多様な価値観から「考え方を学ぶ」日々が、未来の社会と長い人生を豊かにする

掲載日 2026/7/17
No.400
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学科 4年
相田 七海
神奈川・私立自修館中等教育学校出身

OVERTURE

ディスカッションの機会が豊富なコミュニティ人間科学部について、「考え方を学べる場所」と話す相田七海さん。文化継承に関する学びや社会調査士の資格取得に注力する中、オープンキャンパス学生スタッフや青山学院大学新聞編集委員など、課外活動にも積極的に取り組んでいます。

教授陣の親身な伴走のもと、正解のない問いに挑む

高校生のとき、将来の夢として公務員や子どもと関わる仕事をイメージしていました。コミュニティ人間科学部では、子ども、青少年、地域活動などについて幅広く学べるため、どちらの進路にも役立つと思い、進学を決めました。

青学に入学して間もなく、コミュニティ人間科学部の学びは、地域社会や生涯学習に関する正解のない問いに挑むこと、そして学生同士で積極的に意見を交わす機会があることが大きな魅力だと感じました。大教室であっても、周囲の学生と授業テーマについて話し合う時間がとられる授業が多く、毎回、多様な意見を聞いて刺激を受けています。それまで自分の中になかった考えを新しく取り入れる機会も多く、物事をより広い視野で捉える力が身に付いていることを実感しています。

先生方との距離が近いこともコミュニティ人間科学部の特長だと思います。授業や実習に関する先生方の展望を学生にも率直に話してくださり、新しい学部を共につくり上げていく雰囲気にも魅力を感じています。3年次からは、安斎聡子先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。安斎先生の「コミュニティ文化継承概論」を受講し、お祭りなど地域の伝統文化継承についての探究が大変興味深いと感じたためです。しかし、身近に感じられるテーマも学術的な視点で考察することは難しく、3年次の学術的な文献の輪読の際、私も他のゼミ生も文献の読み解きには苦労しました。安斎先生は常にご自身の見解を提示したうえで学生にも考えを促してくださるため、緊張することなく自分のペースで考えを深めていくことができます。

地域や市場の調査に関する専門的な力を養うため、「社会調査士」の資格取得も目指しています。この一環で受講した「地域社会調査論Ⅲ」では、社会調査に必要な統計手法を学びました。電卓や表計算ソフトを使って計算し「答えが出る」という点は、この学部では珍しく新鮮に感じました。担当の植月美希先生は、教室内を回りながら「わからないところはない?」と一人一人に目を配ってくださり、数学はあまり得意な方ではない私も、こまめに復習をしながら無理なく技術を身に付けることができました。

東日本大震災の爪あと残る釜石市での地域実習

1年次に受講した大堀研先生がご担当の「コミュニティ社会学原論」では、北海道夕張市について学び、一つの産業がなくなることで町全体が衰退してしまうこと、行政でも財政破綻を起こすことを知り、衝撃を受けました。この授業で取ったノートは再度パソコンでまとめ直して保存し、折に触れて参照しています。

大堀先生は語り口も面白く、3年次に学外で行う地域実習は、大堀先生にご指導いただける岩手県釜石市でのプログラムを選択しました。2年次には「コミュニティ創生計画論」を通じ、釜石市の基本情報や地域福祉計画について学び、実習に向けて課題意識を高めていきました。

3年次の8月、大堀先生と学生8人で釜石市を訪れ、現地で6日間を過ごしました。市役所でのまちづくり講義や市内各所の視察、市民と行政が協働で行政計画を検討する「かまいし未来づくりプロジェクト」への参加など、非常に充実した実習期間でした。

地域実習中、釜石市役所総合政策課でのまちづくり講義の様子。テーブル奥の右から2番目が相田さん

グループに分かれて市民へのインタビューも実践し、私は、釜石に移住して高校生向けのキャリア教育を実施されている方にお話を伺いました。「キャリア教育は未来への種まき」という、20年後30年後も見据える言葉が印象的でした。

大堀先生にも助言をいただきながら学生同士で議論し合って見出したのは、「かまいし未来づくりプロジェクト」の参加者が、現在は限られた市民に偏っているという課題でした。そこで「多様な人が参加しやすくなる環境や仕組みを整えることで、プロジェクトがより活性化するのではないか」という提言をまとめ、地域実習の成果として発表しました。

実習中には、東日本大震災で実際に津波の被害を受けた地区も訪れ、津波の教訓を伝える「いのちをつなぐ未来館」の展示、「津波浸水深ここまで」という表示、家屋が流された後、新しい建物がつくられていない場所などを見ることができました。メディアで映像を何度も見たことがあるものの、現場を見るのは初めてで、実際に訪れたからこそ、ここに本当に津波がきたのだと強く実感しました。震災の翌月に小学校に入学した私は、リアルタイムで震災当時を記憶している最後の世代だと思います。記憶を風化させず、後世に伝えていくことを大切にしていきたいと感じています。

