせない「人権」について、法学をはじめとした多様な学問分野から学ぶ日本初の学科です。人権は国の最高法規である憲法で保障されているだけではなく、国際社会の普遍的な価値でもあります。さまざまな人権問題の解決・改善のために法をどのように生かしていけるかを意識的に学び、政治学や経済学、公共政策などの観点からも学際的にアプローチします。

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