応援団の経験が進路開拓のアドバンテージに。記者として伏在する人権問題に光を当てたい

掲載日 2026/5/29
No.394
<2025年度 学友会表彰(特別敢闘団体表彰)特別敢闘団体受賞(応援団)>
法学部 ヒューマンライツ学科 4年
早川 太晴
東京都立豊多摩高等学校出身

OVERTURE

応援団を団長として牽引する早川太晴さん。全身全霊の応援で体育会部活動の活躍に貢献。信頼で結ばれた絆とやり抜く強さを手に入れました。法学部ヒューマンライツ学科の学びから人権問題を社会に伝えるという目標を見つけ出し、卒業後はテレビ局記者の道へ進みます。

「居場所」と感じた応援団。どんな時も最後までエールを届ける

高校は帰宅部だったということもあり、大学ではたくさんの人と交流し、熱中できる部活動がしたいと思っていました。本学に入学し、新入生勧誘行事まで応援団については全く知りませんでしたが、多くの体育会の部活動と交流できるということに魅力を感じました。活動内容を聞いたり、練習を体験したりする中で、一体となって応援をする過程で仲間と強固な関係を築き、切磋琢磨しながら感動を分かち合える部活だと分かり、「自分の居場所はここだ!」と直感しました。

声が掛かればどこへでも駆けつけ、どんな状況でも懸命に戦う選手たちを応援するにふさわしい、忍耐強く最後まで諦めない姿勢を体現しようと力を尽くしてきました。30分間にわたって応援歌を歌い続けるなど、体力的に厳しい練習も重ね、一致団結して気迫を伝えることの奥深さと達成感を全員で共有できたことはかけがえのない経験です。

高校で応援団に所属していたという人は稀なので、団員のほとんどが初心者というところからスタートし、補欠も優劣もなく、等しく活躍できる点も応援団の良さだと思います。ヒューマンライツ学科でジェンダーギャップを学んだことから、応援団は男性社会というイメージを払拭すべく、誰にでも開かれた部活であることをアピールした結果、女性団員も増えています。

これまで一番多く応援に立っているのが硬式野球部の試合です。プロ野球ドラフト会議でも選手にエールを送るのですが、昨年はドラフト会議当日も午前中に試合があったため、のどがガラガラの状態でした。会場で選手とすれ違った際、「声が枯れるまでいつも応援してくれてありがとう。応えられるよう頑張ります」と声を掛けられ、「選手の士気向上の一翼を担えているんだ」と本当にうれしかったです。

神宮球場にて東都大学野球秋季リーグを応援。リーダー台の上で気勢を上げる

モチベーターの役割を担い、「和気あいあいたる団結」を目指す

3年次から幹部を務めています。我々は選手だけでなく、青学全体を盛り上げる存在なのだという責任を自覚し、「大学の顔として身を引き締めなければ!」と気持ちを奮い立たせる日々です。会場が一体となる応援を追究し、観客にも分かりやすいコールやボードを導入するなど、幅広い視点に立った応援計画を練り上げるのは簡単ではありません。吹奏楽バトントワリング部をはじめ他団体との調整が欠かせないため、交渉力が培われました。

千葉県南房総市で行った春季合宿での発声練習(右が早川さん)

幹部として活動を始めた当初、下級生が先輩に意見など言いづらい雰囲気から生まれた行き違いも経験し、風通しのいい団をつくろうと努めています。「和気あいあいたる団結で制すべし」は団訓の一つで、ただ厳しく上意下達で団を統制するのではなく、チームとして思いを共有するのが一番大事なことだと思っています。自分の役割として心掛けているのは、「モチベーター」でいることです。部員それぞれが得意分野を生かせるよう、細かい技術面の指導は適材適所で任せつつ、私は団長として全体を見渡しながら、褒めることを意識した声掛けで部全体のモチベーションアップを図っています。

現在、改善に向けて取り組んでいるのは仕事の分担です。上級生に仕事が集中することも下級生へのケアが行き届かなくなる要因の一つだと考え、役職を越えて、練習責任者や安全監督などの役割をみんなに割り振っています。こうすることで学業と部活の両立がしやすい環境も作りたいと考えています。

団の中だけでなく、多くの学校関係者の方々と応援を通じて交流を深めてきたいま、「応援には人と人を結ぶ力がある」と確信しています。ここで生まれた絆はきっと長く心に残るものになると思います。

1年次、東都大学野球開幕戦の応援で松山へ遠征した際の試合後の1枚

人権問題について考え、
解決の道筋を探るためヒューマンライツ学科へ

中学生の頃から新聞を読むことが趣味で、新聞を通してさまざまな社会課題に興味を持つようになりました。その中で、ハラスメントなどの人権問題は身近な課題であるのに、それを規制する法律の存在や内容が日本ではあまり認識されていないという状況に、入学前から問題意識を抱いていました。そこで、人権に特化した学科である青山学院大学のヒューマンライツ学科で学び、「日本の人権議論をリードする先駆者になりたい」と考えました。また、知識重視型の教育から脱却し、実例をもとに社会が抱える人権課題を考えるという理念にも大変共感を覚えました。

