共生マインドを胸に、支援の実践・研究と、青山キリスト教学生会での役員活動

掲載日 2026/3/23
No.387
地球社会共生学部
地球社会共生学科 3年
鈴木 こころ
東京・私立玉川聖学院高等部出身

OVERTURE

中学・高校をミッションスクールで過ごし、青山学院大学には親しみを感じていたという鈴木こころさん。公認学生団体「青山キリスト教学生会(ACF)」の副会長として多くの学生をまとめています。学びにおいては留学や支援活動を経験し、多様な意見に触れながら共生マインドを培っています。

キリスト教の学びと礼拝で毎日を整え、タイへの留学も経験

中高時代をミッションスクールで過ごし、出身校から多くの先輩が進学していたこともあって、青山学院大学には親しみを感じていました。毎朝の礼拝を大切にしていること、牧師の資格を持つ宗教主任の先生の指導を受けられること、そして国際色豊かな校風に魅力を感じ、進学を決めました。地球社会共生学部では、2年次後期に東南アジア地域への留学がカリキュラムの柱となっていて、タイかマレーシアを選んで*、現地で学ぶことができます。座学だけでは得られない学びができる点にも強く引かれました。

キャンパスで授業に出席する日は、いつも大学礼拝に出席しています。発表を控えているときやテスト期間などは、目の前のタスクで頭がいっぱいになってしまうこともありますが、毎日の礼拝で緊張を忘れる時間を持つことで、心を落ち着け整えることができます。礼拝の中で話される説教は先生によって話し方も話題もさまざまで、通常の授業では触れられない話を聞けることも魅力です。天気の良い日には「ウェスレー・チャペル」のステンドグラスに差し込む光の美しさにも魅了されます。チャペルのあるC棟のラウンジは、時折オルガンの練習の音が聞こえてきて、課題に取り組むにも友人と話すにも心地よく、お気に入りの場所です。

地球社会共生学部のキリスト教推薦生の会「エイレーネー」の記念写真。前列右から2人目が鈴木さん

中高時代のキリスト教についての学びは、聖書の内容を理解することが中心でした。大学のキリスト教理解関連科目では、聖書の知識を日常や社会にあてはめて考える段階に進んだという印象です。例えば「労働」について、高校のときはキリスト教の根底に流れている「労働は人の罪の結果としての苦しみ」(創世記3章17節)という労働懲罰説の考え方で主に捉えていましたが、大学の授業では、労働によって関わる人や経験が増えるなど、神の祝福により得られるものが多くあると学び、働くことへの概念も変化しました。

楽しみにしていた留学は、タイのタマサート大学で学びました。急速な経済成長の一方で貧富の差が広がっていると聞き、その状況を自分の目で確かめたいと思ったことが理由でタイを選択しました。留学生向けの学部で、タイの文化や社会制度、政治などについて学び、フィールドワークを通して社会や街をじっくり観察する機会にも恵まれました。半年間の留学は、日本では得られない学びに満ちた特別な時間であり、できるだけ多くの人と関わりたいと考え、積極的な行動を心がけていました。また、クリスチャンとして現地の教会に通ったことで、学外にもコミュニティが広がり、キリスト教の信仰が人種や文化を超えて絆を結ぶきっかけになることを実感する経験でした。

半年間、タイで日本とは異なる日常を過ごした経験は、地球社会共生学部が大切にする「共生マインド」を実践的に理解する機会にもなったと思います。

*現在は、タイ、マレーシアに加えてインドネシアへの留学も可能

留学中に訪れたタイ・アユタヤ歴史公園の遺跡、ワットラーチャブーラナにて

「青山キリスト教学生会(ACF)」の役員となって活躍

高校の先輩に紹介されて相模原祭(学園祭)のチャペルコンサートに参加し、心に響く演奏とメンバーの優しさに感動したことがきっかけで興味を持った青山学院宗教センター所属の学生団体「青山キリスト教学生会(ACF)」に、入学後から参加しています。ACFでは、学園祭でコンサートを開催するほか、聖書を読んで感じたことを分かち合う「バイブルクラス」、親交を深めるレクリエーション、神への感謝を込めて歌う「賛美集会」など、週に1回さまざまな企画を催しています。

相模原キャンパスのウェスレー・チャペルで、大学宗教部長の大宮謙教授、ACFのメンバーと。前列左から2人目が鈴木さん

ACFは青山学院大学全体で参加者は100人ほどで、基本的には相模原キャンパスと青山キャンパスに分かれて活動をしていますが、合同イベントも多くあります。メンバーの人柄が温かく、アットホームな居心地の良さが気に入って役員として運営にも関わるようになり、2年次には相模原支部長、3年次には全体の副会長を務めました。

参加する学生の中には、大学に入学するまで聖書に触れたことがなかった人もいますし、信仰の持ち方もさまざまです。多様な学生がいる中、クリスチャンでなくても皆が安心して居場所と感じられる団体であることを大切にしています。そのために、一人一人になぜACFに興味を持ったのか、じっくり聞いてみることを心がけてきました。話してくれたその理由からはACFの良いところが見えてきますし、そこを伸ばしていくように努力を重ねてきて、年々、皆でこの団体をつくり上げていこうという機運が高まっていることを感じます。