「かまいし未来づくりプロジェクト」で市民に向けて自身の意見を発表する相田さん

オープンキャンパス学生スタッフ代表として、自ら課題を見つけ改善

課外活動では、オープンキャンパス学生スタッフ(OCS)として、1〜2年次には、高校生や保護者の質問に対応する個別相談会を担当していました。「コミュニティ人間科学部」は、本学では設置が一番新しい学部であり、どのようなことを学べるのかすぐにイメージできない人も多くいらっしゃいます。そのような中、高校生の疑問に一つずつ答えていくと、その場で「コミュニティ人間科学部について理解が深まりました。必ずこの学部に入学したいです」と力強く答えてくれるなど、やりがいを感じる瞬間がたくさんありました。また、相談会で対話した高校生が実際に青学に入学し、OCSに参加してくれたこともあり、とても嬉しくなりました。

3年次から相模原キャンパスの代表を務め、各部署を束ねる他、入学広報部と連携を取りながらメンバーにフィードバックし、イベントの完成度を高めていきました。個別相談会を担当していた頃、順番待ちの長い列ができてしまった状況があり、代表となってこの課題解決の策を実行に移しました。待ち時間に見られるパネル展示を導入したのです。パンフレットには掲載されていない「ここでしか見られない」在学生ならではの情報を盛り込むことで来場者から好評を得て、待ち時間の削減や有効活用につながった他、相談予定はなくパネル展示だけを見るという方も現れました。パネル製作という業務が増えて大変な思いもしましたが、来場者に喜んでいただけたことで、皆「パネル展示を導入してよかった」と達成感を得られました。

相模原キャンパス2025年度のオープンキャンパスにて、学生スタッフの集合写真

OCSの活動の他にも、青山学院大学新聞編集委員会の相模原支部局でも活動し、記事執筆や紙面構成を担当しました。もともと文章を書くことは得意ではありませんでしたが、さまざまな記事を書く中で自分が作る文章の癖に気付くことができました。さらに新聞編集委員会に所属して学びとなったことは、他部員の記事の校正です。自分にはない新しい言葉選びや表現を学ぶことで文章の幅が広がり、学部でのレポート作成にも生かすことができました。

勉学に加えて、複数の課外活動と、さらにアルバイトを並行して取り組んだ経験から、限られた時間を有効に使うことを心がけ、スケジュール管理能力や優先順位を考えて行動する力を身に付けられたと感じています。

第100回箱根駅伝で青学が総合優勝を果たし、「箱根駅伝優勝号外」を発行した2024年1月3日、青山学院大学新聞編集委員会のメンバーで記念写真

誰もが「自分は必要だ」と思える社会に向けて、
多様な意見との出会いを生かす

これまでの大学生活を振り返ると、コミュニティ人間科学部での学びは「考え方を学ぶ」ものだと強く実感しています。他の学生と議論する中で、自分では思いつかなかったような意見を取り入れ、先生から示していただいた学問的な考察の道筋をもとに、自分の考え方を少しずつブラッシュアップさせていく毎日です。授業の復習でも「授業で出会った新しい視点を用いてもう一度考え直す」という姿勢を大切にしています。

また、子ども、青少年、成人、さらに高齢者や障がい者など、さまざまな世代の生活や地域活動について多角的に考えを深めることは、長い人生の楽しみ方を学ぶ経験でもあると思います。またコミュニティ人間科学部の学びを次世代にも受け継いでいきたいと考えています。例えば次世代の子どもたちには、子ども会や公益財団法人ボーイスカウト日本連盟、公益社団法人ガールスカウト日本連盟の活動、地域のNPOなど、多様な体験ができることを伝えていきたいです。また自分が歳を重ねたら、家で過ごすだけでなく、地域の生涯学習講座を活用し、人と関わり続けることで新しい学びを得て、人生を豊かにしていけるとも考えています。

こうした学びを通して、私の中には「誰かが孤立したり、自己否定したりすることなく、皆が『自分は必要な存在だ』と思える社会をつくりたい」という目標が芽生えました。入学前には、公務員や子どもと関わる仕事といった将来を思い浮かべていましたが、日用品メーカーの寄附講座を受講したことをきっかけに、身近なもので毎日の生活を豊かにし、自分も家族も誇りを持てる仕事に就きたいと思うようになり、現在は民間企業への就職を考えています。

多様なバックグラウンドを持つ学生と意見を交わし、地域の実情を自分の目で見て学んで培った、正解のない問いに向き合う力は、生涯にわたって指針になると信じています。

地域実習先にて。前列右が相田さん

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2026年度)のものです。

コミュニティ人間科学部

コミュニティ人間科学部では、日本国内の地域に着目した社会貢献を追究し、地域文化とそこに暮らす人々の理解を深め、より良いコミュニティ創造に寄与する力を培います。幅広い知識の学び、体験し行動するプログラムを通じて、自ら課題を発見・解決し、地域の人々との互助・共助のもとにコミュニティの未来を拓く力を育成します。
日本の地域社会は、高齢化や過疎化などさまざまな課題に直面しています。その解決に力を発揮するには、地域の人々に接し、活動の実際を知り、共感する体験が重要です。コミュニティ人間科学科では、地域の人々や行政についての学びをはじめ、市町村やNPOと連携した体験的実習などを展開。専門的知識や技術をもつ職業人として、地域の活性化や持続的な活動支援ができる人材を育てます。

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