ヒューマンライツ学科の授業には、総じてグループワークが多く取り入れられています。私は気になることがあればどんどん深掘りしたくなるタイプなので、自分のおかれた環境では気付き得なかった社会課題について自分たちで調べて議論し、発表するという一連の学習のプロセスが非常に楽しかったです。ディスカッションでは、自分の視野を広げるのに役立ちました。例えば、母子家庭で育った方から、外からは見えにくい生活上の困難を聞き、支援制度などの情報にアクセスできるかどうかが、生活の厳しさに影響する場合もあるという視点を得ました。こうした経験を通じて「実際に人の話を聞く」ことの大事さを実感しました。また、実例をベースにした学びが重視されているからこそ、人権に関わる社会課題を「他人事にしてはいけない」という意識が高まりました。

比較政治学」はヨーロッパ諸国の政治構造の特徴を学ぶ授業です。女性の活躍と経済成長の因果関係や、難民の受け入れにより社会がどのように変化したかなど、日本のこれからを考える上で教訓になる他国の事例を考察するのが興味深かったです。グループワークでドイツの政治体制を調べたことも印象に残っています。ドイツでは過去の反省から排外的な行為を規制する制度が整えられているにも関わらず、近年は排外主義が伸長しています。その背景の一つとして、SNSの影響力の大きさを実感しました。「国際人権法」では、日本で国際人権法に反した難民の強制送還が行われている事実を初めて知り、私が住んでいる地域に多く暮らすミャンマー人難民の生活実情に関心を持つようになりました。「国際社会と人道支援」では、実際に戦時下や災害時などの人道支援に当たってきた日本赤十字社の方のお話を聞きました。世界的に戦争が相次ぐ中で、戦時中に軽視されがちな人道支援というものの大切さを生の声から学んだ経験は財産になると思います。

3年次からは臺豊先生のゼミナール(ゼミ)で社会保障の観点から公共政策の設計を考察しています。ゼミではロジックツリーを用いた社会課題の原因分析など、政策決定のプロセスについても学んでおり、自分の弱点だった論理的思考力が養われたのは大きな収穫です。

記者を志望したのは社会を動かすメディアの力を学んだから

卒業後は記者としてテレビ局に就職する予定です。記者を志したのは、2年次に「ジャーナリズム論」を履修したのがきっかけです。この授業では、国内外で大きな注目を集めたニュース事例を見て、どこに社会的意義があるのかをグループで話し合い、発表しました。SNSを通じた情報発信が広がる現在、従来メディアの役割が問い直される場面もありますが、丁寧な取材にもとづいて重要な事実を伝えることができる点に、既存メディアの信頼性の強さを感じました。注目を集めることを重視したネット記事が増えている時代だからこそ、しっかり取材をしてファクトを調べたうえで発信される正確な情報が重要になってくると思っています。

私が入学を決めた頃、芸能界における性加害問題が社会的に注目され始めていました。その中で、BBC(英国放送協会)による報道が大きな役割を果たしていることを知り、「見えないところで起きている人権問題にスポットを当て、声をあげられない人の助けになりたい」という強い気持ちが生まれました。一方で、執拗な取材活動や無許可の実名報道など、メディア側による人権侵害について学んだことも印象に残りました。人権問題を社会につなぐ役割があるメディアが人権を守るのは報道の大前提なのだということを肝に銘じて仕事に向き合っていくつもりです。

大学で得た知識と経験、好奇心を社会のために

就職先は、記者の裁量の大きさや公共性の高さを重視して選びました。就職活動において何より生きたのが応援団の経験です。応援団長という希少な経歴に大変興味を持っていただけましたし、粘り強さや礼儀正しさ、はっきりとした発声など、応援団で身に付けたものは記者にも求められるものだからです。私の声はよほど通るようで、面接では最初の「失礼します」の発声だけで思わず反応を示していただくこともありました。内々定のご連絡をいただいた際には、「応援団で頑張ってきたことも評価している」という言葉もいただき、大変自信になっています。

入社後は、地域に根ざした現場の声に丁寧に耳を傾けながら取材に取り組んでいきたいと考えています。日本で暮らす難民の方々についてなど追ってみたいテーマもあり、将来的には人権課題を扱うドキュメンタリー番組の制作に挑戦してみたいです。また、衆議院議員会館でのインターンシップ経験があり、さまざまな立場の人が関わりながら政治が動いていることを実感しました。その経験から選挙報道に携わりたいという気持ちも芽生えました。多くの人が密接に関わっている選挙の実態をブラックボックス化させないよう、積極的な取材を重ね、真摯に情報を伝えていきたいと思います。

これからは、持ち前の好奇心を社会課題の解決に生かしていきたいと強く感じています。ヒューマンライツ学科で身に付けた目の前の情報を鵜呑みにせず、背景を掘り下げて広い視野でクリティカルに物事を考える姿勢、応援団で培った粘り強さと交渉力を強みにして、表に出ていない人権問題を多くの人に伝え、議論を促せる存在になりたいです。

応援団が2025年度学友会表彰(特別敢闘団体表彰)特別敢闘団体を受賞

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2026年度)のものです。

法学部 ヒューマンライツ学科

AOYAMA LAWの通称をもつ青山学院大学の法学部には、「法学科」に加え、2022年度開設の「ヒューマンライツ学科」があります。
ヒューマンライツ学科は、人間が人間らしく生きるために欠かせない「人権」について、法学をはじめとした多様な学問分野から学ぶ日本初の学科です。人権は国の最高法規である憲法で保障されているだけではなく、国際社会の普遍的な価値でもあります。さまざまな人権問題の解決・改善のために法をどのように生かしていけるかを意識的に学び、政治学や経済学、公共政策などの観点からも学際的にアプローチします。

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*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

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