学園祭である青山祭と相模原祭では、バンドを組んで信仰をテーマにした音楽を披露するコンサートを開きます。私は企画を担当してきました。総勢100人ともなれば意見も多様で、なるべく多くの意見を吸い上げるよう努力しましたが、全てを採用することは難しく、バランスをとるのが大変なこともありました。そうした道のりを経て迎えた当日、メンバーの笑顔や観客の方々が楽しんでくださる様子を見たときの達成感は格別でした。

皆がキラキラとした、そして安心した笑顔で溢れている光景が大好きです。コンサートは動画サイト*で配信していますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。

*青山祭2025 ACF Chapel Concert「The Eternal〜希望の歌〜」

2025年度の青山祭、チャペルコンサートにて

支援の実践を通して研究テーマを見つける

3年次から、国際関係論や人道支援がご専門の堀江正伸先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。ゼミでは、輪読とディスカッションに加えて、興味のあるグループに属しての課外活動も盛んです。学生の主体性を尊重する堀江先生の方針もあり、課外活動は難民支援、団地開発、企業のサステナビリティ戦略研究など、多岐にわたっています。私がこのゼミを志望したのは、そうした課外活動を経験する中で自分なりの課題意識を持ち、研究テーマを明確にしたいと希望したからです。そして現在、神奈川県藤沢市の公立小学校で日本語支援ボランティアを行うグループに参加しています。

外国から家族と共に日本にやってきた子どもたちの中には、日本語が十分に理解できないまま就学し、勉強についていけなくなっている子どもがいます。私たちは、そのような子どもたちのための国際教室に赴き、日本語や日本での生活について指導しています。ボランティアには他大学の学生も参加していて、楽しく無理なく活動していますが、日本語の意味を日本語でわかりやすく伝えることは難しく、悩むことも多いです。一方で、子どもたちは友達と過ごす中で日本語を上達させていて、いつの間にか教えていないことも身に付けています。その成長を見るのも楽しい瞬間です。

この活動に参加する中で、支援を受けられる子どもが限られている現状に課題を見つけ、今後の支援のあり方を研究テーマとすることにしました。現在は、文献で国際教室の事例を調べつつ、現場の教員やボランティアの専門スタッフに尋ねて幅広く支援方法や内容を検討しています。堀江先生からは、「文献調査や人へのインタビューだけが研究方法ではない。普段の活動、ニュースなどにもアンテナを張って」とアドバイスをいただいています。日々の活動で得られる気づきを大切にしながら、さまざまな視点から研究の種を見つけていきたいと考えています。

共生マインドを養い、異なる意見を簡単に否定せず受け止める

これまでの学びを通して、自分の中に「共生マインド」が確実に育ってきていることを感じます。「共生の社会学」という授業では、「世代」「セクシュアリティ」「障がい」など、毎回異なる分野に焦点を当てて共生社会実現の可能性を探ります。グループディスカッションでは、例えば障がいのある人が身近にいる人は、障がい者との共生に積極的になるなど、その人の背景が意見に影響することを学びました。「アジアの政治と文化」という授業では、グループワークでアイヌ民族について取り上げ、日本国内のことにもかかわらず知らなかった共生課題の多さに気づかされました。

共生マインドが育つにつれて、異なる意見に出会っても簡単に否定せず、まずは受け止める姿勢が身に付いてきました。特にゼミのディスカッションでは、当初は否定的に感じた意見でも、より詳しく話を聞き、別の人の意見も聞く中で「なるほど」と納得がいく経験を重ねています。堀江先生が繰り返しおっしゃる「物事は多面的である」という言葉の通り、活発な意見交換によって、多角的に物事を捉える力が養われたのだと思います。この力は、100人規模のACFで意見をまとめ、企画を進めていくことにも生かされました。

今後は、ゼミでの研究を進めること、そして学内ではまだその存在を知らない学生が多いACFの活動をより広めていくことを目標にしていきます。研究においては、藤沢市での日本語支援ボランティアにより力を入れるつもりです。現場をより深く知ることで研究精度を上げるだけでなく、日本社会で暮らす外国からの子どもたちのために、自分にできることを少しでも行いたい気持ちも強くあります。留学時に現地の方からさまざまなシーンで助けていただいた経験の延長線上に、今の私の活動があると思っており、留学時に感じた「時間を無駄にしたくない」という思いは、ボランティア活動でも時間の許す限り参加して役に立ちたいという姿勢につながっています。

これからの学生生活でも共生マインドをさらに醸成し、将来はさまざまなバックグラウンドを持つ人々が共に生きる社会を築くことに貢献していくつもりです。共生社会実現には、キリスト教の学びも大いに生かされるだろうと思います。

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2025年度)のものです。

地球社会共生学部

地球社会共生学部(School of Global Studies and Collaboration/GSC)では、世界の人々と共に生き、共に価値を見出し、よりよい社会を共同で創造していくための専門知と実行力を備えた人材育成を目指します。激動する世界を視野に「地球社会」の多様性に触れ、異文化理解を深める幅広い学びを展開。世界の人々との「共生」をキーワードに、コラボレーション領域、経済・ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の専門4領域を中心に、Global Issuesを共に解決し協働できる「共生マインド」を養います。地球社会共生学科は、国境を超えた「地球社会」を教育研究対象としています。多角的な視点と異文化への共感力、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力をもって、さまざまなグローバル課題の解決策や持続的な社会を創造する方法を探究します。

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