志は「地の塩・世の光」、ファイナンシャル・プランナーは人生を照らす伴走者

掲載日 2026/5/15
No.392
株式会社たかしまFPサービス代表
経済学部第二部経済学科* 2002年卒業
髙島 健

OVERTURE

証券会社勤務後、28歳でファイナンシャル・プランナーとして独立した髙島 健さん。お客さまの価値観に寄り添い、人生の選択を共に考える「伴走者」として活動。高校・大学生への金融教育にも注力。時間を大切な財産と捉え、後悔しない一歩を踏み出す勇気を伝えます。
*2008年度募集停止

人と寄り添い、人生の夢を支える「お金の専門家」という役割

人と向き合いながら金融商品を提案できる営業職に魅力を感じ、大学卒業後は、みずほインベスターズ証券(現みずほ証券株式会社)に就職しました。富裕層向けへの資産運用のコンサルティングを中心に、個人向け資産運用業務、法人ファイナンス業務を経験。国家資格である「1級ファイナンシャルプランニング技能士」を取得し、実務と社会経験を積み重ねてきました。なかでも、お客さまとの信頼関係を築いたうえで金融商品を提案、購入していただくプロセスを何度も経験できたことは、20代後半でファイナンシャル・プランナー(FP)として独立・起業する大きな自信につながったと感じています。

FPとは、相談者の人生の夢や目標を実現するために、金融、税制、保険、不動産など家計に関わる分野を総合的に捉え、一緒に資金計画を考える「お金の専門家」です。ライフプランに基づいて将来の収支を見通し、家計の改善や資産運用をアドバイスすることから、「家計のホームドクター」と例えられています。現在は、世界共通水準で高度な知識と経験、そして高い職業倫理が求められるファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できる「CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)認定者」として、主に相談業務に携わっています。

FPとして仕事をするうえで、私が最も大切にしているのは、お客さまのライフプランに沿って最適な判断ができるよう、的確な情報を提供することです。そのため、資産状況や収入・支出といった数値で把握できる「定量的な情報」だけでなく、人生の目標や価値観といった数値化できないお考えについての「定性的な情報」も、丁寧に深くお話を伺うことを心がけています。例えば、住宅資金であれば、購入か賃貸か、一戸建てかマンションかによって助言は大きく変わりますし、教育資金であれば、将来どのような教育をお子さまに受けさせたいのかを深く考える必要があります。

私は、人生全般について相談を受けるつもりでお客さまに向き合っています。家族間で価値観が異なったり、支出の優先順位が整理できていなかったりするケースも少なくありません。だからこそ、10年後、20年後にどのような人生を歩みたいのかを長期的な視点で対話を重ねることが欠かせないと考えています。悩みに寄り添い、真摯に向き合う中で信頼関係を築き、お客さまから「頭の中が整理され、不安が解消されました」と言っていただけた瞬間に、この仕事の意義とやりがいを実感します。

校友会がつなぐ、母校発の金融教育と啓発

また、起業当初から、皆さんがお金の知識を身に付け、最終的には自分自身で答えを導き出せるようになってもらうことを目指してきました。こうした思いは、現在のファイナンシャル・プランニングの実務においても一貫して大切にしている考え方です。近年は、福利厚生の一環として社員向けにFPセミナーを実施する法人も増えており、そうした企業・団体と契約し、講師を務めるほか、社員の方を対象に企業制度を踏まえた将来設計の整理を中心とした個別相談に応じています。また、高校の金融・経済関連の授業に講師として招かれる機会も多く、金融やライフプランの考え方を伝える中で、契約やオンライン上の取引、副業・投資に関する消費者被害に繋がる事例など、実生活に直結するテーマについても話しています。若い世代への情報発信は、今後も注力していきたい分野です。

金融青山会の一員として学生向けFP資格講座を担当し、青山キャンパスで講義を行った様子

青山学院大学では、所属する青山学院校友会金融青山会」の一員として、学生・社会人向けの金融関連講座や授業で派遣講師を務めています。2022年からは、正課科目「青山スタンダード」の金融青山会の寄附講座現代金融の諸問題」に担当講師の一人として関わり、後輩の現役学生たちに講義を行う機会に恵まれました。講義後には多くのコメントが寄せられ、金融を「難しい知識」としてではなく、「自分の人生や進路と結びつくもの」として捉え直した学生が多かったことが印象的でした。とりわけ、資産運用や社会保障、日本銀行の役割といったテーマについて、「ニュースの見方が変わった」「将来を考えるきっかけになった」といった声が多く、学生たちは決して金融に無関心なのではなく、実生活と結びつけて考えるための“きっかけ”を求めているのだと改めて感じました。金融知識の提供にとどまらず、母校の後輩たちがこれからの生き方や将来について考える機会に関われたことに、大きな喜びとやりがいを感じています。さらに2025年度からは、社会人向け講座「青山アカデメイア」にて「社会人のためのFP3級技能検定対策講座」がスタートし、約70名もの方に受講いただくなど、金融教育へ関心の高まりを実感しています。

お金に関する知識は一般的に「金融リテラシー」と呼ばれ、政府系の資料でも、経済的に自立し、より良い生活を送るために必要なお金に関する知識や判断力として説明されています。私が現場で大切にしているのは、知識を知って終わりにせず、判断や行動につなげていくことです。専門的には、知識に加えて意思決定の力や、生活の中で実践していく力として整理されますが、授業でも相談でも、その人の価値観に照らして選べる状態をつくることを意識しています。

大学時代は、経済学や金融論の授業に力を入れて取り組みました。そこで得た知見は、就職活動の場面はもちろん、社会に出てからも確実に生きています。現在、セミナーなどで扱っている中央銀行(日本においては日本銀行)の役割や、直接金融・間接金融、GDPといった基礎的な概念は、まさに当時の学びが土台となっています。また、証券会社時代に培ったマーケット分析や投資信託に関する知識も、今の仕事に欠かせません。制度や市場環境が日々変化するなかで、情報を発信する立場として、そしてお客さまの人生設計に伴走する専門家として、これからも学び続ける姿勢を大切にしたいと考えています。

青学の学びを礎に、人生に伴走するFPとして

現役の学生たちとのつながりを紡いでくれた金融青山会では、現在、事務局を務めています。大学卒業後の進路として金融業界は大きな割合を占めているにもかかわらず、かつては青学の卒業生同士が情報や意見を交換する場が十分にありませんでした。そこで、同じ母校を卒業した仲間同士が、仕事上の悩みを気兼ねなく相談し合い、最新の情報を共有できる場をつくろうと、2002年に発足したのが金融青山会です。金融業界と一口にいっても業態は幅広く、参加者は銀行や証券、生保・損保をはじめ、信用金庫、公的機関、ファンド会社、不動産金融、リース、ファイナンシャル・プランナーなど多岐にわたります。最近では、金融業界への就職を目指す現役学生の参加も増えており、就職活動の参考にしたいという声の高まりを感じています。

金融青山会20周年記念行事後、運営に携わったメンバーと記念撮影(左から2番目が髙島さん)

また、大学経済学部同窓会とのつながりも、私にとって大切なご縁となっています。卒業後も同窓生の皆さんと交流を続ける中で強く感じるのは、一人一人が誠実で、人とのコミュニケーションを大切にされている方が多いということです。そうした「人の好さ」こそが、金融青山会にも経済学部同窓会にも共通する、青山学院らしさであり、青学ならではの魅力なのだと思います。

経済学部学生と経済学部同窓会による恒例の交流イベント「手ぶらでBBQ大会」は世代を超えた交流の場となっている(中央列左から2番目が髙島さん)

学生時代の私は、「いつか起業したい」という思い、今振り返れば「目標」(What)に意識が向いていました。しかし今の私は、その先にある「なぜ起業するのか」という目的(Why)がはっきりしています。「人と社会に貢献するため」という思いが明確です。これは本学のスクール・モットー「地の塩、世の光」に通じます。

在学中に得た学びや出会いは、現在のキャリア選択へと確実につながっています。高校生の皆さんにとって、進学は人生の中でも大きなライフイベントの一つでしょう。大学卒業後の進路を考えることには、楽しさと同時に迷いも伴うはずです。

私は28歳の時に「今、挑戦しなければ、きっと後悔する」と決意し、証券会社を退職して独立・起業しました。不安がなかったわけではありませんが、証券会社時代の5年間で努力を積み重ねてきたという自負があり、その手応えが最後に背中を押してくれました。まず一歩踏み出してみること。そして、もし違うと感じたなら、そのときに軌道修正すればいいのです。皆さんの選択が長い人生において最適なものとなるよう、限られた高校生活をどう過ごすのか、ぜひ真剣に考えてみてください。時間もまた、かけがえのない「財産」なのです。

学生時代、初めて一人で訪れたニューヨークにて。後の進路や働き方を考えるきっかけとなった

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